第3節:医師感染の場合は「地域医療と院内感染予防考え対策を」
 

医師ら医療従事者が新型コロナウイルスに感染した場合の医療機関の診療継続に関しては、釜萢氏は、「いろいろな場面で問題になっている。地域医療を守る視点と院内感染予防を考えながらそれぞれの事例で対策を講じなければいけない」と述べました。

 

兵庫県が外来診療と新規入院患者受け入れを当面停止することを求めましたが、11日に通常通り診療したとの報道があった北播磨総合医療センター(同県小野市)の事例では、「それぞれ事情が違うので一概には言えないが、開設者の市と病院が協議をして選択をしたということだ。県の要請はあったが、その地域の医療を守るためには必要な判断だと聞いている」と述べ、今後の参考になる事例だとの見方を示しました。

 

しかし、同センターではその後、医師2人目の感染者が出たため外来、新規入院受け入れを休止しました。
 

 

厚労省の通知ではこの他、発熱や上気道症状を呈する患者の診療が困難な場合でも、少なくとも帰国者・接触者外来や、診療可能な医療機関への受診を勧奨することを求めています。

 

 

杉並国際クリニックの現状

以下のStepは個人レベル(臨床レベルa)と集団レベル(公衆衛生レベルb)の両側面から検討すべきものであると考えます。

 

<パンデミック対策の6Step>

Step1:1次感染源となる病原体からの汚染による初感染を防ぐ

 

Step2:1次感染(宿主動物ーヒト感染)しても発症させないようにする

 

Step3:感染症として発症しても軽症で済むようにする(Step3a)
同時に2次感染(ヒトーヒト感染)を防ぐ(Step3b)

 

Step4:感染症が軽症で済まない場合でも重症化を防ぐ(Step4a)
    同時に2次・3次感染と再発を防ぐ(Step4b)

 

Step5:感染症が重症化しても長期化や死亡に至らないように支援する(Step5a)
    同時に2次・3次感染と再発を防ぐ(Step5b)

 

Step6:感染流行地への支援をする

 

Step7:地球の温暖化防止をはじめ地球環境の保護へ向けて国際協力をする
今回の新型コロナウイルス(COVID-19)については、すでにパンデミック(世界的流行)の状況となっています。

したがって、わが国の国策として目下重点を置いているのは、私共がみる限りにおいてはStep4およびStep5が中心のようです。手薄なのは、は、上記のうちStep2と3を除く、少なくとも3つのStepのすべてを包括的に考慮して指針を明らかにする責務があります。


杉並国際クリニック 飯嶋正広


【ローマ共同】

イタリアでは新型コロナウイルスに感染した死者が14日までに1,266人に達しました。

 

感染者累計1万7660人に対する致死率は約7.2%で、他国に比べ突出して高いことが気になります。

その要因について、いろいろな議論がでています。

感染拡大に拍車を掛けたとされる推定要因について収集できた情報をもとに、4つの見解をもとに検討してみたいと思います。

 


❶ 

疫学統計上の限界(その1:ミラノ大学プレリアスコ教授の見解等をもとに)
   

ミラノ大のファブリツィオ・プレリアスコ教授(ウイルス学)は地元メディアに「誰にも正確な致死率は分からない」とし、当局が把握していないケースを含めれば感染者総数は10倍にも膨らみ、致死率は下がるはずだと予測しました。

⇒ このうち、感染死亡者数は比較的明確であるのに対して、感染者総数を把握することは困難です。このことは、プレリアスコ教授の指摘通りです。ですから、その予測は説得力があります。

 

そしてプレリアスコ教授の仮説に基づいて試算すると、イタリアでの感染者の実数は1万7千人の10倍の17万人超にも上りうるということになります。

 

さて、ここで感染者総数を分母とし、感染死亡者数を分子とすると、

致死率=感染死亡者数/感染者総数

となります。

 

感染者総数である分母が10倍になれば、致死率は10分の一、すなわち約0.7%程度になります。

ちなみに日本ではPCR検査陽性者数を感染者数とするならば、

3月16日0:31時時点でPCR陽性者数:565人、死亡者数:24人

したがって、致死率=24/798=3.0%

 

最近発表されている中国での感染者数:80,844、死亡者数:3,199人
したがって、致死率=3199/80844=4.0%

 

同様にドイツでの感染者数:3795人、死亡者数:8人
したがって、致死率=8/3795=0.2%

 

PCR検査を精力的に実施している国ほど分母が大きくなるために致死率が低くなるといえるでしょう。

そのように考えると、感染者がきわめて少ない日本は、PCR検査の実施件数自体が制限されているためである可能性もあるという見方もできるのではないでしょうか。

 

最終的なアウトカムを死亡者数とするならば、ドイツの致死率は極めて低いことが注目されます。ドイツの実際の致死率も理論上0.2%を上回ることはないことになります。ただし検査をするほど致死率は減少することになります。

 

ところで私は、平均寿命が近接している先進国間においては、実際の致死率はほぼ同程度ではないかと考えています。これを仮に前提として考えるならば、とりあえず致死率は最大でも0.2(ドイツ統計データ)~0.7%(イタリア推計データ)と仮定することができるでしょう。

 

そうすると、日本の実際の感染者数は、24人の死亡者を元に逆算すると

ドイツ統計データからは24×100/0.2=12,000人、

イタリア推計データからは4×100/0.7=3,429人

 

そこで、最少に見積もっても日本ではすでに12,000人以上の人が感染している可能性があるのではないかと推定することができます。
 

 

実際に、感染していても発症しないでいるケースも多数報告されているだけでなく、症状が出現しても一定の基準に達していない人は検査を受けることができないため、この推論には一定の根拠があると思います。当面の間、日本での死亡者が一人増えるたびに、感染者の推定人数を最低でも500人増の修正を加えるくらいが妥当であるかもしれません。

循環器内科:血栓症(脳梗塞・心筋梗塞・静脈血栓など)治療薬と抗癌剤

 

脳梗塞や心筋梗塞、静脈血栓症などの血栓性疾患を持っている方に癌が発生し、抗癌剤による治療を開始する際には注意が必要です。このようなケースは今後も増え続けることでしょう。「明日は我が身」であり、決して他人事では済まされないといえます。

 

代謝拮抗薬(ピリミジン代謝拮抗薬)5-FU系

 

抗癌剤の分類で5-FU系というグループがあります。代表薬の5-FUの他に、カペシタビン、S-1があります。なおこれらの薬剤で治療中の方が、ワルファリンを服用すると、血が止まりにくくなり、内出血を起こしやすくなることが知られています。

抗癌剤もワルファリンも必要があって使用しているわけですから、このような副作用の出現を未然に防ぐためにはPT-INRを測定し、このデータが急激に延長しないかを確認するとともに、出血傾向の出現を注意深く監視することが必要です。相互作用の原因は、抗癌剤の活性代謝物である5-フルオロウラシルがCYP2C9を阻害するためです。

 

・5FU:

消化器癌(胃癌、結腸・直腸癌)、乳癌、子宮頸癌

 

・カペシタビン:

(手術不能または再発)乳癌、結腸・直腸癌における補助化学療法、胃癌、(治癒切除不能な進行・再発の)結腸・直腸癌、直腸癌における補助化学療  法で放射線照射と併用

 

・S-1:

胃癌、結腸・直腸癌、頭頚部癌、非小細胞肺癌、(手術不能または再発)乳癌、膵癌、胆道癌
S-1服用中は、他のフッ化ピリミジン系薬とは絶対に同時服用させてはならないなどの注意があります。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、上記の抗癌薬を処方することはありませんが、ワルファリンを処方することがあるので、薬剤相互作用に注意しています。

 

ワルファリンは、血栓塞栓症(静脈血栓症、心筋梗塞症、肺塞栓症、脳塞栓症、緩徐に進行する脳血栓症等)の治療のみならず予防にも用いられています。ワルファリンは抗血栓薬に分類され代表的な経口抗凝固薬です。

 

ワルファリンの投与量は、プロトロンビン時間(血液が凝固するまでに要する時間)のデータを正確に把握するためのINR値を検査しながら調節することになっています。

 

しかし、それでも出血を来すことがあり、その際にはビタミンKを投与します。

逆に、ビタミンK₂投与中の患者にワルファリン投与の必要が生じたときにはビタミンK₂を中止します。そもそもワルファリンはビタミンK作用に拮抗し、肝臓におけるビタミンK依存性血液凝固因子の生合成を抑制する働きをもつ薬剤だからです。

 

このように癌の治療で抗癌剤を使用している癌患者も、脳梗塞や心筋梗塞の治療中の患者も忘れてならないのが食生活です。他で処方された薬剤ばかりでなく、購入したOTC医薬品(処方箋不要の市販の薬剤)や健康食品を自己判断で使用したり、医療機関に報告しないでいたりすることはとても危険なことだ、ということを心にとめておいていただきたいと思います。

 

しかも、ワルファリンに対する感受性には個人差が大きく、出血リスクが高い場合もあるので、初期投与量の決定に際してはリスクとベネフィットのバランスを考慮する必要があります。

 

併用薬によって作用が変動するので注意が必要な薬剤です。実際に5-FU系の抗癌剤であるカぺシタピンとの併用で死亡例が報告されています。

 

超高齢社会となり癌が国民病とされる令和の時代において、ワルファリンのような取り扱いの複雑な薬剤の使用は可能な限り避けるのも一法かもしれません。

 

たとえば非弁膜症性心房細動がみられる患者で発症リスクの高い脳卒中の予防のためには、直接経口抗凝固薬(DOAC)が重要な選択肢になると思います。DOACはINRモニターが不要であるうえに、ワルファリンと比較して、脳出血の頻度が少ないという特徴があるからです。

 

<明日に続く>

第2節:検体採取などを実施する際は、徹底した感染予防策が必須

 

同氏は、厚生労働省と相談の上、通知に「インフルエンザなどの場合、検査をせず臨床診断による治療薬の処方をご検討ください」という旨を追加したことを報告。

「迅速診断実施に関する危険性が、北海道の事例で明らかになっている。検査をしないデメリットがないとは言えないが、現場で防護具が不足していることを踏まえれば、必要な措置である」とした上で、医療現場における患者への丁寧な説明を求めた。

 

迅速検査で検体採取のために鼻を強く刺激することで患者がくしゃみや強い咳をして、新型コロナウイルスに感染していた場合には飛沫感染の可能性が高まる。

 

釜萢氏によると、北海道で医師が診察した患者が、後になって新型コロナウイルス感染が分かり、その後医師の感染も確認される事例がありました。

日医が情報を確認したところ、新型コロナウイルス感染との直接の因果関係は明らかではないが、この患者にインフルエンザの迅速検査を行っていた。幼い子を連れた親が迅速検査を強く要求し、納得してもらえないことも想定されるが、釜萢氏は「医療機関で新型コロナウイルスの現状もお話しして、リスクについてご理解をいただいた上でないといけない」と述べた。

 

インフルエンザの流行が終息しつつあると認識しており、そのことも考慮したという。

 

新型コロナウイルス感染症患者・疑い患者を診察する際は、各地域における感染者の報告状況や帰国者・接触者外来の設置状況などを考慮し、下記に基づいて感染予防策を講じます。

 

 新型コロナウイルス感染症患者に対しては、標準予防策に加えて、飛沫予防策および接触予防策を実施すること

 

 同患者の鼻腔や咽頭から検体を採取する際には、サージカルマスクなど、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウンおよび手袋を装着すること

 

 同患者に対し、エアロゾルが発生する可能性のある手技(気道吸引、下気道検体採取など)を実施する場合は、N95マスク(またはそれに準ずるマスク)、眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウンおよび手袋を装着すること

 

 同患者の診察において上記感染予防策をとることが困難である場合は、最寄りの帰国者・接触者外来に紹介すること

 

 基本的にシューズカバーをする必要はないこと

 

 個人防護具を着用中また脱衣時に眼・鼻・口の粘膜を触れないように注意し、着脱の前後で手指消毒を実施すること

 

 

杉並国際クリニックの現状
新型コロナウイルス感染者は、多くの事例では周囲の人にほとんど感染させていないとみられつつあります。しかし、感染源が密閉された(換気不十分な)環境にいた事例において、一人の感染者が生み出す二次感染者数が特徴的に多く、感染を拡大させてきたことが明らかになってきました。 

 

換気が悪く、人が密に集まって過ごすような空間に集団で集まるイベントなど(屋形船、スポーツジムやライブハウスの事例)で風通しの悪い空間や、人が至近距離で会話する環境(医療機関など)は感染リスクが高いことが明らかになってきました。

また、全国の複数の地域で「小規模患者クラスター」(感染経路が追えている数人から数十人規模の患者の集団)が発生しています。
 

 

厚生労働省のホームページ<新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)令和2年3月14日時点版>

では、「急激な感染拡大を防ぐためには、小規模患者クラスターの発生の端緒を捉え、早期に対策を講じることが重要です。」と国家としての対策の基本方針を示しています。


ここで、「小規模患者クラスター(5人以上)の発生の端緒を捉え(る)」という文言が具体的にどのような実効性をもつものなのかは判然としません。今後も患者数の増加が見込まれるため、これまで以上に個々の単独発症例の背景について綿密な調査と分析を行なえることはあまり期待できそうにありません。逆にいえば、今後の政府の方針は小規模クラスターごとの対応に主力を注がざるを得ないことを、暗に示唆しているのではないでしょうか。

 

このような立場での国策の在り方では、個々の国民の側からする対策との隔たりが拡大するばかりであることを感じます。

それは、一人一人の国民の健康と生命を守る第一線の医療機関の立場では、とくに顕著であるといえます。医療機関では、小規模患者クラスターどころか、一人の感染者の発見によってたちどころに機能停止に追い込まれてしまうからです。とりわけ感染リスクの高い医療従事者が感染してしまうことによって、一般集団より免疫力が低下している患者集団に感染を広げてしまうという最悪の事態を招いてしまうからです。

 

シャープの「プラズマクラスター イオン発生機」を診察室に設置いたしました。

1

 

シャープは、プラズマクラスターイオンに以下の効果があるとしています。

布に染み込ませたタバコの臭いを脱臭

浮遊しているダニの糞や死骸等のタンパク質を切断して除去、

アレルゲンの作用を低減

空気中のウイルスを除去し、浮遊ウイルスの作用を抑える

細菌の細胞膜のタンパク質を断片化して不活化浮遊しているカビの細胞膜のタンパク質を切断して分解

除去イオン濃度25000個/cm2の場合、肌の水分量の増加

 

 

「インフルは検査控え、臨床診断で処方を」 No1

 

第1節:迅速診断実施による感染リスクを考慮

 

3月11日、厚生労働省は、全ての患者について鼻腔や咽頭から検体採取をする際にサージカルマスクや眼の防護具(ゴーグルまたはフェイスシールド)、ガウン、手袋を装着するよう求める通知を出しました。

これを受けて日本医師会・釜萢 敏氏(同会感染症危機管理対策室長)は、「新型コロナウイルス感染症が疑われる者の診療に関する留意点について」記者会見で説明し、一般の医療機関においても十分な周知を求めました。

 

日本医師会は同日、インフルエンザなどの検査のために検体を採取する際に新型コロナウイルスに感染する可能性があるため、検査をせずに臨床診断によって治療薬を処方するよう求める通知を都道府県・郡市区医師会へ発出しました。釜萢敏氏は「これは大変強い、大きなメッセージだ。一般の医療機関に来た患者が新型コロナか分からない中で、防護具が今、手に入らない。迅速検査は難しくなってきているという認識だ」と述べた。医療機関が防護具を用意できている場合は検査可能で、厚労省とも協議の上で決めた方針であることのことです。

 

釜萢氏は、地域の各医療機関の外来に共通する感染予防策として、基本的に誰もが新型コロナウイルスを保有している可能性があることを想定し、すべての患者の診療において、標準予防策であるサージカルマスクの着用と手指衛生の励行を徹底するよう指示しました。患者が発熱や上気道症状を有するなどの場合であっても、検体採取やエアロゾルが発生する可能性のある手技を実施しないときは、標準予防策の徹底で差し支えないとのことです。

 

 

杉並国際クリニックの現状

インフルエンザの診療の診断には、検査キットが必要不可欠であると考える方にとっては、このメッセージは、とてもショッキングなメッセージかもしれません。しかし、便利の蔭には魔物が棲んでいるものです。

 

杉並国際クリニックは以前からインフルエンザの治療のために検査キットは不要と考えて導入してこなかった経緯があります。たしかに診断のためには診断キットは一定の意義はあります。

 

しかし、インフルエンザに感染していても検査が陽性になるとは限りません。その場合は、インフルエンザの治療薬を処方することが実際上不可能になるばかりでなく、感染者は家庭や職場あるいは交通機関でウイルスを拡散させてしまうおそれを生じます。

 

また、検査結果が陽性だった場合に、1回の内服で治療が完了するとされるゾフルーザ®という薬が処方されるとさらに問題が大きくなることを予測していました。

当クリニックではこの薬剤に関しては一切処方いたしません。

その理由は、この薬が効かない(抵抗性)の耐性ウイルスが存在することに加えて、1錠内服して薬物療法自体は完了しても、感染性は直ちに消失しないと考えられるからです。中には直ちに職場に復帰し、場合によっては広範な営業活動をして感染を蔓延させているような方も少なくないものと推測しておりました。

 

新型コロナウイルス(COVID-19)感染症では、自覚症状のない・あるいは乏しい感染者でも他人を感染させ発症させることがあること、検査キットで陰性でも後に陽性になるケースが報告されています。

 

インフルエンザも同様に考えておくのが良いと考えます。自分はインフルエンザに罹ったことがない、あるいは罹ったとしても風邪程度だから、という理由でインフルエンザワクチンを接種しない方針の方が若干いらっしゃいます。

 

しかし、そうした方こそ、身近な大切な人々のためにも、今年の10月にはワクチンを接種していただきたいと願っております。

 

有事に対する備えの意識が高い杉並国際クリニックでさえ、一般のマスクのみを何とか確保しているのみで、サージカルマスクに至っては、すでに欠如しています。つまり、標準予防策ですら完備できる見込みがないことを懸念しています。

 

そこで、杉並国際クリニックとしては、確かな情報収集と独自の分析をもとに、継続的に実行可能な対策を独自に立案し、可能なことから速やかに実施するこれまでの方針に則って診療を継続していくことにしています。

 

それは感染リスクが高い『新患および再新患(受診中断後2カ月以上経過した方)』の受付を事前予約制として、定期受診者との接触を減らすことです。

 

日頃の健康管理の指針としては、杉並国際クリニックでは、第一に日頃の鍛錬(禁煙水氣道®など)、第二に事前の予防(ワクチン接種など)、第三に罹患後の一定日数の養生が必要であることを宣言し、推奨しています。

 

―がんは日本人の国民病(厚生労働省のHPから)-

 

がんは、日本において昭和56年より死因の第1位となり、現在では、年間36万人以上の国民ががんで死亡しており、これは、3人に1人が"がん"によって亡くなっていることになります。

 

日本人にとって「国民病」といっても過言ではない状況となっています。


厚生労働省のHPから

 

21世紀になって、癌(悪性腫瘍)の薬物療法の主役は、従来型の抗癌剤(殺細胞性抗悪性腫瘍薬)から、ホルモン療法薬に加えて分子標的薬に交替しました。

 

中でも、近年注目されるのは、

① 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と

② 抗体薬物複合体(ADC)です。

 

ICIは、登場から数年で、続々と適応疾患を増やしているため、他の薬物療法との併用やICI同士の併用も幅広く試みられています。

 

また、ADCは、搭載薬物やリンカー技術の改良もあり、多様な標的分子に対して開発が進められています。

 

なお、抗悪性腫瘍薬の投与には様々な配慮が求められるため、多くの抗悪性腫瘍薬の添付文書には以下のような警告文が入れられています。

 

 

癌化学療法は、

① 緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること.

 

② 適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して十分注意すること.

 

③ 治療開始に先立ち、患者またはその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること.

 

杉並国際クリニックは、癌患者の主治医として癌化学療法を行なってはいませんが、関節リウマチ治療の主薬であるメトトレキサート(リウマトレックス®)は、抗リウマチ薬であると同時に抗癌剤(抗悪性腫瘍薬)でもあります。その他にも、多数の担癌患者(癌を患っている患者)の皆様の健康管理を担当しています。

 

癌の種類としては、肺癌、胃癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、血液腫瘍(悪性リンパ腫など)が主です。

 

そして、当クリニック受診中に抗悪性腫瘍薬(抗癌剤)の副作用を発見することもしばしばです。

 

そこで、しばしば、懸念される事例は、警告文の②との関係です。

 

第一には、癌治療の主治医が、他の医療機関(たとえば杉並国際クリニック)の処方薬を十分に把握して確認がなされていないケースです。

実際に副作用の早期発見によって癌治療担当医に報告する経験を多数しています。

 

第二には、杉並国際クリニック通院中の担癌患者の方からの癌化学療法の内容を把握できていない場合にも起こりえる事象です。

とくに血栓症(脳梗塞・心筋梗塞・静脈血栓など)、消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)、痛風、関節リウマチ、真菌症、うつ病の患者さんは今後も特別な注意が必要です。

 

杉並国際クリニックは、こうしたハイリスク群の患者さんを主に診療しているので、皆様方に注意を喚起しておく必要があると考えております。

 

ですから、抗悪性腫瘍薬投与中には、抗癌剤の副作用だけではなく、他の薬剤との相互作用を確認することが必要です。そのためには、受診する医療機関ごとに複数の調剤薬局にいくのではなく、一括した調剤管理を可能とするためにも「かかりつけ薬局」を決めておくことをお勧めいたします。

 

このように、抗悪性腫瘍薬についての知識と注意は、すべての内科医が弁えていなければならない時代であるといえます。

 

しかし、患者さん自身もしっかりとした自己管理と自信に対する医療情報を管理して、いつでも医療従事者に情報提供ができるような準備が不可欠になってきました。

 

明日から、それぞれの疾患の側から、注意すべき副作用について解説していきます。

 

<明日に続く>

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にします。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

第三部は、心身医学の理論に根ざした聖楽院の哲学的な基礎概念を示し、心身医学療法の領域において水氣道の考えが心身医学療法の一般的な理論となりうるかを論じます。

 

第四部では、聖楽療法理論の一般的理論としての側面について、その概略を述べます。

 

 

 

第一部 心身医学療法における聖楽療法理論のコンテクスト(その1)

第1章 理論の性質

 

第2章 心身医学療法における理論

従来の心身医学療法における理論の役割

 

前回は、聖楽療法理論の概念的枠組みということで、聖楽療法は新しい心身医学療法であることについて述べました。聖楽療法は心身医学療法の特別な応用法であり、セラピーのための特別な方法として開発してきたこと、そして、さらにいえば、筆者は、従来の心身医学は、固有の心身医学療法を持たず、治療法としては本質的に心理療法もしくは精神療法に他ならないという問題意識を持っています。

 

そこで、従来の心身医学は聖楽療法の実践を通して体系化される理論によって、新しい固有の心身医学療法を誕生させることができるということを、これから、ゆっくりと説明していくことになります。

 

さて、今回のテーマは
聖楽療法の固有理論の問題です。

固有理論は、輸入理論と衝突しないのか?という課題について考えてみます。

 

 

聖楽療法は心身医学研究の範疇に属すると主張する筆者は、新しい心身医学の考え方により密接な立場を構築しようとしています。

 

この立場で、新しい心身医学というのは、心身医学についての考えを聖楽療法理論の核に据えるという意味を持っています。

そこで聖楽療法の固有理論は必然的に心身医学であるということになります。

この理論が「固有」であるというのは、音楽分野からの輸入理論や専門概念が新しい心身医学療法の固有理論となり得るという立場に起源をもつからです。

 

固有理論を発展させる際に、他の領域からの知識をどのように用いるのが最も有益かを常に意識することが大切です。

しかしながら、聖楽療法における音楽理論は、決して他の領域からの知識、すなわち輸入理論としては扱いません。

 

理論は既存の知識や創造的思考、直観、応用分野に精通していることの結果として生じるものです。

こうした理論というべきものがなければ、自分たちが観察し経験することの重要性を比較衡量したり選別し抽出したりしていくための指針を見失ってしまいます。

そして、理論はデータからでなく推論から導き出されるものであり、理論を前提にしてデータを介錯するものと認識しています。

 

理論的に物事を考える学習なしに固有理論を作り出すことは不可能であり、その最良の方法は、既存の理論を学び、理論を具体的な体験にどのように応用するかを知ることなのです。

 

芸術家が育つプロセスは、理論家を育て、理論を発展させることと本質的には変わりはありません。

芸術家が成長していくためにも、これまでに行われてきたことに習熟する必要があるからです。

 

個人の成長は共同体の発展を反映していきます。

そこで、専門分野としての聖楽療法は、まず他分野からの概念に習熟することが必要であり、そのうえで今後の聖楽療法家たちは、自分たちに固有の理論を発展させていくことができます。

 

まず、輸入された理論を熟知してから固有理論について考えていく方法がとられます。

そして、実践から直接生まれた理論が、研究理論と現場実践を連結させるものとなります。

皆様、音楽と共に日々お変わりなくお過ごしのことと拝察いたしております。

2020年5月31日に杉並区立方南会館にて開催を予定しておりました第2回杉並令和音楽祭は、やむを得ず自粛することに決定いたしましたのでご連絡いたします。

 

3月11日付けの世界保健機関(WHO)のホームページ上で、テドロス事務局長が表明したCOVID-19(新型コロナウイルス)感染症の全世界的流行に対する世界保健機関(WHO)による異例の<パンデミック宣言>を受けて、実行委員長をはじめとする緊急最高会議により、やむなく決定いたしました。

 

開催にむけて、ご協力いただいているアーティストの皆様、すでにご参加を表明され稽古に精励されていらっしゃるレッスン生の皆様には大変申し訳なく存じております。

 

今後の全体稽古および第2回コンサート開催の予定につきましては、当該ホームページにて、各自ご確認くださいますようにお願いいたします。

 

なお、少人数の聖楽院の通常稽古の実施計画については、杉並国際クリニックの公式ホームページにて、他の関連する有益情報と共に主宰が直接お知らせいたしますので、今後もお忘れなく注意してモニターしてくださいますようお願い申し上げます。

 

 

令和2年3月14日
 

杉並国際交流音楽会実行委員会 

役員代表 松田 要
 

 

聖楽院 

主宰 飯嶋 正広

<はじめに>

 

 

前回は「寝違え」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「大椎」は首を曲げたときにできる出っ張りの下にあり、

 

 

「肩井」は首を曲げたときにできる出っ張りと肩の先を結んだ線のちょうど真ん中あたりにあり、

 

 

「四瀆」は手の甲の方、手首と肘を結んだラインの真ん中にあるというお話でした。

 

 

 

今回は「動悸」に効果のあるツボを紹介しましょう。

 

 

 

<動悸に効果のあるツボ>

2020-02-18 16-32

2020-02-18 16-41

 

 

今回は「膻中(だんちゅう)」「太淵(たいえん)」「神門(しんもん)」を紹介します。

 

 

「膻中」は乳頭を結ぶ線と胸骨の正中線と交わるところにあります。

 

 

「太淵」は親指の付け根の手のひら側にある手首にできるしわのある場所にあります。

 

 

触れると脈が拍動している部位です。

 

 

「神門」は手のひら側で小指側のしわのできる部位にあります。

 

 

痛くない程度に息を吐くのと合わせて押してみてください。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭