<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(8) ー 番外編 氣ー脾ー肺ー腎1>
<はじめに>
前回まで「五臓( 「肝」「心」「脾」「肺」「腎」)」のお話をしてきました。
聞き慣れない言葉が多く難しく感じられた方も多いのではないかと思います。
今回は、その中の「脾」「肺」「腎」と「氣」の関係を説明していきます。
それによって「食事」「呼吸」「睡眠」の大切さをお伝えできたらと思います。
最初に「氣」それから順に「脾」「肺」「腎」の働きを復習してから本題に入ります。
<「氣」の働き>
「氣」は生命活動を支えているエネルギーです。
氣の役割にはいろいろありますが、その中でも今回重要なのは「推動(すいどう)作用)」
と「温煦(おんく)作用」です。
「推動作用」とは 「氣」が*臓腑(ぞうふ)や**経絡(けいらく)の活動、血液循環の機能を推し進めます。(*臓腑ー内臓のこと **経絡ー氣の通り道で全身に分布します。)
「温煦作用」とは全身を温める作用です。
その他の作用は以前こちらで解説してありますので、御参照ください。
<「脾」の働き>
「脾」の働きにもいろいろありますが、「氣」と「脾」の関係で重要なのは「運化(うんか)」と「昇清(しょうせい)」です。
運化とは食べ物を消化吸収し水穀の精微(すいこくのせいび)という「氣」のもとををつくります。
昇清(しょうせい)ー水穀の精微を心肺へと昇らせる
その他の作用は以前こちらで解説してありますので、御参照ください。
<「肺」の働き>
「肺」の働きにもいろいろありますが、今回大切なのは「氣をつかさどる」ことと「宣発(せんぱつ)作用と「粛降(しゅくこう)作用」です。
「氣をつかさどる」とは空気中の「清氣(せいき)」を取り込んで「脾胃」で作られた「水穀の精微」を組み合わせて「氣」を作ることを言います。
「宣発」と「粛降」作用とは、一言で言うと呼吸によって全身に「氣」を巡らせることを言います。
その他の作用は以前こちらで解説してありますので、御参照ください。
<「腎」の働き>
「腎」の働きはいろいろありますが「氣」との関係で大切なのは「精」の貯蔵です。
「精」とは腎に蓄えられているエネルギーのことで、両親から受け継いだ「先天の精」と「脾胃」で消化吸収してできた「後天の精」があります。
「腎」はこれらの「精」を貯蔵します。
夜間に寝ることで「精」の貯蔵が進み日中の活動エネルギーになります。
本来、夜間に休息を取ることが人の生活リズムに合っています。
したがって夜間にしっかり睡眠を取ることが「腎」の機能が働きやすくなり「氣」を貯蔵しやすくなり心身の疲労回復が可能になります。
健康的な生活リズムを守ることが大切であることがわかります。
その他の作用は以前こちらで解説してあります。御参照ください。
次回「氣」が体の中でどうやって循環していくか解説していきます。
高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭