4)妊娠可能年齢での関節リウマチの治療

 

関節リウマチは妊娠可能年齢に好発します。そのため、妊娠中に使用できる薬剤を把握しておくことは非常に重要です。

 

薬剤の胎児への影響は基本的に「催奇形性(妊娠初期:14週未満)」と、発育や機能障害といった「胎児毒性(妊娠中期以降:16~27週)」の2期に分けて考える必要があります。

 

関節リウマチ治療薬の中心はメトトレキサート(MTX)ですが、この薬剤はプリン代謝を抑制することによってDNA合成を抑制することで、炎症細胞の増殖を抑制します。そのため催奇形性があり、妊婦、妊娠している可能性がある女性または授乳中の女性には禁忌となります。MTXは妊娠中の投与で、胎児に中枢神経障害、頭蓋骨異常などの障害をきたすことが明らかになっています。

 

これに対して、サラゾスルファピリジンは胎盤を通過しますが、これまでの使用経験から胎児にはほとんど影響がありません。そこで、妊娠中も安全に使用できると考えられています。

 

またブシラミンも、海外疫学データは少ないが、有害情報はなく、サラゾスルファピリジンとともに有益性投与とされています。

 

非ステロイド抗炎症薬、アセトアミノフェン、ステロイドはいずれも催奇形性はありませんが胎児毒性があるため有益性投与とされています。投与にあたっては細やかな配慮は必要であり、非ステロイド抗炎症薬は、胎児動脈管早期閉鎖の危険性が増加するため妊娠32週以降は中止します。

 

このように説明しても、挙児希望の関節リウマチの女性の不安は計り知れないくらいに大きいものであることを経験してきました。関節リウマチは自己免疫疾患の一つであるため、免疫状態に直接の影響を与える自律神経系や内分泌ホルモン系の不調やアンバランスの原因となる生活習慣の乱れや、さまざまな心理社会的ストレッサーに対してのサポートが重要です。水氣道®や聖楽療法は、こうした状況下の女性を大いに励ましてくることができたという実績があるので、更に積極的な展開を図っていきたいものです。

 

<関節リウマチ診療の実際(完)>

 

 

3)関節リウマチの検査・診断と治療方針

 

関節リウマチ(RA)の診療で最も重要なのが早期診断です。その理由は、RAにおける関節破壊は発症早期に強く、早期発見による可能な限り速やかな有効治療の開始と厳密なコントロールで未然に防止することが容易になるからです。そのためにはRAに類似する症状や検査所見を示す他の疾患との鑑別を考えながら検査を進めていくことが鍵になっています。

 

RAでは、一般血液検査では貧血と白血球・血小板増多がみられます。

また炎症所見としてC反応たんぱく(CRP)高値、血沈亢進を認めます。

 

RAの予後不良因子を考慮した早期の治療指針も推奨されています。

予後不良因子としては、多関節の圧痛および腫脹、X線学的な骨びらん、リウマトイド因子および/または抗CCP抗体の高値陽性、赤沈の亢進および/またはC反応性蛋白(CRP)高値、高齢、女性、遺伝子型(HLA-DR1共有エピトープ)、HAQ(RA患者のQOL評価スコア)の悪化、喫煙が挙げられています。

 

また、近年、エコー技術装置が高解像度となり、7.5~20MHzの高周波利用が可能となったことにより体表面近くの身体構造物、すなわち、腱、靭帯、小関節の観察が容易になりました。関節エコー検査では、通常画像をグレイススケール(Bモード)とパルスドプラスケールで描出します。

パルスドプラ法では、滑膜炎症部位が赤色に写ります。

 

当クリニックの関節エコー用のプローブの周波数は7.5MHzで、高性能です。また通常画像の他、カラードプラ―も完備しているので、高度な診断が可能となっています。骨びらんの検出はエックス線写真より早期から解析可能です。小関節の炎症の把握には関節エコーがとりわけ有用です。X線検査とは異なり被ばくがない超音波エコー検査では、リアルタイムに画像を示してゆっくり説明しながら検査ができるメリットも大きいです。なおパルスドプラ法では、滑膜炎症部位が赤色に写るのでイメージが理解を助けてくれます。

 

<明日に続く>

 

 

2)関節リウマチの症状(全身・関節・関節外)

 

関節リウマチは運動器疾患であると同時に全身の内臓病であることを説明します。

 

関節リウマチは関節滑膜炎と骨・軟骨破壊を特徴とします。

 

関節リウマチでは頸椎病変を見逃さないことが大切です。そのポイントは頸椎のエックス線検査で環軸椎亜脱臼(AAS) と垂直性亜脱臼(VS)の有無を確認することです。AASの評価は環椎歯状突起間距離(ADI)の計測で行いますが、頸椎前屈位で確認すると明らかとなります。AAS,VSの症状としては後頭部痛をしばしば認め、めまいを生じることも少なくありません。そして、強い頸部痛が生じている場合は、頸椎前屈位での長時間作業は控えるように指導し、頸椎カラーの装着が勧められます。

 

関節リウマチは、様々な関節外症状を伴うことがあります。

 

大別して①皮下および滑膜下結節(リウマトイド肉芽腫)、②内臓異常、③全身性合併症および④血管炎のある例に合併する症状、に分類されます。

 

① 皮膚病変としては皮下結節(リウマトイド結節)が有名です。ただし、リウマトイド結節は皮下のみならず、心、肺、中枢神経などにも出現することがあります。

 

② 内臓異常としての障害部位は、心、肺、眼、神経系に分類されます。

 

心病変としては心膜炎が最多です。心膜炎の臨床症状は10%以下の患者にしか見られませんが、心エコー検査や剖検では半数近くに心膜炎を認めるとの報告があります。また僧帽弁閉鎖不全症は関節リウマチで最も頻度が高い弁膜症です。リウマトイド結節と病理学的に類似するため、関節リウマチ特有の可能性があるものとして心筋炎があります。

 

肺では胸膜炎、間質性肺炎、細気道病変、気管支拡張症、リウマトイド結節などがあります。

 

眼では、強膜炎(まれに穿孔性胸膜軟化症を合併)の他、若年性関節リウマチでは虹彩毛様体炎が代表的です。

 

神経系では、硬膜のリウマトイド肉芽腫など中枢神経の他に、末梢神経障害がみられます。末梢神経圧迫症候群として、手根管症候群(正中神経障害)、尺骨神経障害、腓骨神経障害が含まれます。また末梢神経炎を合併することがあります。特に下腿から足にかけての部位に好発するのが多発性神経炎による神経障害です。これは神経そのものの障害というよりは、小動脈を中心に生じる血管炎が原因であると考えられています。

 

③ 全身性合併症としてみられるのは、貧血、汎発性骨粗鬆症、フェルティ症候群、シェーグレン症候群、アミロイドーシスなどがあります。

 

④ 血管炎のある例に合併する症状には、発熱、指の動脈炎、レイノー現象、下肢の慢性潰瘍、末梢神経障害(多発性単神経炎)、出血を伴う胃腸管粘膜びらん、壊死性動脈炎(腸間膜、冠状動脈および腎動脈を侵す)を挙げることができます。このように、中・小血管炎を伴う関節リウマチは悪性関節リウマチと呼ばれます。既存の関節リウマチに血管炎やその他(火血管炎型)の関節外症状を合併し、難治性もしくは重症の病態と定義され、国の指定難病になっています。

 

 <明日に続く>

1) 関節リウマチの診療の現実

関節リウマチの患者さんは、関節痛という症状のために、整形外科を受診されることが圧倒的に多いようです。しかし、早期の関節リウマチを的確に診断できる整形外科医は、残念ながらリウマチ診療の経験が豊富な優秀なドクターに限られるのが現状です。

 

当クリニックの初診患者で早期の関節リウマチが発見される例のほとんどは、患者さんご自身が関節リウマチを疑って受診された方です。このタイプの患者さんは関節リウマチの診断をして、早期発見例であることを説明するととても感謝してくださることが多いです。

 

これに対して複数の整形外科を受診したが改善しないために当クリニックを受診するに至った方はほとんど関節リウマチが見落とされたまま鎮痛剤処方のみを受けていた方々です。このタイプの方は、関節リウマチの診断をするととても落胆し、診断した私自身を含めて医師不振、医療不信に陥ってしまう方が少なくないので、とても心が痛みます。

 

そこで、つくづく感じることは、多くの皆様に、関節リウマチを知っていただくことの大切さです。その第一歩が、関節リウマチは関節痛や骨・軟骨破壊にとどまらない全身病であるということの理解です。関節リウマチは、専門の内科医が担当すべき病気であることを認識していただきくことが肝要かと思われます。もちろん、整形外科の先生方が関節リウマチを早期に診断して私共リウマチ専門医に紹介してくださることが望ましいのですが、そのようなケースは滅多にないのが現状だからです。

 

 <明日に続く>

 

10月27日 

藝術歌曲集「小倉百人一首」No1 企画解説(その3)

 

CD藝術歌曲集「小倉百人一首」№1.コンコーネ50番(中声)で歌う

歌詞付き「コンコーネ50番(中声)」の誕生秘話と

№1.コンコーネ50番(中声)で歌う藝術歌曲集「小倉百人一首」の功罪

 

小倉百人一首の歌人たちは身分にかかわらず決して順風満帆な人生ではなく、むしろ大半の歌人が不遇であったことに気づかされます。小倉百人一首は、さながらこうした歌人たちの顕彰と鎮魂を目的とする歌集のようですらあります。ですから、演奏の際には祈るような気持ちであることが何よりも大切のように感じられます。それによってはじめて東西の古の芸術家たちの魂を同時代的に復活させることができると考えます。今後の演奏家の皆様方には、言霊と音霊とが一体となった究極の響きを復活させてくださることを期待しております。

 

小倉百人一首歌詞付きのコンコーネ50番をあえて「藝術歌曲集」と題したのは、このような背景があるからです。

 

ただし、コンコーネ50に歌詞を加えることで懸念されることがあります。楽曲が歌詞の内容に束縛されることによって、具体性を帯び、それが抽象的な楽曲ならではの音楽性を損なってしまう可能性があることです。コンコーネ自身が大切にしているフレーズ感や息継ぎも、歌詞がつくことによって変更を余儀なくされることがあります。また言語がもつストーリー性やメッセージ性にも拘束されてしまう惧があります。この懸念は完全には払拭できないものであることを認識しておくべきだと思います。

 

そこで、楽譜の指示にしたがうだけで稽古の目的に合わせて高い自由度で歌えるというメリットを活かすべく、予め母音唱法やドレミ唱法によって十分稽古を積んでおく必要があります。歌詞のないソルフェージュ曲は声の響きを作ったり、音楽性を身に着けたり、いわば歌唱する者の身体の楽器作りに役立つものとされているからです。

 

しかしながら、意欲的で優秀な多数の現役演奏家諸子の献身的な協力を得ることによって、以上のような懸念を遥かに凌ぐ創造的芸術性を獲得できるのではないかと密かに期待している次第です。

(完)                       ( 

 

(編作者 飯嶋正広 )

 

<はじめに>

 

 

前回は「任脈」のお話をしました。

 

 

「気海」は、おへそより指2本分下にあり、「全身の血行を促しカラダを温める」。

 

 

「水分」は、おへそより指1本分上にあり、「余分な水分を体の外に排出する」効果がある。

 

 

「中脘」はおへそから指3本×2上にあり、「胃腸の働きを高める」「消化不良」に効果があるというお話でした。

 

 

今回は「鼻づまりに効果のあるツボ」をお伝えします。

 

 

 

<鼻づまりに効果のあるツボ>

 

 

「合谷(ごうこく)」「尺沢(しゃくたく)」「孔最(こうさい)」を紹介します。

2019-06-06 00-15

2019-05-23 19-09

 

 

 

「合谷」は親指と人差し指の間にあるツボです。

 

 

「尺沢」肘前面のしわの上で肘を曲げることで緊張する筋肉の腱の外側にるツボです。

 

 

「孔最」尺沢から指4本分下にあるツボです。

 

 

 

季節の変わり目で調子が悪くなりやすいので刺激してみてください。とても効果がありますよ。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

5)薬物療法の開始と薬物の選択

 

糖尿病の治療の基本は、食事療法と運動療法です。これを十分に行っても改善が不十分な場合があります。その場合には薬物療法を追加することを検討するというのが、日本糖尿病学会のコンセンサスです。

 

ただし食事療法や運動療法が不十分なままでは、薬剤をしても血糖降下は得られにくいです。また、薬剤によっては肥満が誘発されたりして、かえって治療が難渋することもあります。薬物療法併用の有無にかかわらず、食事療法や運動療法は一生継続する必要があります。

 

経口血糖降下剤は、現時点では7系統あります。それぞれの機序や特徴、禁忌、副作用を勘案した上で、個々の患者の病態や環境を考慮して選択する必要があります。たとえば肥満と強いインスリン抵抗性を伴う欧米人タイプではビグアナイド薬であるメトホルミンを第一選択薬とすることに合理的な根拠があります。しかし、わが国には、肥満を合併せずインスリン分泌不全が病態を特徴づけるタイプが多いため、こうした多様な病態に個別に対応する必要があるため、あえて第一選択薬はしていされていません。

 

薬物療法に際して特に注意すべき副作用の筆頭は、低血糖です。低血糖、とくに重症低血糖は脳心血管系のリスクを高めます。そのため、薬剤選択に当たっては、状態が許されるならば、単独では低血糖を起こす可能性が低い薬物から開始します。

 

<脳心血管病予防のための血糖管理(完)>

4)血糖コントロールの指標と個別目標の設定

 

糖尿病のコントロールは、個々の症例ごとに適切な治療目標を設定します。そのためには、年齢や合併症等を勘案することが求められます。

 

糖尿病患者では、脳心血管病リスクを大幅に低減させるためには、血糖だけでなく、血圧・脂質についても同時に治療を強化することが有効です。

 

また、生活習慣病指導も重要です。

 

レムニッセンス効果といって、ある時期に行われた血糖コントロール治療の効果は、その後、年余にわたり持続します。ですから、早期に治療を開始し、中断しないことがとりわけ重要です。

 

血糖コントロールは、患者の過去1、2カ月間の平均血糖値を反映するHbA1c値を重視します。

 

また、空腹時・食後血糖値等も計測して総合的に勘案します。

 

糖尿病の個々の病態に応じた管理目標の設定のためには、まず、主に細小血管症を中心とした合併症予防のための基本的目標を目指すことになります。これはHbA1c7%未満(概ね空腹時血糖値130㎎/dl未満に相当)になります。ただし、耐糖能異常の段階であっても、大血管症発症リスクが上昇するので、脳心血管病予防の観点からは、低血糖に注意しながらHbA1c6%未満を目指すことが望まれます。

 

日本人では糖負荷試験(OGTT)後の高血糖の方が空腹時血糖より大血管症のリスク因子としては強力です。そのため食後血糖値として食後2時間血糖値180㎎/dl未満(概ねHbA1c7%未満に相当)を参考にすることは有用です。

 

また、高齢者については、個人差が大きいこともあり、低血糖等の副作用の出現、その他の理由により、どうしても治療強化が困難な場合には、HbA1c8%を目標とすることもあり得ます。

 

<明日に続く>

水氣道の本質とその方略(戦略)および方術(戦術)

 

 

水氣道は、何かと問われて言葉で答えることは簡単ではないと思います。創始者の私自身がそのような状態なのですから、会員の皆様はなおさらのことではないかと思います。

 

それでは、水氣道の説明がなぜ難しいのか、ということから考えてみたいと思います。その第一は、既存の健康活動との関連性や位置づけが難しいということではないでしょうか。

 

 

たとえば、「水氣道はどのようなスポーツなのですか」と問われて困ることがあります。

 

そもそもスポーツの定義が様々だからです。<楽しみを求めたり、勝敗を競ったりする目的で行われる身体運動の総称>(大辞林)という定義はその一つです。

 

水氣道も身体運動であることには他なりませんが、高度な心性や精神性(霊性)に関わる活動であることがその不可欠な要素です。

 

また、その目的は勝敗を競うものではなく、また、単に楽しみを求めるだけのものでもありません。

 

ですから、大辞林が定義するスポーツは水氣道からはかなり隔たりがあることは否めません。

 

また、<競争と遊戯性をもつ広義の運動競技の総称>(ブリタニカ国際百科事典)という凝縮した定義は、水氣道からは更に遠ざかってしまいます。水氣道は競争性をむしろ排除しているからです。

 

 

水氣道は、目的や手段として競争を前提にしない団体運動であるため、一般の競技とは一線を画しているといえます。

 

人間の諸活動における遊戯性と競技性とはその本質において必ずしも一体ではないはずですが、あたかも遊戯性の前提として競技性が不可欠であるかのような伝統的かつ国際的風潮は今に始まったことではありません。

 

 

競技には、作戦とか戦略といった用語がしばしば用いられます。

 

そもそも、戦略とは、敵対的な政治集団間の闘争の技術をさした言葉で、語源となったギリシア語は「将軍の術」を意味していたようです。

 

『戦争論』で有名なクラウゼウィッツは、「多くの戦闘を連合して戦争の目的を達せしめるのが戦略であり、一つの戦闘を計画し実施するのが戦術である」と定義しています。

 

 

一般に戦略というと、このような作戦戦略(作戦目的を達成するための高次の観点から大規模な作戦部隊を運用する方策)の他に、軍事戦略(戦争目的を達成するために国の軍事力その他諸力を準備し計画的に運用する方策)、国家戦略(国家目標の達成、特に国家の安全を保障するため、平時戦時を通じて国家の軍事、政治、経済などの諸力を総合的に発展させ、効果的に運用するための方策)

 

これら3種を含めたものを意味するのだそうです。

 

 

軍事的意味は次元が違い過ぎるので、脇に置いておくこととして、政治的闘争上の戦略とは、綱領的な基本目標によって設定される闘争の一般的方向性をいいます。

 

また戦術とは戦略に基づく個々の具体的な判断や闘争の技術のことをいいます。

 

水氣道は、政治集団でもないので、敵対的な他の政治集団を想定する必要もないからです。そのうえ水氣道は競技ではないので、戦略とか戦術という言葉はそのままでは似合いません。

 

 

しかし、この概念自体は、一般的ビジネスのみならず、水氣道の組織運用にも参考になり、組織運営の上では有益であると思います。

 

ですから、水氣道では、戦略を方略、戦術を方術と呼んで説明に役立てたいと考えます。

 

水氣道の方略とは、綱領的な基本目標によって設定される集団的心身鍛錬の一般的方向性をいいます。

 

水氣道の方術とは、方略に基づく個々の具体的な判断や稽古の場での技術のことをいいます。

 

 

そこで、次回は水氣道の方略を説明するためには、まず、水氣道の基本目標とは何かということ、ついで、水氣道の集団的心身鍛錬の一般的方向性について説明しておく必要があると思います。

3)併存症と合併症の診断

 

糖尿病は、脂質異常症や高血圧、肥満、脂肪肝等、他の脳心血管病リスク因子を併発していることが多いです。とくに、大血管症のリスク診断には、これらの併存症の診断と評価が重視されます。

 

また、糖尿病性腎症、網膜症等の細小血管合併症は、それ自体が糖尿病患者の予後に大きな影響を与えます。それに加えて、早期あるいは軽度であっても、大血管症の発症リスクが高まります。したがって、脳心血管病のリスク評価に用いられています。

 

合併症が疑われる症状の問診をします。その症状リストは、視力低下、足のしびれ感、歩行時下肢痛、勃起障害、無月経、発汗異常、便秘、下痢、足潰瘍・壊疽等です。こうした問診とともに腎症については、尿アルブミンと尿クレアチニンを測定して評価し、眼底検査を行います。

 

 <明日に続く>