前回はこちら

 

 


認定内科医、心療内科指導医・専門医、アレルギー専門医、リウマチ専門医、認定痛風医

 

飯嶋正広

 

特別編:不見識で無責任な医学会と医学者

 

医学会が国際紛争に対して緊急声明を発表することがあります。
緊急声明のすべてが不適切であるとまでは考えませんが、十分に吟味すべきではないか、と私は心配しています。

 

なぜならば、「緊急」ということは、下調べが不十分である可能性が高いからです。
専門分野であれば、情報の積み重ねや体系的な分析に基づくコメントが可能になりますが、医学の高度な専門家は国際政治について素人以下の認識しか持ち合わせていないことが少なくないからです。

 

ローマ法皇をはじめとする宗教界の指導者のような声明を、実務世界の専門外の各種代表がリリースすることにどれだけの意味があるのでしょうか。

 

ノーベル賞受賞者である山中伸弥氏の新型コロナに関する若干の発言の影響力は図り知れないのですが、これと同様の弊害をもたらす原因となると言わざるを得ません。

 

なぜなら、事件の背景や真相についての情報を収集し、分析する、という市民としての思考プロセスを脇に追いやってしまうことに繋がるからです。賢者であると思い上がった専門外の愚者が、人々の自然な洞察力や思考力を麻痺させ、救いようのない衆愚にしてしまいかねないのではないでしょうか。

 

これは、医学会にとっても望ましくない傾向であると私は考えます。

私は、日本高血圧学会の会員であるためか、以下の公式メールが届きました。

 

日本高血圧学会理事長の楽木宏実氏は使命感と正義感に燃えているのかもしれませんが、独自の調査や裏付けを取ることなく国際組織の見解に付和雷同することは、インテリにあるまじき恥ずべき行動で、無責任でさえあるといえるのではないでしょうか。

 

残念ながら、極めて軽薄な振舞いであり、おっちょこちょいのお調子者であると言わざるをえません。

 

このようなメッセージは、一見人道的な印象を与えますが、真実を覆い隠し、紛争の根本的解決から遠ざけてしまいかねないのです。責任を感じて自重していただきたいと思います。

 

改めて意識を喚起するまでもなく、多くの人々が願っていることを、敢えて緊急声明といった、鳴り物入りでリリースする場合には、必ず隠された真の意図があると考えてもよさそうです。

 

日本人の多くは、私を含めて「勧善懲悪」物が好きです。私の亡父も、水戸黄門や大岡越前が大好きでした。国際社会においては、明確に白・黒を区分することはナンセンスです。その際大切なのは、白を装っているリーダーの発言の背景と、その狙いをきちんと分析しておくことです。そして、黒とされているリーダーの発言のすべてを問答無用に切り捨てることがあっては、国際平和へ向けての人類の努力が大きく妨げられてしまうことになります。

 

それぞれの発言や行動の真の意図とは何か、誰が、どのような組織が黒幕なのか、ということを考えてみることもインテリジェンス向上のためには必要な作業過程であると思われます。

 

 

 

日本高血圧学会ニュース<臨時便>

 

JMSFおよびISH: ロシアによるウクライナ侵攻に関する緊急声明

 

会会員各位

本学会も加盟しております日本医学会連合および国際高血圧学会から今般のロシアによるウクライナ侵攻について下記URLのような声明が出されましたので皆様にお知らせいたします。

 

日本高血圧学会は人命および人権を侵害するいかなる軍事行為にも強く反対します。

 

世界各国が協調と対話を重ね、平和的外交手段で可及的速やかに事態が収拾されますことを望みます。

 

日本医学会連合:声明はこちら

 

国際高血圧学会:声明はこちら

 

日本高血圧学会
理事長 楽木 宏実

 

前回はこちら

 


水氣道実践の五原理・・・集団性の原理(結論)その5


(教学不岐・環境創造の原則)

 

水氣道の機能的集団編成法

 

水氣道の集団性の原理について説明するにあたって、そもそも集団性ないしは「集団」とは何かということに立ち戻って考えてみたいと思います。

 

広辞苑によると、集団とは以下のように説明され提案す。

① 多くの人や物のあつまり。

 

②(group)規則的・持続的な相互関係をもつ個体の集合。団体。

 

③〔生〕(population)有性繁殖の可能性を通して結ばれた生物の同種個体の集まりをいう。生態学でいう個体群に同じ。メンデル集団。

 

 

水氣道の集団の構成員は2名以上です。少なくとも単独ではないというだけのことです。

ですから、水氣道でいう「集団」とは、上記の中では①ではなく、②にもっとも近いといえます。ものであると理解していただければけっこうです。

しかも、規則的・持続的な相互関係をもつ、という機能の存在が大切になります。
 

 

水氣道の理念は<融通無碍(ゆうずうむげ)の人類愛>にありますが、そこから、以下の3つの徳性が導かれてきます。

 

分析と企画(特異性の原理) 

 

進歩と調和(過負荷・集団性の原理)

 

自己超越と自然回帰(統合性・可逆性の原理)

 

水氣道の集団性の原理がしっかりと機能しなければ、稽古を通して進歩や

調和という徳性を磨くことはできません。
 

それでは、実際の水氣道の稽古において、単独稽古が存在しないのかという疑問が生じるかもしれません。たとえば、稽古の最初に心身をゆっくり水環境になじませる目的の航法である「親水航法」はいかがでしょうか?

 

「親水航法」は、基本的にはそれぞれの参加者が各人のペースで実施してよい航法です。しかし、こうした稽古であっても「集団性の原理」から掛け離れた稽古ではないのです。

それは、同一の時間を同一の場所を共有しての稽古だからです。

 

稽古の場は、実際には、室内の温水プールが主になっていますが、いわゆる水泳施設全体の環境にはじまり、水槽全体、レーンによる区分けがあります。

そして、人数制限のある会場の場合は、特定の1レーンという場を共有しています。

つまり、主体的な独立運動であっても、区画された場において規則的・持続的な相互関係を維持しつつ参加していることから集団性を認めることができます。

 

実際に、水氣道の稽古をしているレーンの外から、あるいはプールサイドから稽古中のレーンを俯瞰してみるならば、水氣道のレーンは明らかに水氣道の団体として認識されるのではないでしょうか。

 

水氣道の団体構成の最小単位は、2名です。この最小単位を水氣道では対番(たいばん)と呼び習わしています。

基本的には、階級の異なる二人組で構成されますが、稽古中に水氣道の技法修得をはかるうえでもっとも基本になる稽古形態です。この場合、下級者が教えを受け、上級者が教えを授けることになりますが、水氣道においては、このような場合において上級者も、教え方を稽古する機会であるという基本的な認識で臨んでいただいております。

 

この対番において、下級者がもう一人加われば、上級者は二人の下級者を指揮する必要が生じ、そのためのさらに高度なスキルが必要とされます。

しかし、そのためには予めの準備段階が必要になります。それは、対番の上級者の更なる上級者が加わる稽古です。その目的は、対番の上級者の指導法をサポートして、技法伝授法のスキルアップをはかることにあります。

このような稽古形態を実践することによって、対番の下級者の理解も深まり、自らが進級した後で、どのような道筋になるのかを自然な形で予習することにもなります。

それから、水氣道の稽古の様式は、3カ月の周期によって、螺旋的発展を目指しています。3カ月の1カ月目、2カ月目および3カ月目をそれぞれ甲の月、乙の月および丙の月と命名しています。

 

最初の甲の月では、白色帽子組(体験生・訓練生連合)と有色帽子組(修錬生以上の連合)が稽古プログラム全体を通して一体訓練を実施します。

 

次の乙の月では、準備体操(イキイキ体操)までを全体で行い、五航法以降は白色帽子組と有色帽子組がそれぞれ独自の団体となり、それぞれの技能に応じた訓練を行います。また、その際も必要に応じて、有色帽子組から白色帽子組へ指導者を派遣することも行われます。

 

最後の丙の月は、概ねすべてのプログラムを対番単位で行います。それによって、個々の参加者の習得度を評価し易くなり、ふだんより具体的で個別的な指導が可能となります。また、この月は、昇級審査が行われる月に重なりますが、個々の参加者について広範な視点から評価し、支援することが可能となる方法であることがご理解いただけるのではないでしょうか。

 

以上のような3カ月周期の稽古プログラムは、水氣道の可逆性の原理(周期性の原則)にも関連する内容です。甲⇒乙⇒丙のあとの新たな甲の月の稽古内容は、3カ月前の甲の月の稽古より充実したものになることは、すでに実証済みです。

 

 

次回は、4月6日です。新年度の最初は、令和4年度最初の技法検定合格者発表を行います。

 

4月13日以降はシンプルなエクササイズである「懸垂」についての記事(ニューヨークタイムズ国際版3月25日)を用いて、水氣道の理解を深めるシリーズを数回にわたって、平易な日本語に翻訳し、必要なコメントを添え、興味深く解説を加えていく予定です。

 

前回はこちら

 

 

内科認定医、心療内科指導医・専門医 アレルギー専門医 

 

飯嶋正広

 

呼吸器病学とアレルギー学の接点

 

アレルギー舌下免疫療法の適応と限界と総合アレルギー専門医の役割(後編)

 

前編で紹介した症例は、花粉症以外に、アトピー性皮膚炎、喘息など複数のアレルギー疾患に罹患しており、精神的に参っているせいもあってか、不安、いらいら、攻撃性、抑うつ、神経過敏の傾向があり、睡眠障害も来していました。

 

症状は、くしゃみ、鼻汁については本人が自覚していましたが、鼻閉については気がついていませんでした。かゆみは、目だけでなく、全身の皮膚に及んでいました。

 

なお、専門医の診断については、花粉症であることは誤りではありませんでした。しかし、アレルゲンはスギのみでなくヒノキも陽性でした。なお、これら季節性のアレルゲンのみではなく、通年性のアレルゲンであるダニも陽性でした。

 

それから、睡眠障害や日中の眠気については、抗アレルギー薬の副作用が関与していることは、抗アレルギー薬を中止することにより軽減してしたとのことですが、日中の眠気は完全には回復しませんでした。これは、睡眠障害や日中の眠気については、抗アレルギー薬以外の原因も検討すべきことを示唆します。

 

そもそも睡眠障害といっても色々なタイプがあります。この症例では、寝つきが悪く(入眠困難)、夜中に何度も目を覚まし(中途覚醒)、それにもかかわらず、早朝に目が覚めた後は起床時まで眠れない(早朝覚醒)という複合的な睡眠障害でした。このようなケースでは、日中、仕事をしていても容易に睡魔に襲われがちになります。つまり、こうした睡眠障害を改善しない限り、日中の眠気を取り除くことは難しいのではないか、と考えます。

 

彼が、当クリニックを受診する最終的なきっかけになったのは、かつて短期間だけ使用して一定の効果が得られたベタメタゾン/クロルフェニラミン配合薬(セレスタミン®)を再開するか、さもなければ重症難治のスギ花粉症という診断により、分子標的治療薬の一つで抗IgE抗体製剤であるオマリズマブ(ゾレア®)による治療を勧められ、不安になったためのセカンドオピニョンを求めてのことだったということが、後日判明しました。

 

ベタメタゾン/クロルフェニラミン配合薬は、有効であることが予測されますが、副腎皮質ステロイドが含有されている内服薬であるため、長期的に使用するのはのぞましくありません。また、オマリズマブについては、彼の血清IgE値は、135U/L(基準170以下)で基準値内であるばかりでなく、抗アレルギー薬等の既存治療で無効であるとまではいえないので、直ちに選択すべき治療法ではなく効果も限定で記である可能性を伝えました。

 

それでは、この睡眠障害の原因は何なのでしょうか?

 

アトピー性皮膚炎による全身の皮膚のかゆみは、活動時より、安静時、とりわけ就眠時に強く感じられ、睡眠を妨げることがあります。また、気管支喘息患者では、本人の自覚がない場合でも、呼吸障害により就眠時の入眠や早朝の安眠を妨げることがあります。また、鼻閉による口呼吸は、睡眠障害ばかりでなく、日中の眠気をもたらします。抗アレルギー薬のなかでも眠気の副作用が少ないことが特徴であるフェキソフェナジン(アレグラ®)でも日中の眠気が強くなるような場合は、むしろ、他の誘因も併せて検討すべきであると私は考えます。

 

各種のアレルギー疾患は互いに合併し易いことが知られていますが、気管支喘息にアレルギー性鼻炎が合併したものを鼻炎合併喘息といいます。しかも、喘息の中で、鼻炎を合併しない喘息の方がむしろ少数派です。そして鼻炎合併喘息の場合、鼻炎に伴う鼻閉を治療しない限り気管支喘息の治療も進捗しないことが多いです。

 

そこで、この患者さんには、鼻閉に対してロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)である内服薬プランルカスト(オノン®)と副腎皮質ステロイド点鼻薬であるフルチカゾン(アラミスト®)を処方したところ、およそ3週後には鼻閉は改善し、睡眠障害や日中の眠気も気にならない程度にまでになりました。

 

さらに、およそ3カ月程度治療を継続すると、不安、いらいら、攻撃性、抑うつ、神経過敏の傾向が緩和し、性格が明るく真向きになったと、職場の同僚から褒められ、上司からは仕事の集中力が向上し、以前より意欲的になってきたように見えると高評価を得たそうです。

 

さらに半年を掛けて、同時にスキンケアとして保湿の徹底を指導したところ、概要ステロイド剤の強さもベリーストロング(非常に強力)からストロング(強力)中心となり、顔面や頸部はマイルド(穏やか)からウィーク(弱い)に移行することができました。

 

アレルギーやリウマチの専門外来においては、新型コロナ感染症予防対策も一般の外来に増して、十分な配慮が必要です。そのため、杉並国際クリニックでは、皆様の基礎疾患のケアのみならず、血清の亜鉛およびビタミンD(25OHVitD)濃度を測定し、欠乏もしくは低下が見られた場合には、食事療法などの生活療法に加えて栄養補充療法で是正をはかっています。そのうえで、玉屏風散や正脈散等の漢方薬の服用を推奨しています。この症例でも低亜鉛血症およびビタミンD欠乏症を来していました。なお、これと関連して骨塩定量による骨年齢は当初65歳でしたが、半年後に再検すると45歳程度まで改善しました。

 

この方は、花粉症のみならず、年に数回感冒に罹患し、その都度、気管支喘息発作が再燃して、会社を度々休むのが常でしたが、当クリニック受診以降は、一度も風邪をひくことなく、したがって会社を休むことなく勤務できています。職場で同じ課で新型コロナのクラスターが発生した際にも、彼のみがPCR陰性であったため、在宅勤務ではありますが、課長の代理として課内の業務を一人でこなし、得意先に迷惑を掛けず無事に危機を乗り越えることができたとのことでした。

 

全身のアレルギー症状が改善し、心身共に自信を取り戻されて以降の通院の予約がなく治療が途絶しているため、その後の経過の詳細が不明なのが残念です。

 

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臨床産業医オフィス


<高円寺南労働衛生コンサルタント事務所>

 

産業医・労働衛生コンサルタント・第一種作業環境測定士・衛生工学衛生管理者

 

飯嶋正広

 

 

産業医による就業上の措置に関する意見のあり方について(No4)

 

―体制や人材に関する課題-

 

産業医による事後措置は、国内の産業保健活動における主な日常業務の一つです。しかしながら、多くの場合、企業文化・慣習、医師の方針、労働者の健康状態、業務内容などを総合的に考慮しながら実施されており、事後措置の適用範囲、内容、手順について共通の認識が存在しているとまでは言えません。

 

就業上の措置に関して規程又はマニュアルが整備されていても、実際に就業上の措置の意見を述べる際の判断の根拠としては、臨床医又は産業医としての個人的経験が主体であり、各学会のガイドライン等も参考にすることが多いです。つまり、就業上の措置に関する客観的で直接的な情報源は整備されていないのが現実です。

 

各学会のガイドライン等が必要であると感じられるケースは、治療後の患者が適切な時期に適切な職場復帰ができることが望ましいとされる中で、就業者に医療を施す際の産業医判断です。就業の可否を求められる臨床医と職場復帰を判断する産業医の両者にとって、適切な職場復帰のアドバイスを行うための診療ガイドラインは非常に有用です。しかし、国内の公開ガイドラインでの就労措置の記載について内科系ガイドラインでは、国内では 97 ガイドライン中わずか 3 ガイドラインのみに就労措置の記載があるのみで就労措置についての考慮が依然として不十分です。

 

繰り返しになりますが、労働安全衛生法では、すべての事業者に健康診断の実施と、その結果に基づき、 有所見者に対して必要な措置について医師の意見を聴かなければならないと規定されています。この義務規定は50人未満の産業医選任義務のない小規模事業場にも適用されており、地域産業保健センター事業の活用を図ることが望ましいとされているが、現在の予算・マンパワーではすべての実施は困難で、事後措置の実施率は約 1/3 に留まっているようです。

 

なお企業外労働衛生機関としては、産業医契約のない小規模事業場の労働者の判定を行うためには、1)ある程度職場の状況が把握でき、2)労働者本人との面談ができることが必要で、3)面談に必要なマンパワーの確保と適正な収入が得られる必要があります。しかし、判定方法や基準も曖昧なため、医師の産業医経験・技量によるところが大きく、判定するスキルを持った医師が不足している、また、そもそも事業者側に就業判定の必要性について周知がされておらずニーズがないという課題が残されています。

 

 

まとめ

適切な事後措置が実施されるためには、

①適切な手順、

②就業と健康状態の関係に関するエビデンスの利用、

③事業場や労働者の実情にあった運用、

④適切な対応ができる医師(産業医)等の確保、

⑤ 事後措置の重要性に対する事業者の理解

 

が不可欠です。

 

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茨城の天才(その2)

 

村田夏帆さんの演奏を見た海外の反応です。これほどまでの讃辞の嵐を、私はかつて見たことはありません。コメントの内容からすると、かなりレベルの高い方々が注目していることがうかがわれます。コメントの中で、彼女と比較されているクロエ・チュアの音源も添付しておきました。比較してお楽しみください。

 

村田夏帆

 

CMIM 2019 - Mini Concerti - Natsuho Murata - Vivaldi : "L'inverno"

 

 

 

クロエ・チュア

 

(7) CHLOE CHUA / Menuhin Competition 2018, Closing Gala - YouTube

 

 

 

引用元:動画のコメント
●comment 何歳なんだろうか?
●comment この演奏をした時は12歳になったばかり。
●comment 彼女にストラディバリウスを与えるんだ。
●commentしかもフルサイズのバイオリンですらないなんて。
●comment 彼女とクロエ・チュア(※シンガポールのバイオリニスト)は若いバイオリニストの双璧だな。
●comment 来年、ちゃんと楽器を押さえられるくらい成長したらどうなってしまうんだ。
●comment 集中力と楽器の扱いがとんでもないな。
●comment クロエ・チュアと共演してほしいな。きっと素晴らしいコンサートになるぞ。
●comment もうバイオリンやめる。
●comment この子ならクロエ・チュアとデュエットできるはず。
●comment あまりに小さくてヴィオラに持たれてるみたいだ。
●comment 小さな体に成熟した魂が宿っている。
●comment 素晴らしい。
●comment 凄い!ブラボー!
●comment ビバルディの演奏は簡単とは程遠い。この小さな少女の音楽の質はとてつもなく高いぞ。彼女がその才能を完全に発揮できるようになったらどうなるんだろうか…
●comment 魅了された。
●comment これは凄い。仰天したよ。
●comment 素敵な少女だね。
●comment 第2楽章がとにかく素晴らしかった。
音符をカットしてメロディを奏でるよりも語り掛けるようにしている。
(5:12から5:22を聞いてみてくれ)
ダイナミックさと彩りが追加されてるよ。
知ってる限りだとこのスタイルは当時流行っていたとか。
素晴らしい結果として表れてるね。
ヴィバルディは外で雨が降っている時に暖炉の近くで楽譜を書いていたという。
自分は子供のころからこの曲は雪道で馬が引くそりのことを思い出してた。
15~20年後、この子がもっといい楽器で演奏する時まで生きていられると良いんだけど。
●comment 単純に凄い!
●comment この年齢で。言葉も出ない。
●comment これだけ独創的な音楽の感覚はお母さんのおなかの中にいた時から基礎が作られたからだと思う。毎日何時間も音楽を聞いていただろうし。
●comment 正直言って最初に彼女が出てきた時は大したことないと思ってた。
でもごめん、自分が間違ってたよ。
●comment 彼女は天才だね。
●comment 彼女に注目しようと思う。
●comment 4:20、ゆっくりした楽章の開始に完璧なテンポだった。
素晴らしいラルゴだったよ。
●comment 彼女に先生は必要ないな。既にマスターしてる。
彼女が15歳になったら自分たちが教わる側だ。
●comment 滅茶苦茶良かった。
●comment天使か。
●comment本当に凄い。ほとんど完璧だった。
●comment 本当に凄い少女だ。彼女の演奏は良いね。
●comment良い演奏だった。耳に心地よかったよ。
●comment フレージングが良いね。
バイオリンを弾きすぎて成長期に顎の成長が妨げられないと良いんだけど。
刺激的な演奏だった。
●comment 今も聞いてるよ。バイオリンを始めたところだから尚更良いと思える。
●comment ブラボー、ブラボー、小さな天才だね。
●comment 彼女は凄いな。何度も聞いてるよ。本当に素晴らしい演奏だ。もっと聞いてみたい。
●comment この若きバイオリニストは凄いなんてもんじゃないね。
村田夏帆、名前を覚えておこう。
●comment 楽器よりも小さい感じなのに!素晴らしい演奏だね。
彼女がバイオリンのキャリアを制するのは間違いないと思う。
●comment 本当に凄い才能を持った天使だね。
●comment これは試合になるんだろうか?彼女はステージに立っただけで1位になりそうだ。凄い才能だよ。しかもまだ11歳だという。
●comment 10:06あたりのボウ・グリップを見てほしい。あんなの初めて見たぞ。
音は素晴らしかったけどちょっとバイオリンが大きすぎる気もする。
演奏にかなりの体力を使ってると思う。でも音は本当に素晴らしいね。
●comment 彼女とバイオリンの大きさの違いなのか、自分のまだ知らないバロックの技法なのか、どちらかだと思う。
●comment 完璧だった。言うべきことは何もない。
●comment 優雅だし凄い演奏だ。既に成熟している。
●comment 彼女の演奏は本当に神だ!
●comment 畏敬の念を抱くよ。驚くべき小さな天才だ。
●comment ビバルディはなんか退屈でずっと嫌いだった。でもそれもこの子の演奏を聞くまでの話。凄い!
●comment凄い才能だね。指揮者のチョー=リャン・リン(※台湾のバイオリニスト)も子供のころから神童と呼ばれていたよ。
●comment 本当に信じられない。信じられない少女だ。
●comment 素晴らしいくらい音楽に没頭しているね。この子が楽団をリードしてる。
●comment 彼女の骨格が更に成長したらバイオリンを完全に操れるようになるだろうな。素晴らしかった。
●comment 実に美しい演奏だった!
●comment 凄いな。技術も芸術性も素晴らしかった。彼女はものが違うね。
●comment 5:25あたりの演奏が良かった。この曲にぴったりの即興的な音色を出してる。他のバイオリニストがこういう演奏をするのは聞いたことがない。
●comment ビバルディの冬は数えきれないくらい聞いてきたけどこんなオープニングは初めて聞いた!凄く華やかだね。
●comment 彼女が難易度の高い協奏曲を見せつけようとしないでバロックを演奏してるのが良かった。結果、よりコントロールできるようになって素晴らしい演奏になってる。
●comment アレグロノンモルトの64分音符が凄く難しいと思ってるんだけど、これは自分が下手だからなのか。
●comment いやいや、そうじゃなくて村田夏帆は技術的に印象的な曲を選べたと思うけどそうしないで自分にコントロールできる曲を選んだのだろうと言いたいだけ。
●comment 村田夏帆は以前にメンデルスゾーンのバイオリン協奏曲やモーツァルトのバイオリン協奏曲3番を演奏してるよ。(この数か月後にはモスクワでチャイコフスキーのバイオリン協奏曲第3楽章も演奏してる)ビバルディを選んだのは2020年のユーディ・メニューイン国際コンクールの予行と考えてのことだと思う。とは言えビバルディの冬はかなり難易度のある曲だけどね。音符だけじゃなくてイントネーション、フレ―ジング、表現力、ダイナミクスなど繊細な部分が曲のイントネーションを引き出すことになる。村田夏帆はそれを上手くこなしてファンが体験した魔法を生み出したと思う。

 

前回はこちら

 

<準備原稿を掲載したため、差し替えました>


聖楽院主宰 テノール 

飯嶋正広

 

チャイコフスキーの歌曲 

отчего?...(何故?)について
 

最高音はAなので、高声用(ソプラノ・テノール)向けの曲ですが、無理のない曲であるようです。ただし、テノールであっても深みのあるバリトンの音色を活かしたいところです。

 

歌詞の反復が多いためビギナーにとっても馴染み易いように感じられます。しかし、実際には、テンポや音量のダイナミックな展開があるため、単純にはいきそうもありません。詩や曲想については歌い手の解釈力が要求されていて、尽きることのない探求の余地が残されています。つまり、その分だけ表現には工夫が求められることになるでしょう。

 

ハイネの詩集「抒情小曲集」の中にある詩を、ロシアの詩人レフ・メイが訳したものに若きチャイコフスキーが大変魅力的なメロディーを付けています。この詩集は、多くの一流の作曲家に愛されている模様であり、シューマンの代表作である歌曲集「詩人の恋」の歌詞となっている詩も収められています。

 

この歌曲は「Отчего?(何故に?)」という問いを8回も繰り返していきます。

 

起・承・転・結の4連構成をとっています。

 

<起>淡々とした歌い出しではじまるのですが、<承>徐々に感情が昂ぶっていき、歌も伴奏もともにアッチェランドし、音量も激しさを増していき、<転>すると、いつしか去ってしまった恋人への呼びかけの絶叫となります。

 

しかし、<結>メロディは完結することなく、徐々に消え入るかのように終わります。

そのあとに最初の淡々としたメロディが後奏に戻ってくるあたりまで、とても芸術的な構成であり、チャイコフスキーらしいロシア情緒あふれるメロディーとしての余韻が感じられます。
 

なぜ、岸本先生が私のために、この曲を課題曲として選んでくださったのか?それを考えることを含めて「Отчего?(何故に?)」

 

なのかも知れません。

 

ガリーナ・ヴィシネフスカヤとアンナ・ネトレプカが歌うのを聴き比べてみることにします。

 

ガリーナ・ヴィシネフスカヤ

 

チャイコフスキー「なぜ?」ヴィシネフスカヤ - YouTube

 

 

アンナ・ネトレプカ

 

Анна Нетребко - Чайковский. Отчего. - YouTube

 

 

歌詞訳

 

 

<起>

どうして春なのに蒼ざめてるの
華やかな姿のバラの花は?
どうして緑の草の下で
青いスミレは黙っているの?

 

<承>

どうしてそんなに悲しげな声で
歌う鳥は、大空へと飛立つの?
どうして野原は覆われるの
死装束のような涙の露に

 

<転>

どうして空の太陽は朝から
冬のように冷たく、暗いの
どうして大地は湿って
墓場のように陰鬱なの

 

<結>

どうしてぼくはどんどん悲しくなって
毎日元気をなくしていくの
どうして、おお、教えて
去ってしまったとたんにぼくを忘れたの



<はじめに>

 

前回は「痔」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「二間」は手の人差し指の親指側を指先から手首側に滑らせて指が止まるところにあり、

 

 

「大敦」は足の親指の爪の生え際で人差し指側にあり、

 

 

「孔最」は手のひら側の肘のしわの親指側と手首をむすんだ線から指4本分手首側にあるというお話でした。

 

 

今回は「頻尿」に効果のある「中封(ちゅうほう)」「公孫(こうそん)」「湧泉(ゆうせん)」のツボを紹介しましょう。

 

 

<中封>

Pasted Graphic

 

内くるぶしの前のくぼみにあります。

 

 

<公孫>

Pasted Graphic 1

 

足の親指から内くるぶしに向かって指を滑らせて指の止まるくぼみにあります。

 

 

<湧泉>

Pasted Graphic 2

 

足の裏で踵から指を滑らせて指の止まるくぼみにあります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

前回はこちら

 

 

タル―という男の人間像もまだよくつかめない段階で、そうした彼が、さらに奇妙な老人に興味をもって仔細を描写するという展開になります。原文を読んでみると、得も言われぬミステリアスな雰囲気を味わうことができるのですが、訳出は容易ではありませんでした。例の如く、宮崎峯雄訳と照らし合わせてみましたが、それでもなおわかりにくい場面の一つです。

 

Tarrou semblait ensuite avoir été favorablement impressionné par une scène qui se deroulait souvent au balcon qui faisait face a sa fenêtre. Sa chambre donnait en effet sur une petite rue transversal où des chats dormaient à l’ombre des murs. Mais tous les jours, après déjeuner, aux heures où la ville tout entière somnolait dans la chaleur, un petit vieux apparaissait sur un balcon, de l’auter côté de la rue. Les cheveux blancs et bien peignés, droit et sévère dans ses vêtements de coupe militaire, il appelait les chats d’un « Minet, minet», à la fois distant et doux. Les chats levaient leurs yeux pâles de sommeil, sans encore se deranger. L’autre déchirait des petits bouts de papier au-dessus de la rue et les bêtes, attirées par cette pluie de papillons blancs, avançaient au milieu de la chaussée, tendant une patte hésitante vers les derniers morceaux de papier. Le petit vieux crachait alors sur les chats avec force et précision. Si l’un des crachats atteignait son but, il riait.

 

するとタルーは、自室の窓と向かい合ったバルコニーでよく繰り広げられる光景に好感を持ったようだ。彼の部屋からは、小さな横丁が見渡せ、家々の壁がなす日陰で猫たちが眠っていた(註1)。しかし、毎日、昼食の後、街中が暑さでうとうとする時間帯になると、通りの反対側のバルコニーに小柄な老人が姿を見せるのであった。白髪で、その髪は丁寧になでつけられていて、謹厳実直なミリタリー調の出で立ちのその老人(註2)は、距離を保ちつつも優しげに猫たちに「ミャゥ、ミャゥ」と呼びかける(註3)のである。猫たちは、青白い眠たそうな目で見上げるばかりで、依然として立ち上がらない(註4)。一方で老人が路上へ向けて小さな紙切れを引き千切り(註5)、その白い蝶のような紙吹雪に(註6)気を引かれた猫たちは、最後の紙吹雪(註7)に向かってためらいがちに前脚を伸ばして道路の真ん中に繰り出す。そこで、小柄な老人は、勢いよく、正確に狙いを定めて猫たちに向けて唾を飛ばす。その唾が一発でも命中すると、彼は笑い声をたてるのであった。

 

(註1)猫たちが眠っていた<des chats dormaient>

宮崎訳:猫が眠っていた。

猫は複数形なのですが、宮崎訳では単に「猫」としています。文脈からは、猫が群れているように想像されるので、そのように訳してみました。

 

(註2)白髪で、その髪は丁寧になでつけられていて、謹厳実直なミリタリー調の出で立ちのその老人<Les cheveux blancs et bien peignés, droit et sévère dans ses vêtements de coupe militaire.>

宮崎訳:白髪を綺麗になでつけ、軍服仕立ての服をきちんといかめしく着込んだ老人

宮崎訳は良くこなれていると思います。

私には、年をとっても高円寺の古着屋に出入りしているような、自分の外見にこだわりをもっているような人物が想起されます。

 

(註3)距離を保ちつつも優しげに猫たちに「ミャゥ、ミャゥ」と呼びかける

<il appelait les chats d’un « Minet, minet»>

宮崎訳:「ニャオ、ニャオ」と、よそよそしいと同時にまた優しい呼び声で猫を呼ぶ

« Minet, minet»というのは、実際にどのような発音なのかは定かではありません。猫の鳴き声を真似たものであろうと思われますが、子音ぐらいは言語のMに合わせたオノマトペとしたいと考えました。

 

(註4)猫たちは、青白い眠たそうな目で見上げるばかりで、依然として立ち上がらない<Les chats levaient leurs yeux pâles de sommeil, sans encore se deranger.>

宮崎訳:猫はぼんやり眠そうな眼をあげるが、まだ体は動かそうとしない。繰り返しになりますが、登場する猫は一匹ではありません。levaient leurs yeuxというのは、見上げる、という意味です。

老人が階上のバルコニーに居て、猫たちが階下の建物の壁の日陰にいて、その老人は猫たちを直接見えない可能性があるのですが、対則の建物の窓から眺めているタル―はその両方の様子を観察している構図であると解釈して訳出しました。

 

(註5)路上へ向けて小さな紙切れを引き千切り<L’autre déchirait des petits bouts de papier au-dessus de la rue>

宮崎訳:小さな紙きれを通りの上で千切ってみせると、

⇒宮崎訳では、猫たちと老人の位置関係が平面的であり、千切った紙切れが蝶のように舞い落ちるイメージではないようです。

 

(註6)その白い蝶々のような紙吹雪に<cette pluie de papillons blancs>

宮崎訳:この白い蝶々の雨に

⇒直訳すれば、この通りですが、白い蝶々と雨がどのように結びつくのかがイメージしづらいと感じました。路上に白い蝶々のような紙きれが落ちていて、それは雨が降った後の路上のようであった、という静的かつ平面的解釈であれば、宮崎訳で良いと思います。これに対して私は、動的かる立体的に解釈しました。つまり、老人がバルコニーから下の路上に紙切れを散らすとなれば、それは紙吹雪のようでもあり、蝶々が舞い降りる様でもあるからです。

 

(註7)最後の紙吹雪<les derniers morceaux de papier>

宮崎訳:最後の紙片

⇒わたしは、印欧諸語の翻訳に当っては、可能な限り単数・複数の違いや集合名詞など集団の性質を表す表現などを可能な限り訳し分けておきたいと考えています。

<les derniers morceaux>これも複数形ですから、最後の一切れの紙片ではなく、何枚かまとまった一段の紙切れであることが読者に伝わるように訳しておきたいと考えました。

 

前回はこちら

 


認定内科医、心療内科指導医・専門医、アレルギー専門医、リウマチ専門医、認定痛風医

 

飯嶋正広

 

専門医でも迷うリウマチ関連疾患の診断(その4)

 

たかが参考検査項目、されど血清フェリチンの測定

 

スティル病の診断をする上で欠かせない大切なポイントは、他のリウマチ性疾患や感染、悪性腫瘍がないことを確認することです。このためには様々な検査と専門医の診察が必要となります。

 

しかし、成人スティル病だけにみられる検査(診断に特異的な検査)はないため、専門医であっても診断は容易ではないことがあります。

 

一般的には全身の関節炎がみられるにも関わらずリウマトイド因子、抗核抗体が陰性であることは、他の膠原病とは異なる特徴を示します。非特異的な所見としては白血球増多、炎症反応高値、肝機能障害、血清フェリチン値の上昇などがみられることが多いとされます。ただし、そのなかでも血清フェリチン値の上昇が顕著であることから、スティル病の診断基準(山口基準)の参考項目とされています。

 

この相談者の方に、成人スティル病の可能性があることを示唆したところ、総合病院のアレルギー感染症科にて、血清フェリチンとともにプロカルシトニン(PCT)や可溶性IL-2受容体の検査を受けたとの報告がありました。

 

おそらく、その担当医は、感染症や非ホジキンリンパ腫、成人T細胞性白血病/リンパ腫 (ATL)などの悪性疾患の可能性を否定できず、同時に感染症や敗血症の見落としを避けるために慎重な検査方針を立てたのだと想像します。

 

プロカルシトニン(PCT)は重度の炎症、感染症、敗血症のバイオマーカーであり、濃度が高いほど、全身性の感染症と敗血症の可能性が大きくなります。

 

またヒト可溶性IL-2受容体は、免疫防御機構の活性化に伴い血中濃度が上昇することが報告されています。そして非ホジキンリンパ腫又は成人T細胞性白血病/リンパ腫 (ATL)ではしばしば血中sIL-2R濃度が高値を示し病態を反映することから、治療効果の判定や寛解又は悪化の推定、再発の予測に有効とされています。
 

後日確認したところによると、ヒト可溶性IL-2受容体検査の結果から、リンパ系の悪性疾患は否定的である一方、血清フェリチン値はかなりの高値(具体的なデータは不明)であったため、成人スティル病という診断に落ち着いた、とのことでした。

 

<完>

 

前回はこちら

 


水氣道実践の五原理・・・集団性の原理(結論)その4

 

(教学不岐・環境創造の原則)

 

 

水氣道の指導員(プロフェッショナル)とは水氣道家の入門者である

 

将棋の例にとどまらず、戦前のわが国において、武道の振興、教育、顕彰を目的として活動していた財団法人である大日本武徳会にも、自己超越を志向する顕彰活動がなされていました。武徳会は、段級位とは別に武術家を表彰する「精錬証」を発行していました。

 

明治35年(1902年)、教士・範士の2つからなる称号を制定し、柔道・剣道・弓道に導入しました。1934年(昭和9年)、精錬証を廃し、新たに「錬士」を制定し、錬士・教士・範士の3称号が確立しました。

 

水氣道においても、「教習不岐」の原則および環境創造の原則に基づく集団性の原理に則り、錬士・教士・範士の3称号を整備しています。水氣道においては、これらの3称号と段位を結び付けていることに特徴があります。

 

水氣道では四段以上が、いわゆる職業水氣道家(プロフェッショナル)ですが、水氣道指導員階級である四段、五段および六段は、それぞれ、錬士、教士および範士という称号を伴うものとしています。
 

以上のような構想を持っていますが、現在のところ目標達成には至っておりません。2000年の水氣道発足以来、22年目を迎えましたが、将来に向けての重要な課題です。

この間、必ずしも平坦な道のりではなく、幾多の試練に遭遇してきましたが、それらの一つ一つを当時の参加者と共に克服していくことによって、より完成度の高い組織構築が可能となり、新たな技法を創出することができました。
 

最近では、新型コロナパンデミックの影響が大きかったのですが、水氣道は予測通り、この危機的な時期を見事に乗り越えることができました。なぜ、単なる希望的観測ではなく、予測まですることができたか、ということについてコメントしておきましょう。

 

その理由は、水氣道は、そもそも「防災訓練」の要素を包含していたからです。遅かれ早かれ今回のような状況に見舞われる時期が訪れることを想定した上でのエクササイズであったからです。

 

水氣道は、感染症の蔓延時であっても、一般の陸上でのエクササイズより安全に集団訓練を継続できるように設計されている、と言っても良いでしょう。

しかし、実際には、施設側の方針により少なからざる影響を受けたことは事実です。それでも、稽古中止の期間は限定的であったことは幸いでした。

 

この間、杉並区内での稽古場は、上井草会場(人数制限:8人⇒10人に緩和)のみ継続し、隣接市区での施設に助けられました。中野区鷺宮会場(人数制限8人⇒10人⇒制限解除)、新宿区ハイジア会場(制限なし)、三鷹市スバル会場(人数制限10人⇒12人⇒制限解除)です。当初は厳格な人数制限がありましたが、徐々に緩和されてきました。


水氣道発祥の稽古場は最寄りの杉十温水プールですが、現在工事中とのことで完了予定が延長されています。人数制限や使用規則が他の施設より厳格で、かつ団体使用料金が格段に高額であるため、使用できないまま経過していました。1レーンでの人数制限は8人のまま維持されているようですが、従来通りの水曜日、もしくは木曜日の復活を図ることができれば幸いです。
 

核施設の管理関係者も、今回の新型コロナ禍での様々な工夫と努力の積み重ねを経験して、温水プール施設が感染拡大期にあっても安全に継続できることを認識されたのではないかと思われます。