(HELP!力-7 の続き)

 

自分で頑張るときも、HELP!を発するタイミングを見極めることが大切です。

 

 

やはり、ほどよいところで、適切な相手に助けを求められれば、

 

問題がこじれたり、大きくなったりする前に解決する可能性は大きくなります。

 

 

助けを求められた相手も、より有効で無理のない助けが可能となります。

 

 

「HELP!力(ヘルプりょく)」は大事なスキルです。

 

 

でも、HELP!が言いにくい理由はたくさんあって、

 

特別なことでもなく、言いにくくなるのも普通のことです。

 

 

ですから、HELP!と「言うこと」も「言えないこと」も恥じることはないのです。

 

(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 

「HELP!力(ヘルプりょく)」 = 「HELP!」と言えること。

 

つまり、必要な時に、周りの人に助けを求めることができること。

 

その第一歩が、「助けて」、「手伝って」、「相談にのって」などの声掛けです。

 

 

このHELP!が言いにくい理由の例として最後にあげるのは、

 

『できるかぎり自分一人の力でなんとかしたいと思うから』です。

 

 

たしかに、あまりにたやすく助けを求めるのも考えものですよね。

 

そして、自分の力でなんとかしようという気持ちは大切です。

 

そうやって取り組んだことは、その人の経験値、能力、また自己評価をアップさせます。

 

 

でも、がんばり「過ぎ」屋さんは要注意です!

 

 

疲弊して、もう自分では対処しきれなくなって、

 

体も心も壊してしまっては元も子もありませんから。

 

(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

「助けて」、「手伝って」、「相談にのって」。

 

こうしたHELP!が言いにくい理由はまだまだあります。

 

たとえば、

 

1)『 相手に期待していないから。』

 

2)『期待を裏切られるかもしれないから。』

 

 

〇相手が助けてくれるはずもない…

 

〇誰も自分を助けてくれない…

 

〇そもそもこんなことは自力で解決すべきことだ…

 

〇結局、いつも叱られるだけだ…

 

必要な手助けなんてしてくれないだろう…

 

それから、

 

3)『相手への負担を気にするから。』

 

〇相手にこんな面倒はかけられない… 

 

〇頼まれた相手は迷惑だと思うだろう…

 

 

そう思うと余計に自分も重荷だ…

 

 

いろいろな心配(予測)が「HELP!」と言うことを阻んでいるのです。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

また、HELP!が言いにくい理由はほかにもあります。

 

「荷物を持って」くらいの頼みごとでしたら、まだ言いやすい方です。

 

しかし、「気分が滅入ってずっと良くならない」といった深刻なことは、

 

言いにくいものです。 なぜなら、そのような状況の人は、

 

○こんなに弱っている自分を見られたくない…

 

○現実的に、あるいは心理的に大きな問題を抱えているなんて知られたくない…

 

と、<弱っている、不利な状態>にあり、

 

<相手からさらに傷つけられることを恐れる>からです。

 

 

自尊心は人間にとって大事な感情です。

 

傷つくことを防ごうとしてHELP!を言えないのは、自然なことでもあります。

 

 

自尊心も自尊感情も、自分自身に対する自己評価のあり方という意味では、共通しています。

 

自尊心は心の態度ですから、一般的で持続的な個人の心の特性で比較的安定しています。

 

これに対して自尊感情は、そのときどきに自分が置かれている諸状況によって、

 

変化しやすい感情だといえるでしょう。

 

安定しているものには気づきにくいものですが、変化するものは観察しやすいものです。

 

 

ですから、自尊心そのものよりも、

 

日常生活において繰り広げられる様々な対人関係の中で生じる自己評価の感情、

 

自尊感情に着目し、認知行動療法に取り組む中で、

 

自己への評価をよりよいものへと再評価していくことは有用です。

 

それによって、健全な自尊心を養うことも可能になってくるのです。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

HELP!が言いにくい理由は、自尊心が「高い」ためでしょうか?

 

自尊心が高いと、自尊感情が傷つきやすいのでしょうか?

 

 

実際には、自尊心が低い人、また他者からの評価を気にしすぎる人は、

 

状況や他者からの評価を否定的に見過ぎて、

 

その心配が的中すると傷つきも大きくなるため、

 

さらに相談しにくくなるようです。

 

 

それでは、自尊心とは、どのようなものでしょうか?

 

 

まず、一般には<自惚れ(うぬぼれ)>などとも同一視されがちですが、

 

これとは区別しておきましょう。

 

 

ここでは自尊心とは心的態度の一つとします。

 

それは自己に対して肯定的な一般化された態度です。

 

 

つまり、自分自身の理解や評価に対して、維持から、

 

さらに高揚されようとする態度、

 

あるいは『ありのままの自己を尊重し受け入れる』態度です。

 

 

これに対して自尊感情とは、

 

自分には価値があり尊敬されるべき人間であると思える感情です。

 

自尊感情の高低は、本人の願ったものがどの程度うまくいくかによって決まります。

 

また、自尊感情には「安定性-不安定性(変動のしやすさ)」

 

という質的な次元もあるようです。*1

 

 

自尊感情が高く安定的な人は困難に出会っても粘り強く努力するでしょう。

 

しかし、自尊感情が高くても変動しやすい人は困難に嫌悪感を抱きます。

 

また成功した時には、他者の助けがあっても、

 

自己評価を高めるために「自分の能力によるもの」と思う傾向があるようです。

 

一方で、自尊感情が低い人は困難への対処をすぐに諦めてしまう、

 

助けを求めることすら諦めてしまうのかもしれません。

 

 

*1 参考文献:中間玲子.2016,「自尊感情の心理学」,金子書房

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 

「HELP!力(ヘルプりょく)」 = 必要な時に、

 

1)周りの人に助けを求めることができること、

 

2)「HELP!」と言えること。

 

 

「助けて」、「手伝って」、「相談にのって」。

 

これらの言葉が言いにくいのは、心の中で何かが邪魔をしているからです。

 

 

HELP!が言いにくい理由にはいろいろあります。

 

まず、『自尊心・プライドが傷つくため』。

 

〇助けを求めた相手から「そんなことで?」とバカにされたらどうしよう…

 

〇「こんなことも自分の力でできないのか」と思われたらどうしよう…

 

〇自分の評価が下がったらどうしよう…

 

 

このように心配する傾向がある方は、

 

ご自身の自尊心あるいは自尊感情を振り返ってみることをお勧めします。

 

 

一般的には、自尊心が高いと、自尊感情が傷つきやすい、と理解されがちです。

 

 

そのような理解を前提とすれば、HELP!が言いにくい理由は、

 

自尊心が高いためであるということになることでしょう。

 

 

そこでこれから、以上の課題をじっくり吟味してみたいと思います。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内) 主任 臨床心理士 宮仕 聖子

「HELP!力(ヘルプりょく)」

 

= 必要な時に、周りの人に助けを求めることができること、「HELP!」と言えること。

 

 

もし、皆さんが荷物を持っていて両手がふさがっている時に、大事な電話がきたとします。

 

隣には友だちがいます。あなたならどうしますか。

 

①友だちに「悪いけど、ちょっと荷物を持っていてもらえる?」と頼んで、電話に出る。

 

②一人で荷物を何とか抱えつつ、電話に出ようとする。

 

 

①を選んだ方は落ち着いて電話に出られるでしょう。その後、友だちに「ありがとう」と言ったりするでしょう。

 

 

②を選んだ方、こんな考えが浮かんできていませんか?

 

「持ってもらうなんて申し訳ない、友だちに悪い」

 

「持ってて、なんて頼まれたら友だちは迷惑だろう」

 

「友だちが面倒臭いとか嫌な顔をするかも」

 

「これぐらい人に頼むことじゃない、一人で何とかすべき」 などなど。

 

 

こんな時、気の利いた友だちなら、「持っていてあげるよ」と言ってくれるかもしれません。

 

それでも上のような申し訳ない思いや不安、重荷を感じるのであれば、

 

もしかしたら、あなたは「助けて」と言うのが苦手なのかもしれません。

 

 

「助けて」、「手伝って」。

 

これらの言葉が言えないのは、あなたの中で何かが邪魔をしているからです。

 

 

次回はその妨げになっているものについて詳しく説明していきます。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 

皆様

 

新年あけましておめでとうございます。

 

昨年は「ストレスへの対処法」と題して、

 

認知行動療法の技術的なお話を織り交ぜながらつづってきました。

 

今回からは「HELP!力」という題。

 

 

認知行動療法ではストレスに対処する方法を自分で身につけることが目標です。

 

自分で対処できることはもちろん大切です。

 

しかし、周りの人に「助けを求めることができること」、

 

「HELP!」と言えることも大事な能力と考えます。

 

そして、それが人とのつながりを作り出す、と私は思っています。

 

そのような能力を「HELP!力(ヘルプりょく)」と名付けてみました。

 

 

私自身、実はそう上手くはない方です。

 

でも、認知行動療法を人から学び、対処がうまくなってきました。

 

「助けてもらった」と実感した経験を通じて、

 

今皆さまに認知行動療法を実践させていただいています。

 

 

助けられて、それを人に伝えて人を助けて、また助けられて。

 

そうして助けを求めることがうまくなってきたように感じています。

 

 

また、この「HELP!力」は私の大学院生時代の研究テーマでもありました。

 

今年はこのようなテーマを織り交ぜながら、

 

認知行動療法のお話も進めていきたいと思います。

 

 

本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

自律訓練法には、疲労回復、ストレス緩和、仕事や勉強の能率向上のほか、

 

緊張や不安、意欲低下や抑うつなどの軽減などに効果があります。

 

自律訓練法はいつでも、どこでも、誰でもできます。

 

しかし、我流にならないためには、

 

一定期間、適切な指導を受けていただく必要があります。

 

 

当診療所では、個人と小集団(3~8人)の自律訓練法の

 

指導に関して10年以上の実績がありあります。

 

 

自律訓練法の個人指導の所要時間は、およそ15~30分です。

 

当診療所での個人自律訓練法の特徴は、

 

「自律訓練法」前置式カウンセリングという独自の手法を用いていることです。

 

これは、単に自律訓練法を習得していただくだけではなく、

 

自律訓練法による効果を利用して、効率的な短時間型の生活指導

 

および心理カウンセリングを行うものです。

 

また『交流分析』や『認知行動療法』など本格的な

 

臨床心理療法への導入として役立てていただくこともあります。

 

 

自律訓練法の小集団指導の所要時間は、およそ45~60分です。

 

当診療所での小集団自律訓練法の特徴は、

 

まず、個人自律訓練法からはじめていただくことです。

 

また、小集団自律訓練法のセッションは、

 

独自の体操(イキイキ体操:水氣道の準備体操)により

 

心身を活性化させることからはじめます。

 

自律訓練法実施のあとに、各自の「気づきの感想や意見交換などの分かち合い」を行います。

 

最後に(のびのび体操:水氣道の整理体操)で

 

心身のバランスを調整して締めくくることもあります。

 

 

<主任   健康管理士・心理相談員      林 亮博>

 

<副主任 健康管理士・ソーシャルワーカー 野口 将成>

 

電話:03-3318-1822

 

受付担当:野口 

 

<曝露法とは? 「パニック障害」のしくみを通して> (第28回からの続き)

 

 

認知行動療法によるアプローチの対象は文字通りの「認知」や「行動」に限られません。

 

 

「認知」や「行動」よりコントロールがむずかしい「感情」や

 

「身体反応」にもアプローチします。

 

 

このような多面的なアプローチを、

 

臨機応変に、あるいは治療の段階に応じて適切に試みることにより、

 

自分である程度緩和できるような方法を身につけることができるようにします。

 

 

例えば「感情」に対する方法としては、

 

相手に対して上手な自己表現をするための「アサーショントレーニング」や、

 

怒りやイライラを上手に処理するための「アンガーコントロール」などがあります。

 

 

また「緊張」に対しては、「自律訓練法」や「筋弛緩法」などの方法があります。

 

 

当診療所では林亮博先生が専門的に指導してくださいます。

 

 

このような方法を身につけることで、パニックへの対処の効果を上げていきます。

 

 

いずれの方法も名前は難しそうですが、

 

専門的なカウンセラーの指導の下で練習すれば、身につけやすいです。

 

また、これらの方法により、専門的で計画的な治療に取り組むことによって、

 

認知行動療法の導入を容易にし、治療効果もさらに促進することが期待できます。

 

 

ご興味のある方は、是非ご相談にいらしてください。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内) 主任 臨床心理士 宮仕 聖子