6月を迎えると共に、水氣道の稽古会場が一気に解禁になりました。

 

5月に辛うじて稽古が実施できたのは、月曜日午後の杉並支部上井草会場のみでした。

 

 

解禁の連絡は以下の通りです。

 

5月31日に中野支部(鷺宮会場)火曜日夜間・金曜日午前
および三鷹支部(スバル会場)月曜日午後

 

本日、6月1日に新宿支部(ハイジア会場)土曜日午後

 

 

なお、第4月曜日午後の稽古は、三鷹スバル会場が定期閉館ですが、
代わりに杉並支部(上井草会場)を継続することにしました。

 

 

そこで、6月は以下の体制となります。

 

三鷹支部(スバル会場)

月曜日共同リーダー制<高橋・中西・田辺>
           

日曜日<再開準備中!>

 

 

杉並支部(上井草会場)

リーダー<細谷健太>

 

 

中野支部(鷺宮会場)

リーダー<林亮博>
             

火曜担当サブリーダー<坂本光昭>
             

金曜担当サブリーダー候補<中西正子>

 

 

新宿支部(ハイジア会場)

リーダー<中川良子>

 

 

 

稽古の実施条件:

・参加方法は事前予約制とします。会場ごとの定員にご注意ください!

 

・三鷹支部での日曜日の稽古については、参加希望者が6名以上となった場合に再開する予定です。

 

 

審査についてのおしらせ:

例年、6月は大審査月であるため、大審査(主に有段者以上の昇段審査)、中審査(主に修錬生を対象とする昇級審査)および小審査(訓練生・体験生を対象とする昇級審査)を実施してきました。しかし、本年は新型コロナ禍による稽古中断に伴い、十分な稽古実績を積むことができなかったため、残念ながら中止します。

 

なお、9月に小審査、12月に小審査および中審査を例年通り実施する予定です。

 

皆様、本日から新しい年度が始まりました。


慌ただしい季節となりますが、今月はとくに日頃のペースを崩さないようにお過ごしくださいますように。

 

このところコラム&ブログ(Doctor’s Column & Blog)や新着情報(What’s New)
の更新を行っていないため、実に多くの皆様が私の安否を気遣ってくださいました。

 

新年度から取り組みを始める様々な準備のため、忙殺されておりました。
ご心配くださった皆様に感謝申し上げますとともに、心よりお詫び申しあげます。

 

今年度の標語は、「産業医学・労働衛生が日本を救う!」です。

 

これまでも、狭くて窮屈な診察室に閉じこもり続けることなく、水氣道や聖楽院などの活動を通して、外の世界と交流を続けてきました。しかし、それらの活動の場は概固定しているという観点においては、まだまだ閉鎖的であったように思われます。そこへ人類共通の新たな大問題が生じました。

 

幸い、水氣道は、こうした時代が到来したとしても継続的に発展を続けていくことが可能な活動であることは概ね実証されました。しかし、聖楽院関連の活動は、が、残念ながら、ほぼ休止状態です。ささやかな個人的なレッスン方法を模索して、ようやく手がかりをつかんだところです。

 

このようなコロナパンデミック状況下にありことによって、私自身が大きく開眼し、飛躍的に展開を図ることができたのは、国際的な情報ネットワークの構築と、情報メディア・リテラシーでした。

 

日本は無防備でお人好しの国。いずれも偽善的な米(民主党)中(共産党)両大国の草刈り場と化しています。EUのエンジンであるドイツのメルケル首相は、対中国関係において、人権問題より抜け目なく国益や利益優先で邁進し、間接的に日本の安全を脅かしています。信頼に足る隣国としては台湾あるのみです。残念ながら、危機管理を含めて、現状の政権担当能力の乏しい首相をどこまで期待してよいものか甚だ心もとない限りです。

 

そのような国際状況下で、日本国民の最大の関心事といえば、Covid-19。しかし、終焉なきパンデミックはありません。いずれ確実にポスト・コロナの時代が到来します。

 

そのときに備えて私たちは何をすることができるか。

 

それは、将来に向けての人材育成と「安全・安心・快適」な環境づくりではないでしょうか。

 

資源小国の日本。最大の資源はヒトです。少子超高齢社会を迎えるにあたって、高齢になっても健康に社会活動を継続していけるような仕組みを構築しておかなければなりません。

 

人生90年、100年時代がすでに到来していますが、誰もが「安全・安心・快適」な毎日を過ごせる家庭や職場の環境づくりは、今から始めても間に合うのではないか、と私は楽天的に考えることができます。なぜならば、私自身がそれに着手して、すでに手ごたえを感じているからです。

 

私は大きな事業を展開していくことはできません。しかし、自分が直接かかわることができるフィールドを持つことができました。それは、東京を拠点として茨城から福島へ向けてのテリトリーです。多くの皆さんの懸念材料が新型コロナ一色に染まりつつある中で、ややもすれば忘れかけているわが国の重要課題がそこに残されています。

 

延暦寺を開かれた伝教大師最澄上人は、この世の全ての人びとが安泰で幸せであるよう祈りながら、「一隅を照らす、これ即ち国宝なり」という教えを示しました。それは自分が世間の目立たない処に在っても、又自分の力が目立たない力でも真の心に努め、尽くすことは、あたかも国宝のように大切であることを説いたものだそうです。

 

物質的資源小国の日本においては、まず、健全な人材の育成、そして皆が力を合わせて働くことが、これまで以上に求められてくることでしょう。そのためには労働が苦役のままであっては実践を続けることが難しくなります。それを容易にするのが支え合いです。互いに思いやりやいたわりのある行動や言葉が行き交う環境は清々しく尊く生産的な場を形成します。

 

家庭においても職場においても、真の心、本物の心が現れた生き方、誰もが納得して喜べる優しさと温もりを感じる行動と態度、言葉でこの新しい年度の日々を過ごしながら、次世代のための環境づくりを実践していきたいものです。

 

令和3年4月1日

 


昨年は、新型コロナ禍によって水氣道の稽古中断が2カ月に及びました。また、今年も緊急事態宣言等により、新宿支部ハイジア会場での稽古が中止となり、三鷹支部スバル会場に振替するなど、会員の皆様にはご不自由をお掛け致しております。

 

ようやく宣言解除により、新宿支部ハイジア会場での稽古が再開しました。
今年度も、各人にとって更に充実した稽古となるよう精進するとともに、水氣道機構の健全な発展を期したいと願うものであります。

 

 

 進級検定合格者発表

 

小審査(昇級決定1名、昇級延期1名)

 

 7級(特別体験生)認定証交付(令和3年4月1日付)級外(体験生)漆正子
(審査支援員:中川良子)検定会場:新宿ハイジア
令和2年12月の審査で審査において、既に合格されていましたが、年明け後3月に稽古復帰となりましたので、3カ月の交付延期となりました。

 

 6級(初等訓練生)認定証交付予定(令和3年7月1日付)7級(特別体験生)漆弘雄 
(審査支援員:中川良子)検定会場:新宿ハイジア
令和2年12月の審査で審査において、既に合格されていましたが、年明け後3月までの稽古復帰が適わなかったため、6カ月の交付延期予定といたしました。

 

 次回の小審査は、6月に実施、合格者発表は7月1日予定
なお、小審査検定料は1,000円、ただし6級への昇級検定料は500円、
7級への入級は引き続き無料とします。

 

 

 

 

 

 

 技法検定資格取得者発表

 

ファシリテーター検定(合格者計6名)

 

のびのび体操ファシリテーター(F4):

4級/濱屋幸一(審査支援員:林亮博)

 

 

五航法ファシリテーター(F3):

 

4級/野口将成、植田栄喜(審査支援員:林亮博)

 

 

 

いきいき体操ファシリテーター(F2):

 

5級/平田範子(審査支援員:中川良子)

 

 

 

親水航法ファシリテーター(F1):

 

5級/松田要、福丸慎哉(審査支援員:林亮博)

 

 

 ファシリテーター技法検定は小審査(年4回)に併せて実施しています。

 

*ファシリテーター検定料・認定料は当面の間、徴取しません。

 

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水氣道の会員・会費区分

 

 

水氣道は生涯エクササイズを目指すものです。そこで、職業上は現役を引退し、年金生活者となっても継続可能な組織運営機構を考案しました。また稽古熱心な会員の経済的負担が軽減される会員・会費区分としています。なお令和3年から消費税(現在10%)を徴取しています。

 

 

 入会金:5,000円+税

 

 

 会員と会費区分

 

 一般参加者(単回払い制)体験生中心

 

 准会員(月払い制)訓練生(6級以上)中心

 

 正会員(年会費制)修錬生(3級以上)

 

 特別正会員(年会費制)指導員(従四段下以上)以上の特別正会員(職業水氣道家)

 

 

階級に応じた指導料を給付

 

 役員(従七段以上)は会費免除、階級に応じた顧問料を給付

 

 

 会費区分と金額

 

 単回払い制:

級外・7級2,000円+税/回
      

6級以上1,500円+税/回

 

 

 月払い制:

 

6級以上から選択可能5,000円+税/月

 

 

 年会費制:

 

准3級から選択可能36,000円+税/年

 

 

 今後の予定

 

・5月には小審査およびファシリテーター審査の受検資格者が発表されます。

 

・6月には小審査・中審査・大審査およびファシリテーターおよびインストラクター審査が予定されています。

 

・7月1日付で、進級検定合格者およびファシリテーターおよびインストラクター資格取得者が発表されます。

<はじめに>

 

 

前回は「血海」のツボを紹介しました。

 

 

血海は膝の内側お皿から、指3本分上にあり、月経不順や月経痛に効果的なツボであるというお話でした。

 

 

今回は「太白(たいはく)」のツボを紹介しましょう。

 

 

 

<太白>

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足の親指の内側で、骨が出ているところのすぐ後ろにあります。

 

 

消化吸収や呼吸の働きを助ける。冷えやむくみを予防します。

 

 

さすったり、指圧して刺激してみてください。

 

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

<線維筋痛症 JFIQの経過報告>

 

 

(図1)

スクリーンショット 2021-02-04 12.14.35

 

 

JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 

 図2)

スクリーンショット 2021-02-04 12.14.18

 

(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)0.002%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、9の平均で    32.7点改善していたため、全体として鍼治療は   有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効2名(22.2%%)、有効5名(55.6%)、無効2名(22.2%)でした。(図2)

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭



前回はこちら

 

 

水氣道稽古の12の原則(9)周期性の原則(その

 

周期性の原則は、反復性の原則と同時に説明され、「反復性・周期性の原則」というように一括りにされることが多いようです。運動プログラムは、ある程度の期間、規則的に繰り返すように計画されます。トレーニングにおいて、反復性、つまり繰り返して継続することは、テクニックを向上させるためには重要な要素だからです。

 

このように、反復性・周期性の原則とはある程度の期間を定期的にやることです。しかし、反復性の原則と周期性の原則とは区別して理解することも必要であると考えます。

 

トレーニングの効果を得るためには、一定期間、運動を規則的に繰り返す必要があります。それはスポーツに限らず、楽器の演奏や美術表現、その他、万事においてテクニックを習得するには、これが必須の条件になります。とくに筋トレ初心者の場合、一つの種目のフォームを習得するにはそれなりの時間と頻度が必要です。陸上の筋肉トレーニングであれば、通常、週に2~3回位を目安に1年計画でトレーニングしていくことが考えられます。

 

正しいフォームが再現できるようになるまで、念入りに集中的に反復することが必要です。しかし、人間が集中的に物事に取り組むことができる時間は限られています。つまり、単なる努力だけでは身体的にも精神的にも消耗を来し、その結果、疲労困憊に陥ったり、怪我に繋がったり、病気を招いてしまったりすることさえあります。

 

このように、より効果的な成果を期待するためには、漫然と稽古を繰り返すばかりでは限界があります。トレーニングを効果的に継続するためには稽古を計画的に行う必要があります。つまり、計画的訓練ですが、その基本となるのが周期性です。

 

周期性の原則を活かしたトレーニングとは、基本的には1年間を通したトレーニン グ計画を立てて実践することです。日本の一年には四季がありますが、その季節に応じて最も効果的な稽古プログラムを作成することから始まります。

 

そもそも筋力をはじめとする体力は、一気呵成に向上することはありません。これに対して技術を習得する場合は、コツをつかむことによって急速に向上することがあります。ただし、コツをつかむ体験も、一回限りの経験では確かなものとして定着することは難しいです。反復するばかりでなく、定期的に点検しておかなければ、一過性の効果に終わってしまいます。それでは、「まぐれ当たり」と大差ありません。

 

またコツをつかんだつもりでいても、その後の効果の再現が得られず、上達がみられないばかりでなく、かえって後退してしまうことがあります。そのような場合の原因の一つは、誤ったフォームが、悪い癖となって身についてしまったためかもしれません。ですから、フォーム習得後も、さらなる継続を行い、周期的にチェックする必要があります。せっかく掴んだコツだからこそ、いつでも再現できるように学習して身に着けておきたいものです。このようなことからも稽古に関しても計画性の原則に則った工夫と努力が必要になってきます。

 

さらに、疾病の改善や健康づくりのための運動プログラム作成に関しては、特別に運動処方という言い方をします。安全で効果的な運動処方を行うためには、運動前の問診やメディカルチェック・体力測定を実施し、個人の潜在的なリスクや体力水準、体組成などを評価する必要があります。また運動中は定期的(周期的)な強度の監視、運動後はトレーニング効果の再検査が重要です。特にプログラムの作成にあたっては個人の特性を考慮し、各国で定められている運動処方の指針に従い、科学的に裏付けられたプログラムの作成が望まれます。

 

 

前回はこちら

 

    • 水氣道稽古の12の原則(8)全面性の原則(その3

前回は、水氣道における「全面性の原則」は、筋力トレーニングをはじめとする各種体力要素を対象とするにとどまらず、メンタル面、社会面など、より広範な次元に根ざした原則としてとらえている、ということをご紹介しました。そして、この原則についての更なる意味、そしてこの原則に基づいて、水氣道では、どのような実践に役立て、何を目標にしているのか等について、今回解説いたします。

 

繰り返しになりますが、水氣道がトレーニングするのは体力のみならず気力にも及びます。体力と気力をトレーニングするのは水氣道に限らず、多くのスポーツや武道についてもいえることです。しかし、水氣道における体力と気力の訓練は、他の種目以上に相互の関連性を重視し、より深い洞察へ導くことができるように構成されています。それは、心身相関という心身医学理論に立脚して稽古プログラムが構成されているからです。体力は主に瞬発力(パワー)持続力(スタミナ)によって支えられますが、気力もまた瞬発力(決断力)持久力(忍耐力)によって支えられます。

 

また、体力は筋肉だけでなく運動器全体が関与しています。運動器というのは具体的には骨格、骨格筋や腱、関節および軟骨、骨格筋と脳を連結する神経系などのすべてを含みます。そして、骨格筋と脳を連結する神経系には運動神経系(脳から骨格筋へ)と感覚神経系(骨格筋から脳へ)の二方向性での密接な繋がりがあります。水氣道では、従来軽視されがちであった、骨格筋以外の運動器を構成する要素に対しても配慮の行き届いた稽古プログラムを構築しています。

 

まず、安全面で大切なのは関節の保護です。関節軟骨は不適切あるいは過剰なトレーニングによって傷つきやすく、しかも修復が難しい組織です。水氣道は、水中運動であるため骨格筋ばかりでなく関節の軟骨や腱にも優しい運動を継続することができる前提が事前に与えられています。したがって、水氣道では安全性においても「全面性の原則」が活かされていることになります。

 

また、水氣道が水中運動であるもう一つの利点は、日常の陸上生活とは違った環境に身を置くことによって、運動神経系のみならず、感覚神経を刺激し、訓練することができることです。身体と触れているのが空気だけでなく、水によって包まれているという環境は、その分だけ多くの環境情報を皮膚の感覚器や深部感覚器を通して脳に伝えることになります。つまり、日常生活ではあまり刺激を受けず、用いられていない心身の諸能力が水氣道の稽古によって覚醒し、活性化させることができます。水氣道における「全面性の原則」は、こうした領域にまで及ぶものであることを是非心に留めておいてください。

 

一般のトレーニング理論は、運動生理学にもとづいて構築されていますが、「全面性の原則とは、その一環としてのみ用いられてきたことは既に説明してきたとおりです。これに対して、水氣道におけるトレーニング理論は運動生理学のみならず運動心理学、さらにいえば両者を統合した運動心身医学(註)を基礎としています。

 

(註)運動心身医学:

水氣道における独自の稽古理論。心身医学とは、患者を身体面とともに心理面、社会面(生活環境面)をも含めて、総合的、統合的に見ていこうとする医学を言います。そして、現代の心身医学の分野は医療、保健、福祉など多方面にわたりますが、基本的には人間の身体面、心理面、社会面の相互作用に関する科学的な研究成果をもとに、患者中心の生活の質を重視した全人的な医学医療のありかたを目指しています。そこで、「水氣道」という画期的な健康法の実践方法を確立して、心身医学に基づいた健康づくりを目的とする独創的な考え方によって体系的に運動理論を構築していこうとするのが「運動心身医学」なのです。

 

 

こうした運動心身医学を背景とする新しい概念である「全面性の原則」も従来の概念と基本的には相互に矛盾することはありません。ただし、水氣道での「全面性の原則」は、筋肉トレーニングのみならずメンタルトレーニングや、さらに、それらの相互関係にも及ぶ原則ことになります。ですから、水氣道における「全面性の原則」の概念には、身体面のみならず、心身両面に及び、このことだけでも従来の概念の時限を超えた発展性や成長性の可能性が内在しているということができます。

 

 

 

「全面性とは、バランスのことである」

 

とはいっても、それは広範囲に均一ということではなく、目的に応じて、それぞれに比重が異なることがあるということになります。たとえば水氣道には様々な技法(航法)が準備されていますが、すべての技法は心身両面での訓練になっています。しかし、体力面のトレーニングとメンタル面でのトレーニングの比重は一定ではなく、航法の種類やトレーニングの目的によって多種多様です。

 

繰り返しになりますが、水氣道の「全面性の原則」が、従来の「全面性の原則」と異なるのは、この原則が、単に筋肉トレーニングに限った原則ではなく、筋肉以外の体力向上全般に加えて脳神経系に細やかな配慮と工夫が必要になるからです。逆に、筋肉や身体面ばかりに注目しているならば、それは本質的に「全面性の原則」に反して、これと矛盾することになるからです。ですから、筋肉トレーニングはバランスよく行うという狭い意味での解釈を超越して、少なくとも水氣道の稽古においては、心身の統合的トレーニングは、全体のバランスよく考慮して行うという法則に拡張して理解することが大切です。

 

そのためには心身医学的アプローチに適う「全面性の原則」の考え方を織り込んだ<準備体操><整理体操>を丁寧に実施することが有用だと思います。水氣道では20年の歳月をかけて独自の<準備体操(通称:イキイキ体操)><整理体操(通称:のびのび体操)>を独自に発展・展開させてきました。いずれの体操も心身医学的な「全面性の原則」に則って体系づけられていますが、それぞれの目的が違います。つまり、「全面性の原則」というのは、目的に応じて柔軟な多様性を示しうるものだということができます。そして、いずれの体操も各自の目的に応じた「全面性の原則」に則って組み立てられているのですが、可能な限り、一回の稽古の中で<準備体操(通称:イキイキ体操)><整理体操(通称:のびのび体操)>両方の体操を組み合わせることによって、相互の効用を補完し合い、より完成度の高い稽古の基礎ができあがるのです。つまり、稽古の流れ全体を通して「全面性の原則」がより高度に完成していくものであることを理会していただきたいと思います。

 

さて人間が心身共に成長していくためには体力と気力のいずれもが必要となりますが、それだけでは不足しています。なぜなら、人間は社会的な存在であり、社会的動物であるともいわれるからです。人間が心身共に成長していくためには、新たな「気付き」が必要なのですが、個々の人間が孤立していたのであれば、多くの「気付き」の機会は失われてしまうことでしょう。そのかわり、身近にいろいろな人々と交流し、同行の友や師を得ることができれば、「気付き」の機会は加速度的に増えていくことになるはずです。

 

水氣道の稽古が個人的な鍛錬でなく「集団」あるいは「団体」として組織だって活動するように構築されているのは、まさに集団力動(グループ・ダイナミクス)によるメリットを最大限に引き出すことの重要性に根ざしているからです。人間が心身共に成長していくためには行動変容が必要であることは前回説明しました。その行動変容のためには、決断力と瞬発力の助け以前に「気付き」が必要です。そのチャンスを与えてくれるのが自分以外の人々の存在です。

 

今まで経験したことのない活動を、今までお付き合いのなかった人々と共に開始し、少しずつ開拓していくためには多少の勇気と覚悟、それから最小限の体力が必要になります。それらが揃ってはじめて質の高い「気付き」と自信が与えられるきっかけが与えられることになります。

 

前回はこちら

 

 

水氣道稽古の12の原則(8)全面性の原則(その2)

 

運動生理学にもとづくトレーニング理論におけるいくつかの原則の一つに「全面性の原則」があります。多くの場合は、筋肉トレーニングに関するもので、筋肉トレーニングはバランスよく行うという法則であると理解されています。またバランスとは、「必要な要素を見落とさない」ということにもつながります。ですから、「全面性の原則」には、概念自体の発展性や成長性が内在しているということができます。

 

たとえば筋肉トレーニングをする場合には、特定の筋肉や特定の身体部分の筋肉に偏らずに、全身の筋肉のバランスを考えながらトレーニングする必要があります。ただし、筋力トレーニングについていえば、全身の筋をバランスよく鍛えることを前提としつつも、大筋群を優先してトレーニングを実施することは大切です。

 

つまり、全面性とは、バランスであるとはいっても、それは広範囲に均一ということではなく、目的に応じて、それぞれに比重が異なることがあるということになります。

 

それから、トレーニングのモードとして持久力(持久力)を高める有酸素運動や筋力強化(パワー)のための無酸素運動がありますが、いずれか一方ではなく、両方のモードでトレーニングを行うことも「全面性の原則」の本旨に適うことになります。

なぜなら「全面性の原則」とは、筋肉トレーニングとはに限った原則ではないからです。

 

また、筋肉をトレーニングするためには、筋肉以外の体力向上全般に細やかな配慮と工夫が必要になるからです。逆に、筋肉だけに注目しているならば、それは本質的に「全面性の原則」に反して、これと矛盾することになるからです。ですから、筋肉トレーニングはバランスよく行うという狭い意味での解釈ではなく、少なくとも体力トレーニングはバランスよく行うという法則に拡張して理解することが大切です。

 

ですから体力とは、当然ながら単に筋力を意味するものではありません。筋力の他に、有酸素能力・柔軟性などの体力要素をバランスよく高めることが必要です。それらを、更に具体的に列記するならば、持久力、瞬発力、敏捷性、平行性、柔軟性といったようにいろんな体力要素です。前回説明したことの繰り返しになりますが、これらの体力要素を偏りなくバランスよくトレーニングしていくことが、より本格的な意味での「全面性の原則」ということになります。

 

そのためには「全面性の原則」の考え方を織り込んだ<準備体操><整理体操>を丁寧に実施することが有用だと思います。

 

水氣道では20年の歳月をかけて独自の<準備体操(通称:イキイキ体操)><整理体操(通称:のびのび体操)>を独自に発展・展開させてきました。

 

いずれの体操も「全面性の原則」に則って体系づけられていますが、それぞれの目的が違います。つまり、「全面性の原則」というのは、目的に応じて柔軟な多様性を示しうるものだということができます。そして、いずれの体操も各自の目的に応じた「全面性の原則」に則って組み立てられているのですが、両方の体操を組み合わせることによって、相互の効用を補完し合い、より完成度の高い稽古の基礎ができあがるのです。つまり、稽古の流れ全体を通して「全面性の原則」がより高度に完成していくものであることを理会していただきたいと思います。

 

それから、前回は、トレーニングにおいては、トレーニング効果を阻んでいる好ましくない生活習慣や認知・思考や動作・行動などの『悪い癖』の発見と是正も大切だと説明しました。『悪い癖』は行動や運動の偏りをもたらすからです。

 

ですから、本来の目的を見失わず、正しい方向性をもった行動をとる能力を育む努力と工夫なしには「全面性の原則」に適ったトレーニングの目標を達することはできません。

つまり、「全面性の原則」に適ったトレーニングとともに、トレーニングの方向性の全体を見通す能力育成に心掛けていかなければならないということになります。

 

そこで水氣道における「全面性の原則」は、筋力トレーニングをはじめとする各種体力要素を対象とするにとどまらず、メンタル面、社会面など、より広範な次元に根ざした原則としてとらえています。

 

水氣道がトレーニングするのは体力のみならず気力にも及びます。体力と気力をトレーニングするのは水氣道に限らず、多くのスポーツや武道についてもいえることです。

しかし、水氣道における体力と気力の訓練は、他の種目以上に相互の関連性を重視し、より深い洞察へ導くことができるように構成されています。

それは、心身相関という心身医学理論に立脚して稽古プログラムが構成されているからです。体力は主に瞬発力(パワー)持続力(スタミナ)によって支えられますが、気力もまた瞬発力(決断力)持久力(忍耐力)によって支えられます。

 

さて人間が心身共に成長していくためには体力と気力のいずれもが必要となりますが、その鍵となり、明らかに観察できる兆しとなるものが行動変容です。

 

行動変容のためには、決断力と瞬発力の助けが必要です。今まで経験したことのない活動を開始するためには多少の勇気と覚悟、それから最小限の体力が必要になります。

それらが揃ってはじめて自信が与えられることになります。ですから、水氣道を始めることを勧められた人は、当然生まれて初めての体験をするわけですから、一定の覚悟が必要です。

 

実際に、それが一番高いハードルになっているようです。逆に言えば、どれだけ時間がかかっても、そのハードルを飛び越えることができた人は、大きな行動変容を遂げ、その結果、初めての体験を味わい、認知にも変容が及ぶことになり、自信が与えられることになります。

 

しかしながら、自信とは受動的に与えられるものではなく、能動的に獲得していくものです。このことを理解していただく上で有益な概念として「自己効力感」という言葉を紹介させていただくことにします。

 

 

自己効力感は、社会的認知理論の中で使用される心理学用語の一つで、スタンフォード大学教授のアルバート・バンデューラ博士によって提唱されました。

 

同博士がさまざまな恐怖症を克服した人たちにインタビューを行うことによって、恐怖症という極めて困難な病を克服することができた人たちの中に共通点を見出したことがきっかけだとされています。

 

その共通点とは、「自分は困難を克服できる」そして「自分は現状を変えることができる」と信じるようになれたという変化を体験できたということでした。その後の継続的な研究によって自己効力感を保持する人は、「失敗」、「壁」、「困難」、「難問」に遭遇しても、「チャレンジする」あるいは、失敗しても「比較的早く立ち直る」という傾向にあることが証明されました。

 

 

私は20年に及ぶ水氣道の実践の積み重ねによって確信できたことは、まったく想像もつかない水氣道の世界に飛び込んでくることができるくらいに心身の気が熟した方たちにとって、水氣道が提供するハードルは決して高いものではないということです。

 

水氣道での「失敗」はむしろ楽しいものでさえあります。そして、ことさらに「壁」を意識することなく「壁」を乗り越えることができます。なぜならば、水氣道の稽古で提示する課題の提示の仕方に独自の工夫が施されているからです。

つまり、「困難」な急こう配と思える課題も、小分割して、なるべくなだらかな階段の数を増やすことによって「平面」に見えてくるような道程が用意されています。「難問」ですら水氣道の稽古メソッドに従って実践すれば、「快刀乱麻を断つが如し」であるといえるといって良いでしょう。

 

このように、水氣道の稽古における「全面性の原則」とは、体力のみならず気力を養い、そこから自己効力感を高めることによって、より健康的な行動変容に繋げ、各人の成長と発展に資するための指針となるものであるということができるでしょう。

 

水氣道の稽古における「全面性の原則」は、ここまでのお話に留まるものではありません。この原則についての更なる意味、そしてこの原則に基づいて、水氣道では、どのような実践に役立て、何を目標にしているのか等については、次回のテーマにしたいと思います。

 

前回はこちら



・ 水氣道稽古の12の原則(8)全面性の原則(その1)

 

運動生理学にもとづくトレーニング理論で、通常5つないし6つの原則とされるものの一つに「全面性の原則」があります。これは、一言で言えば、トレーニングはバランスよく行うという法則です。

 

筋肉トレーニングをする場合は、全身の筋肉のバランスを考えてトレーニングをすべきであるという意味で理解されているようです。これは身体の特定の筋肉のトレーニングに偏らないことが大切だということです。

 

一部分の筋肉だけを鍛え続けているとケガのリスクを高めてしまうので「全面性の原則」はスポーツ選手にとって重要な心得といえるでしょう。

 

たとえば、上半身だけ、下半身だけの筋肉トレーニングの場合は、偏ったトレーニングであり「全面性の原則」に反することになります。なぜならば、上半身と下半身のバランスが不良になるからです。

 

また、主動筋ばかりを強化すると、相対的に拮抗筋が弱まり、運動力学的にバランスを損ねてしまうため、拮抗筋の傷害につながることになります。もっとわかりやすく言えば、屈筋のみを強化すると、それに拮抗する伸筋が弱まり、それらの双方の骨格筋のバランスを支える土台である関節の軟骨を痛めてしまうことがあります。


このように、筋肉トレーニングをする場合には、特定の筋肉や特定の身体部分の筋肉に偏らずに、全身の筋肉のバランスを考えながらトレーニングする必要があります。

 

ただし、文字通り「全面性の原則」とはいっても、毎回のトレーニングにおいて、全身の筋肉をすべて均等に動かすことを意味するものではありません。筋力トレーニングについていえば、全身の筋をバランスよく鍛えることを前提としつつも、大筋群を優先してトレーニングを実施することは大切です。

 

それから、トレーニングのモードとして持久力(持久力)を高める有酸素運動や筋力強化(パワー)のための無酸素運動がありますが、いずれか一方ではなく、両方のモードでトレーニングを行うことも「全面性の原則」の本旨に適うことになります。

 

そして「全面性の原則」とは、体力トレーニングはバランスよく行うという法則です。

ここで体力と一言でいっても、それは単に筋力だけではありません。筋力の他に、有酸素能力・柔軟性などの体力要素をバランスよく高めることが必要です。

 

それらを、更に具体的に列記するならば、持久力、瞬発力、敏捷性、平行性、柔軟性といったようにいろんな体力要素です。これからの要素を偏りなくバランスよくトレーニングしていくことが、より本格的な意味での「全面性の原則」ということになります。

 

そのためには「全面性の原則」の考え方を織り込んだ<準備体操>や<整理体操>を丁寧に実施することが有用だと思います。

すべてのスポーツや競技の基礎となるすべての体力要素を高めるトレーニングは、この準備体操と整理体操に組み入れ、体力的基礎をしっかりと確保することは可能です。

また、それ自体が「全面性の原則」に則ったトレーニングであるといえるでしょう。

 

このように、体力というのは色々な要素で構成されているので、できる限り全ての体力要素を鍛えていかなければならないということも「全面性の原則」によって維持されやすくなります。

逆に言えば、「全面性の原則」は、ある体力要素を向上させたいのであれば、トレーニングの基礎として他の体力要素も向上させなければならないという原則であるともいえます。

 

さらに、いくらトレーニングであるからといって、むやみに動いてばかりではトレーニング効果が得られません。インターバルを入れて、小休止することも大切です。

活動と休息のバランスを工夫することも「全面性の原則」に含めて理解しておくことが望まれます。

たとえば、短距離走でベストスコアを得たい場合であっても、ダッシュだけでなく、ゆっくりと動くことが大切です。

つまり、同じ部位や種目に偏ったものではなく、バランスよく強化しなければならないということを「全面性の原則」が教えてくれます。

 

競技選手の場合には、トレーニングを実施する際には、その競技種目をよく分析し、目的に適う専門的なトレーニングを積み重ねていくことになりますが、その場合でも、基礎のトレーニングとしては、ある部位に偏ることなく全面的に強化する必要があります。

なぜならば、全面的に能力を開発することで、 将来より高度なテクニックを習得する際にもさまざまな能力の幅があるため比較的早く習得できるからです。

 

 

それから、トレーニングにおいては、トレーニング効果を阻んでいる好ましくない生活習慣や認知・思考や動作・行動などの『悪い癖』の発見と是正も大切です。

 

『悪い癖』は行動や運動の偏りをもたらすからです。ですから、本来の目的を見失わず、正しい方向性をもった行動をとる能力を育む努力と工夫なしには「全面性の原則」に適ったトレーニングの目標を達することはできません。

つまり、「全面性の原則」に適ったトレーニングとともに、トレーニングの方向性の全体を見通す能力育成に心掛けていかなければならないということになります。

 

以上、「全面性の原則」について縷々説明しましたが、水氣道における「全面性の原則」は、筋力トレーニングをはじめとする各種体力要素を対象とするにとどまらず、メンタル面、社会面など、より広範な次元に根ざした原則としてとらえています。

 

それでは、水氣道における「全面性の原則」とはどのような考え方に基づいて、どのような実践に役立て、何を目標にしているのか等については、次回のテーマにしたいと思います。