最新の臨床医学 11月8日(木)骨粗鬆症についてQ&A

今週から「骨粗鬆症についてQ&A」になりました。

 

ここで掲載する内容は、公益財団法人 骨粗鬆症財団のホームページから引用したものです。骨粗鬆症についてわかりやすい解説をしています。

 

 

骨粗鬆症は、長年の生活習慣などにより骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。

 

最初は、自覚症状はありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。

 

多くは腰や背中に痛みが生じて医師の診察を受けてからみつかります。しかし、骨粗鬆症になってから治すのはたいへんです。

 

骨粗鬆症にならないように、日ごろから予防を心がけることが大切です。

 

骨粗鬆症を予防することが、ほとんどの生活習慣病を予防することにつながります。

 

そのために、高円寺南診療所では女性では、45歳以上、男性でも50歳以上の皆様に骨量計測を推奨し、骨年齢を算出し、骨粗鬆症の早期発見、早期対応に力を注いでいます。

 

それでは、骨粗鬆症についてもっと詳しく勉強していきましょう。

 

それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

Q1

日本国内での骨粗鬆症の患者数を教えてください

 

A1

骨粗鬆症は、「健康」「予備軍」「骨粗鬆症」の境が明確ではなく、いわゆるグレーゾーンの人が多いのが特徴となっています。

 

骨粗鬆症は日本人をはじめとして、人類全体が最もかかりやすい病気の1つです。昔は骨折してからレントゲンを撮り、初めて骨粗鬆症に気づくといった状態だったので、実態はよくわかっていませんでした。

 

レントゲン写真だけでは重症の骨粗鬆症しか判断できなかったのです。しかし、近年、二重エネルギーX線吸収法(DXA)などで精密に骨量が測定できるようになった結果、日本の総人口の10%弱、すなわち約1100万人が骨粗鬆症で、現在は症状が出なくても、いずれ腰痛や骨折を起こす危険が大きいと言われています。

 

危険の程度を厳しく予測するかどうか、つまり、どこまで骨量が減少すれば危険とするかによって多少変わってきますが、骨粗鬆症予備軍まで含めると2000万人に達するかもしれません。

 

なお、「原発性骨粗鬆症の診断基準 2000年度改訂版」では、二重エネルギーX線吸収法(DXA)で腰椎を測った場合、若い人(20歳~44歳)の平均値の70%未満の数値を骨粗鬆症としています。日本人全員の骨量を測るわけにはいかないので、いろいろな方法で約1100万人という推定を出しています。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

骨粗鬆症は、「健康」「予備軍」「骨粗鬆症」の境が明確ではなく、いわゆるグレーゾーンの人が多いのが特徴であるとされています。

 

それはなぜなのでしょうか。その理由の一つが、骨粗鬆症の評価基準にあることは既に指摘されていますが、私は他にも理由があると思います。

 

それらの一つは、評価の方法です。一回限り、つまり一時点での評価は、それがいかに精密な評価法であっても、限界があります。

 

骨粗鬆症にとって骨折リスクを評価することが大切であり、とくに今後の予測を立てることが必要になってきます。

 

そこで骨量を経時的に計測することによって、現在進行中の骨の状態が把握し易くなり、予後予測が立てやすくなります。

 

とくに骨量がその年齢平均を下回る場合、前回より骨量が低下している場合などでは、半年後に再度検査をして、経時的な傾向を把握しておくことはとても有意義です。

 

経時的に測定することによって、骨量にとってどのような生活習慣が改善因子か、あるいは増悪因子であるかをつきとめやすくなります。

 

 

グレーゾーンが多いもう一つの理由。それは、骨粗鬆症の局所的評価には臨床的な限界があることです。

 

骨量測定によって、おおよその骨年齢を計算すること自体は有用ですが、少なくとも筋骨格系のより広範囲の査定、たとえば筋肉率や体脂肪量などによる身体構造年齢、肺年齢、下半身動作年齢などを同時に評価することによって、骨粗鬆症ならびに転倒や骨折のリスクをより実際的に評価することが臨床的に有意義だと考えます。

 

 

高円寺南診療所では、概ね3か月に1回、つまり、春・夏・秋・冬の季節ごとのフィットネス検査(体組成・体力検査)を推進しています。それによって、日常生活での活動量(一日の歩行歩数など)、水氣道への積極的な参加などによる他の体力因子と骨量の増加等が連動することを確認することができます。