最新の臨床医学 4月28日(日)心療内科は絶滅危惧種か?その4

今月は、内部からでさえ、もはや絶滅危惧種と叫ばれつつある心療内科が如何に誤解されているか、混乱させられているか、という深刻問題点について考えてみたいと思います。すでに世間に広く広報されている具体的な声を題材にしました。

 

第4回:心療内科の今後と課題

 

わが国の心療内科の発展を図ります。

出典:日本心療内科学会HP

九州大学総長(元、九州大学医学部心療内科教授)久保千春

 

現代の日本社会は、政治経済社会の不安定、国際化、情報化、対人関係の厳しさ、少子高齢化、などにより、ストレスがますます増加しています。平成23年3月11日の東日本大震災および福島原発の放射能問題が大きな影響を及ぼしています。

 

医療については、現在、日本で増加している病気として、1)糖尿病、冠動脈疾患、がん、高血圧、脳卒中、肥満などの生活習慣病、2)動脈硬化、肺気腫、気管支炎などの老人病、3)うつ病、不安障害、適応障害、心身症等のストレス病があげられます。

 

現代医療の課題とニーズとしては、次のようなものがあります。

1)長寿社会であるがQOLは低い→全人的医療への期待

2)医療費の高騰→予防医療の充実

3)身体医学・西洋医学のみの限界→統合医療への期待

4)患者の意識の高まり→自分による治療法の選択

 

このような中で、心療内科の専門性は、

1)心身相関の病態を詳細に把握し、いくつかの心理療法に習熟しており、心身両面の治療ができる内科医、

2)生理・心理・社会・実存的側面からの全人的医療ができることです。

 

心療内科の発展は診療・教育・研究において進歩していくことが必要です。

 

診療では

単に典型的な心身症にとどまらず、プライマリケア、緩和ケアの分野でも積極的に行うことです。

 

また、他診療科や医療関係者との連携やチーム医療が重要です。

さらに、進歩している新しい知識と技術を取り入れると共に、新しい治療法の開発に取り組むことです。

 

教育では

全国の大学の医学教育カリキュラムに取り入れるようにすることや

若者に魅力ある教育、研修を確立し、多くの優秀な良き医療人を輩出することです。

 

研究では

1)心身相関についての生体レベルから、 組織、細胞、遺伝子レベルの研究、

2)環境(内的・外的ストレス)と生体との相互関係、

3)精神・神経・内分泌・免疫関連、

4)過敏性腸症候群、気管支喘息、糖尿病、疼痛性障害、摂食障害などの典型的な心身相関の臨床研究、

などを推進することです。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

久保先生からは、何度も励ましの言葉をいただいていて、私自身にとっても崇高な指導者のお一人です。この文書の対象は、第一義的には日本心療内科学会の会員ですが、示唆に富んだ内容であり、心療内科の現状から将来を展望する上での具体的指針ともなるべきドキュメントです。

 

 

心療内科の専門性は、

1)心身相関の病態を詳細に把握し、いくつかの心理療法に習熟しており、心身両面の治療ができる内科医、⇒いくつかの心理療法とありますが、もともと、心療内科は心理療法内科に由来しています。ただし私は心身両面の治療ができる内科医が行う心理療法は、すなわち心身医学療法であると考えています。ここでいくつかの心理療法というものの中には、新しいオリジナルな心理療法ないしは心身医学療法を開発して普及発展に努めることも含めたいと考えています。杉並国際クリニックでは、水氣道®や聖楽院の聖楽療法は、オリジナルの心身医学療法として診療の中に位置づけています。

 

2)生理・心理・社会・実存的側面からの全人的医療ができることです。

 ⇒また、こうした全人的医療の実現に向けて開発してきた心身医学療法が、水氣道®や聖楽院の聖楽療法であるといえます。

 

診療では

単に典型的な心身症にとどまらず、プライマリケア、緩和ケアの分野でも積極的に行うことです。⇒杉並国際クリニックは、典型的な心身症にとどまらず、プライマリケアを実践しますが、緩和ケアの分野を担当できる環境にはありません。

また、他診療科や医療関係者との連携やチーム医療が重要です。

 

⇒すでに院内でのチーム医療(医師・薬剤師・臨床心理士・鍼灸師・ソーシャルワーカー)の体制が確立し、地道な活動を展開しています。

 

さらに、進歩している新しい知識と技術を取り入れると共に、新しい治療法の開発に取り組むことです。⇒繰り返しになりますが、毎年、国際学会に出席して最先端の知識と技術に触れる機会を大切にし、かつ、水氣道®や聖楽院の聖楽療法という画期的な新しい治療法の開発ならびに発展のために取り組んでいます。

 

研究では、過敏性腸症候群、気管支喘息、糖尿病、疼痛性障害、摂食障害などの典型的な心身相関の臨床研究、⇒具体的疾患名が列挙されていますが、これらのう疾患は日常的に診療していますが、アレルギー内科専門医を兼ねる立場からは気管支喘息、リウマチ専門医を兼ねる立場からは疼痛性障害(線維筋痛症など)は日常診療の中から常に新しい研究課題を模索しています。

 

この他、久保先生が直接触れておられないテーマとして、杉並国際クリニックは、国際医学、外国人診療、とりわけ英語診療に力を注ぎ、心療内科の外来診療を英語で対応できるような高度な全人的医療を目指しています。