神経・精神・運動器の病気
テーマ:レビー小体型認知症
<高齢者の認知症の20%、第3位>
高円寺南診療所の患者さんの中には、
高齢者となったら必ず認知症になると心配している方が少なからずいらっしゃいます。
その割には、認知症に対してワンパターンのイメージを
持っていらっしゃる方が多いのが気になり、今日のテーマとしました。
高齢者の認知症のランキング:
1位アルツハイマー型、2位血管性、3位レビー小体型
ただし、レビー小体型は20%ですが、アルツハイマー型との合併も多く、
実際にはもっと頻度が高いのではないかと思われます。
高円寺南診療所では、高齢者の認知症を疑った場合は、
まずレビー小体型認知症の可能性はないかという視点から見落としを防いでいます。
レビー小体型認知症は発症後10年で早期に死に至るのですが、
これは、根本的な治療法が確立していないことだけでなく、
医師ばかりでなく家族の理解と協力を取り付け、
さらにはタイミングの良い適切な社会的支援が得られていないための成績であると考えるからです。
早期診断は、主治医の重大な責任です。
レビー小体型認知症は男女比が2:1で、男性に多いです。
レビー小体病の一つです。レビー小体病とは、脳にレビー小体が出現する病気です。
パーキンソン病、認知症を伴うパーキンソン病、レビー小体型認知症の総称です。
早期診断のためには、MIBG心筋シンチグラフィで、
心臓交感神経の脱神経所見が役に立ちます。
SPECT・PET検査では、特に後頭葉皮質における血流・代謝低下、
ドパミン・トランスポーター画像(ダットスキャン®)で
大脳基底核ドパミン再取り込み低下を見出します。
大脳皮質領域に広範にレビー小体が出現すると、
進行性認知症とパーキンソニズムを呈するようになるのが特徴です。
レビー小体型認知症では、進行性の認知機能障害やパーキンソニズムの他に、
認知機能の変動・動揺、精神症状(幻視、誤認、妄想)、レム睡眠行動障害、
抗精神病薬に対する過敏性などがみられます。
CT・MRI検査では正常で、海馬の萎縮があってもアルツハイマー型より軽度のことが多いです。
根本的な治療法はなく、進行性認知症・精神症状に対するコリンエステラーゼ阻害薬、
パーキンソニズムに対するドパミン前駆物質など対症療法が中心となります。
予後は不良で、発症後10年未満で死亡することが多いです。
認知症の進行がアルツハイマー型より早く、
運動障害・自律神経障害の進行がパーキンソン病より早いです。