心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

大学病院の心療内科のHPを紹介します。

 

東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

 

摂食障害

 

【神経性やせ症】(拒食症)、【神経性過食症】は、やせている状態を美とみなす社会風潮の影響を受け、思春期の女性が罹患する【摂食障害】です。これらは、急激な栄養低下が生じるか病悩期間が長引くと、横紋筋融解、心不全、腎不全、脳萎縮、骨粗鬆症、骨髄膠様変化、消化管運動異常などが生じ、生命の危険を伴う疾患群です。

 

最近は男性や20代以上の年齢層でも多くなっています。若い女性で食事量が不足し、低体重性の無月経がある時は、神経性やせ症が疑われます。嘔吐を繰り返す、緩下剤や利尿剤を大量に使用する場合、電解質異常から死に至る場合があり、専門的な治療が必要です。心療内科では個々の患者さんにあわせたテーラーメイドの治療を行っています。摂食障害治療支援センターを院内に開設していますのでそちらも参照して下さい。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

摂食障害は精神的な理由で食事の摂り方が異常になる疾患で、東北大学心療内科は

<【神経性やせ症】(拒食症)、【神経性過食症】は、やせている状態を美とみなす社会風潮の影響を受け、思春期の女性が罹患する【摂食障害】です。>

と説明しています。

 

しかし、摂食障害は神経性やせ症、神経性過食症の他に、【過食性障害】があり、三病型に分類されます。

 

杉並国際クリニックでは摂食障害といえば、【過食性障害】>【神経性過食症】>>【神経性やせ症】(拒食症)です。

 

摂食障害は、最近は男性や20代以上の年齢層でも多くなっています。このうち、【神経性やせ症】(拒食症)の患者さんは病識に乏しいことが多いためか、自らの意思で受診される方は少ないです。しかも、医療機関を受診する段階で、すでに入院加療を要するケースが目立ちます。

 

これに対して、【神経性過食症】の多くは外来通院によるケアが可能です。

 

過食性障害は、むちゃ食い障害とも呼ばれ、反復するむちゃ食いエピソードを示す障害です。過食性障害では、神経性過食症と同様に、繰り返される過食が特徴ですが、神経性過食症と異なり嘔吐や下剤といった代償的ダイエット行動は伴いません。また、その過食には苦痛を感じており、

1)早食い、

2)苦しいほど満腹になるまで食べる、

3)空腹感がなくても食べる、

4)過食を知られるのを恥じて一人で食べる、過食後に自己嫌悪やうつ気分、

5)強い罪責感に苛まれる、

のうち3つ以上当てはまり、習慣化して行われる(3ヶ月にわたって週1回以上のペースで)といった状態です。代償的なダイエット行動を伴わない過食症のため、過体重や肥満を呈する場合が多いことも報告されています。

 

東北大学の心療内科では<個々の患者さんにあわせたテーラーメイドの治療を行っています>とのことですが、大学病院でこの姿勢を明確にすることは尊敬に値します。杉並国際クリニックもこの姿勢を見習いたいところです。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

大学病院の心療内科のHPを紹介しております。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

東北大学付属病院のホームページから

 

心療内科のご案内

 

対象疾患と診療内容

 

消化器疾患 (その3)

治療法としても、薬物療法だけでなく、自律訓練法、交流分析法、認知行動療法、絶食療法を行っています。東北大学病院心療内科の機能性消化管障害に関する診療・研究レベルは世界的に高い評価を得ています。

 

機能性消化管障害に似ていますが、明瞭な消化管運動異常を示す疾患群には消化管機能検査が必要です。この消化管運動異常症の代表は、【慢性偽性腸閉塞(CIPO)】や【重症便秘】などの小腸・大腸運動異常、【ガストロパレーシス】などの胃運動障害、【食道アカラシア】や【膠原病による食道運動障害】などの食道運動異常などです(図2)。治療は、食道アカラシアに対しては、バルーンを用いた食道拡張術を施行しています。これらの疾患群の根本には筋層間神経叢変性などがありますので、外科、内科各科、総合病院と連携します。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

<東北大学病院心療内科の機能性消化管障害に関する診療・研究レベルは世界的に高い評価を得ています。>その通りです。消化器内科や心療内科の指導医・専門医で、これを疑問視する人は皆無だと思います。

 

たしかに、消化管運動異常症としては、【重症便秘】などの小腸・大腸運動異常、【ガストロパレーシス】などの胃運動障害、等が代表的疾患であり、東北大学病院心療内科の得意分野であると思われます。

 

ただし、【慢性偽性腸閉塞(CIPO)】、【食道アカラシア】や【膠原病による食道運動障害】などの食道運動異常は、消化器内科の専門領域ではあっても、心療内科の領域であるとは考えにくいです。

 

ここでは、心療内科が取り組む小腸・大腸運動異常による【重症便秘】について概説することにします。これは、慢性便秘(症)の分類に当てはまらない便秘症です。症状として排便困難感や残便感を訴えるが、大腸通過時間検査や排便造影検査等による精査を行っても異常を認めず、大腸や直腸内に非生理的な便の貯留を認めない状態です。

 

「慢性便秘症診療ガイドライン2017」に準拠して原因、症状ならびに病態から慢性便秘を考える消化器内科医の定義と分類からすれば、真の便秘症ではないこととされてしまう可能性があります。しかしながら、便秘とは、量的にも質的にも生理的排便ができない状態です。したがって、毎日排便があっても、その排便がスムーズでなく不快であれば、便秘であることには変わりがないはずです。

 

排便することに反復的・持続的な思考や衝動を持ってしまう排便強迫性障害(排便強迫神経症)であると考えられます。背景としては、過去に排便に関する辛い経験をしたことがある人に発症することが多いようです。

 

便秘の重症度

便秘の重症度は、過去1週間を振り返って便秘の症状がどうであったかを記録した。便秘の症状については、下記の5段階で評価した。

 

0:なし(便秘の症状が全くない)

 

1:軽度(便秘の症状がほんのわずかある)

 

2:中程度(便秘ではあるが、便秘の症状は強くない)

 

3:重度(便秘が強く排便が困難である、またはトイレに行ってもわずかな

排便感しかない)

 

4:きわめて重度(頑固な便秘、排便がほとんどない、またはトイレに行って

もほとんど排便感がない)

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

大学病院の心療内科のHPを紹介します。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

東北大学付属病院のホームページから

 

心療内科のご案内

 

対象疾患と診療内容

 

消化器疾患 (その2)

 

機能性消化管障害では、ストレスを受けてから脳機能が変化し、消化管が影響を受ける脳→腸の病態経路があります。

それだけでなく、各臓器の信号が脳に伝達されて脳機能が変化する腸→脳の経路が病態形成を担っています。

これらの病態は、消化管機能検査と脳機能画像を用いて明らかにできます。

このため、機能性消化管障害はストレス関連疾患全般に応用可能なモデル病態と見なされています。

これらに対しては、消化管内圧測定、胃電図、バロスタット、マーカー消化管通過時間測定、脳機能画像、遺伝子多型分析、バイオマーカー、計量心理学的評価など、国内で最も充実した評価システムを用いて評価と診断を行っています。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

<ストレスを受けてから脳機能が変化し、消化管が影響を受ける脳→腸の病態経路があります。それだけでなく、各臓器の信号が脳に伝達されて脳機能が変化する腸→脳の経路が病態形成を担っています。>

と解説されていますが、

これを<脳腸相関(brain-gut interactions)>といいます。

これを簡単に言い換えると、中枢神経系と消化器の働きが繋がっている、ということです。

 

日常臨床では「心理社会的ストレスによって過敏性腸症候群患者の消化器症状が発症もしくは増悪する」あるいは「消化管刺激に対する過敏性腸症候群患者の内臓知覚が過敏である」という現象がその代表例です。

 

これらの病態は、消化管機能検査と脳機能画像を用いて科学的・視覚的に分析できるようになりました。こうした脳腸相関の分析手法の発達により、<機能性消化管障害はストレス関連疾患全般に応用可能なモデル病態>と見なされるになりました。

 

東北大学心療内科は、こうした理論をもとに、消化管内圧測定、胃電図、バロスタット、マーカー消化管通過時間測定、脳機能画像、遺伝子多型分析、バイオマーカー、計量心理学的評価などを駆使できるので、国内で最も充実した評価システムを用いて評価と診断を行っているという自負が見られます。

 

第一線の医療機関は、このような環境には恵まれないので、世界最先端の研究に参画することは望めません。しかし、大学での研究成果は、日常臨床において大きな助けになってきたことは間違いありません。

大学病院の心療内科のHPを紹介します。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

東北大学付属病院のホームページから

 

心療内科のご案内

 

対象疾患と診療内容

消化器疾患 (その1)

消化器症状が持続するにもかかわらず、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査では異常が見つからないものを機能性消化管障害と呼びます。【過敏性腸症候群】や【機能性ディスペプシア】がその代表です。それだけでなく、機能性便秘、機能性下痢、中枢性腹痛症候群、機能性食道障害など、多くがストレス関連疾患の要素を持っています。慢性に経過するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下する病態です。機能性消化管障害を医療従事者側が比較的軽い病態と考えているのに対し、患者さん側が極めて重大に感じている”unmet medical needs”であることも判っています。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

消化器心身症診療(消化器疾患の心療内科診療)の国内のメッカである東北大学心療内科は、最初に消化器疾患の案内を掲載し、機能性消化管障害について詳しく説明しています。

 

機能性消化管障害とは、<消化器症状が持続するにもかかわらず、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査では異常が見つからないもの>という説明で十分だと思います。東北大学心療内科のように大学病院などの総合病院の心療内科の強みは、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査態勢が整っているため、除外診断(機能性消化管障害以外の、明らかな器質的疾患の有無を診断すること)が容易であるということです。

 

これに対して、高円寺南診療所30年の歴史で経験してきた典型例は『胃腸の具合が悪いので、大病院で精密検査を受けたのですが、異常が見つからず困っています』というパターンです。

 

除外診断は、心療内科の診療にあたっての大前提なので、このようなケースでは、初期から心身医学的アプローチを開始することができます。ただし、機能性消化管障害に関しては形ばかりでなく機能を評価しなければならないのですが、それが十分に検討されていないケースが多いことを知りました。そのため杉並国際クリニックでは、消化管造影検査をテレビ画像で観察することを、高円寺南診療所時代以上にしっかりと行っていく計画をたてています。

 

<機能性消化管障害を医療従事者側が比較的軽い病態と考えているのに対し、患者さん側が極めて重大に感じている”unmet medical needs”である>ということで、これが原因で患者さんが医療不信に陥ったり、ドクターショッピングを繰り返すようになったりするので現代医療に関する社会問題にまで発展しています。たしかに<慢性に経過するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下する病態>であるといえます。

 

杉並国際クリニックは、こうした不条理に悩む患者さんを温かく迎え入れ、一つ一つの診断および治療のステップを大切にする過程で、相互の確かな信頼関係を築き、真の意味での主治医機能を果たせるようになることを目指しております。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

 

すでに日本心療内科学会のHPについてコメントを前回まで続けてきました。

 

今回からは、大学病院の心療内科のHPを紹介します。

 

まずは、東北大学心療内科です。

 

<杉並国際クリニックの立場から>でコメントを加えることにしました。

 

東北大学付属病院のホームページから

 

心療内科のご案内

 

対象疾患と診療内容

診療対象は心理社会的ストレスによって発症もしくは増悪する内科疾患です。特定の臓器だけでなく、内科を中心にしながらもその他の診療科も含む身体各臓器がストレスの影響を受けている時に心療内科の診療が効果を発揮します。

 

全国的には心療内科では循環器、呼吸器、消化器、内分泌、代謝、腎泌尿器、神経、血液、免疫、アレルギーなど内科疾患を中心に、疼痛、婦人科、耳鼻科、皮膚科その他の各疾患群にもストレスが関与している場合に対応しています。以下に東北大学で特に頻度が高い疾患群への診療を解説します。

 

 

<杉並国際クリニックの立場から>

東北大学心療内科の診療対象は<心理社会的ストレスによって発症もしくは増悪する内科疾患です。>としています。これは、心療内科としては一般的な説明ですが、<心理社会的ストレスによって発症もしくは増悪する疾患>は内科領域に限定されないのが現実です。

 

また、逆に、<心理社会的ストレスによって発症もしくは増悪する内科疾患>の診療を永らく経験してみると、必ずといってよいほど、内科領域以外の身体領域での疾患や症状を伴っています。

 

このような場合であっても、内科疾患は他の身体領域での疾患や症状とは密接な関連性を持っていることが多く、杉並国際クリニックでは、心身相関ならぬ臓器間相関という視点から総合診療をしていきます。このような診療スタイルは心療内科というよりも心身医療科と呼ぶべきかもしれません。

 

東北大学心療内科も<特定の臓器だけでなく、内科を中心にしながらもその他の診療科も含む身体各臓器がストレスの影響を受けている時に心療内科の診療が効果を発揮します。>と宣言していますので、心療内科を軸としながらも、心身医療科としての一定の役割を果たしているのだと思います。

 

それでは、心理社会的ストレスによって発症もしくは増悪する内科疾患とは、どのような疾患かということになりますが、東北大学心療内科のHPで<全国的には心療内科では循環器、呼吸器、消化器、内分泌、代謝、腎泌尿器、神経、血液、免疫、アレルギーなど内科疾患を中心に>対応しているという説明で、ほぼ良いのだと思います。

 

杉並国際クリニックが標榜している「内科」もこのような領域です。これらの中でも杉並国際クリニックが標榜する「アレルギー科」はアレルギー内科(気管支喘息など)に限定されず、花粉症・アトピー性皮膚炎など眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科の領域にも及んでいます。また、「リウマチ科」はリウマチ内科(関節リウマチをはじめとする膠原病、自己免疫疾患など)に限定されず、骨粗鬆症や変形性関節症など整形外科の領域にも及んでいます。

 

東北大学心療内科は、<内科疾患を中心に、疼痛、婦人科、耳鼻科、皮膚科その他の各疾患群にもストレスが関与している場合に対応>していることが表示されていますが、基本的には杉並国際クリニックのスタンスと同じであることがわかります。特に、疼痛は「線維筋痛症」などの慢性難治性疼痛性疾患を高円寺南診療所時代にすでに多数例経験し実績を重ねた結果、決して難治性ではないことを国内外に向けて発信しています。

 

内科2

 

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです。

 

心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

 

通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<杉並国際クリニックの見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問24」

息子のことですが、大学生になっても大事な持ち物をなくしたり、ミスや忘れ物をすることが多く、困っています。

 

よく話を聴いていなくて違うことをする、と高校生の時、先生から注意をよく受けました。

 

これでは大学を卒業できるのか、就職活動はどうなるのか、先行きが不安です。

 

どこの科の先生にお聞きしていいか迷っています。

 

アドバイスをいただけないでしょうか?

 

 

「答え」

大学生の息子さんのことで心配をしておられるのですね。

 

忘れ物やミスが多いので大学生活にさしつかえがあるのではないか、就職活動はだいじょうぶなのか、将来社会に出た時にやっていけるのだろうか、といったことが一番の心配なのではないかと想像します。

 

最初に確認しておきたいことがあるのですが、ミスや忘れ物が多かったり、他人の話をよく聞いていなかったりというようなことが問題になったエピソードは、息子さんが幾つの頃まで遡れますか?

 

小学校の低学年の頃、今から思い起こすとどのようなお子さんだったでしょうか。

 

あるいは小学校入学以前はどうだったでしょうか?

 

その後、中学、高校時代を息子さんはどのように過ごしてこられたのでしょうか。

 

これらのことは、現在の息子さんの状況をどう考えるかにとって重要なので、ぜひしっかりと振り返ってみていただければと思います。

 

もし、小学生の頃やその前後には大きな問題がなく、高校で先生に指摘されたあたりが問題の始まりなのであれば、息子さんのうっかりミスは、もしかすると誰にでもある性格や傾向が少し目立つだけということなのかも知れません。

 

それでも、もし息子さん自身が大学でとても困っているのであれば、それはそれでなんらかのお手伝いがあったほうが良いと思います。

 

もし、子供の頃、それもかなり早い段階からの問題が今でも続いているということであれば、一度そのような問題に詳しい専門家に相談するのがよいと思います。

 

具体的に言いますと、各大学には、必ず学生のための相談室や、支援室という名称の組織があります。

 

そこには上記のような問題の専門家がいます。

 

息子さんに相談に行くことを勧めてください。

 

息子さん自身がどのくらい困っているのかということが出発点になります。

 

もう大学生なのですから、息子さんの意思を一番大事にしてあげてほしいと思います。

 

さて、念のために、もし息子さん自身が自分の状況に困っていて、大学の相談機関の先生との話合いのなかから、さきほど触れた、子供のころから続く自分自身の問題について、もっとはっきりしたことが知りたいというようにお話がまとまりましたら、精神科、児童精神科などの医療機関を受診していただいて診断をしていいただくのがよいと思います。治療は、身体症状がみられた場合には心療内科的な全人的アプローチが必要です。

 

その場合、大学の相談室のほうでもそのような専門機関の情報をもっていますので、紹介してもらうことも可能だと思います。

 

もしそういうことを心配する必要がない場合でも、就職活動はどのような学生にとっても苦労することなので、必要な相談部署(大学には必ず就職活動などのキャリア支援を行う部門があり、学生さんはそれを利用できるようになっています)を利用するように息子さんに勧めてください。

 

(齋藤清二)

 

 

<杉並国際クリニックの見解>

回答者の齋藤政清二先生は<もう大学生なのですから、息子さんの意思を一番大事にしてあげてほしいと思います。>と述べられていますが、たしかに、この種の相談では、誰が本当に困っているのか、誰が真の病人なのかを見極めることが大切だと思います。

 

相談者の一方的な相談内容に対して、回答者は安易にアドバイスをすべきではないというのが杉並国際クリニックのスタンスです。

 

困っていて、不安で、迷っていて、専門医のアドバイスを求めているのは母親です。しかし、息子さんが同様に、困っていて、不安で、迷っていて、専門医のアドバイスを求めているのでしょうか。それすら明確でないような相談に対してとりとめのない回答をすることは専門家として望ましくないと考えます。

 

場合によっては、母親の息子に対する望ましくない介入を強化し、息子さんをより苦しめることに加担しかねないからです。つまり、ケアを要する患者さんは、実は母親、というケースである可能性があるということです。

 

 <もし息子さん自身が自分の状況に困っていて、大学の相談機関の先生との話合いのなかから、さきほど触れた、子供のころから続く自分自身の問題について、もっとはっきりしたことが知りたいというようにお話がまとまりましたら、精神科、児童精神科などの医療機関を受診していただいて診断をしていいただくのがよいと思います。>というのが、齋藤先生のご回答であれば、そもそも、

 

心療内科学会のホームページのQ&Aにこのような事例を掲載することにどれだけの意味があるでしょうか。

 

心療内科専門医は、萬(よろず)人生相談者、保険が効くお得なカウンセラー、プチ精神科医などと、来談者から勝手な誤解を受けることがしばしばあります。

 

それを助長しかねない記事であることを懸念します。

 

<治療は、身体症状がみられた場合には心療内科的な全人的アプローチが必要です>というアドバイスは、誤りではありませんが、このような相談を持ち込む状況にあるお母様には、なかなか通じにくいアドバイスだと思われます。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです。

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

 

通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の

後に、<杉並国際クリニックの見解>でコメントを加えることにしました。

 

「質問23」

授業中やアルバイトのデスクワーク中に寝てしまうことが多く、治したいです。

 

好きな映画や舞台を見に行った時にも寝てしまうこともあり、一緒に行った彼に呆れられてしまいました。心療内科で診てもらえるでしょうか。

 

「答え」

文面からお若い女性の方と思われます。

 

いろいろな場面で眠ってしまい、日常生活でさぞお困りのことと思います。

 

日中の本来は活動している時間帯に強い眠気を催してしまうこと、これは「過眠症」と言えるでしょう。

 

過眠症の原因は多岐に渡っておりますが、診断のためにもっとも重要なのはご本人からの問診です。

 

主なものを挙げると、いつ頃からそのような眠気が出てきたのか、普段の睡眠時間は何時間くらいで平日と週末とで異なっているか、眠くなるようになった時期にきっかけとなることはあったか、現在何らかの薬をのんでいないか、治療中の病気はあるか、夜に途中で目を覚ますことがあるか、などです。

 

過眠の最も多い原因は睡眠時間不足と言われています。

 

残業が多くて帰宅時間が遅くなったり、娯楽のために夜の時間を使ったり、スマートフォンの普及などにより、昔よりも布団に入る時刻が確実に遅くなっています。

 

また、交代勤務などの生活リズムがずれてしまうことも過眠症の一因となります。

 

これらの中に当てはまる生活スタイルがありますでしょうか。

 

また身体の病気や精神的な病気によっても眠気をきたす場合がありますし、夜間に尿意を催して目を覚ましてしまう過活動膀胱や男性では前立腺肥大症なども睡眠が妨げられて日中の眠気の原因となります。

 

眠気を催す薬剤としては、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬などのほか風邪薬、解熱鎮痛剤、咳止め薬、抗アレルギー薬などもあります。

 

これらに当てはまらない場合には、睡眠中に呼吸が止まることを繰り返す睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、特発性過眠症などが考えられます。

 

睡眠時無呼吸症候群は睡眠中にいびきをかく、呼吸が止まっているなどとパートナーから言われたことがきっかけでわかることがあります。

 

ナルコレプシーでは注意や集中を要する場面でも居眠りを繰り返し、短時間の仮眠でもリフレッシュ感があることが特徴です。

 

笑った時や感動した時に脱力を感じることもあり、また金縛りや寝る時の幻覚が起こりやすいとも言われます。

 

これに対して特発性過眠症では昼間の眠りは長くて4時間にもなり居眠り後の爽快感が乏しいという特徴があります。

 

前述したような問診からある程度は原因を見つけることが可能であり、その原因を取り除いて効果をみることができます。

 

しかし、これのみで改善せず、また複数の原因が絡んでいるような場合には、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査などの専門的検査が必要となります。

 

さて、お尋ねの心療内科でみてもらえるかということへの回答ですが、過眠症の診断を系統的に行い、終夜睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が可能な医療機関は限られています。

 

心療内科というよりも、日本睡眠学会が認定しているような医療機関が宜しいのではないかと思います。

 

インターネットで調べてみれば掲載しています。

 

但し、原因に生活習慣が大いに関連しているような場合には、その治療は心療内科が適しているかもしれません。

 

(千葉太郎)

 

 

<杉並国際クリニックの見解>

日本心療内科学会が、なぜ情報量の欠如した中途半端な複数のケースを掲載し、回答者に漠然とした解説をさせるのか理解に苦しみます。心療内科の一般性や専門性を具体的に活かせるようなケースであるとは言い難く、回答者の千葉先生の御苦労が察せられます。

 

さて心療内科か否かを問わず、診療の入り口は、患者さんの年齢、性別と主訴です。このケースの主訴は<活動時間帯に眠ってしまうこと>ですが、患者さんが主に訴える症状の発症時期や連続性や頻度などの情報が含まれてはじめて「医学的な主訴」になります。こうした問診がなされないうちから、アドバイスを始めることは心療内科医以前に一般医としても失格ということになります。

 

主訴を明確にしない問診は問診にあらず、です。問診なしの検査は医療費の無駄遣いであり、得られた結果のみではとうてい患者さんの全体像を把握することは叶わないことでしょう。

 

このケースは具体的で明確な診断を下すことは不可能ではありますが、睡眠覚醒障害の範疇に入るものと思われます。睡眠覚醒障害は、おおよそ不眠症、過眠症、睡眠覚醒リズム障害、睡眠時随伴症(パラソムニア)に分けられます。

 

そして、このケースでもっとも疑われている過眠症には、原発性過眠症、ナルコレプシー、周期性睡眠過剰症候群、月経関連症候群などがあります。

 

過眠症とは、日中に過剰な眠気または実際に眠り込むことが毎日の様に繰り返して見られる状態で、少なくとも1ケ月間は持続し、そのため社会生活または職業的機能が妨げられ、あるいは自らが苦痛であると感じるものです。 ただし一回の持続期間が1ヵ月より短くても繰り返して過眠期がみられるものも含みます。

 

質問者が若い女性であることを想定するならば、真っ先に言及していただきたかったのは月経関連症候群です。月経前に強い眠気に悩まされることを「月経関連過眠症(月経前過眠症)」といいます。月経の前に心身が不調になる「月経前症候群(以下、PMS)」がある人は、女性の30~80%もいます。ある調査では、41%の女性が月経に関連して睡眠に変化があり、そのうち、1%は月経前不眠症、43%は月経前過眠症、5%は月経時不眠症であったと報告されています。

 

月経周期で黄体期には、「プロゲステロン」という女性ホルモンの血中濃度が高くなります。このプロゲステロン自体に催眠効果があります。また体温を上げる働きがあり、卵胞期に比べて黄体期の最低体温と最高体温の差は小さくなります。私たちは体温が下がると眠くなり、体温が上がるときに目が覚めます。黄体期には1日の内での体温の変化が小さくなるので、睡眠と覚醒のメリハリも小さくなって、日中に眠気が強くなると考えられています。

 

典型的な月経関連過眠症では、月経の約1週間前から日中の眠気が強くなり、月経の開始とともに眠気が軽くなるパターンをとります。下腹部痛や頭痛、イライラ、憂うつな気分など、PMSのほかの症状が強い人ほど、日中の眠気も強くなる傾向があります。

 

基本的には生活指導とカウンセリングが行われます。過眠がひどく日常生活に支障があるときには薬での治療が行われます。生活指導としては、睡眠の質を高めるための生活習慣が勧められます。たとえば、日中に日光をしっかり浴びたり、昼夜の生活にメリハリをつけたりします。水氣道でこれを治した患者さんは多数にのぼっています。また、気分転換を行うことも大切です。症状がひどいときには生理休暇を取るなどして、体調の変化に生活のパターンを合わせることも必要です。

 

また臨床心理士によるカウンセリングも、効果があります。基礎体温を記録したり睡眠日誌をつけたりして、月経周期と過眠症状の関連を理解することは有意義です。

心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。

それは日本心療内科学会のHPです

 

 心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。

 

Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。※「質問」をクリックするとが表示されます。

と書かれています。

 

高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。そこで、「質問」「答え」の後に、<杉並国際クリニックの見解>でコメントを加えることにしました。

 

 

「質問22」

自宅での食事はできますが、外食や人前で食事をしようとすると胃がむかむかし、吐き気がして食べられません。

 

大学では学生相談室のフリースペースで、一人で昼ごはんを少しだけ食べていますが、社会人になったらこれでは困ると思います。

 

どこで相談したらよいでしょうか。

 

 

「答え」

人前で食事をしようとすると吐き気がして食事ができないのは、いつ頃からでしょうか。

 

みんなで食事をした時に何か恥ずかしい思いをしたり、いやな経験をしたりしたことはありませんか。

 

社会人になると、他人とコミュニケーションを取る上で一緒に食事をとる機会も多くなりますので、そのことを考えると逆に不安が強くなってしまうのではないでしょうか。

 

原因としては、いろいろなことが考えられます。自宅での食事はできるということですが、食事をしていて、少しの食事量でも胃もたれがしたり、時々胃が痛くなったりすることはないでしょうか。

 

症状を繰り返しているようでしたら、一度、胃カメラなどの検査を受けることを勧めます。検査で器質的な異常がない場合には、消化管の機能的異常が原因の機能性ディスペプシアという病気が考えられます。

 

症状を繰り返すうちに、会食や食事をすること自体にネガティブになり、症状が難治化する場合もあります。

 

また心理的な要因で症状が増悪することがあり、不安や抑うつなどの心理的問題と身体症状がお互いに影響しあっています。

 

治療としては、適切な内服薬、および、病気の原因を理解してもらい、症状と認知(症状に対する考え方)についてのアプローチを行う認知行動療法などが有効で、心療内科で治療を行います。

 

人前で食事をする時に、胃がむかついたり、吐き気がしたりするということですが、自宅や家族だけで食事する時にはほとんど何ともないのに、外食や知人・友人とは食べることが出来ない状態は「会食不能症候群」と呼ばれます。

 

また、自宅では他人と話をする時に緊張しすぎてうまく話せなかったり、人前に出ると、他人の視線が気になりすぎて、逃げだしたくなったりする場合には、社交不安症という病気が疑われます。

 

重症化すると、講義を受講できなくなって不登校の原因となったりします。

 

早い段階での治療が必要で、適切な治療で改善する疾患です。

 

また、幼少期から、他人と一緒に遊んだり、友人を作るのが苦手な方の中には、自閉症スペクトラム症の方もいます。

 

社交不安症や自閉症スペクトラム症では、精神科での治療が必要な場合が多いです。

 

まずは、学生相談室や保健管理センターへの相談をお勧めします。

 

(佐藤研)

 

 

<杉並国際クリニックの見解>

残念ながら、心療内科学会のHPに掲載するケースとしては中途半端です。

 

回答者も答えにくかったのではないでしょうか。診断としては機能性ディスペプシア、会食不能症候群、社交不安症、自閉症スペクトラムが挙げられていますが、社交不安症(社交不安障害)の会食恐怖がもっとも疑われると思います。

 

社交不安症とは、他人から注目されるような場面や恥ずかしい思いをするかもしれない状況に対して強い不安や恐怖を感じる病気です。その不安や恐怖が大きくなると、社会生活にも支障を来してしまいます。10人に1~2人がかかるふつうの病気です。人によって不安や恐怖の対象はさまざまです。

 

社交不安症の代表的な恐怖状況は複数知られているので列挙してみます。

 

会食恐怖:

食べているところを他人に見られると緊張して食べられなかったり、自分の立てる音が気になってのどが詰まってしまったり、人前で食事をすることを極端に恐れるタイプです。

 

スピーチ恐怖:

人前でスピーチをする際、緊張のあまり頭が真っ白になったり、声が震えたりして強いプレッシャーを感じます。

人前に立つ機会が増えた人にあらわれやすく、他の状況ではあまり不安を感じない人が多いのも特徴です。

 

実は、私もこの症状が繰り返し出現したことがあります。水氣道と声楽(東京藝術大学の別科の実技試験を5年連続で受験して、藝大教授であろうと誰であろうと人前で歌うことが平気になりました)と国際医学会(英語でもドイツ語でも発表できるようになったので、平気になりました)。

 

 

赤面恐怖:

人前や異性の前などの特定の場面で緊張し顔が赤くなることを恐れて、そのような場面を過剰に意識したり、人が集まる場所を避けてしまったりするタイプです。

 

 

電話恐怖:

周囲に人がいるなかで電話を取ったり掛けたりするとき、強い緊張を感じて、言葉が出なくなったり、不安になったりするタイプです。

 

会社職員の女性に多く、電話の相手や周囲の人達からどう思われたかを気にする傾向があります。

 

 

視線恐怖:

人と目を合わせることが怖く、「見られている感じ」が常にしてしまうような他人の視線が怖いタイプと、自分の視線が相手を不快にさせてしまうことを恐れるタイプがあります。

 

前者が重症になり妄想的になると統合失調症などの可能性もあるので注意して観察しています。

 

 

書痙:

人前で字を書こうとすると緊張してしまい、手が震えて書くことがむずかしくなるタイプ。人から変に思われるのではないかと思うと、ますます震えたり書けなくなったりしてしまいます。

 

 

振戦恐怖:

人と接する場面で、手や足など体がガタガタ震えてしまい、そうした場面が怖くなるタイプです。

 

 

発汗恐怖:

人から話しかけられると、緊張してぐっしょりと汗をかく、仕事で接客をしていると、額からポタポタと流れるほど汗をかき、タオルが手放せないなど、人と接する恐怖や緊張のあまり、大量の発汗をするタイプです。

 

 

これらの社交不安症に対して薬物療法と心理療法、とくに認知行動療法を併用

 

すると有効性が高いといわれています。

 

克服のコツは性格の問題としてあきらめるのではなく、病気の性質を正しく理解して、解決可能な課題であるという認識を持つことです。

 

「逃げず、避けず、誤魔化さず」状況に直面〔暴露〕する勇気をもつことです。

 

杉並国際クリニックでは、薬物療法は必須であるとは考えていませんが、不安・恐怖や回避行動が顕著な方は、いったん薬物療法でそれらの辛い症状を緩和し、水氣道や聖楽療法を通して、これらの病気を克服してきた患者さんをたくさん経験しています。