最新の臨床医学 11月4日(日)心療内科についてのQ&A

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

それは日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックする、が表示されます。

と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、

 

<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。 

 

 

「質問12」

生理前になるとイライラや不安になるのですが、心療内科で診ていただけますか?

 

「答え」

月経前に「気分が沈む」「不安になる」「足がむくむ」など、いつもとは違う心やからだの不調を感じている人は少なくありません。

 

これは月経前症候群(PMS)といって、軽いものまで含めると7~8割の女性が経験しているといわれています。

 

落ち込んだり、いらいらしたりといった心の症状から、乳房の張りや腰痛といった体の症状、集中力がなくなるといった行動面の症状まで、実にさまざまです。

 

重症の場合には、毎日の生活に支障をきたしたり、人間関係のトラブルを招くこともあります。

 

月経の開始と共に症状が軽くなったり、なくなったりすることから、周りの人には理解されにくいという状況となります。

 

PMSの原因は十分にわかっていませんが、女性ホルモンの周期的な変動が脳内の神経伝達物質に影響を与えて症状が引き起こされているのではないかいう説が有力です。

 

PMSに対処するには、毎日自分の心やからだの変化を表に書いて記録することが有効です。

 

このとき月経も記録しておきます。

 

PMSメモリーという一目でわかる形式のものがお勧めです。

 

月経の周期と症状の関係がわかって、はじめてPMSだと理解する人もいますし、わかっただけで症状が軽くなることもあります。

 

自分のからだのサイクルがわかれば、調子の悪い時期はしんどいことを避けることも可能になります。

 

スケジュールを詰め込みすぎたり、何もかも自分で解決しなければと考えたり、些細なことで自分を責めたりすることはできるだけ避けましょう。

 

さらに、ビタミン・ミネラルを十分に取り入れたバランスの良い食事に気をつけ、睡眠を十分にとり、運動も心がけることが大切です。

 

軽い症状なら以上述べたようなセルフケアだけでもずいぶん楽になりますが、これで不十分な場合は心療内科受診をお勧めします。

 

PMSは環境の変化や心理的ストレスで悪化する場合があります。

 

薬物療法を行ったり、医療者と共に問題を整理し対処法を考えていくことが症状の軽減に役立ちます。

 

(甲村弘子)

<参考文献>

甲村 弘子:月経前症候群(PMS)に関する知見. 女性心身医学 16:260-263,2012

 

 

<高円寺南診療所の見解>

甲村弘子先生の現職は、こうむら女性クリニックの院長とのことですが、先生は大阪大学医学部を御卒業後、大阪大学医学部産婦人科に入局され、ドイツ・マックスプランク研究所 にも留学されています。

 

また日本心身医学会の心身医療専門医とのことであり、月経前症候群(PMS)について解説されるには適任だと思われます。