<高齢者の医療費②>

前回に引き続き医療費負担の件です

 

まずこちらをご覧ください。

 

厚生1

 

平成29年7月に厚生労働省から発行された

「どう変わった?高齢者の医療費と保険料」の表です。

 

内容は

①29年の4月に75歳以上の方で、年収153万以上の方の保険料が上がる。

 

②同年8月から70歳以上の方で、年収56万以上の方の「自己負担分の上限」が上がる。

 

 

とうことを図で説明したものです。

 

複雑でよくわからない図になっています。

 

複雑にすることで「よくわからないよ!!」と思考停止させることが目的なの?

そう考えてしまうほどです。

 

しかもこの情報の管理を医療機関がする必要があります。

 

年収によっての区分は医療機関にとって不要なものです。

保険者などで一括管理してもらいたいと考えています。

 

 

正直なところ、プライバシーの侵害にあたらないか?と考えています。

 

医療機関に年収が知られてしまうこで、患者の皆様にデメリット発生するのでは?

と心配してしまいます。

 

 

ただ当院のドクトル飯嶋は、こういった誰がどのくらい稼いでいるか等には全く無頓着です。

どのぐらい儲けがあるかなどは、全く考えていません。

 

ですので、必要な医療を必要な方へ、ということのみを考えて診療しています。

 

 

「安心してください!見えて(見て)ませんから!」

byドクトル飯嶋

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです。

 

心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問13」

認知症で精神科にかかっていますが、呼吸器、循環器、消化器などの不調を訴えていますが、心療内科で診て頂けますか?

 

「答え」

認知症の方が身体症状を訴えた場合、幾つかの点に留意する必要があります。

 

まず、認知症の重症度です。

 

認知症が軽度から中等度ならば身体症状をほぼ正確に訴えることができるのですが、高度の場合は自分の身体症状を適切に訴えることが難しくなります。

 

高度認知症では言葉によるコミュニケーションをとるのが困難だからです。

 

ただし、高度認知症であっても咳・痰、食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢・便秘、頻尿などの兆候や、しかめ面、うめき、頻回のナースコールなどといった不快感を示唆する行動があると身体症状のあることがわかります。

 

また、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)として拒食、過食、不眠、大声だしなどの症状があると、身体疾患がなくても何らかの身体疾患があるのではないかと疑われることもあります。

 

さらに、甲状腺機能低下症、ビタミンB1欠乏症など認知症様症状を来す身体疾患があります。

 

この場合はそれぞれの疾患の身体症状を伴います。

 

認知症の方の身体症状の評価は必ずしも容易ではありませんし、身体疾患の有無を検査で確かめるにしても患者さんの協力を得られるとは限りません。

 

さて、心療内科は心身症の患者さんを対象とする内科であります。

 

認知症の方でも環境の変化や様々な心理的ストレスに曝されると身体疾患を発症したり、身体疾患の経過に影響のでることがあります。

 

このような患者さんは心療内科医が診断し、保険適用のある心身医学療法を用いるのがよい場合もありますので精神科の主治医とご相談の上、受診されることをお勧めいたします。

 

ただし、高度認知症では心身医学療法を行うことが難しいでしょう。

 

なお、精神科に入院している患者さんを内科・外科医が診察・治療にあたると、心疾患、糖尿病、肝硬変、骨折など幾つかの特定の疾患について精神科身体合併症管理加算が保険診療で認められております。

 

(佐々木大輔)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

精神科と心療内科の併診というケースは、認知症に限らずに日常的に増えています。

 

「質問13」の質問者が認知症だとしても、精神科と心療内科の違いが理解できる高度な知的水準を維持しているものとの推定が可能です。

 

回答者の佐々木大輔先生がコメントしているように、認知症が軽度から中等度ならば身体症状をほぼ正確に訴えることができますが、相談者の認知症の重症度が高度であるとは考えにくいです。

 

まず、言葉によるコミュニケーションをとるのが困難ではなさそうです。ですから、この方の身体症状の評価は特別に難しそうではないし、身体疾患の有無を検査で確かめるに際してして必要な本人の協力も十分に期待できそうです。

 

そこで、この質問者への回答は、ずばり、「あなたを心療内科で診させていただくことは可能です。」ということになるでしょう。

 

 

私は、この質問者は認知症としてより、むしろ軽度認知障害としての可能性を考えます。

 

認知症ですでに精神科に受診中であるとすれば、少なくとも認知機能は低下していることでしょう。

 

しかし、認知機能が低下した状態には、正常とも認知症ともいえない状態が存在することが知られています。これを「軽度認知障害」(mild cognitive impairment : MCI)と呼びます。

 

MCIの背景となる病態は多様で、認知症疾患の前駆状態として出現するほかに、他の脳気質異常や代謝・内分泌異常など身体疾患が基盤になることもあります。

 

なお、うつ病などの精神疾患による認知機能低下をMCIに含めるかどうかは、診断基準によって扱いが異なります。

 

この質問者は精神科受診中であり、うつ病が原因で認知機能が低下して認知症と診断されている可能性は完全には否定されません。

 

その理由は、診断基準によっては、MCIもしくは認知症に該当する可能性があるからです。

 

さて、佐々木先生は、「心療内科は心身症の患者さんを対象とする内科であります。」と述べておられますが、それでは認知症は心身症なのでしょうか。

 

認知症は心身症とは区別されるのが普通です。

 

認知症は成人におこる知能障害で、多くの場合、脳の器質性病変を基礎に持っています。

 

これに対して、心身症は「身体疾患の中で、その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないしは機能的障害が認められる病態」をいい、原因はともかく身体の病気であることが前提です。この場合の身体とは、脳の器質性病変は除外して考えるのが通例です。

 

しかし、脳も身体の一部を構成する臓器であり、脳を含めて体であると考えることも不可能ではなく、実際に、神経内科では脳を臓器として、つまり身体の一部として扱っています。

 

このように考えていくと、認知症を心身症から完全に切り離して考えることは難しいように思われます。

 

また、佐々木先生のコメントでもあるように、認知症の方でも環境の変化や様々な心理的ストレスに曝されると身体疾患を発症したり、身体疾患の経過に影響が現れたりすることがあります。そのような症例では、経験豊富な心療内科専門医が大きな役割を果たすことが可能です。

 

心療内科専門医に求められるのは、まず軽度認知障害(MCI)の早期診断だと思います。

 

2011年に米国国立老化研究所とアルツハイマー病協会はMCIは臨床症状で判断するとして、以下の診断基準を示しました。

 

①   患者、家族、医師によって以前より明らかに認知機能が低下していることが確認される

 

②  記憶、遂行機能障害、注意、言語、視空間機能の領域の1つ以上で年齢や教育歴から予想されるレベルより明らかに低下していることが確認される

 

③ 複雑な仕事は以前より難しくなっているが、日常生活では自立していること

 

④  認知症には至っていないこと

 

とくに、②ではエピソード記憶障害がある場合は、アルツハイマー型認知症へと進行する例があるので注意

 

なお、佐々木先生も触れていますが、認知症に伴う行動・心理症状(BPSD)についての観察を怠らないことも大切でしょう。

 

より厳密には神経心理学的評価を行いますが、年齢教育歴平均の1~1.5SDの他覚的認知機能低下の存在が指摘されています。高円寺南診療所でもMMSE検査は導入していますが、CDRの他に、今後はモントリオール認知評価(Montreal Cognitive Assessment : MoCA)の導入も検討中です。

 

 

最後に、認知症の薬物療法・非薬物療法の原則について

 

多くの認知症では、薬物療法・非薬物療法のいずれにおいても根本的治療はありません。

 

そこで、生活の質(QOL)を損ねている要因に着目して治療を行うことで、効果を挙げることができます。非薬物療法では本人が参加して楽しく思えるものでなくてはなりません。ただとえば、アルツハイマー型認知症などでみられる多くのBPSDは、認知機能トレーニング、運動療法、音楽療法に代表される非薬物療法によるケアアプローチを試みることが大切です。

 

高円寺南診療所が開発した水氣道や聖楽院(声楽療法)は、最初から認知症の治療を目的としたものではありませんが、軽度認知障害(MCI)の段階での早期発見や発症予防を含めて大いに役立てていきたいと考えています。

 

今回は氣の種類について学んでいきましょう。

 

 

1.原気

親から受け継ぎ腎に貯蔵されたもので生命活動の原動力です。

 

 

2.宗気

肺で後天の精と大気中の氣が合わさって胸部に集まる氣です。

 

 

3.営気

後天の精が元になっている氣です。水を血に変化させて血と一緒に脈中を循環し臓腑や手足を栄養します。

 

 

4.衛気

体表近くを循環し体を温め、皮膚の収縮と弛緩させて外邪(がいじゃ)※から身を守ります。

 

 

5.真気

人体の正常な活動を支えます。

 

 

※外邪ー外(外気)から侵襲した邪気の総称で、風邪、暑邪(熱邪)、火邪、燥邪、湿邪、寒邪があります。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

漢方治療に関しては慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられているので独自のコメントを付して紹介して参りました。

 

これに引き続き、富山県立中央病院 内科和漢・リウマチ科-Q&Aをご紹介いたします。

 

 

そこでも、高円寺南診療所の立場から、

<高円寺南診療所からのメッセージ>

を加えてご紹介を試みることにしました。

 

 

Q1.

和漢薬とか漢方薬とかよく聞きますが、どのようなものですか?

 

A1

薬効のある天然物を簡単に加工(乾燥や粉砕)したものを生薬(しょうやく)と言い、植物(草根木皮)をはじめ動物や鉱物からも製造されます。

 

ジギタリスはヨーロッパ生薬から抽出されたものですし、エフェドリンは麻黄(まおう)という生薬から、サリチル酸が楊の枝に由来することはよく知られています。

 

中国で使用されている生薬を漢薬といい日本固有の生薬を和薬と呼んで両者をまとめて「和漢薬」としています。

 

こういった和漢薬をいくつか組み合わせたものが「漢方薬」です。

 

ただしその組み合わせは決してデタラメなものではなく、漢方医学で決められた配合によって、それぞれ一定量が調和されています。

 

たとえば「葛根湯(かっこんとう)」という漢方薬は、葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草の7つの生薬(和漢薬)で構成されています。

 

 

ところで「民間薬」との違いは何でしょうか。民間薬というのは伝承によって使用されてきた生薬を意味し、専ら単味で用いられるのが特徴です。

 

たとえば、ドクダミやゲンノショウコ、センブリなどです。

 

これに対して漢方薬は単独ではなく、複数の生薬を決められた割合で、組み合わせて使用します。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

生薬と漢薬、漢薬と和薬の違い、漢薬と和薬を併せて「和漢薬」とよぶことなど、さすが薬のメッカの富山の病院の解説は切れ味が良いと感じました。

 

また、「和漢薬」は「民間薬」とはどのように異なるのか、ポイントが明らかにされました。

 

さて、ここで少しだけツッコミを入れておきます。和漢薬をいくつか組み合わせたものが「漢方薬」であると説明されていますが、厳密には正しくないです。

 

たとえば、甘草湯(かんぞうとう)という漢方薬は甘草のみ、つまり構成生薬は単味ですが民間薬ではなく、れっきとした漢方薬です。

 

激しい咳、咽喉痛の寛解を目的に医師が処方すれば、保険も効きますし、実際に良く効きます。

 

連用すれば、アルドステロン症、ミオパチー、低カリウム血症など偽アルドステロン症をもたらしますが、急性期のみの使用であれば問題はありません。

 

紛らわしいものとしては、紅参末(こうじんまつ)、附子末(ぶしまつ)、これらも単味の生薬ですが、多くの場合他の漢方薬に加味して用いられることが多いです。

 

紅参末とはいわゆる朝鮮人参ですが、独参湯(どくじんとう)といってオタネニンジン一味だけの漢方薬が有名です。

 

なお、ヨクイニンエキスも薏以仁(ヨクイニン)の単味の漢方薬で、青年性扁平疣贅、尋常性疣贅など、イボの治療に用いられ、保険での処方が可能です。

 

 

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。

 

 

食物アレルギー③ 

Q

口腔アレルギー症候群とは?

 

A

口腔アレルギー症候群は、食物の摂取によってひきおこされ、唇や口の中にかゆみ、ヒリヒリ感、腫れがみられます。時にのどがしめつけられる感覚が生じたり、稀にアナフィラキシーをきたすこともあります。

 

原因食物は果物・野菜が主です。また、花粉症を合併することが多いことも特徴です。これは果物・野菜の抗原と花粉抗原との間に共通抗原性が存在するためです。

 

 

主な花粉と交差反応性が報告されている果物・野菜

 

シラカンバ          

バラ科(リンゴ、西洋ナシ、サクランボ、モモ、スモモ、アンズ、アーモンド)、セリ科(セロリ、ニンジン)、ナス科(ポテト)、マタタビ科(キウイ)、カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、ウルシ科(マンゴー)、シシトウガラシ、等

 

スギ

ナス科(トマト)

 

ヨモギ

セリ科(セロリ、ニンジン)、ウルシ科(マンゴー)、スパイス、等

イネ科 、ウリ科(メロン、スイカ)、ナス科(トマト、ポテト)、マタタビ科(キウイ)、ミカン科(オレンジ)、豆科(ピーナッツ)、等

 

ブタクサ

ウリ科(メロン、スイカ、カンタロープ、ズッキーニ、キュウリ)、バショウ科(バナナ)、等

 

プラタナス

カバノキ科(ヘーゼルナッツ)、バラ科(リンゴ)、レタス、トウモロコシ、豆科(ピーナッツ、ヒヨコ豆)

 

食物アレルギー診療ガイドライン2012(作成:日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会)より転載

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome: OAS)は、特定の食物を摂取したときに口唇や口腔内粘膜の腫脹、痒みや咽頭部の異常感を生じるもので、近年になって注目されるようになりました。

 

ポイントは花粉症(シラカンバ、ハンノキなど)と合併することが多いことです。

 

これを花粉・食物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome : PFS)といいます。

 

診断は問診が重要です。血清中の特異的IgE抗体測定(RASTなど)も行います。

 

プリックプリックテストや確定診断のための経口負荷試験がありますが、高円寺南診療所では、アナフィラキシーショックの誘発の危険性を冒してまで実施する意義はないとする立場です。

 

治療の基本はアレルゲンの除去ですが、加熱処理により経口摂取可能となることが多いです。

今週から「骨粗鬆症についてQ&A」になりました。

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。

 

最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。

 

多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。

 

骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。

 

そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。

 

それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

Q1

日本国内での骨粗鬆症の患者数を教えてください

 

A1

骨粗鬆症は、「健康」「予備軍」「骨粗鬆症」の境が明確ではなく、いわゆるグレーゾーンの人が多いのが特徴となっています。

 

骨粗鬆症は日本人をはじめとして、人類全体が最もかかりやすい病気の1つです。昔は骨折してからレントゲンを撮り、初めて骨粗鬆症に気づくといった状態だったので、実態はよくわかっていませんでした。

 

レントゲン写真だけでは重症の骨粗鬆症しか判断できなかったのです。しかし、近年、二重エネルギーX線吸収法(DXA)などで精密に骨量が測定できるようになった結果、日本の総人口の10%弱、すなわち約1100万人が骨粗鬆症で、現在は症状が出なくても、いずれ腰痛や骨折を起こす危険が大きいと言われています。

 

危険の程度を厳しく予測するかどうか、つまり、どこまで骨量が減少すれば危険とするかによって多少変わってきますが、骨粗鬆症予備軍まで含めると2000万人に達するかもしれません。

 

なお、「原発性骨粗鬆症の診断基準 2000年度改訂版」では、二重エネルギーX線吸収法(DXA)で腰椎を測った場合、若い人(20歳~44歳)の平均値の70%未満の数値を骨粗鬆症としています。日本人全員の骨量を測るわけにはいかないので、いろいろな方法で約1100万人という推定を出しています。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

骨粗鬆症は、「健康」「予備軍」「骨粗鬆症」の境が明確ではなく、いわゆるグレーゾーンの人が多いのが特徴であるとされています。

 

それはなぜなのでしょうか。その理由の一つが、骨粗鬆症の評価基準にあることは既に指摘されていますが、私は他にも理由があると思います。

 

それらの一つは、評価の方法です。一回限り、つまり一時点での評価は、それがいかに精密な評価法であっても、限界があります。

 

骨粗鬆症にとって骨折リスクを評価することが大切であり、とくに今後の予測を立てることが必要になってきます。

 

そこで骨量を経時的に計測することによって、現在進行中の骨の状態が把握し易くなり、予後予測が立てやすくなります。

 

とくに骨量がその年齢平均を下回る場合、前回より骨量が低下している場合などでは、半年後に再度検査をして、経時的な傾向を把握しておくことはとても有意義です。

 

経時的に測定することによって、骨量にとってどのような生活習慣が改善因子か、あるいは増悪因子であるかをつきとめやすくなります。

 

 

グレーゾーンが多いもう一つの理由。それは、骨粗鬆症の局所的評価には臨床的な限界があることです。

 

骨量測定によって、おおよその骨年齢を計算すること自体は有用ですが、少なくとも筋骨格系のより広範囲の査定、たとえば筋肉率や体脂肪量などによる身体構造年齢、肺年齢、下半身動作年齢などを同時に評価することによって、骨粗鬆症ならびに転倒や骨折のリスクをより実際的に評価することが臨床的に有意義だと考えます。

 

 

高円寺南診療所では、概ね3か月に1回、つまり、春・夏・秋・冬の季節ごとのフィットネス検査(体組成・体力検査)を推進しています。それによって、日常生活での活動量(一日の歩行歩数など)、水氣道への積極的な参加などによる他の体力因子と骨量の増加等が連動することを確認することができます。

水氣道は、とても単純な営みです

 

なぜ単純なのかというと、根本が1つだからです。

 

1つということは、総(す)べて、ということです。

 

総ては統(す)べて、つまり万物の根源として自然に統合されているものです。

それは太極(たいきょく)と呼ばれることがあります。

 

そして、万物の根源は1つです。

太極に至ることは決して難しいことではありません。

 

ただし、水氣道では初回の体験の後も訓練や修錬を重ねるなど、段階を踏みながら、次第に熟練を極めることでようやく到達できる境地です。

 

 

最初から太極を目指すことは不可能ではなくとも負担が大きいです。

 

そこで、太極そのものではなく、ここから生じる2元である陰・陽を感じ取ることを試みます。

 

万物は、それぞれが様々な割合で結合して成り立っています。簡単にいえば、形があるので目に見える存在(物質)が、形がないので目には見えないが働き(エネルギー)をもつものがです。

 

 

陰陽の関係を数式で表すと以下のようになります。

 

E(陽:エネルギー)=M(陰:質量)×c²(定数:光速の2乗)

 

水氣道の動作も陰の動作と陽の動作が様々に組み合って成り立っています。

 

簡単のため陰の動作を、陽の動作をと呼んでいます。

 

また、身体の冷たく感じる部分を、温かく感じる部分をと呼びます。

 

 

水氣道の原理はこのように単純で明快なのですが、人間という生命体の営みであるために、部外者として傍観するだけであれば、むしろ複雑で不可解な印象を受けてしまいかねません。

 

水氣道の目的は理論を学んで知識を習得することにあるのではなく、実践を通して生きた知恵を体得することにあります。

 

そこで、初心の皆様には、最初から水氣道の団体の一員として目的意識と好奇心をもって水氣道を直接体験していただくことを願っています。

 

 

人間の生命活動に必要な要素は3つあります。それが、陰陽の2元を素材とする氣・血・水です。氣は陽(陽気)、水は陰(陰水)そして血は体液である陰水が陽気を受けて全身を駆け巡る赤い体液(血液)です。水氣道は、集団的な生命体の営みです。

 

人間の自然な生命活動を中核とする水氣道の動きは、太極や陰陽の段階に留まらず、気・血・水という生命の3要素に結びついてはじめて具体的な(かた)が水中での一連の定型運動(航法)として実を結びます。

 

それが、理氣航法調血航法そして活水航法の3航法です。氣(エネルギー)、血(血液)、水(体液)の3つが体内を循環することによって、私たちの健康は保たれています。ですから、気・血・水のいずれかが不足したり、過剰になったり、流れが滞ったりすると、私たちの心身に不調が生じます。

 

理氣航法の「理氣」とは、氣の過不足や滞りを理(ととのえ)ること、

 

調血航法の「調血」とは、血の過不足や滞りを調(ととのえ)ること、

 

そして、活水航法の「活水」とは、水の過不足や滞りや体内分布が起こらないように水を活性化すること、

 

以上の意味が基本ですが、氣・血・水にはそれ以上に深い意味があります。

 

この原理の基づく技法を体得すれば、自らの心身の病気を治すことも不可能ではなくなります。

 

不思議なことではありますが、人類のベストセラーの聖書には氣・血・水に関する記述が豊富に見出されます。聖書は水氣道のしくみを説明してくれます。

皆様の中には、保険証は万能だと思い込んでいる方がいらっしゃいます。

 

有効な健康保険証さえ持参していけば、ご自分が望む検査や治療が無制限に受けられるものと誤解されていませんか?

 

それどころか、医学的に妥当な診療を責任もって正しく行い実績を積み重ねていっても、保険診療報酬が得られないことがまかり通っているのが現状です。

 

たとえば、高円寺南診療所で専門的に診療している線維筋痛症という病名で保険診療はしていません。

 

その理由は、線維筋痛症という病名での保険診療の選択肢が非常に限られていて根本治療のためにはほとんど役に立たないからに他なりません。

 

ですから、保険医療のみが正当で妥当な医療であると思い込んでいる難病の患者さんは本当にお気の毒です。

 

難病の中には、作られた難病というものがあります。その最たる例が線維筋痛症です。この病気は保険医療制度が生み出した難病とさえいえるのではないかと考えています。

 

ちなみに、線維筋痛症は決して難病ではありません。治せる病気です。それが事実であることは、高円寺南診療所で鍼灸治療を受けたり、水氣道に参加したりして線維筋痛症を克服した多くの方々が何よりの証拠です。

 

また、これとは逆に、効果がほとんど認められないことがすでに判明している医療であっても、当然のように報酬が得られる場合もあります。

 

つまり、保険医療は万能ではないばかりか、大きな矛盾を孕んでさえいえるのです。

 

 

ただし、高円寺南診療所は、本来の保険医療制度の卓越性を高く評価しています。

 

そのため、日々、熱心に保険診療に取り組んでいます。それにもかかわらず、なお、厄介な手続きに追われています。それは、社会保険診療報酬支払基金との関わりにおいて顕著です。

 

如何に実例をお示しします。

 

その前に、予備知識として、まず、社会保険診療報酬支払基金とは何か、ということを当該基金自体のオフィシャルホームページで紹介されていますので、ご参照ください。

 

 

社会保険診療報酬支払基金

 

支払基金ってなにをしているの?

 

保険医療機関(薬局)からの診療に係る医療費の請求が正しいか審査したうえで、健康保険組合(保険者)などへ請求し、健康保険組合から支払われた医療費を保険医療機関へ支払いをする仕事をしています。

 

会社の従業員などの方は、協会けんぽや健康保険組合(保険者)などに加入しています。

 

加入者本人(被保険者)やその家族(被扶養者)が病気やケガをして、病院(保険医療機関)に行って治療を受けると、その医療費(1日から末日まで)は診療報酬明細書(レセプト)という形で病院から支払基金に請求されます。

 

 

支払基金はどのような業務を行っているのですか。

 

支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)に基づき設立された法人であって、医療費の「適正な審査」及び「迅速適正な支払」を行うことを使命としています。また、平成15年10月から「特別の法律により設立される民間法人」として位置付けられたところです。

 

支払基金の具体的な業務は、保険医療機関等から提出された被用者保険分に係るレセプトの審査・支払業務のほか、高齢者医療制度関係業務、退職者医療関係業務及び介護保険関係業務に係る保険者からの拠出金(納付金)等の徴収及び市町村への交付金等の交付業務を行っています。

 

 

 

以下は、実際の返れい付せんです。

 

この質問に答えない限り、診療報酬は支払っていただけません。

 

もっとも、質問に答えたからといって、必ず支払っていただけるとは限りません。

 

審査委員会は高円寺南診療所に対して、必要理由を詳記、つまり詳しく書け、ということを求めてきているわけですから、それに従って、回答を準備しました。サックリとお読み流しいただければ幸いです。

 

 

返れい付せん(医科) 9月審査分

東京都社会保険診療報酬請求書審査委員会

 

この診療報酬明細書については、下記の理由により返戻いたしますので、

整備のうえ、この付せんを貼付したまま、次回請求時にご提出下さい。

 

下記の必要理由について詳記願います。

※ 関節腔内注射

 

下記の必要理由について詳記願います。

※ 超音波検査(断層撮影法)(その他)

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

※ 関節腔内注射が必要であった理由

 

直接的な個別臨床上の理由は、当該症例は、疼痛のため歩行困難を呈し、不均衡な姿勢での歩行のため膝関節その他の荷重関節の二次的障害を容易に来しやすい状況にあり、速やかな疼痛コントロールの必要があったためです。なお、該症例は臨床所見のみならず、予め実施した超音波検査所見からも比較的重度の単関節炎であることを認めました。なお喫煙者(Brinkman Index=300)であり、かつ、朝食摂取の習慣がなく食生活をはじめとする生活習慣の乱れが顕著であるため、急性関節炎の薬物治療として、消化管粘膜の保護のため非ステロイド系消炎鎮痛剤等の使用は最小限に制限すべきと判断したためです。

 

一般的な医学的理由としては、関節穿刺により化膿性炎症でないことを確認したうえで、ステロイドの関節内注入法が有効であることはすでに以前から証明されています。

 

実際には、速効性を確保する目的で、ステロイド剤(トリアムシノロン0.5mg)に局所麻酔薬(1%カルボカイン0.5ml)を混注としました。なお超音波検査パワードプラー法により、炎症部位の中心を特定し、その部位に精確に関節腔内注射を実施しました。関節注射実施の後、施設内歩行テストにて、歩行障害の程度が10→5、安静時局所疼痛の程度が10→1となり、均衡のとれた姿勢で帰宅可能であることを確認することができました。

 

 

※ 超音波検査が必要であった理由

 

直接的な個別臨床上の理由は、当該症例は、すでに3年前に初回の痛風発作を経験していますが、その後は発作がありませんでした。疼痛のため顕著な歩行困難を呈し、過体重(BMI27.0:肥満度Ⅰ)による慢性的な力学的負荷や骨折等の可能性も否定できないという臨床的背景があったためです。

 

一般的な医学的理由としては、痛風の診断および類似病態との鑑別のみならず、炎症の重症度とその拡がりを確認する必要のためです。

 

検査目的:

軟部組織および骨皮質の微細な構造障害、炎症所見および尿酸ナトリウム塩の結晶沈着を観察する必要がありました。

 

検査方法:

体表部用のプローブ(7.5MHz)を用いて断層撮影法およびパワードプラー法を実施しました。

 

根拠となる医学的エビデンス:

パワードプラー法で病変部の炎症性の異常血流シグナルの有無を確認することにより、炎症の拡がりとパワードプラ―シグナルによるグレードを評価が可能になります。

 

骨病変の評価において超音波検査は単純エックス線よりすぐれていること、

Schuleller-Weidekamm C, Schueller G, Aringer M,et al:Impact of sonography in gouty arthritis:Comparison with convention radiology, clinical examination, and laboratory findings.Eur J Radiol 62:437-443,2007

 

また超音波検査は軟骨表面の尿酸塩結晶の検出に有用であること、

Thiele RG,Schlesinger N:Diagnosis of gout by ultrasound.Rheumatology(Oxford)46:1116-1121,2007

 

以上の記載は、高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版(編集:日本痛風・核酸代謝学会ガイドライン改訂委員会)2010、によるものです。

 

結晶沈着所見の周囲あるいはごく近接した部位に炎症性変化や構造障害が描出されることで、痛風に起因する所見であることを強く推測することが可能です。

 

 

 

如何でしたでしょうか。

 

このように、当然の保険医療でさえ、このような負担を医療機関に求めてきているのです。

 

たとえ、表面的には悪意ではないとしても、実質的にはかなり厳しい医療の抑制の意図がにじみ出ていることを感じ取っていただけたでしょうか。

 

極論は避けたいところですが、保険医療の崩壊は既に始まっていると考えざるを得ないのが医療現場の実情です。

 

この現状に対して、どのような態度で取り組むべきなのでしょうか。

 

それには、国民が保険医療の見えない部分をしっかりと見据えたうえで、しかるべき意思表示と民主主義にのっとった行動を開始する必要があると思います。

 

皆様は、いかがお考えでしょうか。

 

<後期高齢者 高額認定区分>

 

後期高齢者の自己負担区分が1割(一般所得)と3割(現役並み所得)があるのはご存知だと思います。

 

しかし、医療機関の区分はもっと細かくあります。

 

同じ自己負担の割合(1割自己負担や3割自己負担など)でも、1ヶ月の限度額が決まっており、所得によって5段階に分かれています。

 

医療機関それを登録しなければなりません。つまり、どのくらいの所得があるか、解ってしまうわけです。

 

区分の詳細は、1割が2段階、3割が3段階あります。

 

<1割自己負担>

①低所得者

1か月の自己負担上限、8,000円

 

②一般取得者

1か月の自己負担上限、18,000円

 

<3割自己負担>

①現役並み所得者I(課税所得145万以上の方)

1か月の自己負担上限、80,100円

 

②現役並み所得者II(課税所得380万以上の方)

1か月の自己負担上限、167,400円

 

③現役並み所得者III(課税所得690万以上の方)

1か月の自己負担上限、252,600円

 

 

このように細かく規定されています。

 

医療機関が把握、管理しなければなりません。

 

 

プライベートが、知られてしまうのは嫌ではありませんか?

 

 

 

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

それは日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックする、が表示されます。

と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、

 

<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。 

 

 

「質問12」

生理前になるとイライラや不安になるのですが、心療内科で診ていただけますか?

 

「答え」

月経前に「気分が沈む」「不安になる」「足がむくむ」など、いつもとは違う心やからだの不調を感じている人は少なくありません。

 

これは月経前症候群(PMS)といって、軽いものまで含めると7~8割の女性が経験しているといわれています。

 

落ち込んだり、いらいらしたりといった心の症状から、乳房の張りや腰痛といった体の症状、集中力がなくなるといった行動面の症状まで、実にさまざまです。

 

重症の場合には、毎日の生活に支障をきたしたり、人間関係のトラブルを招くこともあります。

 

月経の開始と共に症状が軽くなったり、なくなったりすることから、周りの人には理解されにくいという状況となります。

 

PMSの原因は十分にわかっていませんが、女性ホルモンの周期的な変動が脳内の神経伝達物質に影響を与えて症状が引き起こされているのではないかいう説が有力です。

 

PMSに対処するには、毎日自分の心やからだの変化を表に書いて記録することが有効です。

 

このとき月経も記録しておきます。

 

PMSメモリーという一目でわかる形式のものがお勧めです。

 

月経の周期と症状の関係がわかって、はじめてPMSだと理解する人もいますし、わかっただけで症状が軽くなることもあります。

 

自分のからだのサイクルがわかれば、調子の悪い時期はしんどいことを避けることも可能になります。

 

スケジュールを詰め込みすぎたり、何もかも自分で解決しなければと考えたり、些細なことで自分を責めたりすることはできるだけ避けましょう。

 

さらに、ビタミン・ミネラルを十分に取り入れたバランスの良い食事に気をつけ、睡眠を十分にとり、運動も心がけることが大切です。

 

軽い症状なら以上述べたようなセルフケアだけでもずいぶん楽になりますが、これで不十分な場合は心療内科受診をお勧めします。

 

PMSは環境の変化や心理的ストレスで悪化する場合があります。

 

薬物療法を行ったり、医療者と共に問題を整理し対処法を考えていくことが症状の軽減に役立ちます。

 

(甲村弘子)

<参考文献>

甲村 弘子:月経前症候群(PMS)に関する知見. 女性心身医学 16:260-263,2012

 

 

<高円寺南診療所の見解>

甲村弘子先生の現職は、こうむら女性クリニックの院長とのことですが、先生は大阪大学医学部を御卒業後、大阪大学医学部産婦人科に入局され、ドイツ・マックスプランク研究所 にも留学されています。

 

また日本心身医学会の心身医療専門医とのことであり、月経前症候群(PMS)について解説されるには適任だと思われます。