夜間多尿を伴う高血圧の治療指針

 

鹿児島大学大学院心臓血管・高血圧内科学の大石充教授は、第107回日本泌尿器科学会(4月18~21日)で、夜間多尿を呈する食塩感受性高血圧患者への薬物治療における盲点について、循環器内科指導医の立場から指摘しました。

 

その盲点とは「特に、加齢や慢性腎臓病に伴うナトリウム(Na)の排泄障害を有する人や、閉経や糖尿病に伴うNaの体内貯留が認められる人では、食塩感受性が亢進しやすいため、食塩摂取量に留意することが必要」ということです。

 

その理由は、食塩感受性高血圧患者が塩分を過剰に摂取すると、体内の塩分濃度が適正値を超え、夜間多尿のリスクが高まるからです。

 

日本人には食塩感受性高血圧患者が多く、夜間へのNaの夜間へ持ち越し(キャリーオーバー)が起こりやすい上、夕食時の食塩摂取量も多いため、夜間に血圧が上昇して夜間多尿を来すリスクが高い。

 

そこで大石教授は「夜間多尿の治療においては、原疾患も含めた病態生理の全体像を把握し、治療薬が効果を発揮するための前提条件を押さえておくことが重要」と注意を喚起しました。「適切な作用機序を有する薬剤を選択しないと、症状が悪化する恐れがある」からです。

 

食塩感受性高血圧患者は夜間多尿のリスクが高い

 

正常血圧者では、塩分を過剰に摂取した場合でも、血圧が上昇して尿中へのナトリウム(Na)排泄が促進され、血中Na濃度が適切なレベルに保たれます。

 

しかし、本態性高血圧患者では、Naを排泄するために正常血圧者よりも、さらに高レベルの血圧上昇が必要となります。この傾向は、本態性高血圧患者の中でも食塩感受性高血圧でより顕著です。

 

そのため、食塩感受性高血圧患者が塩分の多い食事を取ると、昼間に十分なNa排泄ができず夜間へ持ち越し(キャリーオーバー)ます。

 

その結果、夜間血圧が上昇して尿量が増加し、Na排泄が促されます。

 

これが食塩感受性高血圧患者における夜間多尿の発症メカニズムです。

 

塩分貯留に伴う夜間多尿にはサイアザイド系利尿薬が有効

夜間多尿を伴う食塩感受性高血圧治療の基本は、日中にNaをできるだけ排泄し、夜間へのキャリーオーバーを防止・低減することです。食塩摂取過多により夜間多尿を呈する食塩感受性高血圧患者では、サイアザイド系利尿薬を朝に投与した場合、日中のNa排泄が促され、夜間高血圧を来さず夜間多尿が改善します。しかし、同様のケースにむやみにループ利尿薬を投与した場合、体液量が減少する一方で、体内にNaが貯留し、副作用として浮腫を来す可能性がある。ただし、ループ利尿薬は心不全による体液貯留に伴う多尿に対しては有効である。

 

また、原疾患に対する治療法によっては夜間多尿が悪化する懸念もあります。カルシウム(Ca)拮抗薬は血管拡張により降圧作用を示すが、Naの排泄は促進しません。食塩摂取過多の食塩感受性高血圧患者に対してCa拮抗薬を投与すると、血管が拡張して血圧は下がるが、Na濃度は低下しないため、夜間に血圧を上昇させてNaを排泄せざるを得ず、尿量が増加する恐れがあります。このような症例に対しては、サイアザイド系利尿薬でNa排泄を促進する必要があります。

便秘症の薬物療法(2)

 

慢性便秘(症)は、大腸がんなどによる器質性狭窄性の原因を鑑別した後、症状のみによって、排便回数減少型と排便困難型に分類します。

 

排便回数減少型において排便回数を厳密に定義する必要がある場合は、週に3回未満です。

しかし、日常臨床では、その数値はあくまで目安であり、排便回数や排便量が少ないために結腸に便が過剰に貯留して腹部膨満感や腹痛などの便秘症状が生じていると思われる場合は、週3回以上の排便回数でも排便回数減少型に分類してよいことになっています。

排便困難型は、排便回数や排便量が十分であるにもかかわらず、排便時に直腸内の糞便量を十分量かつ快適に排出できず、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘です。

ただし、複数の病態を併せ持つ症例も存在することに留意する必要があります。

 

機能性便秘で腸管弛緩を疑うときには、副交感神経刺激薬のパンテチン、ネオスティグミンなどを用います。

腸管痙攣を疑うときには副交感神経遮断薬のメペンゾラートやチキジウムなどを用います。

 

便秘と下痢を繰り返す過敏性腸症候群(IBS)には、消化管運動調整作用のあるトリメプチンも使いやすい薬です。IBSに伴う便秘は不定愁訴を伴う場合も多く、自律神経調整薬(グランダキシン®)、抗不安薬(セディール®)、抗うつ薬などを併用します。

 

毎回の診察時に、快食・快便・・・ですか?と質問しますが、その場合には、便秘について十分意識してご回答ください。一口に便秘といっても、いろいろな原因があることを説明しましたが、本当に<快便>であるためには、いろいろな条件をクリアしていなければならないことをご理解いただけたでしょうか。

睡眠障害の治療戦術(4)

 

前回までで既に

1)症状把握、

2)治療の要否判定、

3)睡眠衛生指導、

4)リスク評価、

5)各種の薬物療法

までのステップについては説明をしました。

 

薬物療法が有効であれば、維持薬物療法を計画しますが、薬物療法が無効であったり、部分寛解といって、十分満足のいく効果が期待できなかったりするときには、6)認知行動療法を導入します。

 

 

認知行動療法

原則として、薬物療法と同時に、状況が許す限り、できるだけ早期からの心理的・行動的介入が推奨されています。これが認知行動療法です。

 

認知行動療法は、不眠を長引かせてしまう生活習慣(行動パターンや睡眠に関する考え方)と身体反応(過覚醒:目覚めすぎてしまう傾向)をカウンセリングなどで修正し、不眠を改善させることを目的として行われます。

 

広義の認知行動療法の技法としては、①刺激制御法、②睡眠制限法、③漸進的筋弛緩法、④認知療法があります。①および②は行動療法、③は自律訓練法に近い関係があります。

 

1回50分のセッションを4~8回行うことで改善することが示されています。

 

特に入眠困難の改善には薬物療法よりも効果が高いと考えられています。

 

また、睡眠薬の長期服用者には減薬促進の効果が期待できます。

 

 

維持療法

認知行動療法が有効であれば、認知行動療法の維持療法を継続しながら、薬物を併用している場合には、維持薬物療法を検討します。

 

維持薬物療法をどの程度の期間継続すべきかは、患者ごとに検討します。原薬・休薬を実施する前提としては、不眠症が寛解(回復)していることが求められます。不眠症の寛解とは、不眠症状と生活の質(QOL)障害の両面が改善していることを意味します。寛解に至ってから減薬・休薬を開始するまでの間には、再燃(再発)のリスクを低減させるのに十分な期間を置くべき、とされています。

 

 

休薬トライアル

不眠症が寛解した後には、適切な時期に適切な方法で減薬し、可能であれば休薬を試みます。

 

睡眠薬の減量の方法としては、

①漸減法

②認知行動療法の併用

③補助薬物療法

④心理的サポート

以上があり、これらを適宜用います。

 

杉並国際クリニックでは、最終的には睡眠薬の減量⇒休薬⇒睡眠薬治療終了⇒睡眠衛生指導による再発防止、というプロセスを踏まえたケアを行っています。

 

睡眠薬は①漸減法を採用しますが、むしろ、これは結果であって、睡眠薬を漸減できるように、②認知行動療法の併用や④心理的サポートを行い、③補助薬物療法としては、漢方薬を効果的に用いています。

<はじめに>

 

 

前回は「胃経」のお話をしました。

 

 

「梁丘(りょうきゅう)」は太腿の外側膝蓋骨から指3本分上にあり、

 

 

「膝関節痛」に効果があります。

 

 

「足三里(あしさんり)」は膝の下の外側の窪みから 指4本分下にあり、

 

 

「胃痛」「食欲不振」「腹部膨満感」「体力増強」などに効果があるというお話でした。

 

 

今回は「脾経(ひけい)」のお話です。

 

 

 

<脾経>

4脾経

 

 

 

「脾経」は 足の親指から足の外側を通り脇の下方までつながっています。

 

 

21個のツボがあります。

 

 

では、21個のツボを挙げていきましょう。

 

1.隠白(いんぱく)

 

2.大都(だいと)

 

3.太白(たいはく)

 

4.公孫(こうそん)

 

5.商丘(しょうきゅう)

 

6.三陰交(さんいんこう)

 

7.漏谷(ろうこく)

 

8.地機(ちき)

 

9.陰陵泉(いんりょうせん)

 

10.血海(けっかい)

 

11.箕門(きもん)

 

12.衝門(しょうもん)

 

13.府舎(ふしゃ)

 

14.腹結(ふっけつ)

 

15.大黄(だいおう)

 

16.腹哀(ふくあい)

 

17.食竇(しょくとく)

 

18.天渓(てんけい)

 

19.胸郷(きょうきょう)

 

20.周栄(しゅうえい)

 

21.大包(だいほう)

 

 

になります。

 

 

今回は 「血海」「三陰交」を紹介します。

 

 

 

<血海>

2019-06-27 10-58

 

 

「血海」は、膝蓋骨の内側から指3本分上にあります。

 

 

「生理痛」「生理不順」「不正出血」「膝の痛み」に効果のあるツボです。

 

 

 

 

<三陰交>

2019-06-27 10-57

 

 

「三陰交」は、うちくるぶしの一番高いところから指4本上にあります。

 

 

「生理不順」「生理痛」「腹部膨満感」「下痢」に効果のあるツボです。

 

 

また、「逆子」を治すツボとして有名です。

 

 

専門学校時代、按摩のN先生が奥さんの逆子をこのツボをつかって治したそうです。

 

 

(奥さんから尊敬されたそうです(笑))

 

 

この2つのツボは「生理痛」「生理不順」にとても効果が高いツボです。

 

 

女性のためにあるツボと言っても過言ではありません。

 

 

「血海」「三陰交」を刺激して生理の辛さを乗り切って下さい。

 

 

女性の皆さん、このツボを知らずにいることは人生の半分損をしていると思いますよ。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

竹田貴雄の「からだとこころと人間関係に効く漢方講座」

 

杉並国際クリニックで行っている漢方診療に共通する考え方を簡単に説明している記事を発見したので紹介いたします。

 

5食欲の有無で使い分ける「五月病に効く漢方薬」

2019/5/10

竹田 貴雄(北九州総合病院麻酔科部長)

 時代は令和(PCでなかなか変換できませんね)を迎え、史上初の10連休となったゴールデンウイークが明けました。私の勤務先は4月30日と5月2日が営業日(結構な数の予定手術に加えて、緊急手術も立て込んだとてもタフな2日間……トホホ)でしたので、生活リズムをさほど狂わせることはありませんでしたが、皆様は連休明けいかがお過ごしでしょうか。


 今回のテーマは、五月病の漢方治療です。「五月病」は「夏バテ」と同様に正式な病名ではありません。五月病は、異文化交流でのカルチャーショックによる不調と考えられています。ちなみにWikipediaでは、「新入社員や新入生などに見られる、新しい環境に適応できないことに起因する精神的な症状の総称」とあります。

 

新しい環境への適応=リスガードのU字曲線

 

 今まで経験したものとは異なるものや理解できないことに出会うと、私たちの内面には様々な変化が起こります。一般的には、異文化適応における典型的な内面の変化は「リスガードのU字曲線」で説明され、4つのステージからなるとされています。ここでは、初めて病院に着任した研修医や若手医師を例に、各ステージで生じる感情の変化を見てみましょう。

 

図1 新しい環境への適応リスガードのU字曲線1

 

【ステージ1:ハネムーン期】
見るもの聞くもの全てが新鮮で、何をやっても刺激的で楽しい時期。病院の設備などの「見える文化」への関心が中心で、職員の価値観や場の空気などの「見えない文化」にまでは気づいていない。本来の力以上に活動的になりがち。

 

【ステージ2:カルチャーショック期】
徐々に環境に慣れてくると同時に、「見える文化」から「見えない文化」に直面する時期。院内の「見えない文化」は、言語化もされずに無意識かつ当たり前のようにまかり通っているため、理解困難。今まで抱いてきた期待が失望へ、興奮が落胆へと変わる。それまでに蓄積した疲れやストレスが表出して不適応を起こす。

 

【ステージ3:適応期】
カルチャーショックを抜け出し、異文化への適応が始まる。「習う」段階から「慣れる」段階。今まで分からなかった「見えない文化」が見えるようになり、その文化での暮らし方や振る舞い方に慣れてくる。

 

【ステージ4:成熟期】
異文化への適応がほぼ完了し、不安やストレスが消失する時期。新しい文化での様々な経験から、視野の広い見方や考え方ができるようになる。

 

 

経験0(無=学生)から1(有=医者)へのジャンプアップは本当に大変

 4月は入学・入社シーズンです。新人の若者は1日でも早く学校や職場に慣れようと、先生や先輩から場の「習慣」や「慣習」を一生懸命習います。この季節、「こんにちは」とあいさつすると、緊張の抜けないぎこちない笑顔で「こ、こんにちは」と返してくれる人をよく見かけますが、そうした人たちの名札にはたいてい「見習い中」と書いてあります。

 

 1年目の研修医も、4月の3週目あたりまでは「お客様扱い」で、ハイハイとスタッフの話を聞くだけでよかったわけです。ところが、厚生労働省から医師免許証が届く4週目ともなると、看護師さんから「○○先生、内服薬の指示をください」と当然のように言われ、「オレ(私)そんなこと言われても分からないし……」と困ってしまいます。学生時代の親しい友人もそれぞれの就職先で忙しくしているでしょうから、悩み事を相談したり愚痴を吐いたりする相手も見つけられず、知らず知らずのうちにストレスを溜めてしまうことになります。

 

 ゴールデンウイークの時期は、朝晩と日中の気温の変化が大きいこともあり、疲労が蓄積したり、ホルモン・免疫・自律神経系に影響が出やすい季節です。4月は勢いでどうにか働いていた新人が、社会人になって初のゴールデンウイークで休めと言われても、気持ちが高ぶったままで、気分転換がうまくいかないことが多いと思います。

 

 

カルチャーショック期に五月病が忍び寄る

 ゴールデンウイークが明けると、「本番モード」突入です。研修医は手術室や救急外来でバリバリ働くようになりますので、ミスが起こりやすくなります。処置を行うときにも、患者の命を守るためにはどこまでが安全で、どこからが危険なのか、まだ研修医には十分に分かりません。指導医も、自分に余裕があるときは研修医にやさしく接するのですが、ゴールデンウイーク明けの超多忙な時期には、「こんなことも分からないのか!」とついつい声を荒げてしまう場面も時にはあるでしょう。
 何か新しいことを始めた際には、自分がどのステージにいるのか考えることがとても大切です。五月病は、まさにステージ2の「カルチャーショック」に相当します。もし、不安やイライラ、焦燥感などを感じていれば、その人はカルチャーショック期にいると言えます。カルチャーショックは誰もが経験する異文化適応のプロセスなので、普段にもまして食事、睡眠、休養を意識するようにして、深刻に考え過ぎないようにすることが重要です。

 

 

認知=思考のクセ

 認知行動療法では、私たちは「認知」というフィルターを通してものごとを解釈していると捉えます。指導医にミスを注意されたという出来事も、それを受け取る研修医によって解釈が異なります。自分の犯したミスをどう解釈するか、心には4つの「認知」のフィルターがあるとされており、そうした認知=思考のクセに対する対処法はそれぞれ異なります。2

 

(1)現実的な対処
例:「同じミスを起こさないように対策を考えよう」
最も現実に適した認知法です。

 

(2)合理化
例:「こんなに忙しいんだからこの程度のミスは仕方がない」「自分だけに原因があるのではない」
「新型うつ病」とも「ディスチミア:Dysthymia=気分変調性障害(気分変調症)」とも呼ばれ、集団に適応するのが難しい人かもしれません。特効薬はなく、産業医や職場の上司による「育て直し」が必要とされています。

 

(3)怒り
例:「何であの指導医は自分ばっかり責めるんだ」
怒りの感情のコントロールが必要な人です。

 

(4)憂うつ・無力感
例:「自分はいつも失敗ばかり。この仕事は自分に向かない」
憂うつや無力感といった感情のコントロールが必要な人です。

 

 

五月病の漢方治療

 今回は、4つの「認知」のフィルターの中でも
(3)怒りの感情のコントロールが必要な人
(4)憂うつや無力感といった感情のコントロールが必要な人
に対する漢方治療を紹介します。五月病を漢方医学的に捉えると
・怒りの感情のコントロールが必要な人=氣うつ
・憂うつや無力感といった感情のコントロールが必要な人=氣うつ氣虚
ということになります。氣うつの人も氣虚の人も受け答えの際の声が小さく、ぱっと見元氣がないようですが、氣うつと氣虚は食欲があるかどうかで鑑別します。具体的には、
食欲なし→氣虚
食欲あり→氣うつ
となります。

 

氣虚の診断基準(寺澤のスコア) 氣を体内に取り込めなかったり、使い過ぎたりすることで、氣が足りなくなった状態です。診断基準(寺澤のスコア)で診断される氣虚は、大きく2つのパターンに分けられます。

(1)緊張型氣虚
 氣を使い過ぎて緊張が取れずに、氣が足りなくなってしまった状態です。手掌発汗、四肢がつっぱる、腹直筋攣急(ふくちょくきんれんきゅう:腹直筋の緊張)といった症状が見られます。
緊張型氣虚への漢方薬=建中湯類(けんちゅうとうるい)
肩・お腹・こころの力をぬく=芍薬(しゃくやく)+甘草(かんぞう)
桂枝加芍薬湯
(けいしかしゃくやくとう)
 第2回のコラムでご紹介した漢方薬です。からだとこころのリラックス薬である芍薬甘草湯の効果をそのまま発揮できる、コピペしたような処方です。周囲に氣を遣い過ぎて緊張が取れず、寝ているときに足がつって目が覚めてしまうような人に用います。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)
 桂枝加芍薬湯に膠飴(こうい:水あめのこと)を加えると小建中湯になります。桂枝加芍薬湯より甘く非常に飲みやすい、「漢方スイーツ」とも言えるような薬です。

 

(2)弛緩型氣虚
 物が食べられずに氣を体内に取り込めず、氣が足りなくなった状態です。身体がだるい、日中の眠気、胃内停水(いないていすい:消化機能低下)、心下痞鞕(しんかひこう:胃もたれ)といった症状が見られます。
弛緩型氣虚への漢方薬=人参湯類(にんじんとうるい)
ダラーっと緩んだこころとからだに氣合い注入=人参(にんじん)+乾姜(かんきょう)
人参湯(にんじんとう)
 胃のあたり、上腹部が冷えている人に処方します。こころとからだの燃料である人参(にんじん:朝鮮人参のこと)に、火薬として乾姜(かんきょう:乾かした生姜のこと)を加えることで、体力が落ちて冷え切ったこころとからだを補い温めます。
大建中湯(だいけんちゅうとう)
 臍のあたり、下腹部が冷えている人に処方します。燃料としての人参と膠飴に、火薬として乾姜と山椒(さんしょう)を加えた漢方薬で、人参湯と同様にこころとからだを補い温めます。

 

 

氣うつに効く漢方薬

氣うつの診断基準(寺澤のスコア)

 ストレスにより氣の流れが詰まってしまった状態です。初期には頭や喉が詰まり、さらに進行すると胃や腸が詰まるようになります。

 

氣うつへの漢方薬=理氣剤柴胡剤
香蘇散(こうそさん)
 頭が詰まったときの理氣剤です。香附子(こうぶし)+蘇葉(そよう:シソの葉)で、頭にたまったストレスを発散します。軽いかぜによる頭痛にも有効です。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
 喉が詰まったときの理氣剤です。厚朴(こうぼく)で喉の詰まりを開きながら鍛え、半夏で吐き気を止めます。誤嚥を予防したい寝たきりの患者や、妊娠悪阻が続いているマタニティブルーの妊婦さんにも有効です。

四逆散(しぎゃくさん)
 第2回に紹介した柴胡剤です。胃が詰まって、腹直筋が緊張しているときの薬です。とても礼儀正しく、パッと見「いい人」なのですが、実は悩みを抱えていてイライラを表に出さない人(イライラ型氣うつ)に用います。手汗をビッショリかいていたり、胸脇苦満(きょうきょうくまん:肋骨弓部の重苦しさ)があったりすれば適応になります。


補中益氣湯(ほちゅうえっきとう)
 第3回に紹介した柴胡剤です。かぜをひかないからだ作り、ストレスに負けないこころ作りに効く「漢方エナジードリンク」です。こころとからだの燃料である人参に加えて、黄耆(おうぎ)で体にできた穴を塞ぐことで補充された燃料を漏らさないようにしながら、柴胡(さいこ)と升麻(しょうま)で免疫力やストレス耐性を引っぱり上げます。

 

 

新しいことにチャレンジするとき、漢方薬をお供にどうぞ

 何か新しいことを始めた際には、リスガードのU字曲線のどのステージにいるのか考えてみましょう。もし不安やイライラ、焦燥感などがあれば、その人はカルチャーショック期にいると言えます。カルチャーショックは誰もが経験する異文化適応のプロセスなので、食事、睡眠、休養を普段以上に意識するようにして、それでも不安やイライラ、焦燥感などが続くようであれば、今回紹介した漢方薬を試してみてください。

 

【参考文献】
1)Lysgaard, S. Adjustment in foreign society: Norwegian Fullbright grantees visiting the United States. International Social Science Bulletin, 1955;7:45-51.
2)日経メディカル Online コラム 「研修医のための人生ライフ向上塾!

 

研修医の五月病問題、専門家が緊急提言(2016年5月12日)
3)福井至・貝谷久宣監修「今日から使える 認知行動療法」(ナツメ社、2018年)
4)寺澤捷年著「絵でみる和漢診療学」(JJNブックス、1997年)

 

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

竹田貴雄先生。お見事です。竹田先生が「新しいことにチャレンジするとき」と書かれていますが、休職中の患者さんが職場復帰する場合も、これにあてはめて漢方薬でサポートすることはとても有効です。杉並国際クリニックでは、休職中に「食事、睡眠、休養を普段以上に意識する」ようにするだけでなく、生活習慣として、とりたてて意識しなくても済む状態にすることで、「不安やイライラ、焦燥感など」を逓減させるプログラムを組んでいます。生活習慣記録法、カウンセリングなどの心理療法、鍼灸治療、水氣道®、聖楽療法などに積極的参加されるようになると、漢方薬の効き目が高まり、社会復帰と安定的な継続勤務を容易にしています。         

独法国立相模原病院・アレルギー科

VS杉並国際クリニック・アレルギー科(その3)

 

杉並国際クリニックのアレルギー科が行っているアレルギー専門外来診療の守備範囲を説明する目的で、我が国におけるアレルギー診療の最先端の医療センターである相模原病院との比較してみました。

 

情報源は、同病院のホームページです。

 

よくある質問

Q.国立病院機構相模原病院でアレルギーに関して可能な検査はなんですか?

 

A.アレルギーのチェックのためには、アレルゲン(アレルギー原因物質)に対して体が反応するかどうか確認いたします。確認の方法は血液検査、皮膚テスト、負荷テスト、の3つです。どれも医師と相談の上行います。血液検査は当日中には結果は出ません。皮膚テスト(プリックテスト)は受診日に相談し、予約して後日行います。負荷テストを行う場合は原則入院して行います。

 

血液検査

血液中の特定の物質(アレルゲン)に対するIgE抗体を測定しております。

血液でわかるアレルギー原因(IgE-RAST)測定できるのは一度に13種までです。

 

 

<杉並国際クリニックからの視点>

Q.杉並国際クリニックでアレルギーに関して可能な検査はなんですか?

 

A.アレルギーのチェックのためには、アレルゲン(アレルギー原因物質)に対して体が反応するかどうか確認いたします。確認の方法は主として血液検査、例外的に皮膚テスト、行っていないのが負荷テストです。どれも医師と相談の上行います。血液検査は当日中には結果は出ません。皮膚テスト(プリックテスト)は受診日に相談し、予約して後日行います。負荷テストを行う場合は原則入院が必要なので、当院では行っていません。

 

血液検査

血液中の特定の物質(アレルゲン)に対するIgE抗体を測定しております。血液でわかるアレルギー原因(IgE-RAST)測定できるのは一度に13種までです。その他に、基本的な検査項目として血清中の総IgE抗体量や好酸球数の測定を行います。

関節リウマチ(RA)初期治療における治療アルゴリズム

 

<杉並国際クリニックでの関節リウマチ早期対応モデル>

 

 

関節リウマチ(RA)の早期診断には2010ACR- EULAR分類基準が有用です。これを簡単に説明してみましょう。

 

大切なのは、少なくとも1関節に明らかな滑膜炎(腫脹)が存在することです。

これが、すべての始まりなのですが、早期診断は必ずしも容易ではありません。

 

たとえば、X線(レントゲン)画像は骨や関節の障害を評価することに適していますが、炎症を直接観察することはできません。またリウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体、CRPや血沈といった血液検査は、たしかに、2010ACR- EULAR分類基準による診断基準に含まれてスコア化されていて、治療の参考にはなりますが、これらの数値が高い(低い)ことが関節リウマチである(ない)、活動性が高い(低い)ことを断定することにはなりません。

 

 

そこで、威力を発揮するのが関節エコー(超音波)検査です。

 

関節超音波(関節エコー)検査は、関節リウマチがひきおこす滑膜の炎症を直接観察する画像検査です。炎症を起こしている関節滑膜は健常な場合と異なり厚みをもち関節液が増加した状態となるため、パワードプラ―法という機能によって内部に異常な血流信号を観察することができます。

 

リウマチ専門医は注意深い診察により関節の評価を行ったうえで、これらの検査を参考にして診療を行っておりますが、診察や血液検査では捉えきれない炎症の有無やX線画像では検出できない細かい骨の変化を観察するために、杉並国際クリニックでは必要に応じてパワードプラ―法を併用した関節超音波検査を実施します。

 

より早期に関節リウマチを診断するため(早期診断)、よりしっかり関節の炎症が抑えられていることを確認するため(寛解判定)に関節超音波検査は有用です。また関節リウマチのみならず、痛風その他の関節疾患においても有用であり、積極的に活用しています。

 

ひとたび関節リウマチ(RA)と診断できたら、メトトレキサート(MTX)の禁忌がない限り、MTXを抗リウマチ治療薬として選択します。その後の3か月で改善がみられなければ、治療を見直し、従来型の抗リウマチ薬を併用します。短期間のみ少量のステロイドを追加することは認められています。

 

さらに治療開始後は、少なくとも6カ月で治療目標を達成することが求められています。治療目標としては、まず臨床的寛解をめざすが、達成できない場合でも低疾患活動性を目指します。寛解に至るまでの間は1~3か月毎に、複合指標を用いた疾患活動性の測定を行います。寛解導入が成功した場合は、寛解の維持に努めます。治療開始から6カ月以内に治療目標が達成できない場合には、PhaseⅡ(主に生物学的製剤、JAK阻害薬の使用)に進みます。その後も3~6カ月毎に疾患活動性を評価します。

 

生物学的製剤は感染症に注意すれば臓器障害の副作用の懸念は、一般に低分子薬よりも少ないことがわかってきたので、今後は、杉並国際クリニックでも実施症例が増えることが予想されます。

 

経口血糖降下薬の使い方(2)

杉並国際クリニックでは、日本人にとっての人種的ウィ―クポイントである膵臓β細胞保護の重要性に鑑みて、前回(先週)紹介したα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)とSGLT2阻害薬を、適応があれば今後さらに積極的に処方したい経口血糖降下薬として検討しています。

 

これに対して、インスリン分泌を促進するスルホニル尿素(SU)薬は、これまでより慎重に処方することとし、已むを得ない場合には、即効型インスリン分泌促進薬から開始することを考えています。

 

なお、チアゾリジン誘導体に関しては、現時点では積極的に処方するのは控えたいと考えております。

 

 

以下、その結論に至った背景を説明いたします。

 

α-グルコシダーゼ阻害薬(α‐GI)

α-グルコシダーゼは澱粉のグルコシド結合を加水分解する酵素です。α-GIは唾液プチアリン、膵アミラーゼおよび小腸細胞の刷子縁に存在する二糖類分解酵素の作用を競合的に阻害して単糖類への分解を抑制します。その結果、糖の消化・吸収を遅らせます。

 

糖尿病では血糖上昇に比して、インスリン分泌のタイミングが遅れているので、α-GIにより糖質の分解・吸収を遅らせることによって、血糖上昇とインスリン分泌のタイミングが合うようになることで、食後の過血糖を抑制することができます。

 

したがって、空腹時血糖はさほど高くなく、食後に高血糖になる軽症2型糖尿病には単独使用されます。

 

また食後高血糖が著しい例であれば、SU類やインスリン治療患者でも、このα-GIを併用することにより血糖コントロールが改善します。

 

α-GIの阻害作用は競合阻害なので、小腸で糖質と同時に存在することが不可欠となるため、α-GIは食事開始と同時に服用するように指導しますが、服用を忘れたことに気づいた場合は、食事開始15分後までなら血糖上昇抑制効果は期待できるとされています。

 

現在使用されているα-GIは、アカルボース(グルコバイ®)、ボグリボース(ベイスン®)およびミグリトール(セイブル®)です。これらのすべてが、二糖類分解酵素阻害作用を有しますが、アカルボースはαアミラーゼ阻害作用もあります。

 

副作用としては、服用開始時の腹部症状(腹痛、腹部膨満感、便秘、下痢、放屁)の増加などを自覚することが多いため、特に高齢者、腹部手術歴のある患者では腸閉塞用の症状を起こすことがあるので注意します。こうした副作用の予防策としては最初は1日1~2回で、しかも、少量から開始して、腹部症状の有無や程度を観察しながら徐々に有効量まで増量します。

 

また、単独使用で低血糖を起こすことはまずありませんが、インスリンやインスリン分泌促進薬と併用した場合には低血糖に注意します。もし低血糖が起こったらブドウ糖あるいはブドウ糖が入っている飲料を与えます。

 

 

SGLT2阻害薬

この薬剤は、腎臓におけるブドウ糖再吸収の90%は近位尿細管S1セグメントに存在するナトリウムグルコース共輸送体2(SGLT2)により、また10%はS3セグメントのSGLT1によって行われています。SGLT1は小腸においてブドウ糖吸収を担っていますが、SGLT2は小腸には存在しません。したがって、SGLT2に選択的な阻害薬は小腸におけるブドウ糖吸収に影響することなく、腎臓におけるブドウ糖再吸収を抑制します。これによって尿糖が増加し、体脂肪や体重の減少が期待されます。

 

副作用としては、浸透圧利尿による脱水が問題になります。とくに高齢者では口渇感を感じにくいため注意を要します。本剤服用者に脳梗塞が報告されています。75歳以上の高齢者、65~74歳の老年症候群(サルコペニア、認知機能低下、ADL低下など)を伴う高齢者や利尿薬使用者については特段の注意が必要です。脱水はまた、高浸透圧高血糖状態やビグアナイド(BG)類による乳酸アシドーシスのリスクになることも指摘されています。

 

SGLT2阻害薬を選択するにあたっては、概ね65歳未満の肥満者であれば、脱水および脱水にもとづく高浸透圧高血糖状態のリスクを減らすことができ良い適応であると考えています。

 

 

スルホニル尿素(SU)類

SU類は、膵β細胞にあるSU受容体と結合し、アデノシン三リン酸(ATP)感受性Kチャンネルを閉鎖して、β細胞膜の脱分極をもたらすことによって、電位依存性Caチャンネルより細胞外Caが流入してインスリン分泌を起こします。したがって、SU類が適応となるのは内因性インスリン分泌能が残っている症例であり、対象となるのは食事療法や運動療法を十分に行ってもコントロールが得られない非肥満2型糖尿病です。

 

グリペンクラミド(オイグルコン®、ダオニール®)はSU類の中で最も強力で、長時間作用するため、1日に1~2回の投与です。

 

グリクラジド(グリミクロン®)は血糖低下作用以外に抗酸化作用や血小板機能亢進を抑える作用があり、糖尿病の血管病変への効果が期待されています。

 

グリメピリド(アマリール®)はSU受容体との結合解離速度、結合親和性が、従来のSU類と異なり、インスリン分泌促進作用は弱いです。しかし、血糖低下作用はグリペンクラミドとほぼ同等で、広く使用されています。

 

SU類でもなお血糖コントロールが不十分な場合、持続型インスリンを追加するBOT(basal supported oral therapy)が行われます。この方法によって、インスリンにより血糖が改善し、糖毒性が解除されβ細胞の機能の回復やインスリン抵抗性の改善が期待されます。

 

 

即効型インスリン分泌促進薬

スルホニル尿素(SU)類のようなスルホニル尿素(SU)構造をもたないが、膵β細胞のSU受容体と内向き整流KチャンネルからなるATP感受性Kチャンネルを抑制することにより、SU類のようにインスリン分泌を促進します。これらのインスリン分泌促進の特徴は服用からインスリン分泌効果発現までの時間が極めて短く、かつ血中インスリン上昇のスピードが速いが、インスリン分泌持続時間が短いことです。

 

血糖改善効果はSU類ほど大きくないので、空腹時血糖はあまり高値でないが、食後の高血糖がみられる患者によい適応となります。

 

現在、ナテグリニド(ファスティック®、スターシス®)、ミチグリニド(グルファスト®)、レパグリニド(シュアポスト®)が使用可能です。

 

 

チアゾリジン誘導体

チアゾリジン誘導体は脂肪細胞の核内の転写調節因子であるPPARγのアゴニストで、脂肪細胞の分化を促進します。チアゾリジン誘導体が作用すると、前駆脂肪細胞は小型脂肪細胞に分化し、大型脂肪細胞はアポトーシスを起こします。ヒトではTNF-αの産生を抑制してインスリン抵抗性が改善すると考えられています。

 

その他に、PAI-1(plasminogen activator inhibitor-1)の発現抑制は抗動脈硬化作用にも関係すると考えられています。

 

現在わが国ではピオグリダゾン(アクトス®)が使用可能です。適応となるのは、食事療法・運動療法では効果が十分でなく、インスリン抵抗性が推定される2型糖尿病〔BMI≧25㎏/m²、空腹時血中インスリン≧10μU/mL、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)≧2.5など〕、あるいは他剤でコントロールが十分でなく、インスリン抵抗性があると思われる症例です。

 

副作用としては、水・ナトリウムの貯留作用あるため体重がしばしば増加します。特に女性ではその傾向が強いので、女性では1日1回15㎎から投与を開始することが望ましいです。浮腫が強い場合はフロセミドなどの利尿薬を併用します。心機能低下状態にある患者では心不全の進行が認められることから、心不全および心不全の既往のある患者には禁忌であり、心不全発症の恐れのある心筋梗塞、狭心症、心筋症、高血圧性心疾患などの心疾患のある患者には慎重に使用すべきとされています。

 

その他、血清乳酸脱水素酵素(LDH),クレアチンキナーゼ(CK)などの上昇もみられます。なお、膀胱癌との関連が一部で指摘されているため、投与開始時にはこれについて説明し、特に膀胱癌治療中の患者へは投与しないことになっています。

 

インスリン分泌促進作用はないので、単独投与では低血糖の危険性は少ないです。しかし、SU類との併用では低血糖に注意する必要があります。

高血圧の初診時管理計画と初期治療

 

降圧療法は高血圧の重大合併症である心不全の発症を50%以上、脳卒中発症率を35~

40%、心筋梗塞を20~25%低下させることが示されています。

 

初診時には、

1)高血圧の重症度と血圧以外のリスク要因を組み合わせて高血圧患者のリスクを層別化、

2)それに則って血圧管理計画を立案します。

 

リスクの高さ(高、中、低)に応じて、診断して直ちに、あるいは1~3か月の生活習慣の修正後、140/90㎜Hg以上であれば降圧薬を開始します。

 

 

家庭血圧測定の重要性

診察室血圧が高血圧の場合、家庭血圧(HBP)測定が奨められています。

 

早朝起床後あるいは就寝前のHBPが≧135/85㎜Hgの場合、高血圧と診断します。

 

両者の診断に較差がある場合には、家庭血圧のデータを優先します。

 

白衣高血圧(診察室のみで高血圧)は、臓器障害や糖尿病などの危険因子がなければ、経過観察とします。

 

一方、仮面高血圧(診察室以外が高血圧)は、診察室血圧が正常でも降圧治療の対象となります。

 

また、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)も有用とされていますが、多くの医療場で日常的に実施されるようになるまでにはするまでには至っていません。

 

 

高血圧の非薬物療法

薬物療法の有無に関わらず、生活習慣の改善すなわち非薬物療法は重要です。

 

減塩(6g/日未満)、野菜・果物、魚(魚脂)の積極的摂取、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限、減量〔BMI(㎏/m²)未満〕、運動、節酒(エタノール換算:男性20~30ml以下、女性10~20ml以下)、禁煙が奨められます。禁煙(受動喫煙防止も含む)、脂質代謝の改善自体には降圧効果はありませんが、動脈硬化症の予防のためには必須の条件です。

 

いずれも数㎜Hg以上の降圧効果が期待できますが、特に減量と運動の効果が大きいです。

 

生活習慣の修正が維持できてはじめて休薬が可能となります。

 

一般に抜毛症の診療は、多くの場合、精神医学的に強迫神経症(強迫性障害)診断に基づき、主に薬物療法として抗不安薬や抗うつ薬が処方されることが多いと思います。ここまでは保険医療の範囲で診療が可能です。

 

しかし抜毛症は難治性疾患と誤解されがちです。その理由は、主として西洋医学的薬物療法のみで効果的で持続的な結果を期待してしまうからです。

 

抜毛症は、抜毛という行動の結果としての身体症状、抜毛という行動の障害の他に、本来望ましくない行動に駆り立てられてしまう背景としての成育歴や家庭・職場環境などの心理・精神状態、といった複数の観点を踏まえたうえでのサポートが必要です。さらに生き方そのものの意味をどのように受け止めているか、なども大きくかかわってきます。

ですから、一般的な精神科医にとっても標準的とされる薬物療法のみでは治療効果を挙げにくいため積極的な診療を担えないことも少ないと思います。ただし、より専門的で良好な治療実績を挙げている熱心な医療機関であれば、臨床心理士などによる認知行動療法をはじめとするカウンセリングが行われることでしょう。ですから、こうした背景が診療コストに反映されることは、ある程度は已むを得ないことのように思われます。当クリニックで専門的で計画的な心理療法を継続される場合は、専門の臨床心理士が担当し、1回45分で6,480円(税込み)です。

 

そうして、一般的な薬物療法中心の西洋近代精神薬理学的療法のみに頼らず、伝統的東洋医学的養生法(漢方薬や鍼灸)や当クリニックにて独自に考案し20年の経験を有する水氣道®によって心身両面で統一された自己を取り戻そうとする真の心療内科的な統合アプローチをとることが、結局は近道であり、安上がりであるため、是非お勧めしたい方法です。