取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。

症例4:集団感染 それから起きたこと


4月2日取材 北見放送局 関口祥子
新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。集団感染が起きた北海道北見市の展示会に参加していた60代の男性。激しい症状とのたたかいや感染後の苦境を明かしました。

 

症例4(その2)

第2節:数日後「なんか変だな」 
2月の18日、19日(14日、15日の展示会から約4日経過しての発症。WHOによると潜伏期は1から12.5日、多くは5~6日、厚生労働省によると14日以内としています)あたりにね、悪寒ていうのかな、寒気がする状態(ひょっとしたらアレルギー性鼻炎があって、大きな声で話をして、お酒を飲んで賑やかにするタイプの方かもしれません。漢方薬では「麻黄湯(まおうとう)」が効き易いです。もしかするとスモーカーかも。杉並国際クリニックの前身である高円寺南診療所の時代には、このタイプの方がたくさんいらっしゃいました。慢性的に鼻咽頭や気管支等の気道粘膜に炎症がある方は、それに慣れてしまって喉の痛みなどを感じないことがあります。普段から喉が荒れている可能性もあります。そういうタイプであれば、常備薬セットNo2. 金羚感冒散(きんれいかんぼうさん)が奏功します)でした。

ふだんはセーターなんか着ない(中医学・漢方では、「実証」という暑がりの体質であることを示唆します)んだけど、セーター着て仕事してたんです。なんか湯冷めするなって感じで布団に入ってもあったまんない。


熱なのかなっていうのは昼すぎから感じてた(実証の人は、体力やスタミナに自信がある人が多いが、その分、体調の変化を気づきにくいという弱点があります)

たまたまその晩、飲み会があった(アルコール摂取は、ウイルス感染症を増悪させます)

自分が言い出しっぺだったから断れなくて、焼き肉行ってすごくおいしかった(感染初期であり味覚・嗅覚は維持され、むしろ食欲旺盛、これも消化器系が丈夫な「実証」の特徴)

でも、なんか具合悪いな、なんか変だなって思って、途中でちょっとトイレ行きたくなって、どうもならん感じになって、うちにタクシーで帰ったら37度8分くらい(体温には個人差があるため、一律に37.5℃以上、といった基準より、平熱より1度以上高い状態、といった目安の方がまだ妥当であったのではないかと考えます。)をかな、発熱(この方の平熱を仮に36.5℃程度だとすれば、37.8℃もはや微熱の域を超えて中等度発熱でしょう。このよう発熱の程度の凡その目安をつけられるようにするためには、普段の自分の平熱の範囲をきちんと把握しておくことも大切です)してる。


これはかぜかインフルエンザだと思って、一緒に飲んでた友達にLINE送って。「俺発熱してるから、かかったら大変だから気を付けて」(素晴らしい対処法です!)って。LINEが返ってきて冗談で「コロナかもしれないね」(互いにそのように警戒しておくことは、更なる感染拡大を防ぐためにとても大切です。<戦略1:『自分はすでに新型コロナウイルス感染者である』という認識で行動する>)でなんて言ってね。

「間が悪いね」(インフルエンザと新型コロナの症状は、初期には区別がつかず、また肺炎になると肺炎球菌性肺炎との鑑別も必要なので、毎年のインフルエンザ・ワクチンと該当年齢に達したら2種類の肺炎球菌のワクチンは接種しておくことによって冬季の感染症の罹患リスクをトータルで低くすることができます。きちんと接種しておくことをお勧めします)ないので、っていうやりとりはしました。


僕としては嗅覚や味、そういうものは違和感なかった(鼻咽頭から上部消化管症状は維持されているタイプ)。咳や痰も全然ない(呼吸器症状が先行しないタイプ)んですよね。

ただ、下痢(下部消化管症状が顕著なタイプ⇒常備薬セットNo3. 藿香正気散(かっこうしょうきさん)の出番です。この段階で内服を始めていれば、この後の経過はずっと楽だったと思います。)

下痢と発熱。もう下痢が半端じゃない(激しい下痢に伴う、体液バランスの混乱、脱水による全身状態の悪化に伴う急性肺炎の発症に注意)

トイレに1日に5、6回は行ってるんじゃない。なんでこんなひどいのかなって。

 

24日は振替休日でしょう? けん怠感すごかったから、いつも行ってる病院に点鼻薬もらいかたがた熱を診てもらった。インフルエンザだったら嫌だから検査(私は、従来からインフルエンザキットによる検査は実施しないことにしていました。この検査が普及することによるメリットよりデメリットが多いと考えてきたからです!当り前のようにこの検査をするのが常識になっていましたが、かえって感染を拡大させている可能性を憂慮してきました。この件に関しては、いずれ改めて!)してもらったら「大丈夫、インフルでないよ」って言われたから、あーよかったよかったなんて言って。


でも25日になっても熱下がらんし(この段階で、常備薬セットNo4候補の「地竜(じりゅう)」という熱さましを使用していたら、その後もずっと楽だったと思います)

そしたら展示会の主催の会社からね、25日か26日に電話かかってきて、「コロナの患者が2人いた」(孤発例=感染源が特定できない感染者、ではないことを意味します。これは同時にクラスターが形成された可能性を示唆します)って聞いて。

これは間違いない、コロナだって確信した(この方は、とても素直に冷静なリスク判断をされているので関心です)

 

<明日へ続く>

<特集:ポルトガル再発見>

 

Diário de Notícias 

リスボンで発行されているポルトガルで最も有名な全国紙であり、内容は、政治から文化、スポーツなど多岐に渡っています。ポルトガル政府のスポークスマン的な存在の新聞です。しかし、これは単なる御用新聞以上の価値を持っているようです。

 

ポルトガルの政治の中枢を担う首相と財務大臣にまつわるニュースですが、国民とのおよび閣僚間での説明責任を果たすことが、個人的および政治的信頼(信任)に直結することの好事例であり、メディアの視点も健全です。また、新型コロナウイルスの蔓延で、いずれの国々も金融政策・経済政策・社会政策など大きな動きが出ています。このような時こそ、リーダーの説明責任が問われるところです。

 

Dia agitado termina com Costa a manter a "confiança pessoal e política" em Centeno

慌ただしい一日は、コスタ(首相)がセンテーノ(財務大臣)への「個人的・政治的信頼」を維持して終了

 

O primeiro-ministro e o responsável pela pasta das Finanças estiveram reunidos em São Bento, onde foi esclarecida a falha de informação sobre a injeção de 850 milhões de euros no Novo Banco. Após o encontro, Costa reafirmou "publicamente a sua confiança pessoal e política" em Centeno.
Susete Henriques

首相と財務省のトップがサンクトゥで会談し、新銀行への8億5000万ユーロの注入に関する情報不足が解消された。会談後、コスタ氏はセンテーノ氏について「公に彼の個人的、政治的な信頼」を再確認した。

セステ・エンリケス

 

 

14 Maio 2020 — 00:22
novo bancoPSD, BE e CDS-PP mantêm dúvidas sobre falha na informação a Costa de injeção no Novo Banco
O ministro das Finanças esteve reunido com o primeiro-ministro, em São Bento. A injeção de 850 milhões de euros no Novo Banco foi um dos temas abordados. Centeno e Costa numa espécie de abraço "à distância" que o covid-19 permite
Foto Clara Azevedo / Instagram de António Costa

2020年5月14日00:22

新銀行PSD、BE、CDS-PPは新銀行への注入に関してのコスタからの情報欠如に疑問を呈している。財務大臣(センテーノ氏)はサンクトゥで首相と会談した。新銀行への8億5000万ユーロの注入が話題の一つとなった。センテーノとコスタは、covid-19で許される一種の "距離確保モード "での抱擁で

 

Mário Centeno fica no Governo, pelo menos para já. O primeiro-ministro, António Costa, esteve reunido, esta quarta-feira, com o ministro das Finanças na residência oficial, em São Bento. O encontro aconteceu após as declarações de ambos sobre a injeção de 850 milhões de euros no Novo Banco, antes de ser conhecida uma auditoria, tal como Costa tinha prometido. Terminada a reunião, o chefe do Governo reafirmou "publicamente a sua confiança pessoal e política" em Centeno

マリオ・センテーノ(財務大臣)は、少なくとも今のところは政府にとどまる。アントニオ・コスタ首相は今週水曜日、サン・ベントの官邸で財務大臣と会談した。会議はコスタが約束していたように監査が予定されていたときより前に行われ、新銀行に8億5000万ユーロの注入に関する声明の後に行われました。会議後、政府の長(コスタ首相)はセンテーノ氏に「個人的および政治的な信頼」を再確認した。

 

O gabinete de António Costa informou, em comunicado, que se tratou de uma reunião de trabalho "no quadro de preparação do Eurogrupo" e do orçamento suplementar, que será apresentado na Assembleia da República em junho.

アントニオ・コスタ首相の執務室からの声明の中で、これが「ユーログループの準備の枠組みの中で」の作業中の会議であり、6月に共和国議会に提出される補足予算であると述べた。

 

A reunião serviu também para serem "esclarecidas as questões relativas à falha de informação atempada ao primeiro-ministro sobre a concretização do empréstimo do Estado ao Fundo de Resolução, que já estava previsto no Orçamento de Estado para 2020, que o Governo propôs e a Assembleia da República aprovou".
Fechar

会談では、「政府が提案し、国会が承認した2020年の国家予算ですでに予定されていた解決基金への国家融資の実施について、首相への通知が間に合わなかったことに関する問題点をも明らかにする」役割も果たした。

<聖楽院>

 

臨床聖楽法(聖楽療法の理論)

 

聖楽療法の体系構成

 

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にしました。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

それでは、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」のアジェンダを示します。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

第4章 臨床聖楽法における芸術音楽の価値

 

第5章 臨床聖楽法の理論的根拠、実践、意味

 

第6章 音楽療法モデルにおける臨床聖楽法の考え

 

第7章 現代の音楽療法の枠組みにおける臨床音楽法の考え

 

今月は引き続き第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

をすすめていきます。

 

 

前回までは媒体としての音楽―臨床聖楽法理論の一つの基礎

というテーマでした。

 

今回から新しいテーマに入ります。

 

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

音楽中心の実践の核としての芸術音楽活動

 

音楽中心アプローチの主な焦点は、クライエントをミュージッキング(音楽を演奏すること)の状態に導くことにあります。エリオットは、音楽演奏におけるミュージッキングは、意図的な人間の活動の一つの特定な形であるとし、また、音楽を演奏するということは、注意深い意図的な活動であると述べています。そして、エリオットの信念では、「音楽は多様性を持った人間の活動であり、直接的な意味でも間接的な意味でも、聴覚的・時間的なパターンを構成し、主に喜び、自己成長、自己を知ることの価値を創り出すものであり、自己の成長、自分を知ること、楽しみの時間を持つということが、人間が音楽をする主要な理由であり、ミュージッキングとは人間の体験の中でも最も価値のあるものだ」とします。

 

ミュージッキングには、自己を組織し強化する活動が含まれており、人間としてこのような欲求を反映する活動に係ることを私たちは目標とします。その背景には、わたしたちが自己を成長させるという基本的な欲求と一致する活動に、楽しみや意味を見出だそうとすることが考えられます。

 

アイゲンは、音楽とは一つの体系的な知識の「情報に基づいた」活動であり、ミュージッキングには知識を行動に移すことが含まれ、しかもその知識は内在的なもので「行動の中の知識」というシェーンの表現を借用したうえで、ミュージッキングしているという意味は、他の方法では確認することのできないクライエントの認知的能力が存在することであるとしています。これは、クライエントが音楽に対して何らかの意味のある関わりをしている状態を意味します。アイゲンは、音楽療法も音楽を創り出し体験することを目的としているとしたうえで、臨床的な技とは、「クライエントがミュージッキングの状態を体験できるように援助する方法」であり、「非臨床的な状況で音楽家がミュージッキングするのと同じようにクライエントがミュージッキングを体験できるよう、その障害となるものをうまく取り除いてやること」なのである、とまとめています。この考え方は、臨床聖楽法の立場と全く一致しています。

 

音楽中心の実践では、セラピストは音楽の流れ(フロー)に従います。それはフロー体験あり、自己の発展をより複雑なレベルの自己の組織化に導くことによって達成します。そしてアイゲンはミュージッキングをフロー体験の一つの例であると指摘します。それは「音楽を創造すること自体が、そこに内在する情報化された知識の産物である」という信念があるからです。そして音楽中心の立場は、音楽的な活動の中に知的プロセスを見出そうとします。

 

臨床聖楽法は水氣道の稽古実践の中での着想にはじまるものですが、水氣道の稽古のプロセス自体が音楽のような流れ(フロー)に従うものであることが想起されます。

 

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。

症例4:集団感染 それから起きたこと

 

4月2日取材 北見放送局 関口祥子

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。集団感染が起きた北海道北見市の展示会に参加していた60代の男性。激しい症状とのたたかいや感染後の苦境を明かしました。

 

症例4(その1)

 

第1節:“クラスター(註)”の現場で 

註: “クラスター”とは厚生労働省によると、「1カ所で5人以上のつながりのある感染者が出たケース」と定義されます。新型コロナウイルスがヒトからヒトへと感染するときには、共通の感染源があるとされ、この5人以上の感染者の集団は共通の感染源(ヒト、場所、時間等)を持つことを前提として分析しているようです。


しかし、共通の感染源によるものと強く推定できるのは国内感染初期のみではないかと思います。なぜならば感染から発症までの経過は各人でまちまちであることが多く、感染経路を1か所のみに特定することは容易ではないのではないかと私は考えます。共通する1か所のみで発生したというのも推定に過ぎないということになるはずです。

 

またクラスターは規模に応じて分類されています。感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団は「小規模患者クラスター」といいます。また、こうしたクラスターの中の感染者数が50人以上になると「メガクラスター」と呼びます。

 

・・・・・・・・・・・・

 

北見市で電化製品の販売店を営む男性。2月14日と15日(北海道の網走支庁の中心都市ですが北国の、しかも厳寒期です。インフルエンザをはじめとするウイルス感染症が流行しやすい時期です)、のちに11人の感染が確認(小規模患者クラスターに分類されます)される展示会に参加していた
合同展示会って言って、案内状出して招待して、品物見てもらって、相談にのって(「密接」の要件に該当か?)買っていただくってかんじですね。会場は広くて体育館くらいあるかな。長い机あるでしょ。それを4つくらいをひとかたまりにして、そのスペースを20個くらい(「密集」の要件に該当か?)作ってって感じ。


お客さんを招待する時間は午前10時から午後5時。2日目は商品の片づけとかあるから10時から午後4時半くらい(長時間同じ場所⇒感染リスク高)かな。


会場内ざわつきがありますからね、声のトーンはこういう会話よりは大きい(大声⇒感染リスク高)。対面のお客さんと1メートルは離れて(現在では社会的距離2m以上が推奨されています)いますが、大事な話になるとぐーっと寄って話しますね、価格の交渉とかそういうときは。ふだんの商売と同じですね。それは結構、密接な距離になると思います。まぁ30人から50人くらいとは話してるんじゃないですかね。


3密ですか? 密接、密閉に、密集か。それにはあたってない気がする(残念ながら誤解のようです)、広いから(広さは相対的な概念に過ぎません。30人から50人と長時間に及ぶ大きな声での会話、ということが3密に繋がるという総合的な理解が必要です)。換気はしてない(「密閉」に準じる環境と考えるべきでしょう)よ。体育館みたいに広いから。僕のイメージ(イメージに頼りすぎて、言葉の意味を深く理解しておかないと、根拠の乏しい先入観によって正しい判断を妨げてしまいがちです)する密閉はスナックとかですけど、ああいうところを想像するからどうしても違うかなって。


展示会の会場 消毒が行われた

コメント:窓開かず、換気のない中で大勢でしゃべる職場の窮状を訴える人も少なくありませんが、同調圧力に屈してしまいがちなのが日本人のようです。ですから、厚生労働省からの以下のメッセージだけでは不十分であるということです。
「国民の皆さまへのお願い. ◇ 換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まる.ことを避けてください。」

 

そこで、改めて強調されているのが濃厚接触・濃厚接触者という概念です。

 

濃厚接触者とは感染した人との距離の近さと時間の長さなどで総合的に判断されます。濃厚接触かどうかを判断する上で重要な要素は二つあり、➀距離の近さと➁時間の長さです。必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(目安として2メートル)で一定時間以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられます。

 

<明日へ続く>

<統合医学(心身医学・漢方医学)カンファランス>

日本感染症学会特別寄稿

 

感染症に対する漢方治療の考え方
金沢大学附属病院漢方医学科 小川 恵子

 

3.軽症型

軽症型は、「症状が軽く、画像では肺炎症状が出ていない。」と定義され、倦怠感が主体です。

 

①胃腸の不調を伴う場合
藿香正気散(かっこうしょうきさん)
日本のエキス製剤にはありませんが、香蘇散+平胃散(左 2 剤を一緒に服用)で代用できます

 

②発熱を伴う場合
中医学では、悪寒がない場合は「温病(うんびょう)」 と考えて治療します。
金花清感顆粒、連花清瘟 (顆粒)、疏風解毒膠嚢(顆粒)
これらもエキス製剤にありませんが、黄連解毒湯、もしくは清上防風湯、もしくは荊芥連翹湯、もしくはこれらの組み合わせで代用することができます。

 

③悪寒を伴う場合(日本漢方の考え方)
中国では、日本ほどには葛根湯などの麻黄剤が感染初期には用いられないようですが、寒湿邪による病態と考えると、下記が日本人の病態にはあっていると思われます。
エキス剤: 通常は健康な成人や小児 葛根湯、もしくは麻黄湯
高齢者や倦怠感が強い患者は麻黄附子細辛湯
葛根湯は、インターロイキン 1a の産生を抑えたり、 インターロイキン 12 を産生することにより過剰な 肺炎を防ぐ可能性が期待されています。

ここからは、中医学用語が多く出てきますが、わかりやすく説明しました。

 

大切な概念、「邪」は、病気を引き起こすとされる原因全般を言います。中医学では、「邪」の性質によって治療を決めるので、下記ように分類されていますが、主に臨床症状に注目していただければよいと思います。舌の所見も参考として引用しました。

 

 

杉並国際クリニックからの追補

小川先生は、日本漢方について言及しています。これはとても有意義な解説です。

ところで、すべての漢方薬の基本となっているのは45桂枝湯(ケイシトウ)であるとされます。

 

桂枝湯の構成生薬は5味で、以下のキャストです。
(君薬)桂枝、(臣薬)芍薬、(左薬)甘草、(使薬)生姜、大棗

 

オペラ「桂枝湯」のタイトルロール(主役ならぬ主薬です)をはるのはソプラノの桂枝さんです。この漢方薬は、体力が衰えた時の風邪の初期に用いますが、首や肩が凝り、熱っぽくなっても発汗しないような場合には、葛根湯が効きます。

 

これに対して、1葛根湯(カッコントウ)は、

(君薬)葛根、(臣薬)麻黄、(左薬)桂枝、芍薬、(使薬)甘草、大棗、生姜

 

これは、桂枝湯をベースにして葛根と麻黄を主剤にした処方です。

 

オペラ「葛根湯」の主役はメゾソプラノの葛根姫、彼女の甘く柔らかい歌声で頭痛や肩こりはほぐれてきます。しかも、相手方はウイルスと戦ってくれる頼もしいが強面の魔王(麻黄)です。

 

 

また、27麻黄湯(マオウトウ)は、
(君薬)麻黄、(臣薬)桂枝、(左薬)杏仁(使薬)甘草
 これは、麻黄を主剤とした4味のみのシンプルな舞台構成です。

 

これは、どちらかというと能舞台、しかも能の五番目物、すなわち鬼畜物。

 

演目は「魔王(麻黄)」鬼や天狗といった荒々しく威力のあるものが仕手となるからです。

 

配役は、シテ麻黄、ワキ桂枝、シテツレ杏仁、ワキツレ甘草
麻黄湯の適応:感冒、関節リウマチ、喘息、インフルエンザ(初期)

 

【悪寒、発熱、頭痛、腰痛があり、自然に汗が出ないものの諸症】

 

杉並国際クリニックは、漢方の他にリウマチ科やアレルギー科を専門標榜しているので、関節リウマチや喘息の症例が豊富です。

 

そのような患者さんには水氣道®で心身を鍛錬することをお勧めしています。そのせいもあって風邪をひきにくくなり、万が一風邪をひても、この麻黄湯を2,3日内服していただけば、たいてい完治し、喘息やリウマチも軽快していきます。

Sanidad
Crisis del coronavirus

健康
コロナウイルス危機

 

La realidad de la pandemia en las funerarias: "Hay muchos más muertos de los que dicen"

葬儀場のパンデミックの現実:「彼らが言うよりも多くの死者がいる」

 

• VÍCTOR MONDELO
@VMondelo
Barcelona
Actualizado Sábado, 25 abril 2020 - 09:51
El sector funerario está convencido de que la mortandad por el coronavirus acabará superando, en mucho, lo que reflejan las estadísticas oficiales del Gobierno

葬儀業者は、コロナウイルスの死が政府の公式統計を大きく上回ると確信している

 

Pese a su evidente aportación a la hora de dar publicidad a fallecimientos que el Gobierno no estaba admitiendo, las funerarias consideran que la Administración cuenta con herramientas propias para contabilizar los fallecidos sin tener que trasladar esa responsabilidad a los tanatorios. «Nos resulta altamente sorprendente que tengamos que ser la fuente de información oficial del número de fallecidos», confiesa Sánchez, que tilda la decisión de Cataluña o de la Comunidad de Madrid de «surrealista» y se pregunta por qué no se acude a los Registros Civiles para conocer el número real de fallecidos, ya que todo certificado de defunción tiene que estar en su poder y, por tanto, en manos de la Administración.

政府が認めなかった死の宣伝に対する彼らの明らかな貢献にもかかわらず、葬儀場は、行政がその責任をタナトリオに移されることなく亡くなった方々の説明するための独自のツールを持っていると考えています。「私たちが死者の数に関する公式の情報源でなければならないことは非常に驚くべきことです」と、サンチェスはカタルーニャやマドリードのコミュニティの決定を「シュールレアリスム」と呼び、すべての死亡証明書を所持している必要があるため、なぜ民事記録が実際の死者数を知るために使用されていないのか疑問に思っています。したがって、管理の手で。

 

«El rigor de nuestros datos es limitado. Somos funerarios, no médicos, y transcribimos lo que ponen los médicos en el certificado de defunción. Enviamos los positivos y los sospechosos a la Generalitat, que es quien hace la criba», cuenta el presidente de Asfuncat. «Algunos partes te indican 'Covid'; otros 'Posible Covid'; y otros, patologías compatibles, como neumonía o disnea», pero nosotros sólo podemos reflejar lo que pone literalmente, completa el portavoz de Mémora. De ahí que la estadística de la Generalitat incluya 521 muertes «no clasificables por falta de información».

「当社のデータの厳格さには限界があります。私たちは医者ではなく葬儀屋であり、医師が死亡証明書に記載したものを書き起こします。私たちは、画面を行うジェネラミタットにポジティブと容疑者を送ります」と、アスファンキャットの社長は言います。「一部分はあなたに『新型コロナ感染症』と言います。他の「新型コロナ感染症の疑い」。その他、肺炎や呼吸困難などの互換性のある病理」が、私たちは彼が文字通り入れるものだけを反映することができます、メモラのスポークスマンは完了します。したがって、ジェネラリタット統計には「情報不足のために分類できない」521人の死亡が含まれています。

 

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。


症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半

 

4月4日取材 社会部 山屋智香子
集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。

 

症例3(その10)

第10節:今も続く苦悩 それでも夫のために語った

 

妻は自宅にささやかな祭壇をつくり、毎日手を合わせている。今も周囲には、クルーズ船に乗船していたことさえ、ほとんど話していないという

 

とにかく、「ダイヤモンド・プリンセス」と言っただけで引いちゃうからね、人は。私、循環器内科にかかってて、先生に、「ダイヤモンド・プリンセスに乗ってたんです」って言った途端に、先生がヒューっとのけぞっちゃって(この当時はともかく、現在であれば、事前に主治医に連絡してから受診していただくことになります。)だんだん、だんだんこう椅子が遠くなってっちゃう(患者さんにとってはショックだと思います。しかし、医師としては、むしろ当然の責任ある対応です。)のを見てね、ああそうなんだ。

医療関係者でもそうなんだ、治ってるって分かってても(残念ながら、Covid-19感染症の感染性、治癒確定、再発、予後などについては、現在に至ってもほとんど定かではありません。)そうなんだと思って。

それでパソコン打ち込んでる看護師に、「怖い?」って聞いたら、「うん」って言ってたから、やっぱり怖いんだなっていうふうに思ったし。

 

だから、本当にここで、いないふり。ひとさまと会話をしないというかね。そんな生活してますよ。やっぱり公にできない。治っていても、やっぱり受け入れてもらえないというか。
 

絶対に自分が感染源になりたくないと思う(その気持ちは貴いです。医療従事者であれば、なおのことです。しかし、医療従事者ですら自分が感染源になっているのかどうかも知ることができずに診療を続けているのが現状です。ですから、まず、すべての人が自分も感染者であると仮定して行動を自粛しない限り完全な収束は見込めないということになります。パンデミックを引き起こして完全に排除できたウイルスは天然痘だけなのですから。)から、もう1度病院でレントゲンを受けたり、血液検査もしたりして。

それでもうOKとなっても、やっぱり何か安心できない人たちがいるということが、これをどういうふうにすればいいのか分からない(ご尤もです。専門家でさえも明確な回答を出すことができずにおります)んですよ。


なぜ取材を受けたのか、妻は最後にこう語った
現実こうなんですよっていうことを伝えたいと思ったのは、彼が生きて、いきいき生きていて、それでこういう病気にかかって、苦しんで苦しんで頑張って。40日も頑張ったんだから、それも伝えたかったし。それからお骨を拾いたいという人はいたと思うけど、声かければね。

でも、声をかけることもできない。

そんなふうにして、彼が生きていたことを抹消されてしまう。そういう歯がゆさというか悔しさというか、それもありましたね。
彼がクルーズをすごく楽しんで、思いがけないコロナウイルスに侵されて。そして苦しんで逝ったさまも、船の中の実態も知ってほしかったし。そういうことがあんまりテレビなんかでは出てこないし。

 

私の本当に一個人の経験だけれども、それを伝えたかった、知ってほしかった。

だから、まだまだすごい生傷が残ってて、何か血が滴るような感じがするけれども、それでもあえて話をしたいと思いました。

かさぶた剥がして血が出るみたいな、そういう思いをするけれど。それでもあえて彼のために、そうしたいと思ったの。(ありがとうございました。亡くなられたご主人のためばかりでなく、多くの皆様のための貴重なレポートを提供してくださいました。御主人のご冥福を心よりお祈り申し上げると共に、感染症を乗り越えても心に深い傷を負われた皆様への支援の在り方も含め、いただいた教訓を実効性あるものとして役立ててまいりたいと思います。また、今後もお健やかにお過ごしくださいますように。)

 

(4月4日取材 社会部 山屋智香子)

 

<この項終わり>

Il Veneto che lavora col virus Qui si "costruisce" la Fase 2
ヴェネト、ここではウイルスと共存して働き(流行の)第2相を「構築」する

 

In Veneto il 40 % delle imprese di fatto lavora. Il Giornale.it è andato a documentare questa realtà. Ieri Zaia ha firmato la nuova ordinanza: via libera alla vendita da asporto, cimiteri e fiorerie aperte e manutenzioni da diportismo.

ヴェネトでは、事実上40%の会社が稼働している。イル・ジョルナーレ紙はこの現実を報告した。昨日ザイア知事は新条例に署名した:

 

Serenella Bettin - Sab, 25/04/2020 - 22:44
A Campodarsego invece, un comune in provincia di Padova, proseguendo il nostro viaggio lungo la strada del Santo che conduce a Castelfranco Veneto, lo storico Baulificio Italiano Sorelle Roncato, in piedi dal 1950, fa borse, valigie, zaini; ora ha riconvertito la produzione in visiere per personale sanitario e pannelli. “Stiamo facendo le visiere con il materiale delle borse con cui avremmo dovuto far le borse per quest'estate”, ci racconta Federica Roncato, la responsabile marketing e comunicazione. Anche la mamma Marisa, che lavora nell'azienda ci spiega come realizzano i divisori in policarbonato plastico. “Stiamo producendo pannelli per uffici, aziende e per le catene di montaggio – dice - sono dei divisori che ci vengono richiesti su misura da mettere tra una postazione e l'altra. Noi produciamo valigie e usiamo questi materiali”.

一方、カンポデサルゴはパドヴァ市(註:ヴェネト州の都市)の自治体で、そこは我々がカステルフランコ・ヴェネトに通じるサント街道に沿って旅を続けるなかにある。そこには1950年から営業している歴史的なバウリフィシオ・イタリアーノ・ソレル・ロンカトがあり、バッグ、スーツケース、バックパックが作られている。しかし、現在は、生産を医療従事者やパネル用の覆い(シールド)の生産へと転換した。「今年の夏向けのバッグ用に使われるべき作るべきバッグの素材で顔の覆い(フェース・シールド)を作り続けているところです。」とマーケティングとコミュニケーションの責任者、フェデリーカ・ロンカートは言う。同社で働く彼女の母親のマリサも、プラスチック製の耐熱性樹脂の仕切りの作り方についても説明してくれる。「役所や企業のためのパネル、建設用の鎖を生産していますーそれらはある一つの配置ともう一つの配置の寸法に合わせることができるような間仕切りです。私たちはスーツケースを作っていたのですが、その素材を利用しています。」と言う。

 

Andiamo a Riese Pio X invece, dove la Steelco Group, già il 27 gennaio, aveva emanato il protocollo emergenza Coronavirus. “Stavamo annusando questo pericolo – dice il presidente Fabio Zardini – già a gennaio avevamo le mascherine, le notizie che continuavano ad arrivare dal nostro distributore in Cina facevano pensare a un pericolo sempre più crescente. Il distributore di Pechino ci diceva che la situazione lì era assai grave e quindi il 27 gennaio abbiamo attivato la prima procedura interna di gestione del virus. Questo prevedeva anche che chiunque tornasse dall’estero e avesse sintomi, dovesse stare a casa per due settimane, in più mascherine per tutti”. Nello stabilimento di Riese sono in 380, il gruppo ne conta in tutto 680, e le mascherine finora ordinate sono 75 mila.

私たちは、これに替わってリーゼ・ピオ・Xへと向かう。そこでは、すでに1月27日にスティールコ・グループがコロナウイルス緊急プロトコルを発行していた。ファビオ・ザルディーニ大統領がこう言う。「私たちはこの危険を察知していました。すでに1月に私たちはマスクを持っていました。中国の業者から次々と届いたニュースはますますの危険を示唆していました。北京の業者は、状況は非常に深刻であると私たちに言ったので、1月27日に我々はウイルスを管理するための最初の内部手順を積極化しました。また、海外から帰国した方は、誰でも2週間の間、自宅待機し、加えて全員がマスクを着用する必要があります」リーゼ工場では380人、グループ合計680人で、これまでに注文されたマスクは75,000枚である。

 

 

コメント:

この記事を読むまでは、イタリアの大統領が武漢の新型コロナウイルス発生に対して早期から警戒して対策を練っていたとは知らず、とても意外でした。

また北京から続々と情報が届けていたとは、北京筋は、とても御親切様な印象さえ与えます。しかし、少しよく考えてみると、中国にとってはすべて計画通りで、イタリアは中国から、まんまと75,000枚ものマスクを買わされる羽目になった、ということが真実なのかもしれません。

そういえば「一路一帯」の甘い誘いに乗った国々は、多かれ少なかれ、イタリアと同様の顛末をたどっているので、何とも不気味で後味の悪いお話です。

いまだにオレオレ詐欺に引っ掛かる老人の被害者が後を絶たないという、お人好しの「カモ」集団と国際的にもみなされている日本も、いっそうの警戒を怠ってはなりません。

膵がん診断までの検査

 

症状あるいは危険因子から膵がんを念頭に置いて2段階の画像検査を進めることからはじます。そして、最終的には細胞診あるいは組織診による病理学的診断により診断を確定します。

 

 

第1段階:超音波検査

超音波検査で明らかな所見が得られなくても、症状が続く場合や膵酵素や腫瘍マーカーの上昇を認める場合は、第2段階の造影CT検査などで確認することが勧められます。

 

まず早期診断のためのスクリーニングとしては、保険診療上抵触しない1)血中膵酵素測定や2)腹部超音波検査を十分に活用することが現実的です。

 

1)血中膵酵素としてはアミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼ1が重要です。

これらの検査は膵がんに特異的でなくても、下記のように早期診断に有用です。

・異常高値の場合は、膵液うっ滞、癌随伴性膵炎

・異常低値の場合は、膵組織の荒廃
       

なお、膵がんに多い膵頭部癌(約60%)では、直接ビリルビンや胆道系酵素(ALP、γ-GTP)が上昇するので検査項目に加えています。
      

膵がんでは膵臓からのインスリン分泌が低下するため、尿糖の検出、血糖の上昇、HbA1c高値となる場合がありますが、これらはルーチンに行っているのでスクリーニングに役立っています。また75グラムブドウ糖試験では糖尿病パターンとなります。

 

2)腹部超音波検査は、膵がんのスクリーニング検査として不可欠であるため、広く普及しています。まず、腫瘍の存在確認ですが、2㎝以下の膵がんでも約80%は腫瘤像や嚢胞を認めることができます。多くは低エコーで、内部エコーは不均一であるという特徴をもっています。それに加えて、主膵管の拡張所見を膵尾部にて発見できれば、膵がん発見の糸口になります。

 

杉並国際クリニックが関与できるのは、この段階までですが、逆にいえば、この段階で手掛かりがつかめない限り、患者さんの生命を救うことは困難である、ともいえます。

 

 

第2段階:造影CT、造影MRI検査、超音波内視鏡検査(EUS)

これらの検査を必要に応じて組み合わせて実施します。
膵がんが疑われCTなどでも否定できない場合には、超音波内視鏡検査(EUS)を行う必要があります。EUSは膵がんの存在診断の感度が他の画像診断より良好だからです。

 

 

病理学的確定診断:細胞診、組織診

悪性腫瘍は特に非切除治療を行う場合は治療の適否や薬剤の選択など、病理による確定診断を行うことが基本原則です。しかし、膵がんの場合、膵腫瘍からの組織や細胞採取が難しく、病理診断が行われないまま治療に進まざるを得ないことが少なくありません。そこで膵腫瘍の病理診断は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)による膵液採取による細胞診、あるいはEUS下穿刺吸引法(EUS-FNA)や体外超音波下での組織生検が推奨されます。

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ4症例の研究

 

新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。

 

以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は緑文字として区別しました。


症例3:結婚記念日のクルーズ船旅行が… 夫を失った妻が語る1か月半


4月4日取材 社会部 山屋智香子

集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に乗船して夫婦ともに感染。夫は発症から1か月半で亡くなりました。妻は「夫の死を無駄にしたくない」と感染症特有の怖さと無念さを明かしました。初めて語ったという経験をできるだけ詳細にお伝えするため、インタビューを一部整理した上で紹介します。

 

症例3(その9)

第9節:死後も続くウイルスの残酷さ

夫のなきがらはすぐに特殊な袋に納められた

<新型コロナウイルス感染症の被害者は、生前からすでに
人間としての尊厳を著しく傷付けられているというお話です。>

長い間そこに置いとくわけにはいかないっていうことで、葬儀屋さんが、防護服に身をかためて、透明の袋に入れて霊安室に運んでくれたのね。

霊安室で祭壇みたいなのを作ってくださって。そこでは手を合わせるだけでしたけど。すぐにお棺に入れて蓋をしてしまう。

 

「あす23日に火葬にします」ということで。それも普通だったら霊柩車に一緒に乗るでしょう?家族は。でも、それもできない。

私と夫の兄がタクシーで先に行っていて、それからお棺を乗せた霊柩車が後から来て、それで火葬に付す。火葬屋さんも、ものものしいいでたちで。(このような対応ができる専門業者がなければ、日本全体の感染症蔓延はさらに激化していたのではないでしょうか。今後は、平時から葬儀業者に対する感染症対策指導を徹すると同時に、プロフェッショナルとしての意識を高めていただく必要があるでしょう。)

 

私たちが火葬場に着いたときには、他の全てのお葬式が終わって、本当にがらーんとしたところで。そこにお棺が運ばれてきて、お焼香。お焼香と言っても、お棺の窓が開くわけではないから、単純に私と夫の兄と2人でお焼香をして。終わった途端に、

「では火葬場に行きます」ということで窯の前に行って、彼のお棺が入っていく。私たち2人しか見送り人がいなくて。

何か、本当にかわいそうで、悲しくって、こんなふうにして焼かれてしまう。

何かもう、気が遠くなりそうでしたね。かわいそうだった。

本当にかわいそうだった。

こんな経験って初めてだし、こんな悲しいこと、こんな寂しいことあるんだろうかと思って。

 

それで無情に窯の蓋が閉められて。

「あちらで1時間半ぐらい待ってて下さい」って言われて。

誰もいないところで、2人で待ってましたけどね。

できるだけ人数少なくしてくださいというふうに言われていたから。

葬儀屋さん、それから、病院からも言われてた。

とにかく「人数をしぼって下さい、5人以下にしてくれ」というふうに言われて。

 

お骨になるのを待っていたら、ご近所の方が「お骨だけは拾いたいから」(このご夫婦の日頃のお人柄が偲ばれます。それにつけても、献身的に新型コロナ診療に従事している医療従事者が近隣から締め出しを食らっているばかりでなく、攻撃を受けているという、実に寂しく悲しい現実が毎日報道されている現実があることも冷静に受け止めなければならないと思います。)てって言って来てくださって。

たった1人なんだけれども、それがどのぐらいありがたいと思ったかね。

2人っきりじゃなくて、もう1人増えたのは本当にうれしかったです(患者や家族、そして医療従事者を孤立させないこと!これが教訓です。日本においいては地域共同体が崩壊して久しいといわれますが、たとえ形が変わっても互助の精神文化は貴重な財産として受け継いでいきたいものです)

 

<明日に続く>