(17の続き:サポートを得るための求め方や求めるタイミングについて)

 

次に、自分が今どんな状態かを相手に説明する必要があります。

 

前回の例で言うと、歯医者さんのところに行ったら、どこがどんなふうに痛むのか説明できると、

 

歯科医はどんな処置が必要なのかを判断することができます。

 

 

それから、どこまでなら自力でできそうか、どこからサポートが必要なのかを話せると、

 

相手にもわかりやすく、要点をおさえたサポートを得ることができます。

 

 

しかし、体の調子が悪いときには、健康なときとは違って精神的に余裕がないので、

 

なかなかそこまで要領よく話すことができないものですね。

 

 

一方、サポートを求めるタイミングも大事になってきます。

 

それは相手のことを考えて求めることです。

 

相手が忙しかったり、相手も深刻な悩みを抱えている状態だったりという状況では、

 

相手も良いサポートを提供できないでしょうし、相手まで苦しめてしまう結果になってしまいます。

 

 

素人である相手方に期待できることの限界を認識していないと、

 

互いに、失望もしくは怒りの感情が生まれ好ましくない結果をまねきかねません。

 

 

「心の専門家」が必要になるのは、こうした場合です。(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

(16の続き)

 

前回、「サポート」にはいろいろな種類があり、

 

主に、①情緒的サポート、②手段的サポート、③情報的サポートに分類されるというお話をしました。

 

①「情緒的サポート」とは、辛さや苦しさ、悲しさなどの気持ちの面に寄り添い、

 

共感したり、励ましたりしてくれるようなサポート。

 

 

②「手段的サポート」とは、勉強やパソコンの操作といった、

 

やり方がわからない時に具体的な方法を教えてくれるようなサポート。

 

 

③「情報的サポート」とは、自分にとって役立つ知識や情報を提供してくれるようなサポート。

 

 

このような、求めるサポートの違いによっても、自ずと相談する相手が違ってきます。

 

②の「手段的サポート」や③の「情報的サポート」は教えてくれそうな人がいれば、比較的得やすいサポートです。

 

 

しかし、①の「情緒的サポート」は、具体的な解決方法を提供してくれるわけではないけれど、

 

『自分の辛さや苦しさを親身になってわかってくれる、時間や労力をさいても何とか助けてあげたい』、

 

という間柄の人から得られるような貴重なサポートです。

 

 

また、サポートを得るためには求め方や求めるタイミングも考える必要があります。

 

まず、どの人から、どんなサポートが得られそうか、がわかっていないといけません。

 

極端な例ですが、歯医者に行って「胃が痛いんです」といってもダメですよね。

 

次に、自分が今どんな状態かを相手に説明する必要があります。

 

(次回へ続く)

 

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主任 臨床心理士 宮仕 聖子

(15の続き)

 

人は悩みによっては、たとえ親密な相手であっても、逆に打ち明けられないことがあります。

 

そして、悩みを一人で抱えこんでいると、ますます孤立を深めていくことになります。

 

 

そういった時に利用できるのが、臨床心理士をはじめとする専門家(心理カウンセラー)です。

 

カウンセラーはクライアントさんのお話に、良し悪しといった評価をせず、肯定的に親身に耳を傾けます。

 

秘密も厳守されます。そして、安易な助言などはしません。

 

クライアントさんに役立つことであれば、専門的な見地から助言をいたします。

 

 

しかし、もっと大切なことは、その人自身が今ある困難を乗り越えられるよう、サポートをしていきます。

 

つまり、困難に出会ったことをきっかけとして、その人自身の成長を育み、見守る役割もするのです。

 

 

ところで、「サポート」といってもいろいろな種類があり、次のように分類することができます。

 

それは、①情緒的サポート、②手段的サポート、③情報的サポートです。

 

 

①「情緒的サポート」とは、辛さや苦しさ、悲しさなどの気持ちの面に寄り添い、共感したり、励ましたりしてくれるようなサポートです。

 

 

②「手段的サポート」とは、勉強やパソコンの操作といった、

 

やり方がわからない時に具体的な方法を教えてくれるようなサポートです。

 

道具的サポートとも呼ばれます。

 

 

③「情報的サポート」とは、自分にとって役立つ知識や情報を提供してくれるようなサポートです。

 

ヒントのようなもので、それを利用して本人が問題解決に役立てます。

 

 

(次回へ続く)

 

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主任 臨床心理士 宮仕 聖子

前回は「コンボイ・モデル(ソーシャル・サポート・ネットワークの三重の輪)」のお話をしました。

図1

 

人は悩んでいる時、まずは身近な人に助けを求めたり、相談したりすると思います。

 

 

それほどたいしたことでなければ、2番目の円、家族や友人に気軽に助けを求めるでしょう。

 

 

また勉強のことや病気のこと、制度のことといった専門的なことであれば、

 

一番外側の円、教師や医師、役所の職員のような関連する体系的知識や経験のある人たちに相談してみるでしょう。

 

 

ただ、より個人的であったり、深刻な悩みをもっていたりすると、

 

そう簡単には打ち明けにくいのではないでしょうか。

 

そのような場合は、一番内側の円、自分の弱いところを安心して見せられるような

 

親密な家族、親友に打ち明けることになるでしょう。

 

 

しかし、たとえ親密であっても、「わかってもらえないだろう」とか

 

「心配をかけたくない」という思いが働いたり、

 

非常に個人的な悩みだったりすると、逆に打ち明けられないことがあります。

 

 

そうやって悩みを一人で抱えこんでいると、

 

せっかくのソーシャル・サポート・ネットワークもその人にとって機能しなくなります。

 

当事者の悩みはますます深まり、心身とも弱っていき、

 

「HELP!」と言う気力もタイミングも失い、孤立を深めていきます。

 

 

そういった時に利用できるのが、臨床心理士をはじめとする専門家(心理カウンセラー)です。

 

(次回へ続く)

 

 

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主任 臨床心理士 宮仕 聖子

(13のつづき)「コンボイ・モデル」とは。

図1

 

この三重の輪では、内側に向かうほど親密な関係で結ばれている人たち、

 

また、外側に向かうほど援助する役割を担っていて

 

結びついている人たちになっています。

 

 

あなたの周りの人たち(サポーター)が、

 

どの円に含まれ、どのくらいいるのか、まずは当てはめてみましょう。

 

 

※コンボイ・モデル(convoy model)はKahn&Antonucci (1980)が提唱し、

 

個人のネットワーク構造を表すために用いられています。

 

 

このモデルは、文化人類学者 D.W. プラースのコンボイ概念である

 

「人生航路を旅する道づれ」を継承したものとされています。

 

 

コンボイ・モデルのコンボイとは、本来は護衛艦のことです。

 

船が航海するとき、その船が周りを何隻もの護衛艦に囲まれ、

 

守られている、というイメージです。

 

 

* 引用文献: 太田仁,2005,「たすけを求める心と行動」,金子書房

 

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主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 

(12のつづき)

 

赤ちゃんはその後、成長するにつれて、いろんな人たちと関わりをもつようになり、

 

だんだんとサポーターも増えていきます。

 

そうして助けてくれる人の輪が広がっていきます。

 

これを「ソーシャル・サポート・ネットワーク」と言います。

 

そこで、次のクイズに挑戦してみてください。

 

ソーシャル・サポート・ネットワークで正しいのはどれか。

 

1.個人の対人関係調整力

 

2.障害者の社会復帰訓練

 

3.社会福祉職の専門業務

 

4.社会的なつながりによる援助

 

 

―――以下解答―――

 

(解答)4

 

<解説>

 

1.(×)ソーシャルスキルのこと。

 

2.(×)リハビリテーションのこと。

 

3.(×)ソーシャルサポートのこと。

 

4.(○)ソーシャル・サポート・ネットワークをさす。組織的に社会的に人々の生活を支援するシステムのことである。

 

 

カーン(Kahn)とアントヌッチ(Antonucci)は、このソーシャル・サポート・ネットワークを三重の輪で表し、

 

コンボイ・モデル」と名付けました。(図1*)

 

図1

はじめに、ポイントの復習です。

 

「HELP!力(ヘルプりょく)」とは・・・ = 必要なときに、「HELP!」と言えること。

 

つまり、周りの人に助けを求めることができること。

 

 

今回は、自分の周りにいる「サポーター見つけ」をしてみましょう。

 

人間は他の多くの動物と異なり、

 

生まれたときは、自分の力だけでは生きていく力がありません。

 

 

赤ちゃんは無力で、まんまるく愛くるしい風貌なので、

 

周りの大人たちが赤ちゃんに手を貸さずにはいられない気持ちにさせます。

 

 

ところで、助けを求めることは誰から教えられたわけでもありません。

 

 

それは生まれつき備わっていて、<ギャーッ>と泣くことで助けを呼ぶのです。

 

 

そうして親をはじめ、誰かの助けが得られます。

 

 

つまり、誰かが食べ物や安心して眠る場所、時間を与えてくれて、

 

清潔に保ってくれて、抱っこして場所を移動してくれて、

 

そうして危険から身を守ることができます。(次回へつづく)

 

 

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主任 臨床心理士 宮仕 聖子

 今回もコーヒーブレイク。「ひとこと英会話 その2」です。

 

ちょっと込み入っていて「話したいことがあって」と相談したいときは、

 

 I’ve got something I want to talk about.

 

落ち込んでいて「誰かに話したいな」という気分のときは、

 

 I need somebody to talk to.

 

 

また、助けてほしいことを伝えるために、自分の状態や置かれている状況を言い表す言い方もあるでしょう。

 

 

例えば、「困ってるんだ」は、

 

 I’m in trouble. 

 

 「事故に遭った」なら、

 

 I got an accident.

 

「財布を盗まれた」なら、 

 

My wallet was stolen. 

 

 「警察を呼んで」は、 

 

Please call the police.

 

 

こうやって挙げていくと、日ごろ私たちは直接的に「助けて!」と言っているわけではないことに気づきます。

 

 

それとなく、いろいろな表現によって人に助けを求めているのではないでしょうか。

 

 

私たちは、互いに、周囲のたくさんの人から多くの助けをもらって、生きているように思います。

 

 

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今回はコーヒーブレイク。「ひとこと英会話 その1」です。

 

 

まず、日常生活で気軽に「助けて」「手伝って」と言いたい場合、

 

英語では何と表現するのでしょう?もちろん、緊急事態の時はまさに HELP! です。

 

(余談ですが、「助けて!」と叫んでも、周囲は身の危険を感じで来てくれない可能性があるらしく、

 

「火事だ!」と言った方が人が飛び出してきてくれるとか。)

 

 

もう少しだけ冷静に表現できるなら、

 

I need help. あるいは、I need your help. 

 

英語のyou は単数「あなた」を意味する場合と複数「あなたたち」を意味する場合があります。

 

 

同様にyour helpは、文脈により、特定個人・単数「あなたの助け」

 

もしくは不特定一般・複数「あなたたちの助け」を意味します。

 

 

以下は、特定の相手に対する「助け」の依頼の表現です。

 

「手伝ってくれる?」くらいなら、 Can you give me a hand?

 

これをもっと丁寧な言い回しにすると、 Could you give me a hand?

 

「アドバイスがほしい」なら、 I need your advice. でしょう。

 

 

「お願いがあるんだけど」と言うなら、 Do me a favor.

 

ただ、これは「わたしの頼みを聞け」という命令形のニュアンスがあり、

 

目上の人には使えません。

 

お互いの信頼関係、心理的距離の近さが前提です。

 

 

少し丁寧に言うなら、Please do me a favor.

 

Pleaseを前後に加えても、命令形であることには変わりありません。

 

 

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主任 臨床心理士 宮仕 聖子

(HELP!力-8 の続き)

 

ただ、「助けて」と言って、人に助けてもらった経験をすると、

 

今度は自分が 次に助けを求めている人に「こうすればいいんだよ」と伝えることができます。

 

初回で書きましたように、そうやって人と人とのつながりは作られていくように思います。

 

 

自己評価がアップするだけでなく、「感謝」「敬意」といった気持ちも学べます。

 

ひいては、「自分の役割意識」や「自尊心」も育ててくれるのです。

 

 

「助けて」と言って、助けられて・・・

 

 

今度は自分が誰かを助けて・・・ そしてまた自分が助けられて、という循環があるのです。

 

 

助けられ上手は、助け上手です。

 

 

皆がタイミングよく上手に「助けて」を実行できたら、

 

自分も他人もずいぶん生きやすい世の中になるのではないでしょうか。

 

 

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