最新の臨床医学 6月25日(火)内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

高血圧の初診時管理計画と初期治療

 

降圧療法は高血圧の重大合併症である心不全の発症を50%以上、脳卒中発症率を35~

40%、心筋梗塞を20~25%低下させることが示されています。

 

初診時には、

1)高血圧の重症度と血圧以外のリスク要因を組み合わせて高血圧患者のリスクを層別化、

2)それに則って血圧管理計画を立案します。

 

リスクの高さ(高、中、低)に応じて、診断して直ちに、あるいは1~3か月の生活習慣の修正後、140/90㎜Hg以上であれば降圧薬を開始します。

 

 

家庭血圧測定の重要性

診察室血圧が高血圧の場合、家庭血圧(HBP)測定が奨められています。

 

早朝起床後あるいは就寝前のHBPが≧135/85㎜Hgの場合、高血圧と診断します。

 

両者の診断に較差がある場合には、家庭血圧のデータを優先します。

 

白衣高血圧(診察室のみで高血圧)は、臓器障害や糖尿病などの危険因子がなければ、経過観察とします。

 

一方、仮面高血圧(診察室以外が高血圧)は、診察室血圧が正常でも降圧治療の対象となります。

 

また、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)も有用とされていますが、多くの医療場で日常的に実施されるようになるまでにはするまでには至っていません。

 

 

高血圧の非薬物療法

薬物療法の有無に関わらず、生活習慣の改善すなわち非薬物療法は重要です。

 

減塩(6g/日未満)、野菜・果物、魚(魚脂)の積極的摂取、コレステロールや飽和脂肪酸の摂取制限、減量〔BMI(㎏/m²)未満〕、運動、節酒(エタノール換算:男性20~30ml以下、女性10~20ml以下)、禁煙が奨められます。禁煙(受動喫煙防止も含む)、脂質代謝の改善自体には降圧効果はありませんが、動脈硬化症の予防のためには必須の条件です。

 

いずれも数㎜Hg以上の降圧効果が期待できますが、特に減量と運動の効果が大きいです。

 

生活習慣の修正が維持できてはじめて休薬が可能となります。