<はじめに>

 

 

前回は「三陰交(さんいんこう)」を紹介しました。

 

 

三陰交は内くるぶしから指4本上にあるツボで、

 

 

生理痛、生理不順、更年期障害などの婦人科系疾患、腰痛、不眠、冷え症、むくみなどに効果があるというお話でした。

 

 

今回は「湧泉(ゆうせん)」を紹介しましょう。

 

 

<湧泉>

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湧泉は足の裏で踵から指を滑らせて止まる場所にあります。

 

 

全身の疲労回復、冷え症、のぼせ、背中の痛み、婦人科系のトラブルにも効果があります。

 

 

足の裏を刺激することは健康に寄与することになります。

 

 

適度に歩くことはこのツボを刺激することになり健康に良いことがわかります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

前回はこちら

 



水氣道稽古の12の原則(7)反復性の原則(1)

 

反復性の原則

 

反復性の原則とは、技術や体力に関係なく、トレーニングの効果を得るには、計画的に繰り返し行う必要があるという原則です。

 

その場合、反復して身体に与えられる運動刺激は適切であることが必要です。

これは、毎回のトレーニングにおいて同一の運動動作を一定程度以上繰り返すメニューを確保するということにとどまらず、全体のトレーニングを繰り返し、長い時間かけて規則的に継続して行うことで、効果が高くなるという意味も含んでいます。

そのため、反復性の原則は、「継続性の原則」と呼ばれたり、「反復・継続性の原理」と呼ばれたりすることがあります。

 

つまり運動の効果を得るためには、時間の要素が不可欠であり、繰り返し、規則的に、長期間行うことが大切になります。その理由は、トレーニング刺激による身体の適応(=体力の向上)には時間がかかるため、体力を向上させるにはどうしてもある程度の期間継続する必要があるからです。

 

 

トレーニング初期段階は神経と筋肉を繋げていく時期です。

 

現状で使えていない筋肉を使えるようにする「神経と筋肉の促通時期」が、一般的に4~8週間ほどあります。

その時期は、筋肉量に変化は見られません。実際に筋肉量に変化などが起こるのはこの後になります。

 

水氣道の会員ばかりでなく、杉並国際クリニックにおいて健康管理を続けている皆様にはお馴染みのフィットネス・チェック(体組成・体力検査)を概ね季節ごと(春・夏・秋・冬、3カ月ごと)に実施していることも、このような理由によるものです。

 

 

「反復性の原則」の本質から外れたトレーニングの影響

 

トレーニングは1回頑張ったからと言って、すぐに効果が現れるものではありません。

また、一定以上の期間を継続して行わないと筋肉は減っていってしまうため、1回やっただけ、短い期間だけ、では効果はでません。トレーニングの効果は長期間のトレーニングによって、初めて目に見える大きな効果を期待することができるので、いかに優れた施設や指導者、トレーニングメニューやプログラムがあったとしても継続しなければ効果は表れません。

 

ですから、「反復性の原則」とは、「トレーニングの効果を得るためには定期的・継続的なトレーニング実施が必要。どんなに優れたトレーニングでも数回だけのトレーニングや極端に少ない頻度でのトレーニングなどでは効果は得られない」といった意味です。

 

「可逆性の原理」のところで改めて説明しますが、短期間のトレーニングで鍛えた身体は、運動を辞めてしまうと短い時間で元に戻ってしまいます。

逆に長い時間をかけてトレーニングを行った場合、筋肉や神経がゆっくりと成長、身体の中で定着するため、少しトレーニングを休んだだけでは、一期に元に戻ることがありません。そのためにも、トレーニングは継続して行うことが必要になります。
 

たとえば絶対安静の状態で筋肉の伸び縮みが行われないと、1週間で10~15%の筋力低下が起こると言われています。高齢者では2週間の床上安静でさえ下肢の筋肉が2割も萎縮するともいわれています。

 

また病気やケガのない一般人でも40歳を境に人の筋肉量は減少していきます。そして、高齢になるにつれて筋肉量は減少していき、単純に筋肉量が減少していけば運動機能の低下が起こるため、しらずしらずのうちに人は動かなくなっていきます。日常生活で動く機会が減ってきてしまうと生活不活発病という、いわゆる「廃用症候群」が起こってしまいます。
 

これは、トレーニング効果が消失する以前に加齢に伴う筋肉の減少、又は老化に伴う筋肉量の減少(以下、サルコペニア)も注目されています。

この病態は栄養障害、虚弱(以下、フレイル)とも関連が強く、転倒予防や介護予防の観点からも重要です。フレイルとは、高齢者の身体機能や認知機能の低下を表し、「虚弱な状態」を意味します。日本老年医学会が2014年に提唱した概念であり、介護業界では要介護の予備軍として非常に注目を浴びています。

 

運動機能低下に加えてうつ病や認知症などの「認知機能の低下」、寝たきり・閉じこもりなどの要素が加わることでフレイルが加速していきます。また、この状態には低栄養の関連性が強いと厚生労働省も発表しています。
 

こうしたサルコペニアやフレイルは高齢者の身体機能障害のリスク因子、転倒リスク因子として注目されています。

また、これらは同時に「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群、通称「ロコモ」)をもたらしてしまいます。ロコモは「足腰の衰えなどが原因で、日常生活に支障を来している状態」のことを指し、原因には主に「加齢による衰え」や「筋肉・関節・骨など運動器自体の病気やケガ」が挙げられます。これは高齢化社会を迎え、国が「メタボリックシンドローム」(メタボ)の次に国民に浸透させようとしている言葉です。
 

ただし、「サルコペニア」、「ロコモ」や「メタボ」などの概念は主に身体的側面を捉えた概念であるため、心身の両側面をとらえる「フレイル」や「廃用症候群」(生活不活発病)とは異なる次元の概念であると言えます。

 

廃用症候群とは、病気やケガなどの治療のため、長期間にわたって安静状態を継続することにより、身体能力の大幅な低下や精神状態に悪影響をもたらす症状のことをいいます。

廃用症候群では、さらに、気分的な落ち込みが顕著に現れてうつ状態になったり、前向きに取り組むやる気が減退したりと、精神的な機能低下も見られます。意欲低下などの精神的な機能低下により、身体活動の継続が阻害され、ますます「廃用症候群」が進行してしまうという悪循環に陥ってしまうことになります。

 

 

反復性の原則は「廃用症候群」予防トレーニングの鉄則

 

廃用症候群(生活不活病)とは過度に安静にすることや、活動性が低下したことによる身体に生じた様々な状態をさします。この状態は、反復性の原則を無視することによってもたらされる心身の状態であるということができます。
 

トレーニングを中断したままベッドで長期に安静にした場合には、生理的な変化として以下の「廃用症候群の症状の種類」に示すような症状が起こり得ます。病気になれば、安静にして、寝ていることがごく自然な行動ですが、それを長く続けると、心身の両面において廃用症候群を引き起こしてしまいます。

 

 

廃用症候群の症状の種類

 

廃用症候群を発症すると、「運動器障害」「循環・呼吸器障害」「自律神経・精神障害」を引き起こします。

 

<身体諸器官系統の衰え>

「運動器障害」(サルコペニアやロコモティブ症候群「ロコモ」と共通)

 

• 筋萎縮・・・筋肉がやせ衰える(サルコペニア)

 

• 関節拘縮・・・関節の動きが悪くなる

 

• 骨萎縮・・・骨がもろくなる

 

 

「循環・呼吸器障害」(メタボリックシンドローム「メタボ」に関連)

 

• 心機能低下・・・心拍出量が低下する

 

• 起立性低血圧・・・急に立ち上がるとふらつく

 

• 誤嚥性肺炎・・・唾液や食べ物が誤って肺に入り起きる肺炎

 

• 血栓塞栓症・・・血管に血のかたまりがつまる

 

 

「その他の身体障害」

 

• 逆流性食道炎・・・胃から内容物が食道に逆流し、炎症がおきる

 

• 尿路結石・尿路感染症・・・腎臓、尿管、膀胱に石ができる、細菌による感染がおきる

 

• 褥瘡(じょくそう)・・・「床ずれ」といわれる皮膚の傷や感染

 

 

 

<精神神経系の衰え>

 

「自律神経・精神障害」

 

• うつ状態・・・精神的に落ち込む

 

• せん妄・・・軽度の意識混濁のうえに目には見えないものが見えたり、混乱した言葉づかいや行動をするようになったりする

 

• 見当識障害・・・今はいつなのか、場所がどこなのかわからない

 

 

反復性の原則の前提としての栄養

 

脳卒中を始めとする疾病予防の重要性は言うまでもないですが、後期高齢者が要介護状態になる原因として無視できないものとして、「認知症」や「転倒」と並んで「高齢による衰弱」があります。これはまさしく老年医学で言う「虚弱:フレイルティ(frailty)」を含んでおり、低栄養との関連が極めて強いのです。

 

このフレイルの原因としてサルコペニアが重要です。ですからサルコペニアを予防することが、ロコモ、フレイルばかりではなく、廃用症候群(生活不活発病)やメタボの予防になります。

 

サルコペニアは筋肉の減少であるため、筋肉を増やすことが必要です。そのためには、まず「栄養をしっかり確保すること」が重要で、特にタンパク質を摂取することが重要視されています。牛ヒレ肉や豚ヒレ肉などのお肉の摂取や、赤身のマグロやかつお、いわしなどの魚の摂取もタンパク質を多く含む食品として知られています。しかし、蛋白質は動物性蛋白のみならず大豆などの植物製品を積極的に摂取することが望まれます。

 

また蛋白質の代謝のためにはミネラルやビタミン栄養をしっかり摂取することが必要であり、そのためには牛乳をはじめとする乳製品の活用が大切です。

 

このように栄養を確保した上で、次に重要なのが適度な運動を行うことです。栄養状態が不良な状態で運動を行っても全く意味がないばかりか、むしろ逆効果であったりするので、栄養状態が良いということが予防のための基本的な前提条件です。栄養はエクササイズを反復・継続するために要求される最低限の体力のみならず気力の確保のためにも不可欠だからです。

<はじめに>

 

 

前回は「足の三里(あしのさんり)」を紹介しました。

 

 

「足の三里」は膝の小指側のくぼみから指4本下にあり、

 

 

胃炎、胃痙攣などの胃に関係する症状や吐気、便秘、下痢、脚、膝、腰の不調、更年期障害、精神の不安定、ニキビなどに効果があるというお話でした。

 

 

 

今回は「三陰交(さんいんこう)」を紹介しましょう。

 

 

<三陰交>

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三陰交は内くるぶしから指4本上にあるツボです。

 

 

生理痛、生理不順、更年期障害などの婦人科系疾患、腰痛、不眠、冷え症、むくみなどに効果があります。

 

 

このツボと足の小指にある「至陰(しいん)」にお灸をすると逆子が治るそうです

(私は経験ありませんが)。

 

 

私の学生時代の按摩の先生が奥さんの逆子をこのツボで治し株を上げたそうです。

 

 

女性の皆さんこのツボで不調を撃退してください。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

鷺宮スポーツ・コミュニティプラザから、

新型コロナウィルス感染拡大への措置として下記の通達がありました。

 


1、12月より館内でのマスクの着用を原則義務化(プール使用は更衣室内までの着用

 

2、マスクは鼻と口を確実に覆うようなマスク若しくはネックゲイターの着用(マウスシールドは禁止)

 

3、移動中、更衣室内でのお客様同士の会話は、できる限り控える。

 

4、会話をする場合は、必ずマスクの着用。

 

5、利用当日は、事前に各自検温、入館時検温の2回を徹底

 

6、体調の優れない場合は、利用を控える。

 

以上です、よろしくお願いいたします。
                            

 

日本水気道協会
中野支部長:林亮博

 

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代表の橋本裕子さんは、<NPO法人 線維筋痛症友の会>の創設者で、永らく初代理事長として貢献された方です。

 

同会の理事長退任後、現在は、新たに「きんつう相談室」を主宰され、線維筋痛症の患者さんのために、社会への啓発活動に加えて、より身近で具体的な臨床家としての活動を精力的に続けていらっしゃいます。

 


★    きんつう相談室 ★


電話:

080-7354-8259(平日10時〜16時)

 

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kinntuu@soudannsitu.main.jp

 

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水氣道稽古の12の原則(6)全面性の原則(2)

 

全面性の原則

 

全面性の原則とは、一般的にはトレーニングをする際は、同じ部位や種目に偏ったものではなく、バランスよく全面的に強化しなければならないという原則です。
 

例えば、胸の種目だけ行うのではなく、脚や背中など全身をまんべんなく鍛えることが大切です。偏りのあるトレーニングでは、怪我や技術の低下にも繋がってしまいます。
 

水氣道の稽古の流れは基本的に「全面性の原則」に従って体系化されているため、体験生や訓練生の間は、この原則を知らなくても「全面性の原則」に則った稽古ができるようになっています。

しかし、稽古というものは、時と場所と参加者などの変数によって、臨機応変にプログラムが修正されていきます。修錬生ともなれば支援員等の指示によって、一定の技法を訓練生や体験生の先頭に立って展開していくことがあります。その場合は、「全面性の考慮」が大切になってきます。

 

 

水氣道における「全面性の原則」
 

水氣道での「全面性の原則」の特徴は、簡単に言うと「偏らずにバランスよくトレーニングしましょう」ということに留まらず、「心身をバランスよく鍛えることが大事ですよ」ということが含まれているということです。

 

さらにはメンタルトレーニングや集団内での社会的能力の向上も必要です。「頭ばかりでも、体ばかりでもダメ」ということに他なりません。また、体力だけでなく気力も養うのですが、それだけでは一般のスポーツや従来の武道と変わることはありません。

 

水氣道で養うのは行動体力だけでなく防衛体力も視野に入れています。つまり、病気にならない体力、病気になっても回復できる体力である「防衛体力」を養うことも水氣道の目的の一つです。

 

このように、体力を複眼的に捉えて鍛錬することも「全面性の原則」に含まれていると理解しておいてください。

また、運動器と感覚器は切っても切れない相互補完的な関係があります。

 

水氣道は稽古を勧めていく過程で、身体の五官をすべて動員することになります。

感覚には表在感覚(温・冷覚、触・圧覚、痛覚)の他に深部感覚(位置覚、振動覚)などがあります。水氣道の稽古では、これらの感覚を訓練することで脳にとって有益な刺激を与えることができ、また、それによって磨かれた感覚によって緻密で正確な判断や行動が可能になっていくのです。

 

 

「全面性の原則」に基づいた稽古の基本

 

「全面性の原則」には多くの要素が含まれています。そうすると、いろいろな要素がある中で、いったい何から始めたらよいのか、という疑問が生じます。その答えは、すべてのスポーツや競技の基礎となる体力的基礎となる訓練をしっかりとやることであると考えてよいでしょう。


もっと簡単に言えば、人間は直立二足歩行をする動物であって、左右交互運動を行うことが基本であることから稽古を考えていくことになります。

 

人は直立しているだけで運動をしています。重力に逆らって姿勢を保持するために、下肢の筋肉や体幹の脊柱起立筋が絶えず活動状態にあります。また、それ以前に、呼吸するための呼吸筋(呼気筋と吸気筋)が休みなく働いています。

ですから、私たちが水氣道で水に入るだけで、水圧に抗して呼吸するため呼吸筋の負荷運動を行い、また、水中では浮力や水流・波などの流体力学的作用により、姿勢を保持するための筋緊張は亢進することになります。

呼吸筋、姿勢保持筋という基礎の上に立って、移動などの動作をするための筋肉が水の抵抗や粘性により負荷を得て自ずと鍛えられることになります。

 

多くのスポーツや武道と水氣道の決定的な違いは、基本的に一切の道具を使用しないことと、他者と直接接触しないことにあります。

そして、運動は常に左右交替制であり、対称的運動を行うということにあります。

 

水氣道における「全面性」とは左と右を等しく鍛えることも含んでいます。

 

多くの球技のように左右の機能の分化をはかるのではなく、脱分化・均等化をはかるのです。もちろん、完全に等しく鍛えることはできませんが、前進運動があれば、後退運動も行うことによってバランスのとれた稽古を心がけます。これも水氣道の「全面性の原則」に含まれています。

 

稽古計画を立てて、なるべく計画的に参加できるように工夫して調整することも稽古の一環です。そして、稽古に通う往来での時間配分や、食事のタイミングやその内容を吟味することも「全面性の原則」に含めて考えてください。それから、毎日の生活も水氣道の延長であり、それが一体となったならば「全面性の原則」は最大限に生かされることになるでしょう。

 

一回の稽古の中で、地味ではあるが効果的な基本エクササイズを全身バランスよく実施して、柔軟性や筋力・筋肉量の向上を図り、体力向上に繋げていけるように水氣道の体系は構成されています。

その中で個々人にとって特に弱い・硬い・動かしづらい部分に関しても各人が少しずつ気づいていくことになります。

多くの場合、適切な時期と機会に、個別に、あるいは仲間や上級者と共にしっかりとアドヴァイスを受け、より望ましいアプローチが可能になっていきます。

 

このように、水氣道では、強いところや優れたところをさらに強化していくことよりも、極端に弱い部分や苦手な部分があればまずそこを改善して、全体のパフォーマンスを低下させてしまうような目立った弱点をなくすことを大切にします。そうした弱点を全体の中から探していく姿勢も「全面性の原則」に則った水氣道の稽古の方向性です。

 

「全面性の原則」は日常生活においても応用範囲が広いです。

語学習得の場合も単語を憶えるだけでなく、文法も、リーディングも、リスニングも、スピーキングも,ライティングもすべてバランスよく勉強することで、高い語学スキルが鍛え上げられるものなのです。

 

いろいろな側面を訓練することは時間も労力も要するために敬遠する人も少なくないようですが、それも当面の間だけのことです。全面性の原則に従って学習していけば、学習効率が加速度的に高まっていきます。

 

全体を見通す事を忘れずに:目標を達成するためには全体を見通す力が必要
部活動でレギュラーを取れる人や就職活動で引く手数多な人、仕事で結果を残せる人など人生を成功させている人たちは決まって正しい方向性をもった行動をとる能力が優れているのです。

 

「木を見て森を見ず」ということわざがありますが、物事の細部に気をとられてしまい本来の目的を見失っている人が多いように感じます。 

 

私にも苦い経験がありますが、例えばあなたも次のような人を見かけたことがあるのではないでしょうか?

 

• 健康になることを目的として禁煙をしているのに家族が見ていないところでタバコをもらう人


• 理想のボディを手に入れたいと思ってダイエットを始めたのに体重を落とすことだけにとらわれて、骨や筋量を減らし、脂肪を増やし、プロポーションを崩してしまう女性

 

• 舞台の上での見栄えを良くしたいがために、腹筋を鍛えすぎて身体を固めてしまった結果、柔軟なベルカント唱法を困難にしてしまった声楽家

 

• 打球の飛距離を伸ばすために体重を増やそうと食事の摂取量を増やしたがお腹周りに肉がつきすぎてスイングが遅くなってしまう野球部員

 

• 走力向上のために筋力トレーニングを始めたにも関わらず、いつのまにかスクワットの重量を上げることが主たる目的となってしまい(膝上の筋肉がつきすぎて)結果的に総力を落としてしまったランナー

 

• 将来の実生活に役立つ知識・知恵を身につけるために勉強をしているはずなのに定期テストの問題をカンニングする学生

 

• 子供中心に物事を考えるあまり子供以外の人のことが目に入らなくなって、かえって子供に恥ずかしい思いをさせてしまう親

 

以上の例は本末転倒です。

もし、結果が伴っていなかったり心当たりがあったりするのなら一旦今の悪習慣を中断して、その時間を有効に利用し目標を再確認しましょう。

 

目標を達成できる人は全体を見通す能力が高い人たちなのです。

<線維筋痛症 JFIQの経過報告>

 

 

(図1)

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JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 

 図2)

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(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)=0.001%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、11の平均で    24.5点改善していたため、全体として鍼治療は   有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効0名(0%)、有効7名(63.6%)、無効4名(36.4%)でした。(図2)

 

 

今回「著効」の患者はいませんでした(著効まで0.2点足りない患者が2名いました)。

 

 

来月はもう少し良い報告ができるようにがんばります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

水氣道

 

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水氣道稽古の12の原則(6)全面性の原則(1)

 

筋力トレーニングの通説としての「全面性の原則」

 

これは一般的には、全身の筋肉をバランスよくトレーニングしなければならないという原則として理解されているようです。

この原則は、トレーニング効果の向上のためだけでなく、けがや障害の防止という安全確保の目的のためにも強調されています。

 

一か所や一方向に偏った過度な集中トレーニングでは、たとえばヒザや腰を痛めたために休養を強いられ、かえって筋力を落としてしまいかねません。

なぜならば、鍛える部分が偏ると、また偏った動きのスポーツでは、全身のバランスが崩れがちとなり、怪我や痛みの原因になりやすくなるので注意が必要です。

このように部分の筋肉だけを鍛え続けているとケガのリスクを高めてしまうので「全面性の原則」はスポーツ選手に限らずすべての人にとって重要な心得といえるでしょう。

 

そこでバランスよくトレーニングすることで、全体的に機能を向上させようとするのが、そもそもの「全面性の原則」です。怪我なく効率的に筋力向上を達成する上でこの原則は重要だと考えます。

 

たとえば、腕立て伏せだと、肩や上腕二頭筋や三頭筋、大胸筋などの上半身は鍛えられても,下半身は鍛えられにくい傾向にあります。

全身の筋力を高めるのであれば、背筋や下腹部、脚なども併せてトレーニングする必要があります。上半身だけでなく下半身も、身体の前面だけでなく後面も、大きい筋肉も小さい筋肉も、表層の筋肉も、深層のインナーマッスルも、呼吸筋も、姿勢を維持する抗重力筋、さまざまな動きに必要な筋肉も、くまなく鍛えることが全面性を考慮したトレーニングということになります。

 

 

トレーニングの対象を筋力に限らないことも「全面性の原則」

 

全面性の原則はその言葉通り、包括的にトレーニングをしていく必要性を説明した原則です。包括的トレーニングとは、自己の体力や、その他の健康の現状を考慮し、すべての健康要素を高めるトレーニングを行なうことです。そのためにはまず必要とされる体力の各要素をバランスよく全面的に発達させることです。

 

具体的には、有酸素運動、筋力トレーニング、柔軟性などの体力要素もバランスよく高めることです。

また、筋力だけの話ではなく、柔軟性やパワー、持久力といった他の体力要素もトレーニングしていくことも全面性です。

 

したがって、「全面性の原則」とは、ある体力要素を向上させたいのであれば、トレーニングの基礎として他の体力要素も向上させなければならないという原則のことです。

つまり、体力というのは色々な要素で構成されているので、可能な限り全ての体力要素を鍛えていかなければならないということです。

 

このように様々な体力要素のトレーニングをすることが全面性なので、筋トレだけでなくランやジャンプ系など、色々と実施していくべきです。しかし、トレーニング実践者がトレーニングに使える時間も無限ではありません。

 

そのため、多くのトレーニングジムでは、効率的に体力を強化しようとしてウエイトトレーニング(筋トレ)が指導の中心になりがちのようです。しかし、こうしたトレーニング内容も基本的にはこの「全面性の原則」に則ってプログラムされてはいるようですが、それは狭い意味で「全面性の原則」に過ぎません。
 

水氣道は、この「全面性の原則」の対象として筋力をはじめとする体力強化のためだけに用いているのではなく、より広い意味で用いています。

 

それは、水氣道では「全面性の原則」を限りなく発展性のある原則として捉え、日々の稽古において「全面性の考慮」を積み重ねてきた結果であるといえます。稽古の時間や場所が限られているから、安全にかつ効率的に稽古を行えるように工夫が凝らされなければなりません。

「全面性の配慮」が行き届いた水氣道の稽古プログラムは、そのような「全面性の原則」が基礎に据えられています。

 

これについては、次回解説する予定です。

<はじめに>

 

 

前回は「手の三里(てのさんり)」を紹介しました。

 

 

手の三里は、肘を曲げてできた横皺から手首方向に指3本分で親指側にあり、

 

 

胃腸の機能を整え、ニキビ、喉の痛み、腫れ、首、肩のこり、腰痛、背部の痛みや不安や落ち込みに効果がありというお話でした。

 

 

今回は「足の三里(あしのさんり)」を紹介しましょう。

 

 

 

<足の三里>

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「足の三里」は膝の小指側のくぼみから指4本下にあります。

 

 

胃炎、胃痙攣などの胃に関係する症状や吐気、便秘、下痢、脚、膝、腰の不調、更年期障害、精神の不安定、ニキビなどに効果があります。

 

 

松尾芭蕉が旅をしながらお灸をすえたツボとして有名です。

 

 

足の疲れを取り、胃の調子を整えて食べ物の消化を良好にすることで、栄養の吸収を促進して長い過酷な旅を良好なものにしていたのでしょう。

 

 

 

皆さんもこのツボに指圧やお灸をしてみてください。

 

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

 

前回はこちら

 



水氣道稽古の12の原則(5)漸進性の原則(その2)

 

漸進性の原則についての凡そのことは、前回説明しましたが、水氣道にける「漸進性の原則」とは、体力、スキル、パフォーマンスを向上させるためのパーソナルトレーニングプログラムを作成するために使用されるトレーニング原則という位置づけにとどまるものではありません。

 

この原則は「身体が運動プログラムに適応すると、適応し続けるためには、徐々に負荷を上げていかなければなりません。身体の回復能力に過度の負荷をかけないように、すべての進行は徐々に小さくすることが重要」であるということです。

 

そこで特にプロの指導を受けずに個人的に運動をされてきた方には、なぜこの原則が重要なのかを取り上げたいと思います。

 

 

まず従来の「漸進性の原則」は、アスリートがフィットネスレベルを向上させることを目的とするものでした。そのために、過負荷の最適レベルに到達するために物理的な要求を継続的に増加させなければならないことに主眼が置かれてきました。

 

しかし、全人的活動である水氣道は、単に生理的身体的な身体機能の向上、すなわち物理的な要求に対する能力(キャパシティー)の増加のみを目指すのではなく、心理的精神的な機能の向上など、非物理的な要求に対するキャパシティの増加をも目指すものです。

 

しかも水氣道はパーソナルトレーニグ(個人研修)ではなく、グループトレーニング(集団研修)もしくは二重のコレクティヴ(Collective集合、Corrective矯正)研修であるという特質を備えることによって、各人の社会的な機能までをも高めようとするものです。

 

そして水氣道のトレーニングの目的は疾患や障害の克服、怪我予防およびパフォーマンス向上であるので、心身の疾患をエクササイズで整え、かつパフォーマンスをアップさせる必要があります。そのために神経筋の疾患などをシステマチックに評価していき、プランを立てて統合的に疾患を改善していくというのが水氣道のコレクティブエクササイズ(矯正訓練)です。
  

 

筋肉を増やしていくためには、同じ負荷でずっと続けるのではなく、徐々に負荷を高めていくことが必要です。これを「漸進性(ぜんしんせい)の原則」といいます。この原則のポイントは、「徐々に」という点です。


たとえば、負荷を急激に高めてしまうとどうなるでしょう。

急激に筋力が向上するかといえば、そんなことはありません。むしろ筋肉や関節を痛めたり、効果が減少してしまったりする原因になります。少しずつ段階を経て負荷を増やしていくことが、稽古の効果を引き出すための要点となるのです。

 

漸進性の原則はまた私達に適切な休息および回復のための必要性を気づかせます。身体とその関節に継続的なストレスを与え続けることは、一定の過負荷と同様に、潜在的に疲労や怪我を引き起こす可能性があります。

 

いつもハードな稽古をしてはいけません(できません)。それは物理的に不可能であり、賢明ではありません。そうすると、オーバートレーニングにつながり、身体的・精神的なダメージが大きくなります。
 

疲労が抜けずコンディションを落としてしまったり、最悪の場合、身体が耐えられずにケガをしてしまったりする可能性もあります。

 

安全性の確保がすべての前提です。 

 

ここで水氣道の方法論から2つのキーワードに注目してください。

 

それは 「段階的」と「控え目」です。 フィットネスのレベルに関わらず、漸進性とは安全にゆっくりと挑戦的なものになっていく必要があります。

 

稽古計画の中に漸進性を活かす方法はたくさんあります。 筋肉量を増やしたり(1~2%でも)、反復回数を増やしたり、セット数を増やしたり、休息時間を少なくしたり、持続時間を長くしたり、強度を高くしたりすることができます。

 

 

「漸進性の原則」は、水氣道の<段・級制>にも反映されている

 

もし何らかのケガをしてしまった場合、たとえ筋肉を引っ張られたような小さなケガであっても、陸上トレーニングでは最低でも1~2週間は休むことになります。

 

筋肉や腱を断裂したり、足首を捻挫したり、腱鞘炎になったりと、もう少し深刻な場合は、4週間から12週間の範囲で休むことになります。 手術や物理的または作業療法の可能性があることは言うまでもありません。

 

「急がば回れ」という言葉の通り、そのような無駄で無益なことは積極的に排除していかなければなりません。

安全性と有効性を同時に確保するためには「トレーニングの負荷や難易度は少しずつ高めていくこと」が必要であり、漸進(ぜんしん)とは「順を追って進むこと・少しずつ進歩すること」を指します。トレーニングを続けていくと、負荷(使用している重さや回数など)に慣れてきて以前よりも楽にこなせるようになってきます。

 

さらなる体力向上のために、負荷を上げていく必要があるわけですが、あくまで負荷は“少しずつ”上げていくことが重要になります。

 

もちろん、目的や時期によってもどの変数(重量・回数・セット数・その他)を操作するかは変わってくるでしょう(筋力向上においては、回数よりも重量を増やしていくのが一般的ではあります)。

このあたりは、計画的にトレーニングの内容に変化をつけていく「ピリオダイゼーション」の理解が必要です。

 

 

 

エクササイズ難易度の漸進

 

どんな技法を実施するかという種目選択も漸進的であるべきです。

 

例えば、移動を伴わない単関節運動はフォーム習得が容易なのに対し、移動を伴いバランスを取りながら股関節や膝など複数関節を適切に動かしていく運動は多くのことを気にしなければならない分、比較的習得が難しい種目といえます。

 

目的やその時の体力・「形」習得レベルに合わせてどのような稽古をどのくらいの負荷で実施するのか、漸進性をしっかり考慮して選択する必要があるでしょう。

 

水氣道では、まずは基礎的な「形」エクササイズを適切に実施できることを目標の1つにしていますが、体験生(初心者)の方でも無理なく習得していけるよう、その時のレベルに合わせた段階的な指導が可能になるように工夫を重ねて体系化し、訓練生以上の参加者は皆そのことを心がけています。