(心理)認知行動療法  HELP!力<5>

また、HELP!が言いにくい理由はほかにもあります。

 

「荷物を持って」くらいの頼みごとでしたら、まだ言いやすい方です。

 

しかし、「気分が滅入ってずっと良くならない」といった深刻なことは、

 

言いにくいものです。 なぜなら、そのような状況の人は、

 

○こんなに弱っている自分を見られたくない…

 

○現実的に、あるいは心理的に大きな問題を抱えているなんて知られたくない…

 

と、<弱っている、不利な状態>にあり、

 

<相手からさらに傷つけられることを恐れる>からです。

 

 

自尊心は人間にとって大事な感情です。

 

傷つくことを防ごうとしてHELP!を言えないのは、自然なことでもあります。

 

 

自尊心も自尊感情も、自分自身に対する自己評価のあり方という意味では、共通しています。

 

自尊心は心の態度ですから、一般的で持続的な個人の心の特性で比較的安定しています。

 

これに対して自尊感情は、そのときどきに自分が置かれている諸状況によって、

 

変化しやすい感情だといえるでしょう。

 

安定しているものには気づきにくいものですが、変化するものは観察しやすいものです。

 

 

ですから、自尊心そのものよりも、

 

日常生活において繰り広げられる様々な対人関係の中で生じる自己評価の感情、

 

自尊感情に着目し、認知行動療法に取り組む中で、

 

自己への評価をよりよいものへと再評価していくことは有用です。

 

それによって、健全な自尊心を養うことも可能になってくるのです。

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子