国内地域医療診療所から国際標準クリニックへの変革に向けて③

 

本日は、平成の時代と共に歩んできた高円寺南診療所30年の歴史を閉じる記念日です。

明日から始まる令和の時代は、<杉並国際クリニック>と名を改めて、さらなる発展につなげていきたいと思います。

平成の時代からの<高円寺南診療所>の患者の皆様は、令和の時代から<杉並国際クリニック>の会員の皆様として再スタートしていただくことになります。

 

これまでの高円寺南診療所の診察券は杉並国際クリニック<健康会員証>になります。杉並国際クリニックに診療録(カルテ)をお持ちでなくとも水氣道会員もしくは聖楽院生の皆様には<健康・芸術クラブ会員証>を差し上げます。 

 

杉並国際クリニック<健康会員証>もしくは<健康・芸術クラブ会員証>はいずれも無料で発行いたしますが、将来は何らかの特典を付与させていただきたいと考えています。その内容については、皆様とご相談の上、少しずつ充実した内容にしていけることを願っております。 

 

これまで、高円寺南診療所にご縁のあったすべての皆様に深く感謝申し上げます。明日から始まる令和の時代を杉並国際クリニックとともに健やかに歩んでいただきたいと存じます。

 

 

<ボランティア募集> 

明日の5月1日(水)の午前中および2日(木)の午後から、杉並区内全域128か所に及ぶ無料掲示板「でんごんくん」に水氣道の広報のためのポスター貼付ラリーを始めます。

飯嶋班(担当:高円寺・和田・方南町地区)、野口班(担当:西武線沿線)、金澤班(担当:成田地区)、加藤班(担当:阿佐ヶ谷地区)など11班がスタンバイしています。

 

目下、ポスター貼付ラリー同行ボランティアを募集中です。

 

ボランティアを希望される方は、下記電話までご連絡下さい。

090-4361-5670

担当:野口

 

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、

NASH・NAFLDの診療ガイド2010、を採り上げることにしました。

 

そこで、Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場からにて、解説を加えてみます。

 

 

Q5

NAFLD/NASHはどのように診断しますか?

 

A5 

NAFLDは単なる脂肪肝(NAFL)ではなくNASHになっていてもまったく症状がないことが多いので、健康診断のときやかかりつけの先生から「脂肪肝の疑いがあります」といわれたら、一度は専門の医療機関を受診して、詳しい検査をうけていただくことをお勧めします。

 

NAFLDを正しく診断するためには、これまでの飲酒状況や体重の変化、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の有無、サプリメントを含めた普段服用しているお薬などの詳しい情報がとても重要です。さらに、血液検査や超音波・CT・MRIなどの画像検査で、肝障害を引き起こすほかの病気がないか、NASHの疑いがあるかを詳しく調べます。NASHであることをはっきりと確かめて(確定診断)、どの程度肝臓の病気が進行しているかを正確に把握するためには、肝臓の組織を調べる肝生検を受ける必要があります。肝生検を安全に行うためには、検査中だけでなく検査の後も安静にする必要があるので、通常は1~2泊の入院が必要です。

 

NAFLDあるいはNASHと診断された後も、定期的に採血や画像診断を受け手、しっかりと経過を追って対処することが大切です。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

 

よくある言い回しで、このQ&Aでもうんざりさせられる一文があります。それは<健康診断のときやかかりつけの先生から「脂肪肝の疑いがあります」といわれたら、一度は専門の医療機関を受診して、詳しい検査をうけていただくことをお勧めします。>です。

 

かかりつけの先生に「脂肪肝の疑いがあります」といわれて、専門の医療機関を受診するためには、かかりつけの先生から「診療情報提供書」を書いて貰うことになるはずです。ですから、<かかりつけの先生に「専門の医療機関を受診したいので紹介状をお願いします」とお願いすることをお勧めします。>ということになります。

 

これは、きわめてナンセンスです。膨大な人数の脂肪肝の疑いのある患者さんをすべて肝臓病専門医がいる病院へ紹介したら、受け手の病院もすぐに対応困難に陥ることは明らかだからです。

 

かかりつけの先生が「脂肪肝の疑いがあります」といった場合には、何を根拠にしているのかを、今一度考えていただきたいところです。そもそもNAFLDのうち80~90%は長い経過をみても脂肪肝のままで、病気はほとんど進行しません。これをNAFLDの病気を意味する「D(Disease)」を除いてNAFL(ナッフル)といいます。

 

<NAFLDを正しく診断するためには、これまでの飲酒状況や体重の変化、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の有無、サプリメントを含めた普段服用しているお薬などの詳しい情報がとても重要です。>その通りですが、このあたりの詳しい情報を最も良く把握しているのが、初対面の肝臓専門医ではなく、かかりつけの先生なのではないでしょうか。

 

また<血液検査や超音波・CT・MRIなどの画像検査で、肝障害を引き起こすほかの病気がないか、NASHの疑いがあるかを詳しく調べます。>とありますが、これは診断の段階的プロセスを弁えない大雑把な説明だと思います。まず、血液検査を行えないかかりつけの先生は、日本のどこにいらっしゃるのでしょうか。次に超音波検査ですが、これはかかりつけ医でも実施できるところが増えています。詳しい病歴に加えて血液検査と超音波検査が実施できれば、その段階でNASHを疑う可能性の少ないNAFLDであるのかどうかの検討がつきます。NASHのリスクが高いケースのみを肝臓病専門医に紹介するのが、常識のあるかかりつけ医だと思います。

 

杉並国際クリニックの方針としては、「脂肪肝の疑いがある」と判断した段階で、上記のような基本的診察や検査を院内ですべて行ったうえで、早期に脂肪肝の傾向を緩和するための手立てを講じることにあると思います。脂肪肝という病態を解消することができればNAFLDやNASH予防にとってとても有用だからです。仮にボーダーラインのケースであっても、たとえば3か月後、あるいは半年後の経過観察や検査の再検の結果、悪化の兆しが見られた段階で肝臓専門医に精査目的で紹介することで十分な対応が可能であると考えています。

 

4月17日(水)のお詫びについてのお詫び。

 

今回の事態は私の多数のミスが重なったことが原因です。

と書きましたが、私の怠慢と嘘の結果です。

 

連絡を怠り、連絡を怠った事について嘘の報告をした事が原因です。

 

 

1)藤村温水プールの担当者との十分なコミュニケーションと確認の欠如。

変更の連絡を受けた時、担当者の名前を聞いておらず、確認がとれていなかった。

 

2)ハイジア会場に変更としたにもかかわらず、運営事務局メンバーから再三の指示があったにもかかわらずHPでの更新を怠ったこと。

迅速な対応を取らなかった怠慢です。

 

3)会員の一人一人に確実に連絡するように院長、運営事務局メンバーから再三の指示があったのにもかかわらず、初動が遅れたこと。

初動が、遅れただけでなく、連絡を怠り、それを報告しなかった事。

電話をしなかったにもかかわらず、電話したと嘘の報告をしました。

 

4)その後、来院した水氣道会員に、変更前の予定表を渡そうとし、事務長から指摘をうけて、ようやく気づいたこと。

 

5)変更の連絡が取れなかった皆様に、何らかの別の手段でお知らせする工夫と努力を怠ったこと。

再三確認していただいているのに、大丈夫と言い張り、隠した事。

 

6)連絡者の一覧を作成して、連絡済の方、未連絡の方についての報告を、院長に求められていたにもかかわらず、いずれも怠っていたこと。

 

7)変更すべきHPの変更がなされていないことを、事務長に指摘され、本日になって事後的に変更したこと。

 

8)最終的には、私が藤村会場に待機して、お詫びするべきであったにもかかわらず、当たり前のようにハイジアへ向かってしまったこと。

 

9)このお詫び文の作成も、院長の指示があるまで、思いつかないでいたこと

 

10)他にも、情報不足で藤村会場へ行ってしまわれた方がいらしたのにも関わらず、院長への報告をおこたっていたこと。

嘘に嘘を重ねてしまいました。

 

以上の十か条の一つ一つを深く反省し、これを私自身の十戒とし、私の嘘と怠慢によって皆様にご迷惑をかけることが二度と無いよう、深く反省して精進してまいります。

 

二度とこのようなことを起こさぬよう肝に銘じてまいります。

 

大変申し訳ありませんでした。

 

平成31年4月29日(月) 野口将成

 

今月は、内部からでさえ、もはや絶滅危惧種と叫ばれつつある心療内科が如何に誤解されているか、混乱させられているか、という深刻問題点について考えてみたいと思います。すでに世間に広く広報されている具体的な声を題材にしました。

 

第4回:心療内科の今後と課題

 

わが国の心療内科の発展を図ります。

出典:日本心療内科学会HP

九州大学総長(元、九州大学医学部心療内科教授)久保千春

 

現代の日本社会は、政治経済社会の不安定、国際化、情報化、対人関係の厳しさ、少子高齢化、などにより、ストレスがますます増加しています。平成23年3月11日の東日本大震災および福島原発の放射能問題が大きな影響を及ぼしています。

 

医療については、現在、日本で増加している病気として、1)糖尿病、冠動脈疾患、がん、高血圧、脳卒中、肥満などの生活習慣病、2)動脈硬化、肺気腫、気管支炎などの老人病、3)うつ病、不安障害、適応障害、心身症等のストレス病があげられます。

 

現代医療の課題とニーズとしては、次のようなものがあります。

1)長寿社会であるがQOLは低い→全人的医療への期待

2)医療費の高騰→予防医療の充実

3)身体医学・西洋医学のみの限界→統合医療への期待

4)患者の意識の高まり→自分による治療法の選択

 

このような中で、心療内科の専門性は、

1)心身相関の病態を詳細に把握し、いくつかの心理療法に習熟しており、心身両面の治療ができる内科医、

2)生理・心理・社会・実存的側面からの全人的医療ができることです。

 

心療内科の発展は診療・教育・研究において進歩していくことが必要です。

 

診療では

単に典型的な心身症にとどまらず、プライマリケア、緩和ケアの分野でも積極的に行うことです。

 

また、他診療科や医療関係者との連携やチーム医療が重要です。

さらに、進歩している新しい知識と技術を取り入れると共に、新しい治療法の開発に取り組むことです。

 

教育では

全国の大学の医学教育カリキュラムに取り入れるようにすることや

若者に魅力ある教育、研修を確立し、多くの優秀な良き医療人を輩出することです。

 

研究では

1)心身相関についての生体レベルから、 組織、細胞、遺伝子レベルの研究、

2)環境(内的・外的ストレス)と生体との相互関係、

3)精神・神経・内分泌・免疫関連、

4)過敏性腸症候群、気管支喘息、糖尿病、疼痛性障害、摂食障害などの典型的な心身相関の臨床研究、

などを推進することです。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

久保先生からは、何度も励ましの言葉をいただいていて、私自身にとっても崇高な指導者のお一人です。この文書の対象は、第一義的には日本心療内科学会の会員ですが、示唆に富んだ内容であり、心療内科の現状から将来を展望する上での具体的指針ともなるべきドキュメントです。

 

 

心療内科の専門性は、

1)心身相関の病態を詳細に把握し、いくつかの心理療法に習熟しており、心身両面の治療ができる内科医、⇒いくつかの心理療法とありますが、もともと、心療内科は心理療法内科に由来しています。ただし私は心身両面の治療ができる内科医が行う心理療法は、すなわち心身医学療法であると考えています。ここでいくつかの心理療法というものの中には、新しいオリジナルな心理療法ないしは心身医学療法を開発して普及発展に努めることも含めたいと考えています。杉並国際クリニックでは、水氣道®や聖楽院の聖楽療法は、オリジナルの心身医学療法として診療の中に位置づけています。

 

2)生理・心理・社会・実存的側面からの全人的医療ができることです。

 ⇒また、こうした全人的医療の実現に向けて開発してきた心身医学療法が、水氣道®や聖楽院の聖楽療法であるといえます。

 

診療では

単に典型的な心身症にとどまらず、プライマリケア、緩和ケアの分野でも積極的に行うことです。⇒杉並国際クリニックは、典型的な心身症にとどまらず、プライマリケアを実践しますが、緩和ケアの分野を担当できる環境にはありません。

また、他診療科や医療関係者との連携やチーム医療が重要です。

 

⇒すでに院内でのチーム医療(医師・薬剤師・臨床心理士・鍼灸師・ソーシャルワーカー)の体制が確立し、地道な活動を展開しています。

 

さらに、進歩している新しい知識と技術を取り入れると共に、新しい治療法の開発に取り組むことです。⇒繰り返しになりますが、毎年、国際学会に出席して最先端の知識と技術に触れる機会を大切にし、かつ、水氣道®や聖楽院の聖楽療法という画期的な新しい治療法の開発ならびに発展のために取り組んでいます。

 

研究では、過敏性腸症候群、気管支喘息、糖尿病、疼痛性障害、摂食障害などの典型的な心身相関の臨床研究、⇒具体的疾患名が列挙されていますが、これらのう疾患は日常的に診療していますが、アレルギー内科専門医を兼ねる立場からは気管支喘息、リウマチ専門医を兼ねる立場からは疼痛性障害(線維筋痛症など)は日常診療の中から常に新しい研究課題を模索しています。

 

この他、久保先生が直接触れておられないテーマとして、杉並国際クリニックは、国際医学、外国人診療、とりわけ英語診療に力を注ぎ、心療内科の外来診療を英語で対応できるような高度な全人的医療を目指しています。

 

<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(8) ー 番外編 氣ー脾ー肺ー腎2>

<はじめに>

前回ー「氣」「脾」「肺」「腎」の働きについて復習しました。

 

 

今回は氣がどのように循環していくか説明した後に、私の体験をふまえ健康のために大切なことをお話します。

 

 

<「氣」の旅ー「脾」「肺」「腎」との関係について>

 

 

身体を「氣」というエネルギーが循環することで健康を保つ事ができると東洋医学では考えています。

 

 

「氣」が巡らないと生命活動ができなくなるからです。

 

 

それでは「氣」が全身に巡っていく過程を説明していきましょう。

 

 

(1).「脾」で飲食物を消化し「水穀の精微」という「氣」のもと(栄養素に相当)を作ります。

 

 

(2).「水穀の精微」が「肺」に運ばれます。

 

 

(3).外気である「清氣(せいき)(酸素に相当)」と「水穀の精微」が混ざって「氣」が作られます。

 

 

(4).「肺」による呼吸で全身に「氣」が巡ります。

 

 

(5).夜間に睡眠を取ることにより「腎」に「氣」が貯蔵され身体の活動を支えていきま す。

 

 

つまり、飲食物を「脾」で消化して「氣」のもと(水穀の精微)を作り

 

 

「肺」による呼吸の力で「氣」を全身にめぐらせます。

 

 

そして「腎」は「氣」を貯蔵するというわけです。

 

 

 

<健康のために大切なこと>

 

 

「食べる」「寝る」「呼吸」、活動を支えていくためにどれも大切なものです。

 

 

その中で、どれが一番大切でしょうか?

 

 

私は、「呼吸」であると考えています。

 

 

「食べる」「寝る」は1週間程度できなくても死ぬことはありません。

 

 

しかし、「呼吸」は5分もできないと死んでしまうからです。

 

 

「呼吸」によって「氣」が巡らないと「臓腑」が働けません(推動作用の障害)。

 

 

それにより、生命活動のもとである「氣」が作られなくなります。

 

 

「氣」が作られなければ体調の悪化が避けられません。

 

 

数年前、私は体調を崩し「食欲不振」「睡眠障害」になりました。

 

 

何より困ったのは、「呼吸がままならない」ことでした。

 

 

体に力が入らず、深い呼吸ができないのです。

 

 

溜め息ばかりついていました。

 

 

体は温まらず(温煦作用の障害)、手が冷えてしまい患者様に冷たい手で触れることになり迷惑をかけることもありました。

 

 

「氣」が巡らない(推動作用の障害)ので臓腑の働きが低下してしまいます。

 

 

「脾」の働きがさらに低下し飲食物の消化がままならなくなり、「氣」が作られないこと により体力が低下していきました。

 

 

「氣」が作られなくなれば「腎」に貯蔵された「氣」を消費してしまいます。

 

 

これを「腎虚(じんきょ)」といいます

 

 

さらに眠れないので「腎」に「氣」が貯蔵されることもないわけですから、

 

 

さらなる体力の低下が待っていました。

 

 

歩くのが辛くなり、何もかもが億劫になりました。

 

 

正しい姿勢を維持するのが困難で背中が丸くなってしまいました。

 

 

そうなるとさらに「呼吸」がしずらくなりました。

 

 

そこから回復するきっかけになったのは何だったのだろうかと今考えると、「深呼吸」であったと思います。(水氣道では金澤さんの理氣航法で習得できます)

 

 

胸部をのばすストレッチをして丸まった胸を開き、できる範囲で深呼吸を試みました。

 

 

ほんの少しだけですが、気持ちと体が楽になった感覚がありました。

 

 

(水氣道では姿勢が改善し呼吸が改善することによって動作や意識が改善します)

 

 

毎日少しずつ繰り返していきました。

 

 

少しずつ深い呼吸ができるようになるにつれ、体調が回復していったように思います。

 

 

薬の服用だけで体調が回復することは困難だったでしょう。

 

 

呼吸によって「氣」が巡らないと「血液」も巡らない(推動作用の低下)ので薬がきちんと運ばれないわけですから。

 

 

今は、暇を見ては「深呼吸」をするようにしています。

 

 

「呼吸」が健康の第一歩なのだと実感しています。

 

 

「呼吸」できることの喜びを日々感じて生きていきたいと思っています。

 

 

 

<まとめ>

 

 

「呼吸」「睡眠」「食事」は生きていくために大切なものです。

 

 

その中でも「呼吸」がいちばん大切です。

 

 

深呼吸」で「氣」を巡らせ健康を維持していきたいものです。

 

 

「呼吸」ができる喜びを噛み締めて生きていきたいものですね。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

糖尿病はもはや国民病です。糖尿病専門医だけに任せておけばよい病気ではありません。

薬物療法の発展は目覚ましいのですが、食事療法、運動療法、生活習慣編世用のための行動療法を駆使して治療に当たるのでなければ、コントロールに至ることは難しいです。

 

糖尿病は動脈硬化性疾患とならんで臨床栄養学の中では中心的な病態です。私は、糖尿病専門医ではありませんが、生活習慣指導、食事療法、運動療法、認知行動療法など集学的な診療体制を構築して、口頭のみではなく実際に体験していただく経験を積み重ねてきました。

薬の処方ばかりに終始しているタイプの糖尿病専門医よりは、糖尿病の外来診療について深くかかわり、実践してきたという自負があります。

 

私は、昭和学院短期大学のヘルスケア栄養学科で、臨床栄養学を担当していたことがありますが、「臨床栄養学」の教科書を2冊出版して、改訂を重ねています。どうぞご参考になさってください。

 

 

日本糖尿病学会ホームページから

 

「糖尿病診療ガイドライン2016 糖尿病診断の指針 4 運動療法」では、運動療法について、とても有益な5つのQ&Aが掲載されています。

 

これを抜粋して紹介したあとに【杉並国際クリニックの実地臨床からの視点】でコメントを加えてみました。

 

 

Q4-4 

有酸素運動、レジスタンス運動とは何か?

 

 

【要点】

有酸素運動とは、十分に供給された酸素と、基質である糖質や脂質を反応させて再合成されたアデノシン3リン酸(ATP)をエネルギー源として用い、持続的、律動的かつ反復的に主要な骨格筋を10分間以上動かす運動をいいます。

 

有酸素運動は、心肺機能を高める効果があります。

 

レジスタンス運動は、骨格筋に負荷を与える運動であり、筋機能(筋力と筋持久力)を高める目的で行います。

 

 

【 杉並国際クリニックの実地臨床からの視点 】

 

2型糖尿病の患者さんの血糖コントロールに対する有効性は、有酸素運動とレジスタンス(抵抗)運動のいずれにも認められています。しかも、両者の併用効果も明らかにされています。

 

一般に有酸素運動には、ウォ―キング、ジョギング、サイクリングなどが含まれ、心肺機能を高める効果があります。そして、心肺機能は最大酸素摂取量で評価することができます。水氣道®も有酸素運動として水中でウォ―キング、ジョギングを行うほかサイクリングと同様の運動を行などがプログラムされています。

 

そして、陸上とは異なり水圧に抗しての呼吸や運動を行うことになるので、最大酸素摂取量はより大きくなり、心肺機能の向上をさらに高めることができます。有酸素運動は糖代謝を改善させるのは、インスリン抵抗性が改善することによります。

 

そのメカニズムは、内臓脂肪や体重の減少による全身的な代謝改善効果に加えて、遺伝子発現の変化に伴う運動に対する骨格筋の適応により、細胞内のシグナル(信号)を変化させることによります。簡単に言えば、有酸素運動の習慣をもつことによって遺伝子レベルからの確実な体質改善が期待できるということになります。水氣道®もこうした根本的な体質改善を目標にしています。

 

一方でレジスタンス運動は、自体重、チューブ、ダンベルやマシンなどを用いて行う抵抗運動で、筋機能を高める働きがあります。レジスタンス運動の効果は、骨格筋を増やすことによって体組成の変化をもたらし、その結果、インスリン抵抗性が改善します。

 

筋量を増やすには、無酸素運動を取り入れた中~高強度の運動が必要とされてきましたが、比較的低強度のレジスタンス運動においても反復運動を繰り返すことで、筋の持久力を高め、有酸素運動と同様に遺伝子発現の変化を伴う適応が生じ、糖代謝を改善する可能性が高まります。

 

水氣道®は水中運動であるため、運動に際して持続的に水の抵抗を受けます。水氣道®は有酸素運動であると同時にレジスタンス運動でもあります。水中の運動は、自覚される以上に強度が高いのですが、そのほかに水氣道®は比較的低強度のレジスタンス運動において反復運動を繰り返すため、筋量増加のための運動条件をすべて網羅しているといえます。

 

なお運動に伴って、様々なホルモンの分泌が変化します。健康な人では、血糖降下性に働くインスリンは運動時に低下し、血糖上昇性に働くグルカゴンやカテコーラミン、コルチゾールは増加します。

これに対して2型糖尿病の患者さんが中等度の強度の運動を行った場合、インスリンの低下は起こりにくいため肝臓での糖生産性は増加しにくいことに加え、骨格筋での糖利用は増加するので、運動により血糖値を下げることができます。

国内地域医療診療所から国際標準クリニックへの変革に向けて②

 

杉並国際クリニック開設に向けて、医療機関として最も大切な強化項目として、第一に医療安全を挙げたいと思います。

 

最近の日本医学会およびその専門分科会が主催する学会プログラムには、必ず医療安全・医療事故・医療法制・医療倫理に関する教育研修会・講演会が準備されています。

 

専門医は高度な医療の担い手であるため、必然的にリスクの大きな専門業務に携わることになるため、専門医資格更新のためには、この領域での研修が必須となっています。

 

概ね退屈な内容なのですが、これまでとは違って、抜群に優れた講演を聴くことができました。リウマチ学会が主催するレクチャーなので、リウマチの臨床を題材にしたものですが、その内容は、日常臨床のあらゆる領域で役立つ内容であることに感服しました。

 

講師の門野先生は1995年に東大医学部卒業後、1999年に東大大学院医学系研究科に進学され、途中、米国ペンシルバニア大学医学部への留学を経て、2006年に医学博士号取得をされた方です。埼玉医科大学の整形外科教授に就任して、大学病院全体のリスクマネジメントの管理者として指名されたとのことで、必ずしもご自分が進んで入りこんだ領域ではなさそうでした。

 

同じような経歴の方でも、話の上手な方と、そうでない方がいます。しかし、頭の良い人の話は、ややもすれば地味で退屈しそうな話題の中にも、キラリと輝くような宝物を掘り当ててくれます。話の展開もとてもすっきりしていてストレスが溜まらず、どんどん話に引き込まれていきます。私は、地頭が悪いせいか、とても彼のようにはいかないので、きっとまわりの人をイライラさせていることでしょう。それでも物事の必要性に気が付けば、<逃げず、避けず、胡麻化さず>取り組むべきことには、好むと好まずとを問わず、きちんと取り組んできたことだけは誇りにしたいと思います。

 

今後も、<日々精進あるのみ、継続は力なり>の<努力より工夫を>の精神で参りたいと思います。

 

 

医療機関の安全性の向上・リスクマネジメントの基本は、従業員に対する徹底した教育にあるようです。しかし、それにはいろいろな工夫と仕掛けが必要になってきます。

 

今後の<Mr.NoGucciの懺悔>のための格好の材料も満載されていました。

 

 

日本リウマチ学会2019アニュアルコースレクチャー

 

4月14日(日)

14:15~15:15am

 

ACL6:

医療安全という観点からみた関節リウマチ治療~何に気をつけるか?~

    

演者:門野多峰(埼玉医科大学整形外科)

 

 

医療安全管理

安全な医療提供のための条件:

1)リスクマネジメント

リスクとベネフィットのバランス

 

例1)リウマチ治療薬は感染症のリスクが伴う

 

例2)リウマチ患者の悪性新生物発生率は低いが、悪性リンパ腫は例外

 

 

有害事象の予防策

例1)腎機能障害があればメトトレキサートの投与量を減らす

例2)免疫抑制をかけている場合は肺炎球菌ワクチン接種を促す

 

 

有害事象の早期治療開始

2)セイフティマネジメント

ヒューマンエラー(標準的行為からの逸脱行為):教育が重要!

ヒューマンエラーのタイプ分類

 

1)知識不足・スキル不足の防止

 

2)意図的な不遵守の防止

①守るべきことを明確にする

②守れるだけの技能を身につけさせる

③守れる環境を整える

④守る必要性・理由を納得させる

⑤監督者等によるパトロール・監督と指導を徹底させる

 

 

対策の基本パターン

エラープルーフ化:

 

目的)人的エラーに起因する問題を防ぐ

 

内容)作業を構成する人以外の要素(薬剤、機器、文書、手順等)の「作業方法」を改善すること

 

原理)

①排除(Elimination)

②代替化(Replacement)

③容易化(Facilitation)

④異常検出(Detection)

⑤影響緩和(Mitigation)

 

 

有害事象の予防対策

コミュニケーションエラーは最大のリスクとなりうる

 

①誤伝達⇒口頭指示を受けて複唱

②誤解釈⇒勘違いを減らすために、普段から思い込みやこだわりを減らす

③確認・注意不足⇒後で実施しようとして忘れることがあるため、備忘システムを構築する:確認・注意のコミュニケーション(情報の共有・意識の共有・スキルの向上・システムによる指摘)

④伝達の欠如⇒

⑤リスクコミュニケーション⇒一方向性でなく双方向性のコミュニケーションに

 

 

チーム活動

ステップ1:改善の機会をみつける

ステップ2:対策案を作成する

ステップ3:対策案を評価・選定する

 

 

エラーがあったときの早期発見・早期対策

患者とのコミュニケーション

知識格差があるので歩み寄るコミュニケーションスキルを

 

1)Teach-back Technic:患者さんに理解した内容を話してもらう

守るべきこと、なすべきことのみでなく、その理由も答えてもらう

 

2)質問することを奨励する雰囲気を形成する

 

 

 

<ボランティア募集>

5月1日(水)の午前中および2日(木)の午後から、杉並区内全域に約100か所に及ぶ無料掲示板「でんごんくん」に水氣道の広報のためのポスター貼付ラリーを始めます。

飯嶋班(担当:高円寺・和田・方南町地区)、野口班(担当:西武線沿線)、金澤班(担当:成田地区)、加藤班(担当:阿佐ヶ谷地区)などがスタンバイしています。

 

目下、ポスター貼付ラリー同行ボランティアを募集中です。

不整脈の治療法は、近年大きく変化しています。不整脈の種類によっては植込み式除細動器(ICD)や高周波カテーテルアブレーションなどの非薬物療法の有効性が薬物療法を上回ることが示されています。そうして、不整脈の薬物療法は、自覚症状の軽減や非薬物療法を補完する役割が主となってきました。

 

抗不整脈薬は不整脈そのものよりも基礎疾患や心不全、その他の合併症の有無が重要視されるようになり、それに応じた治療目標が立てられるようになってきました。

 

最近の不整脈関連の学会の動向では、心房細動の心拍数調節の基準や、カテーテルアブレーション治療が議論されています。そこで、心房細動について実際にお受けした質問について回答数することにしました。

 

 

Q4 

心房細動になるリスクについてより具体的に教えてください。

 

 

杉並国際クリニックからの回答

心房細動は複数のリスク要因が複合して発症する多因子疾患です。

 

心房細動のリスク要因は、加齢・高血圧・糖尿病・心不全・メタボリックシンドローム・家族歴等がそれぞれ独立したリスク要因です。このリスク要因は、遺伝的素因および後天的素因に分けることができます。

 

とりわけ心房細動の最も強い発症リスク因子として、年齢、弁膜症を含む心不全の有無ならびに高血圧が挙げられます。

 

心房細動は遺伝的素因の寄与が高いとされますが、遺伝的素因に関しては介入の余地はありません。そこで、後天的素因に関しては、生活習慣改善等のリスク因子の治療により心房リモデリングを抑制することで、心房細動の発症や進展を抑制できる可能性があります。心房細動に対するカテーテルアブレーション後に積極的な生活習慣改善を試みると、心房細動の再発が有意に抑制されるという報告があります。

 

以上をまとめると、心房細動は加齢を背景として、高血圧や糖尿病等のリスク因子が複合して心房の線維化が生じ、トリガー興奮が加わって発症するという経過をたどります。

 

しかし、さらに、いくつかの病態において心房細動が発症することが知られています。つまり、一定の基礎疾患があって心房細動が二次的な病気として発症することがあるということです。

 

1)開心術の周術期には心房細動の合併が多いですが、これは開心術に伴う心房の炎症が主な原因と考えられます。

 

2)僧房弁狭窄症では左心房に対する圧負荷が心房の線維化と炎症を強力に惹起することから、高率に心房細動を合併します。

 

3)甲状腺機能亢進症に心房細動の合併が多いことも知られています。

 

したがって、明確な基礎疾患がある場合には、心房細動の治療に加えて、基礎疾患の治療も行う必要があります。

 

また、心房細動の中でも、発作性の心房細動には、主として夜間等の副交感神経優位なときに発作が生じるタイプや運動中等の交感神経活動優位なときに発作が生じるタイプがあります。これらは、互いに逆のメカニズムで発作を生じさせているので、いずれのタイプかを吟味しておくことが必要です。

日本肝臓病学会ホームページを検索してみました。

 

すると、日本肝臓学会ガイドラインとして、8件が掲載されていました。

 

その中で、杉並国際クリニックの患者さんに情報提供すべき優先順位から考えて、NASH・NAFLDの診療ガイド2010 を採り上げることにしました。

 

Q&Aをご紹介した後、杉並国際クリニックの立場からにて、解説を加えてみます。

 

 

Q4

NAFLD/NASHになるメカニズムは?

 

A4 

肝臓は、腸で消化・吸収したさまざまな栄養素を取り込んで分解したり新たに合成したりして、バランスよく全身に供給する大事な役割を担ってくれます。食事でとった糖分は、通常はグリコーゲンとして肝臓に一時的に貯蔵されますが、過剰な糖分は中性脂肪に変換されて肝臓にたまります。食事で余分にとった脂肪分はもちろんのこと、蛋白質が分解されてできるアミノ酸も過剰な分は脂質に変換されます。

 

食べ過ぎや運動不足などのために食事でとったカロリーが消費量を上回ると、肝臓で中性脂肪が多く作られ、脂肪肝となります。

 

また、肥満の人では血糖値を下げるホルモンであるインスリンの効きが悪くなり(これを“インスリン抵抗性”といいます)、このことによっても肝臓で中性脂肪をたくさん作るように促されます。

 

一方、同じ食事や運動をきたしていても、太りやすい人とそうでない人がいるように、肝臓への脂肪のたまりやすさも体質によって異なります。最近の研究では、脂肪肝になり易い遺伝的素因として、「PNPLA3」などの遺伝子の型が関係していることがわかってきました。また、栄養障害による極度のやせや、医薬品の副作用などで生じる脂肪肝もあります。脂肪肝になると、過剰な栄養素を分解してエネルギーに変える(燃焼する)ときに、活性酸素などの有害な物質が多くできる“酸化ストレス”という状態を引き起こし、肝細胞が傷ついてしまいます。このため、NASHの患者さんでは、酸化ストレスを防ぐ抗酸化剤が治療に有効だと考えられています。

 

また、NASHには腸内細菌のバランスの変化や免疫系の反応なども影響しており、肝臓で炎症が強まって線維が増えることで肝硬変へと進行する過程だけでなく、肝癌を発症するステップにも重要な役割を果たしていることが明らかにされつつあります。

 

 

杉並国際クリニックの立場から

NAFLD/NASHとは、まず肝臓の病気であること、この病気は肝臓に中性脂肪が蓄積することによって起こる脂肪肝がスタートであることがポイントです。

そして脂肪肝になると、過剰な栄養素を分解してエネルギーに変える(燃焼する)ときに、活性酸素などの有害な物質が多くできる“酸化ストレス”という状態を引き起こし、肝細胞が傷ついてしまうことで病気が進展していきます。

 

ここで、脂肪肝について補足説明をします。脂肪肝には、肥満や糖尿病に伴う過栄養性とアルコール性があります。NAFLD/NASHは過栄養性の脂肪肝から発展したものです。脂肪肝の発症は、肝臓が発する生活習慣に対するイエローカードであり、動機付け面接法などを取り入れて患者教育と生活指導を十分に行うことが大切です。

 

なおNASHの患者さんの治療では食事と運動による体重の減量が基本なので、可能であれば水氣道®など医学的に適切に管理された有酸素運動をはじめることをお勧めします。このようなNASHの患者さんには酸化ストレスを防ぐ抗酸化剤が治療に有効なので、ビタミンEやウルソデオキシコール酸を処方して改善を図ることがあります。また、糖尿病を併発されている方には、インスリン抵抗性改善薬などの有効性が報告されています。