令和2年3月17日(火)19:00~21:00

 

鷺ノ宮体育館温水プール(第5レーン使用)

 

参加者総数11名(先発8名、後発3名、早退2名)

 

指導トレーナー:

水氣道正弐段上 中川良子(B班)

同:

水氣道正弐段下 林亮博(A班)

 

修錬生インストラクター:

水氣道2級 細谷健太(B班)、同、坂本光昭(A班)

 

報告担当ファシリテーター:

水氣道5級(中等訓練生)野口将成(B班)

水氣道5級(中等訓練生)植田栄喜(A班)

 

受付:

主当番/支援員・林亮博、副当番/修錬生・なし、副々当番/訓練生・野口将成

 

<稽古内容>

 

1) 親水航法:自主稽古方式

 

2) 準備体操(イキイキ体操)一列縦列行進方式   
  訓練生2名を頭尾位に配置し、指導トレーナーがサポート
  稽古参加者全員に対し、「イキイキ体操」新項目を周知した。

 

・・・以後2班を編成し、班単位での稽古となる・・・

 

まずA班(5名)の稽古内容を報告します。

 

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式
   動作確認に心掛けた。

 

4) 各種航法:名宣り稽古方式
   実施航法(理気、調血、活水、舞踊、経絡)の各航法
   訓練生の名宣り「脇伝」の稽古を実施
   活水航法、経絡航法は6枚目まで実施

 

次にB班(6名)の稽古内容を報告します。

 

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式
一つ一つ丁寧に確認しながら行った

 

4) 各種航法:名宣り稽古方式
   実施航法(理気、調血、活水、舞踊、舞踏)の各航法
   2枚目まで実施

 

 

・・・A班とB班が再度合流し全体での稽古となる・・・

 

  太極航法2枚目まで

 

 

5) 整理体操(のびのび体操)
   既定の稽古終了後

 

 

6)特別技法訓練:希望者
今回は、基本五航法の第一航法、ボードを頭頂部に乗せ素歩きをおこなった。

 

 

【所感】
・この情勢の中11人の方が集まりました。
皆さんお元気そうでなによりでした。(R.N記)

 

・火曜日にしでは、珍しく、10人以上来ていたので、今までで、
もっとも充実した稽古だった思います。(K.H記)

 

・2つの班に分かれて稽古できたので効率が良かったように思いました。(M.S記)

 

・五航法の際に周りのペースを気にすることなく自分の納得がいく形をしっかりやることが大事だとアドバイスをいただいた。その指針を再認識することで自分のペースで落ち着いて稽古することができた。(H.U記)

 

・五航法を二手に分かれて、私はB班に属して稽古を行いました。短い時間でしたが参加できて嬉しかったです。(K.H記)

 

・B班は修錬生が五航法終了後、途中退出したため訓練生が修錬生インストラクター体験しました。(M.N記)

 

・課外の特別技法訓練について、体幹を意識することで姿勢を整えることができた。
したがって、第一航法での脚の運びがスムーズになり動きが改善できた。(A.H記)

 

・いつもだが水に入った瞬間は冷たい、身の引き締まる冷たさを感じる。そして無我夢中の内に1時間半の稽古を終えて、着替えを済ませ、メディカルチェックを終えて帰路につくと、道中何とも言えない温かみが、身体の中から湧いてくる。頑張って良かったことを実感するひとときだ‼️(K.M記)

 

・コロナで沈んだ心がプールですっきりきらきら星(K.S記)

 

 

【理事長からのメッセージ】

「令和」という新しい時代の二年目の今年は、水氣道創設二十年目を迎える節目の年です。

元号は、本来であれば、これから続く新しい時代を寿ぐ象徴であり、したがって、「令和」という固有名詞が、出典とされる万葉集の序の「令」と「和」の如くであって欲しいと願うのは、私たちだけではないと思います。
 

新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックという未曽有の世界的危機の中にあっても、私たちの中の有志の皆さんは、水氣道の稽古を続けています。地球の温暖化、超高齢社会、国際交流社会、貧富の格差拡大、政治的不公正、政府による国民統制と衆愚政治化、多剤耐性菌の出現など、私たちを取り巻く社会は、このままでは未知の疫病発生のリスクの高まりと拡がりを容易には阻止できない状況下にあります。

 

特に未知の伝染病に対しては病原体の特定や感染経路、診断方法の究明に時間を要するため特異的な治療を施せないまま犠牲者が増え続けていくことになります。そこで生命を守る決め手となるのは個人や集団の備える日頃からの養生(「免疫力」の保持)や鍛錬の習慣の確立です。

 

水氣道は、こうした人類にとっての未曽有の危機にさらされる時代の到来を冷静に予測して、準備を重ね今日を迎えることになりました。

 

こうした経緯を省みるにつけて、私たちがいま「水氣道」稽古に参加し、これから不安を抱える世界中の多くの人々に伝え、真の平和と繁栄に貢献していこうという人類的意義を痛感させられます。

 

しかしながら、私はあえて申し上げなければなりません。「令和」二年は、まさに国難に見舞われる年であり覚悟をもって臨む必要があります。

 

「令和」と命名された新しい時代の名称は、同一の文中にない「令」と「和」を意図的に結合させて創作した新しい造語です。
しかし、私は、この二字の漢熟語をオリジナルな日本語として受容することに抵抗を感じています。

 

中医学の古典的テキストで鍼灸医学の聖典である『黄帝内経・霊枢』には「知迎知隨、氣可令和」(迎を知り隨を知り、気、和せしむべし)とあります。

意味は「鍼を体のツボに指すとき、体の気の流れと逆に刺す『迎』と、流れに沿って刺す『隨』の双方の治療技法を知っていれば、心身の氣を調和させることができる」ということになります。

 

東洋医学では気の流れを重視しますが、水氣道の「氣」も同じです。理氣航法の「理氣」とは「氣」を理する(ととのえる)ことであり、また調血航法の「調血」も「血」を調和させる(ととのえる)ことなのです。

 

また漢代の歴史書『後漢書』にも「朝廷仍下明詔、欲令和解」(朝廷、しばしば明詔をくだし、和解せしめんと欲す)という文があります。こちらは「令和」ではなく「令和解」(和解せしむ)です。意味は「朝廷は、何度も皇帝の詔を発し、和解させようとした」となります。

 

「令和」の出典は従来の慣例に従う漢籍からの引用ではないので関係はないとする見方がありますが、あえて以上の二例のみを挙げて、漢文古典の「令和」でも穏やかな意味で用いられていると力説する向きもありますが、いかがでしょうか。

 

これらの例の他に、四書五経として知られる五経の一つである『礼記』の第二十六章経解には「発号出令而民説謂之和」とあります。これは「(王が)号を発し、令を出して、民が悦ぶ、之を和と言う」と読めます。これは支配者が号『令』を下して国民が悦ぶ様を『和』というのだ、と解することができます。

 

『令和』という漢熟語に対して私が感じるのは、「政府が国民に命令して不平不満を封じることで確保しようとする政府にとって好都合な表面的平和」という、まさにこうした権力による高圧的な意味に他なりません。

 

無責任で無能力な衆愚に成り下がって、見かけ上の平和に騙されてしまうことが、どのような不幸と災いを招くことになるのか、しっかりと考え対策を講じていきたいものです。

 

このようなときこそ、普段通りの養生と鍛錬の継続が必要です。それを可能とする数少ない方法が『水氣道』なのです。

 

それでは皆様、愚者の身勝手な都合で発せられた「戒厳令」によって、貴重で賢明なる私たちの和やかな活動が制限され、中止に追い込まれようとしている現状、そして今後を厳しい目で監視し続けていくことにいたしましょう。

 

心療内科:うつ病治療薬と抗癌剤

うつ病はWHOによると2030年にはすべての疾患中で最も経済的打撃を与えると予想されます。

うつ病は基本的には回復する疾患とされ、通常では数カ月で回復します。

しかし、実際には30~40%は薬物に抵抗性(薬が効かないこと)を示し、1年以上回復しない場合もあります。

 

うつ病は、昔から精神科医が担当してきましたが、うつ病診療を行っている精神科医の多くが心療内科を標榜しているため、一般の方ばかりでなく医療界においてさえ心療内科が誤解されたままになって、しかもそれが定着してしまっているのが現状です。

 

しかしながら、残念なことに、ほとんどの精神科医は線維筋痛症に代表される、心身医学的アプローチが効を奏するような慢性疼痛性疾患の患者さんに対して積極的であるとは言えません。

皮肉なことに杉並国際クリニックで経験した線維筋痛症の方の多くは双極Ⅱ型障害を合併していました。

 

精神科で初診時にうつ病と診断される患者の約2割は双極Ⅱ型障害(うつ+軽躁)があり、単極性うつ病と誤診されるとの報告がありますが、簡便な印象判断ではなく、本格的な半構造化面接(M.I.N.I)に加えて軽躁エピソードについて念入りに病歴を聴取してきた杉並国際クリニックの経験例では、むしろ約7割が双極Ⅱ型で、単極性うつ病は2割にも満たない結果でした。

そこで精神科での抗うつ薬による治療が効かなかったという相談を受けると、まず双極Ⅱ型障害ではないかどうかを検討するようにしています。

 

 

うつ病の女性が乳癌になったとしたら・・・?

 

ホルモン療法薬(抗エストロゲン薬)

・タモキシフェン(ノルバデックス®):乳癌

妊婦には禁忌です。

選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)といって、乳腺では増殖抑制、子宮内膜や骨では増殖促進に働きます。

 

選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)

・パロキセチン(パキシル®):

❶ うつ病・うつ状態、❷ パニック障害、❸ 強迫性障害、❹ 社会不安障害、
❺ 外傷後ストレス障害(PTSD)

 

選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI):

パロキセチン(パキシル®)、フルボキサミン(デプロメール®、ルボックス®)、セルトラリン(ジェイゾロフト®)

 

これらは鎮静効果がないことから非鎮静系薬とみなされます。

過量服薬しても比較的安全で、かつ治療域が広いことから抗うつ薬の第一選択薬として用いられています。

しかし、その効果は従来薬の三環系抗うつ薬を上回ることはなく、重症例には適しません。

心電図上のQT延長という異常所見(薬剤誘発性QT延長症候群:重症不整脈の引き金となる)の出現があるため心疾患の患者への投与は控えます。

 

パロキセチン(パキシル®)は抗不安作用を併せ持もつ比較的強力な抗うつ薬ですが、内服中断により中断症候群に注意、フルボキサミン(デプロメール®、ルボックス®)と同様にP450(肝臓の薬物代謝酵素)を阻害するため、併用薬との相互作用に注意します。

また、セルトラリン(ジェイゾロフト®)と同様にP糖蛋白(細胞膜上に存在して細胞毒性を有する化合物などの細胞外排出を行う)を阻害するため、抗悪性腫瘍薬や強心剤であるジギタリス製剤との併用時は注意します。

 

タモキシフェン(ノルバデックス®)による乳癌の治療中に、パロキセチンを服用すると、乳癌による死亡リスクが増加したとの報告があります。

パロキセチンがCYP2D6(生体内の異物を代謝する主要な酵素の1つ)を阻害することにより、タモキシフェン(ノルバデックス®)の活性代謝物のエンドキシフェンの血中濃度が低下することが原因です。

基本的には併用を避け、エスシタロプラム(レクサプロ®)等への変更を検討します。

 

 

 

杉並国際クリニックの視点から

〝うつ病〝と一口に言っても、杉並国際クリニックでは、「うつ状態」の方の受診が多いです。代表的なのは、上記にも触れた①本人も気付いていないような軽躁エピソードの既往のある双極性障害Ⅱ型のうつ状態です。

その他に②ストレスの度合いが大きく本人が適応できなくなる適応反応症での一時的うつ状態、③ 2週間以上典型的なうつ病症状が続くが夕方には元気になる抑うつエピソード、また、④ 不満や他罰性のためにうつが遷延してしまう持続性抑うつ障害のケースもあります。

 

いずれのタイプも早期察知・対応が大切です。

うつ病は身体症状で発症することがあり、その場合は身体疾患と診断されて治療が遅れてしまうことが多いと精神科医はしばしば指摘します。

しかし、他方、癌などの身体疾患を見落として漫然と向精神薬の投与を続けて手遅れになってしまうケースも稀ではないことも内科・心療内科医の立場から指摘しておかなければならないでしょう。

そのため、興味や関心の喪失や憂鬱さ、意欲低下といった精神面と同時に、睡眠障害や食欲低下、疲れやすさなどの典型的な身体症状以外の諸症状の出現についても注意深い観察が必要です。

 

実際に膵癌がうつ病と誤診されることは有名であり、乳癌患者がうつ状態になることも少なくないでしょう。

このような時代に、患者の精神面だけ、あるいは身体面だけを扱う臨床医学ばかりが展開を続けても日常医療の向上には繋がらない可能性が高くなりつつあります。

実際に、甲状腺疾患がスクリーニングされていないまま不適切な治療をなされているケースも多数経験してきました。たとえば、一般的に甲状腺機能亢進症は躁状態や不安傾向となり、逆に甲状腺機能低下症は抑うつ傾向となります。

 

このような臨床水準のまま、次々に副作用が多くリスクの高い抗癌剤が開発され、また、一方で、効果の差はわずかであるにもかかわらず、副作用において大きく異なる抗うつ薬が使用されている現実があります。

そうして、単独でも取り扱いの難しい薬剤同志を併用する必要が生じやすい超高齢社会においては有害作用のリスクは高まるばかりです。

 

癌医療と精神医療のインターフェイスにおいては、精神腫瘍学(サイコオンコロジー)という領域が誕生しました。

精神腫瘍学とは、がんと心の関係を精神医学、心理学、腫瘍学、神経学、免疫学、社会学、倫理学、哲学など自然科学・社会科学的手法を用いて探求する領域です。こうした心療内科を中心とする心身医学が正しく理解され、そして心療内科専門医が十二分に活躍できない限り、医療の多くの領域でAIの支援に大きく頼らざるを得ない時代に突入することになるのではないかと思われます。

 

<完>


杉並国際クリニック 飯嶋正広

 

❹ 対処行動(ソフト面)の問題

1)初動対応の遅れ:

感染者が集中する北部ロンバルディア州では、最初の市中感染が確認された2月下旬の時点で既に広範囲にウイルスが広がっていたとの分析があります。

患者急増に集中治療室の受け入れが追い付かず、人工呼吸器もたちどころに不足してしまいました。

⇒初動対応の遅れをなかなか認めようとせず、言い訳に終始するのは、イタリアだけでなくWHO、中国そして日本も同じ穴のムジナであるようです。

流行性の感染症の制圧の鍵は初動対応に罹っていると思います。初動が遅れ、しかも適切な対応ができないと、患者数の急増に加えて、重症化が進行し、それがまた患者のさらなる増加を招きます。

 

2)症状の重い人を優先的に検査する態勢:

医療現場は初動で混乱し、ANSA通信によると3月中旬までにロンバルディア州だけで約700人の医師や看護師も感染しました。

イタリア政府の衛生高等研究所幹部は、症状の重い人を優先的に検査する態勢が死亡率を高くした原因であるとも述べています。

⇒初動の対応が遅れたから、トリアージして重症患者を中心に対応せざるを得なくなったことは明らかです。

そして、人工呼吸器が不足すると、適応を60歳未満に限定して、リスクの高い重症の高齢者を排除したことも死亡数を増やす結果を招く原因になったのではないでしょうか。

大流行しているロンバルディア州の人口は約1000万人で、この一州でイタリアの人口の1/6を占める最大の州とはいえ、ただでさえ不足している医療従事者を700人感染させてしまったのは、最大の失策だったのではないかと思います。
   

イタリアの感染者数の累計が感染者累計1万7660人であるということは、ただでさえ不足している医師が膨大な件数のPCR検査に従事したことになります。

検査を受けた患者の陽性率の情報が手元にないため、より正確な推計はできませんが、少なくとも感染が判明した1万7千件の数倍以上のPCR検査を実施したはずです。

患者の収容施設や治療資源や十分な防禦体制が確保されていない状況で、有効な治療に結びつけられないまま、ひたすらに膨大な件数のPCR検査を強行していけば、医療従事者が次々に感染してしまいます。

そして、残された医療従事者の負担が更に増えて疲弊し、更なる感染に繋がってしまうと、医療体制は完全に混乱し、麻痺し、収集のつかない事態にまで発展してしまいかねないことは容易に理解できます。
   

患者を救う立場の医療従事者を感染の危険から守り、一定期間継続的で安定した医療供給をはかれるような態勢を確保することが、パンデミック収束にむけて行政が留意すべき最優先事項であるということ、そしてPCR検査は態勢の整った施設に限定して最大限の支援を行い、これまで通り症例を限定して実施すべきであること、この2点を深く認識していただきたいものです。

杉並国際クリニック 飯嶋正広


❷ 人口構成で高齢者が多い

イタリア政府の衛生高等研究所幹部は致死率の高さについての説明で、欧州連合(EU)の昨年の統計によると、同国で人口に占める65歳以上の割合は22.8%でEU加盟国の中で最も高いという指摘があります。たしかに、高齢の感染者は病状が悪化しやすいため死亡率も高いです。

⇒ しかし、各国の比較のために2018年統計をみると、1位の日本についでイタリアは2位、たしかに欧州ではトップの高齢化率ですが6位のドイツ、12位のフランスと大差がないことがわかります。

 

1位日本(27.59%)、2位.イタリア(22.75%)、6位.ドイツ(21.46%)、
12位フランス(20.03%)、18位、スペイン(19.38%)、26位、英国(18.4%)

 

人口の高齢化は一因ではあるでしょうが、主要因ではなさそうです。どこの国でも似たようなものですが、イタリア政府の衛生高等研究所幹部が高齢者人口比率を引き合いに出すのは根拠としては、とてもお粗末だと思います。

こういう場合は、当局が真実を報道することを避けて、意図的に言及していない可能性があります。

 

 

❸ 医療体制(ハード面)の不備

その原因:医療従事者の人員不足、原因の原因:緊縮財政のあおり

医療関係予算は削られ2012~17年の間で全国で約760の診療科が閉鎖されています。イタリアのレスプレッソ(L’Espresso)誌はエリート層や学生を中心に読まれている主要なニュース週刊誌ですが、この雑誌は「新型コロナ感染拡大が起きる前からイタリアの医療体制は機能不全に陥っていた」と指摘しました。

「既に緊急事態は起きていた」との大見出しで、医師はすでに5万6千人、看護師は5万人不足していたとの分析を伝えました。

 

現在、ミラノやジェノバでは見本市会場やフェリー内を突貫改装し、数百単位ずつの病床を増設する案も浮上しています。

⇒緊急時に対応できる医療機関の大規模閉鎖や医療従事者の慢性的欠乏が続いてきた中で、にわかに改築した病院を建設したとしても、十分な設備や医療スタッフが不足していれば病院はまったく機能しないはずです。すると、次第にとんでもない悪循環が連鎖的に加速して起こることになります。

リウマチ科:痛風、関節リウマチ治療薬と抗癌剤

 

専門でありながら、つくづく厄介だと思う病気の代表は関節リウマチです。

 

病気そのものの説明が難しく、患者さんに理解していただくことが容易でないだけでなく、使用する薬剤の扱い方も一筋縄ではいかないからです。

 

関節リウマチをはじめとする膠原病の治療薬は、抗癌剤や、

代謝拮抗薬、核酸や蛋白合成過程の代謝物と類似構造をもつ化合物で、核酸合成を阻害するなどによって癌細胞を傷害します。

 

 

代謝拮抗薬(プリン代謝拮抗薬)

・メルカプトプリン(6-MP):急性白血病、慢性骨髄性白血病

< 尿酸生成抑制薬(アロプリノール、フェブキソスタット)との併用について >
尿酸生成抑制薬はキサンチンオキシダーゼという代謝酵素の働きを阻害します。そしてキサンチンオキシダーゼはメルカプトプリンの代謝酵素であるため、併用するとメルカプトプリンの血中濃度が上昇することによって有害反応が生じやすくなります。

 

・アロプリノール(ザイロリック®)は痛風、高尿酸血症を伴う高血圧症における高尿酸血症の是正に用いられる治療薬です。この薬を併用する場合は、6-MPの処方量を通常量の1/3~1/4に減量します。

 

・フェブキソスタット(フェブリック®)も痛風、高尿酸血症の治療薬ですが、癌化学療法に伴う高尿酸血症にも用いられるので特に注意しなめればなりません。メルカプトプリンやアザチオプリンを使用している場合には骨髄抑制を生じるため併用禁止とされています。

 

・アザチオプリン(イムラン®、アザニン®)は免疫抑制剤〔代謝拮抗薬(プリン拮抗薬)〕であり、臨床の用途は以下のように広範囲わたっています。

 

❶ 移植時拒絶反応抑制(ⓐ腎移植、ⓑ肝・心・肺移植)

 

❷ (ステロイド依存性の)クローン病の寛解導入および寛解維持、
   ならびに(ステロイド依存性の)潰瘍性大腸炎の寛解維持

 

❸ (治療抵抗性の)リウマチ性疾患:
  全身性血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、結節性多発血管炎性肉芽腫症、高安動脈炎等)
  全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、強皮症、混合性結合組織病、
  難治性リウマチ性疾患

 

❹ 自己免疫性肝炎

アザチオプリンは免疫抑制剤であるため、生ワクチンを接種すると発症してしまう惧があるため、各種の生ワクチンによる予防接種は禁忌とされます。

 

 

代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)

・メトトレキサート(MTX):急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、絨毛性疾患、乳癌、骨髄腫、悪性リンパ腫、関節リウマチ
< NSAIDs(ロキソプロフェン、ジクロフェナク)との併用について>
NSAIDsの腎プロスタグランジン生成阻害作用により、腎血流・糸球体濾過速度が低下し、メトトレキサートの腎排泄量低下を起こします。メトトレキサートを大量投与する場合は併用を避けますが、単独でも様々な副作用がみられます。

 

まず、ロキソプロフェン(ロキソニン®)は、以下の疾病に用いられます。

 

❶ 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頚肩腕症候群、歯痛、手術後・外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛

 

❷ 急性上気道炎の解熱・鎮痛
消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害、アスピリン喘息、妊婦への投与は禁忌とされます。

 

次いで、ジクロフェナク(ボルタレン®)は、以下の疾病に用いられます。

❶ 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、頚肩腕症候群、歯痛、手術後・外傷後、抜歯後の消炎・鎮痛以外に、変形性脊椎症、腱鞘炎、骨盤内炎症、前眼部炎症、神経痛、後陣痛、月経困難症、膀胱炎

 

❷ 急性上気道炎の解熱・鎮痛
消化性潰瘍、重篤な血液異常、肝・腎障害、高血圧症、心機能不全、アスピリン喘息、妊婦、インフルエンザ臨床経過中の脳炎・脳症
降圧薬として用いられるK保持性利尿薬のトリアムテレン(トリテレン®)との併用で急性腎不全の報告があり、併用禁忌です。トリアムテレン(トリテレン®)は、高血圧症(本態性、腎性など)の他、心性浮腫(うっ血性心不全)、腎性・肝性浮腫の治療に用いられます。無尿、急性腎障害、高カリウム血症、腎結石では服用禁忌とされます。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、専門診療科の一つにリウマチ科を標榜し、関節リウマチに対して日常的に免疫抑制薬〔代謝拮抗薬(葉酸代謝拮抗薬)〕である抗リウマチ薬メトトレキサートを処方しています。

 

この薬が関節リウマチの主薬が抗癌剤の一つとしても分類されていることを知りショックを覚える方は少なくありません。そして、関節リウマチの治療のために高頻度に使用される薬剤相互の有害作用の出現の可能性については、患者さん自身も常に注意を払っていただいておく必要があります。

 

また、関節リウマチよりも高頻度で診療している痛風の治療薬も抗癌剤との相互作用に配慮しなければならない薬剤があります。

痛風やその基礎疾患である高尿酸血症の治療薬として、原因のメカニズムにかかわらず尿酸生成抑制薬を第一選択として用いている医師が多いようです。

 

杉並国際クリニックの方針としては、日本人に圧倒的に多い尿酸排泄低下型の病態に対しては、尿酸排泄低下薬を処方しています。

関節リウマチは女性に多く、痛風は男性に多いため、従来であれば、両方の治療を並行して行うことは少なかったのですが、最近では少しずつ増えつつあります。そして、何よりも代表的な消炎鎮痛剤の2剤は単独でも様々な副反応を招くことも心にとめておかなければなりません。

 

急性上気道炎の治療目的で、解熱鎮痛のため目的で処方するときも、安易にサリチル酸系であるNSAIDsを処方せず、アセトアミノフェンを処方するようにしています。

ただし、アセトアミノフェン(カロナール®)だからといって決して安全ではありません。

 

市販の感冒薬を、自己判断で過量に内服した後に受診した患者に、事情を知らずにこの薬剤を処方すると重篤な肝障害を来す可能性があります。

また、NSAIDs薬と同様に、消化性潰瘍、重篤な血液・肝・腎障害、重篤な心機能不全、アスピリン喘息には投与禁止です。

ですから、データや情報不足の初診の急性上気道炎その他の急性熱性疾患の患者に消炎解熱剤を処方するのはとてもリスクが大きいとさえいえるでしょう。

 

<明日に続く>

水氣道稽古A班・B版第二次報告 

 

令和2年3月17日(火)19:00~21:00

 

鷺ノ宮体育館温水プール(第5レーン使用)

参加者総数11名(先発8名、後発3名、早退2名)

 

指導トレーナー:水氣道正弐段上 中川良子(B班)

 

同:水氣道正弐段下 林亮博(A班)

 

修錬生インストラクター:水氣道2級 細谷健太(B班)、同、坂本光昭(A班)

 

報告担当ファシリテーター:水氣道5級(中等訓練生)野口将成(B班)

 

水氣道5級(中等訓練生)植田栄喜(A班)

 

受付:主当番/支援員・林亮博、副当番/修錬生・なし、副々当番/訓練生・野口将成

 

<稽古内容>

1) 親水航法:自主稽古方式

 

2) 準備体操(イキイキ体操)一列縦列行進方式   
  訓練生2名を頭尾位に配置し、指導トレーナーがサポート
  稽古参加者全員に対し、「イキイキ体操」新項目を周知した。

 

・・・以後2班を編成し、班単位での稽古となる・・・

 

まずA班(5名)の稽古内容を報告します。

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式

   動作確認に心掛けた。

 

4) 各種航法:名宣り稽古方式
   実施航法(理気、調血、活水、舞踊、経絡)の各航法
   訓練生の名宣り「脇伝」の稽古を実施
   活水航法、経絡航法は6枚目まで実施

 

 

次にB班(6名)の稽古内容を報告します。

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式
一つ一つ丁寧に確認しながら行った

 

4) 各種航法:名宣り稽古方式
   実施航法(理気、調血、活水、舞踊、舞踏)の各航法
   2枚目まで実施

 

 

・・・A班とB班が再度合流し全体での稽古となる・・・

 

  太極航法2枚目まで

 

5) 整理体操(のびのび体操)
   既定の稽古終了後、 特別技法訓練:希望者

 

 

【所感】
・2つの班に分かれて稽古できたので効率が良かったように思いました。(M.S記)

 

・五航法の際に周りのペースを気にすることなく自分の納得がいく形をしっかりやることが大事だとアドバイスをいただいた。その指針を再認識することで自分のペースで落ち着いて稽古することができた(H.U記)。

 

・五航法を二手に分かれて、私はB班に属して稽古を行いました。短い時間でしたが参加できて嬉しかったです。(K.H記)。

 

・B班は修錬生が五航法終了後、途中退出したため訓練生が修錬生インストラクター体験しました。(M.N記)

 

・いつもだが水に入った瞬間は冷たい、身の引き締まる冷たさを感じる。そして無我夢中の内に1時間半の稽古を終えて、着替えを済ませ、メディカルチェックを終えて帰路につくと、道中何とも言えない温かみが、身体の中から湧いてくる。頑張って良かったことを実感するひとときだ‼️(K.M記)

令和2年3月17日(火)19:00~21:00

 

鷺ノ宮体育館温水プール(第5レーン使用)

 

参加者総数11名(先発8名、後発3名、早退2名)

 

指導トレーナー:水氣道正弐段下 林亮博

 

修錬生インストラクター:水氣道2級 坂本光昭

 

報告担当ファシリテーター:水氣道5級(中等訓練生)植田栄喜(A班)

 

受付:主当番/支援員・林亮博、副当番/修錬生・なし、副々当番/訓練生・野口将成

 

<稽古内容>

1) 親水航法

 

2) 準備体操(イキイキ体操)一列縦列行進方式   
  訓練生2名を頭尾位に配置し、指導トレーナーがサポート
  稽古参加者全員に対し、「イキイキ体操」新項目を周知した。

 

・・・以後2班を編成し、班単位での稽古となる・・・

 

以下はA班(5名)の稽古内容です。

 

3) 基本五航法(短縮版):一列縦列行進方式
   動作確認に心掛けた。

 

4) 各種航法:名宣り稽古方式
   実施航法(理気、調血、活水、舞踊、経絡)の各航法
   訓練生の名宣り「脇伝」の稽古を実施
   活水航法、経絡航法は6枚目まで実施

 

 

・・・合流し全体での稽古となる・・・

 

  太極航法2枚目まで

 

5) 整理体操(のびのび体操)
   既定の稽古終了後、 特別技法訓練:希望者

 

 

【所感】

五航法の際に周りのペースを気にすることなく自分の納得がいく形をしっかりやることが大事だとアドバイスをいただいた。その指針を再認識することで自分のペースで落ち着いて稽古することができた(H.U記)。

脂質異常症の治療指針(杉並国際クリニック2020初版)

 

C.

非薬物療法: 生活習慣の改善(食事療法、運動療法)

嗜好改善:禁煙(受動喫煙防止も含む)⇒動脈硬化症予防に必須

 

食事療法:

① 制限すべきもの:

脂肪(飽和脂肪酸・トランス脂肪酸・コレステロール)、エネルギー・アルコール・糖質

 

②摂取すべきもの:

適量のビタミン、ミネラル、食物繊維の摂取

高カイロミクロン血症では中鎖脂肪酸
  

運動療法: 

❶ 有酸素運動:中強度、≧150分/週、≧3回/週
         運動をしない日が2日以上続かないように実施
       

\❷ レジスタンス運動:2、3回/週、連続しない日程で実施
  

 

心身医学療法:水氣道®
  

 

<解説>

レジスタンス運動、あるいは両者を組み合わせた運動は、血中脂質を改善させることが実証されています。特に水氣道®は有酸素運動、レジスタンス運動の両者を組み合わせた優れた運動プログラムであり、血圧や血糖の降下効果の他に、血中脂質を改善し動脈硬化予防効果の実績があります。

 

D. 薬物療法:

❶ 薬剤選択の原則

〇 スタチンを選択すべき条件:

高LDL-C血症、家族性高脂血症

特に、二次予防or低下させるべきLDLコレステロールの落差≧30㎎

の場合はストロングスタチン⇒

アトルバスタチン(リピトール®)、ピタバスタチン(リバロ®)
ロスバプタチン(クレストール®)

 

〇 フィブラート系薬を選択すべき条件:

高TG血症単独or TG≧500㎎/dL

 

❷ 病型ごとの薬剤選択
 Ⅱa型・Ⅱb型⇒第1選択薬:スタチン 

薬物相互作用の可能性の少ない薬剤⇒

プラバスタチン(メバロチン®)、ピタバスタチン(リバロ®)
ロスバプタチン(クレストール®)

 

第2選択薬:エゼミチブ、陰イオン交換樹脂
高度の高C血症を呈する家族性高脂血症:PCSK9阻害薬を併用

 

Ⅲ型・Ⅳ型⇒

第1選択薬:フィブラート系薬(特に高尿酸血症を伴なう場合など)

第2選択薬:ニコチン酸系、多価不飽和脂肪酸(ω3脂肪酸;ロトリガ®)

 

❷ 第一選択薬のない病型の治療法
Ⅰ型⇒

(食事療法);Ⅴ型⇒フィブラート系、ニコチン酸系、多価不飽和脂肪酸製剤

消化器内科:消化性潰瘍(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)治療薬と抗癌剤

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍という病気を知らない方はいないでしょう。それどころか経験者の方も少なくないはずです。消化性潰瘍であると思っていたら癌になっていたという方、消化管以外の癌が見つかって、抗癌治療を始めたといった話題は、もはや日常茶飯事です。

 

小分子・分子標的治療薬

分子標的治療薬の副作用の特徴として下痢が挙げられます。そして、心毒性、間質性肺炎、腸管穿孔、動静脈血栓症、出血などが生じ、致命的になることもあるため、初期症状を捉えて適切に対応する態勢をとる必要があります。

 

最近の分子標的治療薬では、上記の諸症状に加え、皮膚症状、創傷治癒遅延など、従来とは異なる種類の有害作用(副作用)が出現するので、抗悪性腫瘍薬による有害作用の特徴を把握して対応することが重要とされます。

 

 

EGFR阻害薬 

事前の遺伝子検査によりEGFR遺伝子変異をもつ肺癌で効果が高いです。

また、食事の影響を受けやすいので、服用時間の指示を守ることが必要となります。

いずれのEGFR阻害薬についても、単独の使用でも急性肺障害・間質性肺炎の併発に注意を要します。

そして、発熱、呼吸苦などの症状が観察された際には、常に間質性肺炎の存在を疑って検査を行うことが望ましいとされます。しかし、早期発見は難しいのが現実です。

 

 

ゲフィニチブ:(EGFR遺伝子変異陽性の手術不能または再発)小細胞癌
 

食後投与が望ましいです。pH6以上では薬剤がほとんど溶けないため効果が低下します。
そのため、pHが低下する(胃内が酸性環境となる)食後に内服することが勧められます。とくに日本人の高齢者は無酸症が多いため、空腹時の服用では薬効が低下すると考えられます。

 

エルロチニブ:(切除不能な再発・進行性で癌化学療法施行後に増悪した)非小細胞肺癌、(EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、癌化学療法未治療の)非小細胞癌、(治癒切除不能な)膵癌
 

高脂肪食、高カロリー食後は空腹時に比べて、AUC(生体内に取り込まれた薬物量の指標の一つ)がほぼ2倍増加するため、副作用が増強しやすいとされます。そのため、食事の一時間以上前か、食後2時間以降の空腹時に服用します。

 

 

BCR/ABL阻害薬

ダサニチブ:慢性骨髄性白血病、(再発性または難治性のフィラデルフィア染色体陽性の)急性リンパ性白血病

 

マルチキナーゼ抑制薬

パゾパニブ:悪性軟部腫瘍、(根治切除不能または転移性の)腎細胞癌
制酸薬(ランソプラゾール、オメプラゾール、エソメプラゾール)
この併用により臨床効果への明確な影響については報告されていないので、リスクベネフィットを考慮して併用を検討することになります。
胃内のpHが上昇した条件下(胃の酸性度が低下した状態)では、分子標的治療薬の吸収が低下し、効果が減弱する可能性が考えられます。

 

 

杉並国際クリニックの視点から

杉並国際クリニックでは、上記の抗癌薬を処方することはありませんが、上記の制酸剤を日常的に処方しています。

ですから日常的に頻用している制酸剤との相互作用に注意しています。これらの薬剤、すなわちオメプラゾール(オメプラゾン®)、ランソプラゾール(タケプロン®)、エソメプラゾール(ネキシウム®)はプロトンポンプ阻害薬(PPI)と呼ばれる一群で攻撃因子抑制薬に分類されます。

その特徴は、強い酸分泌抑制薬であり、ピロリ菌除菌の補助や逆流性食道炎の第一選択薬です。疾患によって保険処方機関に制限があります。

 

適応は広範にわたり応用範囲が広いです。具体的には、ピロリ菌除菌の補助や逆流性食道炎の他に、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、非びらん性胃食道逆流症、ゾリンジャー・エリソン症候群、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する胃内視鏡的治療後胃などで処方します。

 

特に後2者は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)投与時や低用量アスピリン投与時の胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制の目的でも処方可能です。

 

杉並国際クリニックは、専門診療科の一つにリウマチ科を標榜していますので、関節リウマチ、変形性関節症、痛風などの治療のため非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の処方の需要が高いです。

 

また、低用量アスピリンの使用の目的は、解熱・鎮痛ではなく、血栓形成を予防する目的で使用しています。

それは狭心症(慢性安定狭心症、不安定狭心症)、心筋梗塞、虚血性脳血管障害(一過性脳虚血発作、脳梗塞)における血栓・塞栓形成抑制、また最近では冠動脈バイパス手術(CABG)あるいは経皮冠動脈形成術(PTCA)を施行する人も増え、それらの術後における血栓・塞栓形成抑制にも必要な薬剤として処方しています。

 

プロトンポンプ阻害薬(PPI)は安全な薬剤ですが、単独投与でも副作用として頭痛、めまい、検査値の異常としては肝機能(AST,ALT)やガストリンを上昇させることがあります。

長期投与では大腿骨頸部骨折、市中肺炎、クロストリジウム・ディフィシル感染症なども報告されています。またPPIを処方するにあたっては、抗癌剤との相互作用だけでなく、抗ウイルス剤との併用禁忌もあり、注意を要します。

エイズ(HIV-1)感染症治療薬のリルピビリン(エジュラント®)、アタザナビル(レイアタッツ®)が併用禁忌となります。

 

日常診療で多い消化性潰瘍(胃潰瘍、十二指腸潰瘍)では、生活習慣改善が重要であり、過度のストレスや暴飲暴食を避けることからはじめたいものです。

逆流性食道炎・胃食道逆流症でも、単に薬物療法に委ねるだけではなく、運動や食事療法など生活習慣を改善することを見直すべきでしょう。水氣道®は杉並国際クリニックが全世界に向けて発信している理想的な運動療法です。

 

水氣道®を日常生活の習慣に取り入れることで、上記の様々な病気の治療や予防、再発に役立つだけでなく、薬の削減や副作用の減少、早期発見・早期対処などさまざまなメリットがあることが確認されています。

 

<明日に続く>

杉並国際クリニック 飯嶋正広

 

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❶ 疫学統計上の限界(その2:米国感染症対策センターの推計をもとに)

アメリカの感染症対策センターが、COVID-19ウイルスの感染力などのデータをもとに、米国での感染者数と死亡者の数を推計しています。
 

もし、① 米国が一切の感染症防禦対策を行なわなかった場合を仮定すると、

感染者数:2億1900万人、死亡者170万人
という数字をはじき出しています。

 

米国の人口は3億2775万人(2018年5月米国国勢局)ですから、

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=2億1900万人/3億2775万人=66.8%致死率=170万人/2億1900万人=0.78%

 

これに対して、

② 米国政府が積極的な対策を講じた場合は、

感染者数:1億6000万人、死亡者20万人

米国内でのCOVID-19ウイルス感染の蔓延率=1億6000万人/3億2775万人=48.8%致死率=20万人/1億6000万人=0.125%

 

昨日の推計では、プレリアスコ教授の推計に基づくイタリアでの致死率は約0.7%でした。

米国感染症対策センターの推計した致死率0.78%に近似した数字になります。

 

また、ドイツの報告数をもとに計算した致死率は0.2%でしたが、米国が対策を講じた場合の致死率の0.125%に近い数字です。

対策介入を行うことによって減らすことが期待できる致死率は、0.78-0.125=0.655%です。

 

米国の同センターによる推計の方法について詳細の情報は得ていませんが、
米国での最悪の事態での致死率はイタリア型で、有効な対策が施された場合にはドイツ型になるという見方も可能かもしれません。

逆に言えば、ウイルス対策においての成績表は、イタリアが劣等生的、ドイツが優等生的ということになるかもしれません。


そのように考えると、適切な介入が行われることによって期待できる減少効果の絶対数は感染者では、

2億1900万人-1億6000万人=5900万人

死亡者のでは、

170万人-20万人=150万人

減少率を計算すると、

感染者では、

5900万人/2億1900万人=26.9%

死亡者では、

150万人/170万人=88.2%

 

死亡者の割合を9割近く減らせるのだとしたら、とても素晴らしい成果だといえるでしょう。

 

最終的には、死亡者数を減らすことですから、米国の感染症センターが、COVID-19感染症に対する有効な手立てとしてどのような対策を具体的に想定しているのかは、とても興味深いポイントです。