RSさんのメッセージを3回(3週)にわたってご紹介いたします。

 

RS2

 

第2回:新療法を巡る葛藤の巻

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=個人的葛藤と家族間葛藤を克服して=

 

 

初回に続くRSさんのご報告の書き出しは、とても印象的です。

 

「治療して頂くにつれ、身体にたまった毒素が全部出ていく様に感じた。」

 

RSさんは「治療して頂くにつれ」と記述されていますが、決して受け身でも無理でもなく可能な範囲で柔軟に治療メニューをこなしておられますので、少なくとも今年の2月中旬以降は「治療に本腰を入れて取り組んでいくにつれ」といったところでしょうか。

 

 

以下はRSさんの治療経過です。

 

2017・11初旬 初診

 

2017・11下旬 鍼治療開始

 

2018・2中旬 水氣道開始

 

2018・8 水氣道開始後6ヵ月

 

「身体にたまった毒素が全部出ていく様に感じた。」

 

RSさんは、このように表現していますが、もちろん現時点で彼女の痛みが全部消えたわけではありません。

 

それでも彼女の表現は、とても素晴らしい真理を明らかにしています。

 

 

「身体にたまった毒素」とは何でしょうか。

 

これは長年にわたって彼女を痛みで苦しめた発痛物質を意味するものではないようです。

 

なぜならば彼女の辛さは、身体的症状としての痛みのみならず精神的な苦悩に増し加えられてきたからです。

 

つまり、彼女の「身体にたまった毒素」とは、精神的な苦悩、つまり、頑固な決めつけやこだわり、執着心、あるいは、恨み,つらみ、希望の無さ、無力感などの総体であると見立てると、とても理解し易くなります。

 

これらの要素(身体にたまった毒素)が重なってくると、加速度的に痛みを増強し、持続させることになります。

 

「長きに渡る身体中の痛みが、薄皮が一枚一枚はがれていく様に少しずつ良くなってきている。」

 

一言で「長きに渡る」といっても45年間、ほぼ半世紀に達する時間の長さは、想像するだけで圧倒されそうです。

 

これだけの時間、全身の痛みが和らぐことなく続いていると、痛みがない状態とはどのようなものなのか感じることさえできなくなってしまっていても不思議ではありません。

 

そしてRSさんのような慢性の全身性疼痛に長期に亘って苦しめられてきた方の傾向としては、痛みの悪化には過敏である反面、痛みの改善については極めて鈍感であることが多いです。

 

 

端から見ていて、表情や動作などを観察して元気になってきたように見えても、本人には実感が伴わないので、「少しも良くなっていません。」というお返事が返ってくることがほとんどです。

 

そのようなやり取りが診療現場だけではなく、家庭内でもたびたび繰り返しているうちに、患者さんは「自分は大切な家族からも医者からも理解されているように思えない。だから、孤独で悲しい。」と吐露する方の何と多いことでしょう。

 

こうした精神的葛藤状態が持続的な苦悩となり、場合によっては家族間葛藤や、医療不信に発展してしまうと、その苦悩が全身の痛みという苦痛と硬く結合して一体化してしまいます。

 

そうなると通常の治療では困難な病態に陥ってしまいます。

 

そんな患者さんが多数、高円寺南診療所にアクセスしてこられますが、本格的な受診に踏み切る決断ができるのはごく限られた方々のみです。

 

 

ですから、「痛みが、薄皮が一枚一枚はがれていく様に少しずつ良くなってきている。」というRSさんの実感は、彼女が快癒に向かうスイッチが入ったことを端的に象徴しています。

 

「先生に水氣道を勧められた時は、身体中痛い上に、心身ともに疲れ切っていて、とても行けるように思えなかった。」

 

私が患者さんに水氣道を勧める場合には、通常治療の反応性を観察して、予告説明をしています。RSさんの初診は2017・11初旬で、同月下旬から鍼治療を始めました。

 

水氣道の開始は年明け2018・2中旬で、診療開始後3か月を経ていました。

 

最初から寒稽古です。水氣道の寒稽古(冬季治療)はその後の一年間の稽古(治療)成果を高めるための有意義な鍛錬になります。

 

新しい未知の経験(稽古、治療法)に参加するためには、信頼関係の確保、一歩前進しようと決断する勇気、そして周囲の人々の理解が必要になってきます。

 

RSさんも、その例外ではなく、

 

「その上、家族の理解も得られず、逡巡とした日々が続いた。」

 

と吐露しています。

 

温水プールは30℃程度とはいえ、一年中で最も寒い季節なので、RSさんが逡巡するのも無理はありませんでした。

 

それでも、敢えてRSにお勧めするのは、それなりの根拠があるからに他なりません。

「しかし、先生にお叱りを受けたことがきっかけで、とまどいが吹っ切れ、また、家族の協力も受けることができ、水気道に行く一歩を踏み出すことができた。」

 

私の患者さんは、しばしば私から「叱られた」、「お叱りを受けた」と述懐されることがあり、そのたびに反省を繰り返しています。

 

ただし、「叱責された」と書かれることは皆無であることだけは幸いです。

 

 

個人的葛藤はさることながら家族間葛藤について、RSさんは貴重な実例を提供してくださっています。

 

家族の協力を受けることができたのは、誰の力でもなくRSさんご自身の決断によるものだということです。

 

同じことを別の角度でみるならば、患者さん自身の個人的な葛藤が家族間の葛藤を生み出すことがしばしばある、ということです。

 

つまり、家族間の葛藤が個人の葛藤の原因ではなく、個人の精神的な葛藤(苦痛と苦悩の病的癒着)が家族間の葛藤の原因となっていることに気づくことができたということです。

 

実際にこうした決断に踏み切った方のその後の回復は明らかです。

 

なぜならば、迷うことなく一歩前進することができるからです。

 

「とまどいが吹っ切れ、・・・水気道に行く一歩を踏み出すことができた。」

 

これが本格的治癒に向けての本当のスタート地点なのです。

 

 

第1回:ポリファーマシーの巻(2018・8・7)

 

第2回:新療法を巡る葛藤の巻(2018・8・14)

 

第3回:「継続は力なり」の巻(2018・8・21)

<ストレス①>

 

皆さん、にとってストレスは何ですか?

 

Nogucciは勿論、ドクトル飯嶋に叱られることです…

 

では、ストレスに対してどのように対処していますか?

 

忘れるように努める。食べたりして発散する。時間がすぎるのを待つ。ふて寝する。など色々あります。(例はNogucci)

 

そこで、Nogucciがストレスに対してどういった対処をするのか調べました。

 

使用したテストは

「ラザルス式 ストレス コーピング インベントリー」です。

 

このテストは、ストレスへの対処の仕方と体験を調査することで、ストレス対処行動の2つのストラテジー(戦略)と、8つの対処型のプロフィールを評価します。

 

 

「2つのストラテジー(戦略)」

 

①認知的ストラテジー

事件に対してチャレンジする傾向、積極性。(問題志向)

 

②情動的ストラテジー

事件からの圧迫に耐えられないので、情動の軽減を図る傾向、消極性。(情動志向)

 

 

「8つの対処法」

 

①計画性: 熟慮する。慎重性、計画性がある。

 

②対決型: 自己信頼感が強い。問題に積極的に対処する。自信がある。

 

③社会的支援模索型: 社会への適応。他者を信頼する。依頼心が強い。

 

④責任受容型:従順型。現実的具体的に自己の役割を自覚、責任感が強い。

 

⑤自己コントロール型: 自分の感情・行動を制御する。他人の気分を害しない。慎重型。

 

⑥逃避型:問題解決の意欲を失う。やけになる。問題を他人のせいにする。

 

⑦離隔型:自分とできごとの間を切り離す。問題を忘れる。

 

➇肯定価値型:経験を重視。自己発見。自己啓発。自己改革。

 

 

ストラテジー(戦略)

Nogucciは問題解決型の方が強かったです。(自分でも意外でした)

 

 

「対処法」

⑥自己コントロール型が一番で、次に⑦隔離型でした。

 

 他人の気分を害しないように振舞って、そのうち問題を忘れる…

と、ドクトル飯嶋に分析されました。

 

ぐうの音も出ないとは、このことのようです。

 

 

次回は「ストレスって?」です。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

それは日本心療内科学会のHPです

 

 

こちらで、心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。

 

※「質問」をクリックすると表示されます。と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。

 

そこで、「質問」「答え」の後に、<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問2」

仕事でミスをして、上司と取引先に急ぎ出向き謝っているうちに急に息ができなくなり、このまま死んでしまうのではないかという恐怖が襲ってきました。

 

その場は上司が対応してくれて事なきを得ましたが、あの苦しさのことを考えると仕事に集中できません。

 

検査などを受けた方がいいでしょうか?

 

 

「答え」

急に息ができない感じになり、「死んでしまうのではないか」という恐怖が襲ってきたのですね。

 

その場は何とかしのぐことができ、その後も強い症状はないようです。

 

調べても大きな病気はない可能性が高いでしょうが、その点を確かめる意味で、念のため医療機関を受診してもいいでしょう。

 

異常がなければ、「過換気症候群」という機能的な病気といわれるかもしれません。

 

この病気では、ほかに大きな病気がないのに、息が苦しくなる発作がみられ、そのときには頻回で深い呼吸が認められます。

 

それで過換気=「換気のし過ぎ」になり、二酸化炭素が抜けて血液がアルカリ性になるのです。

 

元に戻るのですが、一過性の血管収縮や神経系の障害が起こり、めまい感、指先や口周囲のしびれ感、動悸や腹部不調などの症状が出現します。

 

この病気は若年者や女性に多く、男女比は1対2といわれています。

 

発作は、不安・緊張や興奮、肉体的疲労や呼吸が荒くなる運動などが引き金になります。

 

アルコールやカフェインの過剰摂取でも起こることがあり、女性では月経と関連があることがあります。

 

今回の「仕事でミスをして、上司と取引先に急ぎ出向き、謝っているとき」というのは、不安・緊張場面に相当するでしょう。

 

この発作は「死んでしまうのではないか」という恐怖を伴うので、頻回に発作を繰り返したり、一回でも強い発作を起こしたりすれば、「また発作が起きるのではないか」という予期不安を持つようになります。

 

今回「あの苦しさのことを考えると仕事に集中できない」というのも、そのためかもしれません。

 

これに対しては、病気の本体をよく知り、発作は苦しいが死につながるものではなく、また短時間でおさまることをよく納得する必要があります。

 

万一発作が起きた場合でも、呼吸をゆっくりするようにし、自分に「大丈夫」と言い聞かすと、自然におさまります。

 

発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併したりする場合には、医療機関(心療内科が適切でしょう)を受診するとよいでしょう。

 

(江花 昭一)

 

 

 

<高円寺南診療所の見解>

 

不安発作(過換気症候群)

 

かつての高円寺南診療所は、パニック障害の患者さんで溢れていました。

 

その患者さんの大多数は治って終結していますが、およそ2割程度の方は、アレルギーなど他の内科の病気で通院を続けています。

 

最近数年間では、パニック障害での受診者数は減少していますが、パニック障害を発症する前段階であると思われる不安発作で来院される方がいらっしゃいます。

 

「死ぬのではないか」とか「また再発したらどうしよう」など予期不安と呼ばれる恐怖におびえている方も少なくありません。

 

 

さて回答者の江花昭一先生の最近のプロフィールは、1995年~ 日本大学医学部兼任講師、2001年~ 横浜労災病院心療内科部長、2012年~ 神奈川大学 特別教授(現職)とのことです。

 

江花先生は

<発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併したりする場合には医療機関(心療内科が適切でしょう)を受診するとよいでしょう。>

 

と締めくくっていまが、受診のタイミングについては私の見解とは異なります。

 

受診のタイミングですが、強い不安発作を一度でも経験し、「死ぬのではないか」とか「また再発したらどうしよう」など予期不安を伴うのであれば、必ず受診していただきたい、というのが高円寺南診療所の推奨です。

 

その根拠は、早期に対応することによって、病気の進展を防ぎ「発作を繰り返したり、不安が長引いたり、外出恐怖や乗り物恐怖が合併」するのを防ぐことができるからです。

 

パニック障害に伴う外出恐怖や乗り物恐怖を広場恐怖といいます。

 

広場恐怖は独立した障害である場合もありますが、パニック障害と合併し易く、その場合は、広場恐怖を伴うパニック障害という診断名になります。

 

高円寺南診療所での治療成績が良好なのは、特別に高度な医療技術によるものではなく、

1)早期発見・早期介入、

2)トータル医療(体も心も同時に診る)、

3)水氣道®や聖楽院などオリジナルなケアの活用による再発防止、

 

などの工夫の集積によるものだと考えています。

 

 

 

 

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「身柱(しんちゅう)」です。

 

IMG_2936

 

場所は頭を前に曲げて首の付根の飛び出た骨からでっぱりを数えて3番目のところにあります。

 

 

「喘息」「ヒステリー」「腰背部痛」等に効果があります。

 

 

小児に使うツボとして有名です。

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

漢方治療に関しては

 

一般社団法人 日本東洋医学会 一般の方へ

 

のHPを検索してみました。

 

ここには<漢方ストーリー>という読み物がりますので、お読みになってください。

 

ただし、具体的なQ&Aは掲載されていません。

 

 

これに対して、慶應義塾大学医学部漢方医学センターの漢方Q&Aは比較的上手にまとめられていると思います。

 

 

ただし、その記載は概ね一般的ではありますが、慶應義塾大学医学部漢方医学センター受診者を想定して書かれているようです。

 

そこで、高円寺南診療所の立場から、<高円寺南診療所からのメッセージ>を加えてご紹介を試みることにしました。

 

 

Q

漢方治療に向いている病気向いていない病気を教えて下さい

 

A

漢方治療の向いている病気

 

 ・胃腸障害(腹痛、下痢、便秘)、慢性肝炎

 ・アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症、蕁麻疹など)

 ・不妊症、習慣性流産などの産科疾患

 ・月経不順、月経痛、冷え症などの婦人科疾患

 ・心身症、自律神経障害、神経症など

 ・高齢者の老化にともなう種々の症状(前立腺肥大、しびれ、膝痛など)

 ・高血圧、糖尿病など生活習慣病

 ・風邪をひきやすい、おなかを痛がるなどの虚弱児童

 ・癌や膠原病などに伴うさまざまな体の不調や体力低下

 

 

漢方治療の向いている病気、向いていない病気

 ・がんや腫瘍などの手術が必要な病気

 ・ 抗生物質が必要な感染症

 ・緊急処置の必要が高い病気(急性腎不全、急性心筋梗塞など)

 

 慶應義塾大学病院漢方医学センター診療部には乳児から高齢者まで老若男女を問わず受診されています。

 

疾患としては上記に挙げたような様々な疾患で受診されます。

 

よくこの病気は漢方がいいのでしょうか?現代薬がいいのでしょうか?という質問を受けます。

 

どんな病気に対しても漢方は適応になる、と言っても過言ではありません。

 

大切なことは「治すべきは病気ではなくて患者さんの体である」ということです。

 

どちらが主となり従となるかは病状により異なりますが、現代医学と漢方医学のいい点を組み合わせることで、より良い治療効果を生むことが多いと考えて下さい。

 

こんな病気が漢方で治るだろうか、と悩む前に是非とも御相談下さい。

 

 

<高円寺南診療所からのメッセージ>

慶應義塾大学病院漢方医学センター診療部の取り組みは、高円寺南診療所と本質的に変わるものではありません。

 

ただし、文中、慶應で漢方治療の向いている病気、向いていない病気、と併記されている個所は、漢方治療の向いていない病気、の誤りではないかと思われます(現在未確認)。

 

慶應の漢方医学センターのリストのなかで、着目すべきは・アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、喘息、花粉症、蕁麻疹など)、・心身症、自律神経障害、神経症など、・癌や膠原病などに伴うさまざまな体の不調や体力低下、を列記していることです。

 

その理由は、漢方診療とアレルギー科、心療内科、リウマチ科という専門領域は密接な関係があるという私の考え方に通じているからです。

 

なお専門医療機関としての高円寺南診療所の柱は、漢方はもちろんのこと、アレルギー科、心療内科、リウマチ科(リウマチ科では関節リウマチをはじめとする膠原病を対象としています)であることは、偶然の成り行きではないことをご理解いただけたら幸いです。

 

慶應の漢方医学センターの見解と異なる点は、高円寺南診療所では、慢性肝炎に対しては漢方治療は向いていないと考えている点です。

 

もちろん胃腸障害(腹痛、下痢、便秘)に対しては慶應と同じ見解です。

 

また、逆に、慶で漢方治に療向いていない病気?に、がんや腫瘍などの手術が必要な病気、抗生物質が必要な感染症、緊急処置の必要が高い病気(急性腎不全、急性心筋梗塞など)がリストされていますが、これらの病気に対して漢方治療が有害であるとか無効であるとか、という意味ではありません。

 

漢方治療単独で対処すべきで病気であるといえるかもしれませんが、漢方を上手に併用する工夫や努力を放棄すべきではないでしょう。

 

なぜなら現代西洋医学による治療後には漢方治療しか選択肢が無い、というケースも少なくありません。

ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会の

 

ホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。

 

 

最後に【高円寺南診療所からのメッセージ】を加えています。

 

 

気管支喘息(成人)②

 

Q3

早期介入(Early intervention)について教えてください。

 

A

喘息では咳喘息や週に1回以上発作を起こす軽症喘息から慢性的に症状がある持続型喘息に至るまで、喘息の本態である気管支の炎症を抑えるために早期から吸入ステロイド薬を中心にした治療を開始、継続することが有効であることがわかってきました。

 

早期の治療開始の結果、日常生活の制限の改善、発作に伴う入院日数の減少、救急外来受診回数の減少、呼吸機能の改善、重症化の予防、また喘息治療に関わる医療費も減少することなどがわかっています。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

早期介入の有効性については、以前から実感していたので、喘息の早期診断と早期介入を行ってきました。

 

かぜなどでの受診がきっかけで喘息が明らかになることがあります。

 

その場合、喘息やアレルギーの既往歴や家族歴が大いに参考になります。

 

 

Q4

短時間作用性吸入β2吸入薬の使用方法について教えてください。

 

A

短時間作用性吸入β2吸入薬は喘息発作の改善や運動により誘発される発作予防などの目的で用いられます。

 

吸入薬はネブライザーや携帯型ハンドネブライザーを用いた方式があります。

 

ハンドネブライザーを使う時は、息を吐いて、その後吸い込みながらガス型はボンベを1回強く押しながら、また吸入パウダー型はボタンを押しながら薬を吸い込み、吸い込んだ状態で数秒間息を止め、そのあとゆっくりはきだします。

 

効果が芳しくない場合は約20分後に再度吸入し、回復しない場合は再度反復(2~3回まで吸入)し、改善がなければ必ず病院を受診することが必要です。

 

なお薬により1回あたりの吸入回数が異なります。主治医によく相談してください。

 

 

【高円寺南診療所からのメッセージ】

高円寺南診療所では、急性期を除いて短時間作用性吸入β2吸入薬を処方することは、ほとんどありません。

 

ただし、発作が頻発する急性期においては、とても有効であり、喘息の診断ばかりでなく、治療反応性の評価にも有用です。

 

ふだん喘息のコントロールが良好な場合でも、運動誘発性喘息や、年に数回の発作が避けられない方には、お守りとして処方することはあります。

ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。

HPで確認することができます。

 

 

関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。

 

関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。

 

現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。

 

監修医:

東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生

 

 

解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。

 

ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。

 

 

 

関節リウマチの症状・検査値について③

 

指の腫れが気になって病院にいったところ、X線検査と血液検査だけで関節リウマチと診断されました。検査はそれだけで十分なのですか?

 

検査は、X線検査と血液検査が主ですが、医師はほかに症状などの診察の結果もあわせて、総合的に診断しています。

 

関節リウマチを診断するための検査は、関節の状態をみるX線検査と炎症の状態をみる血液検査でほぼ十分です。

 

医師はこれらに加えて関節の腫れ、痛み、こわばりの程度や症状が現れた時期などの診察の結果を考え合わせて、総合的に関節リウマチの診断をしています。

 

【高円寺南診療所からのコメント】

エックス線検査で関節の変形など関節病変の有無を調べます。

 

血液検査で調べるのは、急性期反応物質と血清学的因子です。

 

急性期反応物質とは、CRP(C反応性タンパク)やESR(赤血球沈降速度)で一般的な炎症反応物質をしらべるものであって、関節リウマチに特有の炎症反応ではありません。

 

これに対して血清学的因子とはリウマトイド因子や抗CPP抗体で、関節リウマチ特有の炎症をより検出し易い検査項目です。

 

その他に参考となるのは滑膜炎の期間が6週以上続いているかどうかということです。

 

以上の検査のみで関節リウマチの確定診断が可能になります。

 

 

 

関節リウマチの症状・検査値について④

 

Q

関節リウマチの症状は、年齢によって変わっていくのですか?

 

高齢になると痛みがひどくなったり、逆に軽くなったりすることはあるのでしょうか?

 

高齢になると関節リウマチの病歴も長くなるので、身体障害は進みます。

 

また、高齢になって発病した関節リウマチでは、他の病気ときちんと区別することが大切になってきます。

 

一般的には、炎症や痛みなどの関節リウマチの症状には年齢による差はありませんが、高齢になるほど若干軽くなる傾向があります。

 

しかし、これには個人差があり、病歴が長い患者さんでは、関節に変形が起きたり身体障害が起こったりして、生活に支障が出ている方も少なくありません。

 

また、お年寄りになってから関節リウマチを発病した場合では、病気の進行は遅いものの、炎症の検査値は悪いことが多いようです。

 

そのほかに、お年寄りでは「リウマチ性多発性筋痛症」など、関節リウマチと間違えやすい病気を発病することもあり、しっかりと検査を受けて正しい診断ができるようにしましょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

リウマチ性多発筋痛症は、高齢者に発症する肩甲帯、骨盤帯の疼痛と朝のこわばりを主徴とする炎症性疾患です。

 

高齢発症といわれていますが、60歳頃から発症がみられます。

 

男女比は1:2で女性に多いです。わが国での詳細な発症頻度は不明であり、病気の原因も不明です。

 

ただし、診断と治療方法はあります。朝のこわばりが1時間を超え、症状の持続が2か月を超える場合は、関節リウマチと鑑別しながら診断を進めていきます。

 

また高円寺南診療所では、線維筋痛症も多数経験していますが、関節リウマチを伴う線維筋痛症の他、リウマチ性多発筋痛症を見落されているケースもあるので注意深く診療しています。

 

 

関節リウマチの症状・検査値について⑤

 

Q

関節の腫れや痛みがありますが、関節の変形はなく、鎮痛剤だけ服用しています。

 

関節リウマチの治療は、発病初期に始めた方がいいと聞いたのですが、初期とはどれくらいの期間までなのでしょうか?

 

アメリカリウマチ学会では、発症6ヵ月未満を早期関節リウマチとしていますが(2012年発表)、治療はより早く開始することがすすめられています。

 

その観点からは、「初期」とは診断された時点ということです。

 

最近の治療の考え方では、関節リウマチの初期から抗リウマチ薬を使うことが勧められていますが、患者さんの状態によっては鎮痛剤だけということもあります。

 

不安があれば、医師に相談してみましょう。

 

 

【高円寺南診療所からのコメント】

関節リウマチの治療目標の達成には、早期診断と早期治療、短期的目標である臨床的寛解に到達するための疾患活動性の評価とそれによる治療の適正化が重要です。

 

早期診断と早期治療が必要である根拠は、関節リウマチでは関節破壊や身体機能障害が不可逆的に進行してしまうからです。

 

持続性・破壊性の関節炎が生じてから関節リウマチと診断してからの治療開始だと確実に病態が進展してしまいます。

 

そこで、現在では持続性・破壊性のリスクが高い関節炎を生じた時点で関節リウマチの治療を開始します。

 

治療方法は禁忌が無い限り抗リウマチ薬のなかでもメトトレキサートを中心とした治療を開始することが推奨されています。

 

鎮痛剤だけでは、関節の持続性・破壊性のリスクを軽減させることはできないからです。

RSさんのメッセージを3回(3週)にわたってご紹介いたします。

 

RS1

 

第1回:ポリファーマシーの巻

 

­=病気の前に立ちはだかる現代医療の問題=

 

 

現在50代の主婦であるRSさんは、瞬時も和らぐことのない激痛に45年間苦しんでこられました。

 

つまり、これまでの彼女の人生のほとんどが痛みに占められていた、ということです。

 

平成29年11月に高円寺南診療所の初診なので、まだ通院後一年を経過していません。

 

幸いに、彼女は元気になり、こうして振り返りのリポートを書けるまでになりました。

 

 

当初、彼女には医学的な問題以前に、優先的に解決すべき医療上の課題がありました。

 

それは、ポリファーマシーという現代医療にありがちな社会問題でもあります。

 

ポリファーマシーは多剤投与と訳されていることがあります。

 

厚生労働省のHPを検索すると、医薬・生活衛生局医薬安全対策課において第7回 高齢者医薬品適正使用検討会が平成30年5月7日(月)に開催されています。

 

資料も添付されています。

 

高齢者医薬品適正使用検討会

 

 

以下、引用します。

 

高齢者医薬品適正使用検討会 開催趣旨及び検討課題について

 

 

医薬・生活衛生局安全対策課 資料1 

 

ポリファーマシーの概念

 

高齢者の薬物有害事象増加には、多くの疾患上、機能上、そして社会的な要因が関わるが、薬物動態/薬力学の加齢変化と多剤服用が二大要因である。

 

多剤服用の中でも害をなすものを特にポリファーマシーと呼び、本指針でも両者を使い分けた。

 

ポリファーマシーは、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態である。

 

何剤からポリファーマシーとするかについて厳密な定義はなく、患者の病態、生活、環境により適正処方も変化する。

 

薬物有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加し、6 種類以上が特に薬物有害事象の発生増加に関連したというデータもある。

 

一方、治療に 6 種類以上の薬剤が必要な場合もあれば、3種類で問題が起きる場合もあり、本質的にはその中身が重要である。

 

したがって、ポリファーマシーの是正に際しても、一律の剤数/種類数のみに着目するのではなく、安全性の確保等からみた処方内容の適正化が求められる。

 

 

 

診察室からの解説:

厚生労働省の見解によると、ポリファーマシーは、

『単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態』としています。

 

RSさんは、服用する薬剤数が多いことに関連して、服薬することに大きな苦痛を感じて悩み続けてきたので、少なくとも服薬アドヒアランスの低下をもたらしていたことが推定されます。

 

 

なおポリファーマシーに対する厚生労働省の定義において

『何剤からポリファーマシーとするかについて厳密な定義はない。』とする一方で、

『6 種類以上が特に薬物有害事象の発生増加に関連したというデータ』を例に挙げておおよその目安を挙げています。

 

 

RSさんが前医から処方されていた薬剤の種類は14種類、薬剤数は1日32(その他、頓服1剤)でした。薬剤数から直ちにポリファーマシーとすることはできないとはいえ、この数に及んでもポリファーマシーに該当しない、と言い切る医師は、まず存在しないのではないでしょうか。

 

RSさんにとってポリファーマシーは、直ちに対策を取るべき重要な課題でした。

 

そしてポリファーマシー対策の最終的な目的は、

『一律の剤数/種類数のみに着目するのではなく、安全性の確保等からみた処方内容の適正化が求められる。』

として、(薬剤服用者の)安全性の確保等と読み取ることができます。

 

 

現在RSさんが服用している薬剤は5種類、薬剤数は1日12です。

 

薬剤の種類の内訳は、ビタミン剤(シナール錠、ノイロビタン錠、ワンアルファ錠)、漢方薬(当帰芍薬散)、およびノイロトロピン錠です。

 

このように、いまだ5種類を継続内服中とはいえ、ビタミン剤3種類と漢方薬1種類を含めたものですから、安全性の確保の見地からも、現在のRSさんはポリファーマシー状態からの離脱に成功したということができるでしょう。

 

RSさんが、もし以前の処方通りの服薬を続けていったとしたらどのような結果を招くことになったでしょうか。

 

現在の病気が治らないばかりか悪化し、さらに副作用が出現していたので、他にも新たな病気を複数抱え込んでいたのではないかと思われます。

 

最後に、厚生労働省は、ポリファーマシー対策を「高齢者医薬品適正使用検討会」の括り中で検討しています。

 

しかし、ポリファーマシーの被害者は高齢者のみの問題ではないことを深く認識して、若年者を含めて調査・分析を進めて早期からの対策を立案すべきではないかと思われます。

 

その理由は、高齢に至ってはじめてポリファーマシーの問題が浮上するのではなく、多くの場合、中年期や壮年期から徐々に発展していく問題であると考えられるからです。

 

RSさんは50代の女性ですが、これからは、癌や婦人病をはじめ色々な病気が発生し易くなる年代です。

 

非高齢者のポリファーマシーは、将来において不可欠となる新たな薬物治療の可能性をも阻む医療上の重大な問題をはらんでいるということにも気づいていただきたいと思います。

 

 

第1回:ポリファーマシーの巻(2018・8・7)

 

第2回:新療法を巡る葛藤の巻(2018・8・14)

 

第3回:「継続は力なり」の巻(2018・8・21)

<肺炎球菌ワクチン③>

 

ブースター効果について。

 

前回2種類のワクチン、ニューモバックスとプレベナーを紹介しました。

 

そして、先にプレベナ−を 接種してからニューモバックスをすることで、免疫の効果 接種してからニューモバックスをすることで、免疫の効果 が大きく上ることわかっています。(ブースター効果といいます)

 

 

日本感染症学会のガイドラインから引用します。

 

「米国ACIP(予防接種諮問委員会)は2014年9月にMMWR誌上で、これまでに肺炎球菌ワクチンの接種歴が無い、または接種歴不明の65歳以上の成人に対して、PCV13(プレベナー)の初回接種後6~12か月(現在では12か月)の間隔でのPPSV23(ニューモバックス)の追加接種(PCV13-PPSV23連続接種)を推奨した。

このPCV13-PPSV23の連続接種の利点は、成人ではPCV13接種後に、被接種者に13血清型ワクチン血清型特異的なメモリーB細胞が誘導され、その後のPPSV23接種により両ワクチンに共通な12血清型に対する特異抗体のブースター効果が期待されることである。

さらに、PPSV23接種によりPCV13に含まれない11血清型に対する特異抗体誘導も期待される。」

 

プレベナーを先に接種して、1年間隔を開けてニューモバックスを接種するとブースター効果があります。

 

 

ニューモバックスを接種済の場合は

 

「PPSV23(ニューモバックス)接種後5年以上の間隔をおいてPPSV23の再接種、もしくはPPSV23接種後1年以上の間隔をおいてPCV13(プレベナー)の接種をすることも考えられる。

PCV13接種後にPPSV23を再接種する場合には、6か月から4年が適切と考えられるが、それ以降でも接種可能である。

この場合もPPSV23の再接種間隔は5年以上が必要である。」

 

ニューモバックは5年ごとに再接種可能です。接種後1年から4年の間にプレベナーを接種した後に、再度ニューモバックスを接種するのがよいようです。

 

接種間隔の表です。

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2種類の肺炎球菌ワクチンを上手に組み合わせると、5年に一度の定期接種が1回で済みます。

 

ニューモバックスだけでなく、プレベナーも検討してください。

 

 

最後に、日本感染症学会

「65歳以上の成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方」

のホームページのリンクを載せておきます。

 

日本感染症学会HP

 

 

心療内科についてのQ&A

 

 

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

日本心療内科学会のHPで、心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

日本心療内科学会「一般の皆様へ」

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。

※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

と書かれています。

 

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。

 

そこで、「質問」「答え」の後に、

 

<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

 

「質問1」

新しい上司は、前の上司と違って業績重視型で、職場の雰囲気が180度変わりました。

 

2ヶ月程経った頃から、37度4分ぐらいの熱が続いています。

 

平熱は36度2分です。

 

仕事を休む程ではないのですが、倦怠感が続いていて仕事にも支障が出そうで心配です。

 

どうしたらいいでしょうか?

 

 

「答え」

微熱と倦怠感が続き仕事にも支障が出そうな状況のようですので医療機関にかかることが必要だと思います。

 

年齢、性別などの情報がありませんので、何科に受診するのが最適か判断困難ですが、まずはかかりつけの内科でよろしいかと思います。

 

そこで、症状を起こしうる感染症などの病気がないかの診断を受けましょう。

 

微熱、倦怠感を引き起こす体の病気は少なくありませんが、診察(問診・身体診察)と必要に応じて最小限の血液検査(炎症反応、白血球数など)やレントゲン検査などで多くは診断がつきます。

 

例えば、結核、甲状腺の病気、関節リウマチなどが見つかれば、適切な治療が必要となるでしょう。

 

ご質問では、職場の雰囲気が全く変わって2カ月程度で体調不良を感じるようになったので、その環境の変化が症状に関係しているのではないかと心配されているようにも読めます。

 

もちろん、職場での環境変化という社会的要因が微熱、倦怠感を引き起こすことは考えられます。

 

一般的な診察・検査で体の異常がなく問題なしと判断された場合、あるいは解熱剤での対処のみの治療が続き改善がみられない場合などは、一度、心療内科を受診して下さい。

 

職場でのストレスと体の反応(発熱)について関係が深いかどうかの判断や、自律神経のバランス不全による症状が考えられるかの診断をつけることができるのが心療内科です。

 

また、うつ病・うつ状態による症状と考えられる場合も適切な治療法を提案できるのも心療内科の強みだと思います。

 

このように、症状に対して心身両面からの診断と治療をするのが心療内科の特徴とも言えます。 

(金子 宏)

 

 

<高円寺南診療所の見解>

職場不適応と身体化障害【心因性発熱の疑い】

 

この症例のようなケースは高円寺南診療所でもしばしば経験しています。

 

さて回答者の金子宏先生の最近のプロフィールは、2006年4月 藤田保健衛生大学医学部内科学(心療内科)教授、2011年7月 星ヶ丘マタニティ病院副院長・内科部長です。

 

金子先生は、心療内科でしばしば遭遇する事例をもとに、医療機関の選び方について具体的に説明しています。

 

ここで、金子先生は、①まずはかかりつけの内科、そこで身体的な検査で異常が無ければ②心療内科の受診を勧めています。

 

これには少々説明が必要です。身体症状の種類と程度にもよりますが、この症例のようなケースであれば、最初から心療内科専門医を受診することができます。

 

心療内科専門医は、資格のある内科医なので、かかりつけの内科医として十分にその役割を果たすことができるからです。

 

しかし、実際には、心療内科専門医の数は全国的に診てもきわめて少数(2017年10月1日現在で118名)であり、しかも、地域差もあって、心療内科専門医が一人もいない県もあります。

 

たとえば関東地方では、心療内科医は東京都、神奈川県、千葉県に集中し、他の県(茨城、栃木、群馬、埼玉)にはいません。

 

学会のホームページは全国版であるため、上記のように説明せざるをえないのではないかと思います。

 

 

また、金子先生は、かかりつけの内科受診の後、必要な場合は心療内科の受診をすすめていますが、心療内科専門医が近所にいない地域で心療内科を受診するとなると、実際上は心療内科を標榜する精神科医を受診する確率が極めて高くなることが推定されます。

 

心療内科専門医数が最低10倍以上増えない限り、心療内科のQ&Aの回答も歯切れの良いものにはなりにくいのではないかと心配です。

 

 

高円寺南診療所を受診される皆様は、従来通り、かかりつけの内科医として受診していただくのが良いと思いますので、どうぞご安心ください。