一般医が頭痛を正しく診断できるのは50%。

 

しかし、これでは「当たるも八卦当たらぬも八卦」、

 

何とかならないものでしょうか?

 

 

 

頭痛には一次性頭痛と二次性頭痛がありますが、

 

まずは、二次性頭痛のなかでも致命的な頭痛を見逃さないようにします。

 

ついで、緊張型頭痛や片頭痛などの一次性頭痛の診断を確かなものにします。

 

 

 

そこで高円寺南診療所は可能な限り頭痛診療の精度を上げ、

 

頭痛の原因を正しく診断する方略の導入を検討しました。

 

 

 

 

方略1)「簡易スクリーニング」…初回の問診票

 

 

方略2)「簡易診断アルゴリズム」…頭痛診断の有力な手がかり

 

 

方略3)「頭痛ダイアリー」…問診の不足分を補う

 

    患者‐医師コミュニケーションを進めるために有用

 

    服薬指導の有力な手段

 

 

方略4)頭痛専門医レベルの知識を獲得する

 

    頭痛専門医試験の受験資格が本年得られたので、チャレンジする。

 

 

方略5)高円寺南診療所のHP、新着情報「医療」で頭痛を特集し、

 

               有益な情報を共有するコミュニティを創る

医療の第一線で活躍する臨床医にとって何が一番重要なのでしょうか?

 

大学病院などの教育研究機関では、臨床・研究・教育は3本柱とされています。

 

それでは、小規模零細の医療機関の医師、

とりわけ開業医にとって、何が重要なのか、という問いについて

私は、常に自らに問いかけると同時に多くの皆様のご意見をうかがってきました。

 

 

 

圧倒的に多い理想の開業医像についてのご意見は以下の通りでした。

 

(1)患者の気持ちがわかる先生

 

(2)困ったときに頼れる先生

 

(3)安心して身体の管理をまかせられる先生

 

 

開業医は臨床医ですから、臨床中心の期待が大きいことは、当然だと思います。

 

この当然であるはずのことが一番難しいことを毎日感じ続けています。

 

 

 

開業医は臨床に専念すべきであって、研究や教育は不必要だ、

というご意見もあります。

 

なるほど、科学的エヴィデンスに基づく「診療ガイドライン」等は臨床の各領域で疾患ごとに整備されつつあります。

 

ところが、権威ある「診療ガイドライン」もオールマイティでないことは、

経験豊富な臨床医は誰しもが感じていることです。

 

典型例ではないケースや、複数の病気が併存して一筋縄にいかない患者さんに数多く遭遇するのが

開業医です。

 

開業医ができる研究には限度がありますが、診療に直結する研究は開業医こそが忘れてはならない課題ではないかと考えています。

 

 

研究というのは仕込みと同じで舞台裏の目立たない作業です。

 

開業医の研究予算や学会発表のための旅費も自分で遣り繰りして工面しなければならないのも一苦労です。

 

しかし、地味な努力を継続していれば、必ず支援者が現れるものです。

 

 

昨日、以下のメールを受け取りました。

 

金額的には永年の研究の経費や海外への学会出張旅費のごく一部に過ぎませんが、金額の多寡ではない感謝の気持ちがこみ上げてきました。

 

過分な評価をいただくことができたこと、研究を継続してきたことで得られたこの感動を今日からの診療に生かしていきたいと感じているところです。

 

 

 

 

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高円寺南診療所

 

 飯嶋 正広先生

 

 

平素は、学会諸事業にお力添えをいただきまして、ありがとうございます。

 

本日、ご連絡いただいておりますご指定の口座に2016年ドイツ心身医学会参加補助金として、

50,000円お振込いたしましたので、お知らせ申しあげます。

 

今後も引き続きご高配のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

 

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特定非営利活動法人 日本心療内科学会

 

事務局 × × × ×

 

高円寺南診療所では永らく外来栄養食事指導を行っています。

 

外来栄養食事指導を行える保険医療機関は、

別に厚生労働大臣が定める基準を満たしていなければなりません。

 

 

その基準とは、何だと思いますか?

 

それはたった一点

「当該保険医療機関の屋内において喫煙が禁止されていること」です。

 

 

これはコストのかかる箱モノなどハード面での基準ではなく、

しっかりした医療マインドがあればすぐに実行できるソフト面の基準です。

 

 

 

医師(院長、飯嶋正広)の指示に基づいて管理栄養士(中田美砂恵)が

具体的な献立等によって指導を行っていますが、喫煙者には禁煙をお勧めしています。

 

 

 

喫煙者に対する効果的な医療の提供が難しいのは、

喫煙習慣が内的な生命リズムを乱し、薬物療法、心理療法、運動療法ばかりでなく

食事療法の効果を挙げることを大きく妨げてしまうからです。

 

つまり、喫煙は、すべての患者さんに本来備わっている自然治癒のプロセスを損ねてしまうのです。

 

だからといって、喫煙者に栄養食事指導が全く無意味であるということではありません。

 

「喫煙者には愛を!」これが高円寺南診療所の基本的コンセプトの一つです。

 

 

 

「禁煙したいがなかなか決断できない」という皆様を暖かく支援し多くの禁煙成功者を生み出してきました。

 

禁煙達成者は、栄養食事指導にも積極的に参加され、お薬や注射の種類や量を減らすことが容易になってきます。

 

定期的な健診やフィットネス・チェック(体組成・体力テスト)以外の高円寺南診療所の通院を卒業し、

水氣道一本という方までいらっしゃいます。

 

線維筋痛症問診票( J-FIQ)での著効例をお知らせします。

 

 

線維筋痛症は、症状が多彩なため治療評価が簡単ではありません。

 

さて病気の進行度や症状、患者さんの機能障害の程度などを総合して疾患活動性といいます。

 

効果的治療のためには、疾患活動性や治療の評価を客観的に適切な尺度を使う必要があります。

 

痛みだけではなく多様な障害を総合的に評価することが不可欠です。

 

 

 

J-FIQとは、線維筋痛症が患者の日常生活にどの程度影響を及ぼしているかということに関する質問票であるFIQの日本語版です。

 

これは治療の評価方法として日本で使用しうる唯一の基準です。

 

20項目の質問等に基づき評価結果を数量化することができます。

 

 

 

高円寺南診療所ならびに併設鍼灸治療室坂本オフィスでは、このJ-FIQを用いて、

患者さんの重症度や治療効果を客観的に評価しています。

 

 

 

 Aさん( 女性・50代)

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64.1から12.2と順調に改善した例です。

 

 

 

Bさん(女性・60代)

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89.2から29.4まで改善した例です。

 

 

 

さん(女性・70代)

image034

治療の開始時は24.1と低い値でしたが最高71.9まで上昇しました。

 

これは、長期間の緊張状態により疲労痛みなどが感じにくくなっていたものが、回復するにしたがい感じられるようになったためと思われます。

 

3人共、治療に対して積極的でした。

 

「私たちの脳は、意識的な仕事を行っているときだけ活動し、

何もせずぼんやりしているときは脳も休んでいる」と考えられてきました。

 

 

<しかし>

 

安静時に活動が高くなり、特定の課題を遂行することによって抑制される脳領域がいくつか認められています。

 

 

<このことから>

 

安静時の脳活動が注目されるようになってきました。

 

 

<この活動は>

 

安静時にみられる基本的な脳活動という意味で、「デフォルト脳活動」と呼ばれます。

 

それぞれの領域はネットワークを形成しています。

 

 

<したがって>

 

これらの脳内ネットワークはデフォルトモードネットワーク(DMN)と呼ばれます。

 

 

<線維筋痛症患者の脳内ネットワークの特徴は>

 

1.前帯状回(ACC)、島皮質(IC)、大脳基底核の間の結合が増強している。

 

2.内側前頭前野(mPFC)、視床(Thal)、中脳中心灰白質(PAG)などへの抑制系ネットワークが減弱している。

 

 

12週間の認知行動療法で、FM患者の痛みに対する左前頭葉の反応や、視床との結合が回復した。

 

Jensen KB, Loitoile R,Kosek E,et al:

Cognitive Behavioral Therapy increases pain-evoked activation of the prefrontal cortex in patients with fibromyalgia. Pain 153 : 1495-1503,2012

 

 

 

日本人の3人に1人が『頭痛もち』。

 

つまり、日頃から慢性頭痛に悩まされている人たちです。

 

なかでも、緊張型頭痛が最多(22.3%)、片頭痛(8.4%)がこれに続きます。

 

また、女性には少ないとされてきた群発頭痛が女性でも増加傾向にあります。

 

わが国では片頭痛の患者数だけでも800万人以上に及ぶとされています。

 

 

これだけ日常的な病気である頭痛を正しく診断できる一般医は約50%に過ぎません。

 

これは頭痛専門医試験問題の解説からの引用ですが、仮に頭痛専門医であったとしても

100%正しい診断をすることは不可能だと思います。

 

今後の課題としては、まず、頭痛について正しい知識を身につける、ということではないでしょうか。

 

 

 

 

今回は、頭痛ガイダンスということで、頭痛発作はどのくらい続くのか、ということをご紹介いたしましょう。

 

 

<早期診断に役立つ頭痛発作の持続時間>

 

数秒     ・・・一次性穿刺様頭痛

 

1秒~10分  ・・・短時間持続性片側神経痛様頭痛(SUNCT)

 

2~30分   ・・・慢性発作性片側頭痛

 

15分~3時間 ・・・群発頭痛

 

2日未満   ・・・一次性運動時頭痛

 

4時間~3日 ・・・前兆のない片頭痛

 

30分~1週間 ・・・反復性緊張型頭痛

 

数時間~数日間・・・慢性緊張性頭痛

 

3か月以上    ・・・持続性片側頭痛

 

 

 

持続性片側頭痛を除いて、「ほとんどの頭痛はいずれ収まる」ということを知っておくことは

有用だと思います。

 

最多の緊張型頭痛は最長1週間前兆のない片頭痛も最長3、という知識は安心材料になります。

高円寺南診療所では、以下の疾患のうち太字のものに対する食事指導の実績が豊富です。

 

メタボリック症候群など過栄養が主で、これに対して鉄欠乏性貧血に該当しない低栄養状態や、

がんに対しての指導ができないのが悩みの種でした。

 

幸いなことに、この課題が解決しました。

 

 

 

<消化器>胃•十二指腸潰瘍、食道胃腸の切除術後、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性•慢性肝炎、

肝硬変、ウィルソン病、閉塞性黄疸、急性•慢性膵炎

 

<循環器>心臓疾患(食塩6g/日未満)、高血圧症(食塩6g/日未満の指示がある場合)

 

<腎臓>急性•慢性腎炎、急性•慢性腎不全、ネフローゼ症候群

 

<代謝>高度肥満症(BMI≧30)、脂質異常症(LDL-cho:≧140mg/dL HDL-cho:<40mg/dL TG:≧150mg/dLのうちいずれか)、痛風糖尿病

 

<貧血>鉄欠乏性貧血(ヘモグロビン:≦10g/dL)

 

<妊娠>妊娠高血圧症候群(食塩6g/日未満)

 

<アレルギー>食事性アレルギー(9才未満)

 

 

 

 

平成28年度から以下の患者さんに対する指導が可能となりました。

 

がん患者

 

摂食機能又は嚥下機能が低下した患者

 

低栄養状態にある患者

 

低栄養状態にある患者とは、血中アルブミンが3.0g/dL以下である患者さん

または医師が栄養管理により低栄養状態の改善を要すると判断した患者さんです。

線維筋痛症 松本美富士(桑名市総合医療C リウマチ膠原病内科)

 

 

はじめに:

 

最初に、結論を申し上げます。

 

線維筋痛症は、心身医学的アプローチがベストです。

 

 

 

できればリウマチ疾患に詳しく、漢方や鍼灸などの東洋医学も駆使できる医療機関が最有力候補だと思います。

 

 

 

線維筋痛症患者は、原因不明のリウマチ性疾患とされてきました。

(最近、病気のメカニズムが少しずつ明らかになってきました)

 

 

身体の広範な部位の慢性的な痛みとこわばりが主症状です。

 

その他、多彩な身体、精神・神経症状を伴います。

 

 

 

そもそもリウマチ性疾患は概念が複雑なため、その説明は一筋縄にはいきません。

 

 

その代表である関節リウマチ自体は自己免疫疾患であるにもかかわらず、

 

代謝性疾患である痛風、原因不明の疾患である線維筋痛症までリウマチ性疾患に括られてしまうのですから。

 

 

 

診察所見では圧痛点のみで、一般検査所見でも異常がありません。

 

 

 

高円寺南診療所を受診される線維筋痛症の方で、とくに気の毒なのは、

様々な検査を受けて、様々な医療機関を渡り歩き、

 

 

それでも症状に見合うだけの異常が見つからないため、

家族からも医療機関からも仮病扱いを受けて苦しんでいる方たちです。

 

 

精神科を受診するように担当医からすすめられても、ご本人は精神病だとは思っていないし、そう思いたくないので苦しみます。

 

 

原因不明の痛みは体の症状であると同時に、心の症状ですから、一般内科や整形外科では扱いにくいし、精神科でも対応に苦渋しています。

 

 

心療内科を標榜する医療機関の99%は精神科医であり、心療内科専門医は1%にも満たないのが現状です。

 

 

一般の方のみならず医療従事者さえ心療内科が正しく理解できていないのは当然の結果ですらあります。

 

 

そこで、高円寺南診療所は、心療内科のモデル医療機関を目指すことに社会的使命の一つにしているのです。

 

水氣道や聖楽は、心身医学と一般社会の健全な活動との接点であるということをアピールしていきたいと考えています。

 

 

 

講演サマリー:

 

<総論>

 

線維筋痛症患者は国内での人口比1.7~2.1%と推定される。

 

線維筋痛症は疼痛伝達経路のネットワーク障害であり、脳内神経炎症による中枢感作症候群の一つである。

 

 

 

<各論>

 

  • 線維筋痛症は疼痛(視床)、うつ症状(海馬)、認知症状(偏桃体)を伴う。

 

  • 線維筋痛症の一部に抗電位依存性カリウムチャンネル複合体抗体(抗VGKC抗体)の自己抗体が検出され慢性疼痛との密接な関連が示される。

 

  • 線維筋痛症の疼痛には神経生理学的検査でoff-set現象が消失している。

 

 

 

 

痛風治療のABC 山中寿(東京女子医大 膠原病リウマチ痛風センター)

 

 

 

はじめに:

 痛風はリウマチなどの膠原病とは異なるジャンルの病気です。

 

一括りにされる理由は痛風の関節炎症状(痛風発作)がリウマチ性疾患

の一つであると認識されてきたからです。

 

高円寺南診療所はリウマチ科も専標榜しているのですが、

痛風とその原因は高尿酸血症を代謝性疾患として診療しています。

 

それは高尿酸血症を脂質異常症、糖尿病などのメタボリック症候群と

同列に位置付けているからです。

 

 

高円寺南診療所は全国的にも早い時期に関節超音波検査を導入し、

迅速な対応による初期効果を挙げてきました。

 

しかし、問題は、発作後の管理中断例が多いことです。

 

少なからざる患者さんが治療中断による痛風発作を繰り返して、そのたびに再来院されています。

 

これは痛風に限らず、発作性の病気の患者さんにありがちな傾向です。

 

激烈な痛みから解放された高尿酸血症の状態にある患者さんをどのように支援していくか、

という課題は真剣に取り組まなくてはならないと考えています。

 

 

 

 

講演サマリー:

 

<総論>

 

痛風は一般の検診項目に含まれていることから早期の薬物療法が可能である。

 

他方、難治性痛風が大問題になっている。

 

 

高尿酸血症・痛風の診療の2側面

 

1)痛風関節炎の正しい診断・治療

 

2)高尿酸血症に対する正しい認識・治療

 

 

 

<各論>

 

高尿酸血症・痛風発症に関する遺伝子の多くは尿酸の排泄を司る遺伝子である

 

関節の超音波検査は有用である

 

血清尿酸値を6.0mg/dl以下にする

 

血清尿酸値の長期適正維持により痛風関節炎の再発・腎障害の進展が防止できる

 

新薬フェブキソスタット(新規キサンチンオキシダーゼ阻害薬)が使えるようになった

 

 

腸内細菌叢と疾患のABC 竹田潔(大阪大学 免疫制御学)

 

 

 

はじめに:

腸内細菌叢が私たちの健康維持、免疫系の発達、さらにさまざまな疾患と係っています。

 

このことについては、先週の日本内科学会のダイジェストですでに紹介しました。

 

腸内細菌叢は、リウマチ学会でも取り上げられていました。

 

このテーマは、高円寺南診療所に通院中の多くの皆様に関係が深いため今後も注目していこうと思います。

 

 

 

 

講演サマリー:

 

<総論>

 

腸内細菌叢は私たちの健康維持に極めて重要な役割を担っている。

 

様々な疾患で多種類存在する腸内細菌叢の割合は健常人と異なる。

 

これをdysbiosisという。

 

 

<各論>

 

腸内には1,000種類を超える細菌種(腸内細菌叢:microbiota)が存在する。

 

腸内細菌の遺伝子(microbiome)総数は、ヒトが持つ遺伝子総数の約400倍になる。

 

腸内細菌の遺伝子産物の中に、私たちの健康維持に必要な栄養素を作り出す酵素が含まれている。

 

摂取した食物成分から腸内細菌により作り出される代謝産物は、ヒトのエネルギー源、栄養となり、

また腸管免疫系に関与する。

 

dysbiosisが認められる疾患:炎症性腸疾患、多発性硬化症、肥満などの代謝疾患、

自閉症などの神経発達疾患