一般に、狭心症の心臓発作発現のメカニズムは、心筋が必要とする酸素量と供給のバランスの破綻が原因になります。

 

冠攣縮性狭心症は安静時狭心症と呼ばれることもあります。

 

このタイプの狭心症は、冠動脈スパズム(攣縮)による血流量の低下が主たる要因です。

 

つまり、冠動脈が攣縮により閉塞するとその灌流領域に虚血を生じ、これによって狭心症をきたすということです。

 

異形狭心症とも呼ばれますが、我が国にはこのタイプの狭心症が多いです。

 

 

日本循環器学会からの冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドラインによれば、参考項目として、自然発作の特徴は、硝酸薬により速やかに消失する狭心症様発作であるとされます。

 

そして、以下の4項目が記載されています。

 

1)特に夜間から早朝にかけて、安静時に出現する

 

2)運動耐容能に著明な日内変動が認められる(特に早朝の運動能低下)

 

3)過換気(呼吸)により誘発される

 

4)カルシウム拮抗薬により発作が抑制されるが、β遮断薬では抑制されない

 

 

さらに、冠攣縮性狭心症確定診断の基準としては、

 

1)発作時の心電図で明らかな虚血性変化が認められた場合

 

2)その心電図変化が境界域の場合は、病歴、発作時の症状に加え、明らかな心筋虚血所見もしくはアセチルコリンあるいはエルゴノビンを用いた冠攣縮薬物誘発試験で、狭心痛および虚血性心電図変化を伴う冠動脈の一過性の完全または不完全閉塞(>90%狭窄)が誘発される場合

 

3)発作時の心電図変化が陰性もしくは心電図検査非施行の場合でも参考項目を1つ以上満たし、明らかな心筋虚血所見もすくは冠攣縮所見が諸検査により認められる場合であると明記されています。

 

 

冠攣縮性狭心症の治療の目的は、胸痛発作の抑制だけでは不十分であり、急性心筋梗塞の発症を阻止し、また治療に対する患者のアドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)を長期間に保てるものでなくてはなりません。

 

 

発作時は労作性狭心症と同様に対処します。

 

危険因子の治療も大切であり、禁煙、脂質異常症、糖尿、肥満、高血圧のコントロールは不可欠です。

 

また攣縮性狭心症に対する薬物治療として最も重要な第一選択薬はカルシウム拮抗薬です。

 

ただし、複数のカルシウム拮抗薬のなかで、どのような種類のカルシウム拮抗薬が最も有効であるのか、いつまで内服を続行するかについては、客観的なエビデンスもなく、そのためガイドラインにも述べられていないので、患者さんに説明して担当医の臨床経験に基づいて選択することになります。

 

なお非発作時はカルシウム拮抗薬硝酸薬と硝酸イソソルビド(ISDN)とが中心となります。

 

 

カルシウム拮抗薬は、強い血管拡張作用をもっています。

 

冠攣縮性狭心症では、狭心発作時間に注意し、その発作時間帯に有効な血中濃度が得られるように投与時間に注意します。

 

もし症状が消失しなければ、やはり冠血管拡張作用のあるニコランジルを併用することが有用であることはガイドラインで述べられています。

 

ニコランジルは硝酸薬とアデノシン三リン酸(ATP)感受性Kチャンネル開口薬の性質を持ちます。

 

また冠動脈拡張作用と虚血心筋保護作用が示されています。

 

さらに再灌流障害防止薬として推奨されています。

 

 

その際、硝酸薬〔ニトログリセリン〕との併用は注意します。

 

冠攣縮性狭心症リスクスコアの高値例は、特に厳重な薬剤の服薬管理が必要です。

リスクスコア

 

 

なお、冠攣縮性狭心症(異形狭心症、安静時狭心症)は、安定狭心症の一つです。

 

安定狭心症というのは、経過が安定し、発作はあまり出現しないか、または出現しても一定の条件で出現し、予測がある程度可能です。

 

このような場合は、予後が比較的良好で、発作のコントロールのための薬剤も1~2製剤で可能な例が多いです。

 

 

以下に、慢性化した安定狭心症の治療の要点を示しますが、冠攣縮性狭心症には重要な例外があるので、指摘しておきます。

 

 

慢性安定狭心症治療の要点(ABCDE

 

A:アスピリンと抗狭心症療法(Aspirin and Antianginal therapy)

 

B:β遮断薬と血圧(β-blocker and Blood pressure)

 

C:喫煙とコレステロール(Cigarette smoking and Cholesterol)

 

D:食事と糖尿病(Diet and Diabetes)

 

E:教育と運動(Education and Exercise)

 

ただし、冠攣縮性狭心症に関しては、アスピリン投与の有用性についてのエビデンスはなく、またβ遮断薬は、冠攣縮が誘発されることがあるため原則として用いません。

 

 

 

冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)

(日本循環器病学会ほか)

先週の日曜日に都内で開催された研究会で面白い話題を仕入れてきたので、ご紹介いたします。

 

その話題の一部は、「難病ドットコム」より

http://jpma-nanbyou.com/index.aspx

 

解説を引用したお話でした。

 

 

病気が治らない人には大昔から現代に至るまで変わらぬ共通点があるようです。

 

古代中国には、扁鵲(へんじゃく)という、半ば伝説的な名医がいました。

 

古代中国の医学は、中医学であり、それが日本で発展したのが漢方医学です。

 

その扁鵲先生の唱える<六不治>という学説は、とても説得力があります。

 

 

<六不治>説とは、簡単に言ってしまえば、病気が治らない人の6タイプであると、まずは説明しておきましょう。

 

有力な別の解釈(鶯谷書院:http://oukokushoin.blogspot.jp/2015/12/blog-post_14.html)もあり、これも興味深いです。

 

 

<六不治>の出典は司馬遷が著わした『史記』扁鵲倉公列伝の扁鵲の段です。

 

以下の6つのタイプのうち、一つでもあてはまる場合は、病気は治らないか、あるいは治すことができても、治療は非常に困難である、と解釈するのが一般的なようです。

 

以下、私の解釈も加えてご紹介いたします。

 

 

〇 病気が治らない人(タイプ1)『驕恣理を論ぜざるは、一の不治なり』 

 

<患者がわがまま>(医師の言うことを聞かない)

 

驕恣(きょうし)といって、おごりがひどく、欲ばりな性格の人で、物事の道理に従わない人です。

 

医師が患者のためを思い、有効な治療法を提案しているのにもかかわらず、あれこれ勝手な言い訳をして、問題解決の手続きを先延ばしにしているタイプです。

 

我儘勝手に生きて「理」を論じようとしないもの。

自己診断して、『・・・の薬を出して欲しい』という人。

 

あるいは検査が必要な根拠となる情報を医師に伝えることなく、

のっけから『・・・の検査をして欲しい』という人。

 

つまり、医師の専門的能力より、自分の思い込みや願望などを尊重する人です。

 

 

〇 病気が治らない人(タイプ2)『身を軽んじ財を重んずるは、二の不治なり』 

 

<身体を軽んじお金を大切にする>(医療費をけちること)

 

財(診療費)を出し惜しみして、結果的に身(健康)を軽んじてしまう人。

 

つまり、必要経費を無理に節約しようとして、その結果、自分の寿命を大幅に節約してしまう人。

 

検査や治療の意義や価値を値踏みしたり、いちいち否定してかかったりする疑い深い人も同系統の人です。

 

このタイプの人の中には、あやしげなサプリメントには惜しみなく大金を支払っている人がいて理解に苦しみます。タイプ1に重なるケースも少なくありません。

 

 

 病気が治らない人(タイプ3)『衣食適する能わざるは、三の不治なり』 

 

<衣食が病気にふさわしくない>(季節に合わない服や食べ過ぎたりすること)

 

衣食住を適切にしない、できない状態。慢性的な生活習慣病に多いタイプ。

 

衣食住にお金を掛けている割には、自分自身の健康に投資しようとしない人。

 

また、逆にそもそも衣食住を切り詰めなければ生活が成り立たない人もこのタイプです。

 

経済的に困窮していても、生活保護を受給できない事情の方もあり、心が痛みます。

 

 

 病気が治らない人(タイプ4)『陰陽并背、臓気定まらざるは、四の不治なり』

 

<陰陽の調和がくずれて臓気が定まらない>陰陽が臓腑で合併し、定まらないこと。

 

陰陽が五臓にとどこおり、気が安定しない状態。少しややこしいのですが、気が滞ることを気滞(きたい)と言いますが、滞ることは鬱に等しく、気鬱(きうつ)の病の人は、血や水などの体液も鬱滞します。

 

漢方医学では、それぞれ瘀血(おけつ)、水毒(すいたい)といいます。

 

「陰陽があわさり」とは、「陰陽」ともに盛んなものと、「傷寒」によって陰陽の両者が侵されるような場合を指し、「臓気が定まらない」とは、いわゆる五臓六腑の元気のバランスが崩れている、もしくは元気が失われていることを指す、と解説する専門家もいます。

 

しかし、もっと簡単に言ってしまえば、自分のための養生の方向性が定まらない人です。

 

転々と病院や医師を替えたり、ああでもない、こうでもない、と勝手な思いや情報に振り回されたりして、一定の治療指針にしたがって、根気強く養生できない人です。

 

このような人は身体とともに精神も病むのですが、いずれか一方の側面ばかりにとらわれるため、悪循環から解放されずに混乱を招いてしまいます。

 

 

 病気が治らない人(タイプ5)『形つかれて服薬能わざるは、五の不治なり』

 

<体が衰弱して薬をのむことができない>身体がやせ衰えていて、薬を飲むことさえできない状態です。

 

脱水状態や栄養失調症の患者さんに飲み薬を処方する時には慎重を要します。

 

昔は、注射という方法が無かったので已むを得なかったのではないでしょうか。

 

ただし、現代でも特に胃腸の調子が悪く、全く機能していないのにもかかわらず、むやみに薬を飲んだら死んでしまうかもしれない患者さんがいます。

 

今年は、とくに食欲不振や急性胃腸炎を合併するインフルエンザが流行したため、ビタミン類添加のブドウ糖注射で最低限度の栄養補給をすることで、胃腸機能の回復を図ったうえで、飲み薬を処方して無事を得たケースが続きました。

 

そうした患者さんの全員が、インフルエンザワクチンを未接種でした。

 

「インフルエンザに罹ったことが無いし、罹ることはないと思った。」とか、「インフルエンザワクチンは効かない。」とかの思い込みに支配されている人が多数を占めていました。

 

このタイプは、他の5つタイプを複数兼ねていました。

 

 

〇病気が治らない人(タイプ6)『巫を信じ医を信ぜざるは、六の不治なり』 

 

<宗教を信じ医学を信じない>巫女を信じて医者を信じないこと。

 

占いや祈祷の類を熱心に信じて、医者の治療や言うことを聞けないような場合を指します。

 

つまり、根拠なく信じたいものだけを信じて安心したがる依存性の強い人です。

 

根拠のない不安におびえるのと、根拠に基づいて安心して過ごすのとでは、どちらが望ましいでしょうか。

 

そうした問いかけで覚醒する人もいますが、その人にとっての気づきのタイミングに合致しないとなかなか心に響かないようです。

 

 

ただし、これには前述したとおり異説があります。

 

治らない患者の6タイプではなく、<医師が治したくなくなる6タイプ>、

 

つまり、<医師が積極的な治療をためらう患者の6タイプ>をいうとするものです。

 

これもなかなか説得力があります。

 

 

 

「不治」に対して誤解されているので、一言。 

 

「不治」は、「治らない」と訳されることが多いのですが、「治らない」のは「不已」「不愈」とあらわします。「不治」というのは、「治療を加えない」という意味です。

 

 

「六不治」とは治らないケースではなく、扁鵲が治療したくないケースです。

 

 

たとえば第一の不治は「驕恣にして、理を論(さと)らず」といい、おごり高ぶって、自分勝手で、道理を理解しないような人です。

 

実際、こんな人でも病気は治りますから、やはり治らない理由ではなくて、手を出したくない理由なのです。

 

 

「君有疾、在腠理、不治將深」

 

 扁鵲が斉国の桓侯に対して言ったことばです。

 

貴方には病気があります。病気は腠理にあります。

 

治療しなければ、病気は深く隠れてしまうだろう(将に深(かく)るらん)。

 

実際には桓侯の治療はしていませんので、「治らなければ」とは読めません。

 

 

『内経』にも「死不治」という句が出てきますが、「死が近い、なので治療しません」という意味です。

 

「死が近い、治りません」という意味ではありません。

 

そして、以下のようにまとめています。

 

 

扁鵲先生が治療を断る6つのケースをみておきましょう。

 

驕恣不論於理(おごりたかぶって、自分勝手で、道理を理解しようとしない人。)

 

輕身重財(身体よりも、金銭を大事にする人。)

 

衣食不能適(衣の適度さをコントロールできない人、食の適度を守れない人。)

 

陰陽并、藏氣不定(陰気と陽気が交戦し、蔵気が不安定なとき。陰陽并は『霊枢』玉版篇によれば悪性腫瘍ができている状態。)

 

形羸不能服藥(身体がやせ、薬も飲み込めない状況のとき。)

 

信巫不信醫(お祓いを信じ、医者を信じない人。)

 

有此一者則重難治也(このうち一つでもあれば、私には重荷。加療しがたい。)

 

私は、率直なところ、この異説の解釈に、思わず頷きたくなる側面も発見しました。

 

しかし、以上の6タイプの患者さんを見捨ててしまった後に残る現代医療というものが具体的にイメージできません。

 

なぜならば、以上の6タイプの患者さんを見捨てることなく、可能な限り、逃げず、避けず、誤魔化さず、30年近く臨床をつづけてきた結果、患者さん達ばかりでなく私たち自身も人間的に成長し、人格を練磨することを経験してきたからです。

 

人間は患者であれ医者であれ、関係性の中で成長できる存在だと信じています。

 

 

ただし、そうした私たちでさえ匙(さじ)を投げざるを得ないケースがあります。

 

その第一は、病気のままでいたい人。その多くは、病気が治ってしまうと困る人です。

 

<疾病利得>といって、経済的な補償や、義務の免除などのため、残念ながら、このようなタイプの人が増えているのも事実です。

 

「病人のままでいたほうが、都合が良い、楽だ」と考えている人です。

 

このような人であっても苦痛や苦悩は取り除いて欲しいと願うものです。           

 

その間だけは、医者を頼りにしますが、苦痛や苦悩が軽快してくると、勝手に治療を中断してしまうようです。

 

表面的な自覚症状が消失したからといって、勝手に治療中断すると、水面下で病気が進行して手に負えなくなることがあるのを知っていて欲しいと願います。

 

 

その第二は、医療者の積極的な診療意欲を損ねてしまう人、

 

すなわち、社会的使命と人類愛の基づく医師の誠意が通じない人です。

 

とても残念なことですが、きちんと治ろうとしない患者さんは、きちんと治そうとしない医者との相性が良いように見受けられます。

 

そうして流行っているところがあるのも現実です。

 

望み通りの睡眠薬を大量に院内処方してくれる病院、ウイルス性の感染症であるにもかかわらず抗生物質もついでに処方してくれる病院、自ら喫煙者で、患者さんにも喫煙はストレス解消に役立つから適量なら良いと勧める医師、等等。

 

こうした事例は、不健康な人は不健康な飲食物をおいしく感じるのに似ています。

 

その逆は、『良薬口に苦し』です。未熟で傲慢な人は、甘い言葉や誘いにとても弱いものです。その反面、誠意のある他者からの忠告に耳を貸さないばかりか、怒りをあらわにすることがあります。

 

治りたくない患者さんにとっては、そこそこ、なあなあ、つまり、生かさぬよう、殺さぬようさじ加減してくれる医者が、いわゆる<使える医者>のようです。

 

治せなかったり、かえって病気をこじらせたりしてしまう医者ばかりでなく、治療に熱心な医者も<使えない医者>、ということになってしまいかねない模様です。

 

にわかに信じがたいことでしょうが、高円寺南診療所の30年間の臨床経験を踏まえたうえでの冷静な観察所見です。

 

 

いかがでしたでしょうか。皆様のご意見、ご感想を楽しみにしております。

 

慢性腎不全患者は、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症および貧血を合併し、心血管疾患の発生頻度や死亡率が高いほか、認知症の原因になることがあります。

 

そのため慢性腎不全患者では腎障害の進展を抑制する治療とともに、高血圧、脂質異常症の管理が重要です。

 

降圧剤の選択は、保存生慢性腎不全例ではレニン-アンギオテンシン系を抑制する薬剤(ACE阻害薬、アンギオテンシン受容体拮抗薬)が有用です。

 

糖尿病、非糖尿病いずれにおいても腎障害進行阻止に有効で、降圧効果と尿蛋白減少効果とが認められるからです。

 

ただし、これらの薬剤を使用する場合には血清カリウム値や血清クレアチニンの上昇に注意する必要があります。

 

血清カリウムが5.5mEq/L以上の場合は中止することが望ましいです。

 

 

脂質異常症の治療に用いるフィブラート系誘導体は、肝臓での超低密度リポ蛋白質<VLDL>の合成を抑制し、血中中性脂肪の低下やHDL<高密度リポ蛋白>コレステロール増加作用を有するが、腎不全患者では使用禁忌です。

 

また、クレアチニン2.0mg/dl以上では横紋筋融解症の危険性が高いです。

 

 

高尿酸血症には尿酸生成抑制剤(アロプリノールなど)を投与します。

 

ただし、活性代謝産物であるオキシプリノールは腎排泄型で、腎機能低下時には血中濃度が上昇し、骨髄抑制やスチーヴンス・ジョンソン症候群などの副作用発現に繋がるので、投与量を適宜減量する必要があります。

 

また、腎不全には代謝性アシドーシスが伴い、蛋白異化亢進、骨塩減少および線維性骨塩をきたします。

 

高ガストリン血症(高カルシウム血症⇒胃・十二指腸のG細胞刺激⇒副甲状腺機能亢進症)の原因)となることがあります。ガストリンは腎で代謝されるためです。

 

ALPの小腸性分画ALP₅が上昇することがあります。

 

 

2017年にCa受容体作動薬エテルアルセチド塩酸塩(パーサビル®)が承認されました。

 

腎不全の原因を鑑別する上で、日常診療に有用な検査として尿中ナトリウム排泄率と腹部超音波検査があります。

 

尿中ナトリウム排泄率は腎前性腎不全である場合には尿細管機能は正常です。

 

腹部超音波検査では、腎臓の大きさを測定するだけでも臨床的な意義があります。

 

急性腎不全では腎臓のサイズが正常範囲を超えて大きくなり、また慢性腎不全では萎縮して小さくなります。

 

 

また慢性腎不全になると骨髄を刺激して造血作用をもたらすエリスロポイエチンを賛成できなくなるために貧血を引き起こします。それを腎性貧血といいます。

 

その場合はエリスロポイエチン製剤による治療が必要になってきます。

 

それによって、腎機能低下の進行抑制、心不全の悪化の抑制などが期待されています。

 

 

長期に透析を受けている人が手のしびれを訴えて受診してこられた場合には、手根管症候群を疑わなければなりません。

 

その原因は正中神経の障害によるものです。

 

 

血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症に対して、Ca受容体に作用してPTHの分泌を抑制するものです。

 

透析患者の透析ルートからの投与が可能です。

 

血液透析を受けている人の多くは糖尿病が原因となっています。

 

糖尿性腎障害といって適切な管理をしないと腎不全になります。

 

一般的に糖尿病患者の血糖管理の指標は空腹時血糖とHbA1cですが、糖尿病を合併した血液透析患者の血糖管理の指標にはなりません。

 

その場合に適切なのはグリコアルブミンです。

 

 

糖尿病の管理が不十分であると腎機能は徐々に低下していくのですが、糖尿病の治療に用いる血糖降下剤の中には腎機能低下につれて作用が減弱するものがあります。

 

それは比較的新しい薬でSGLT2阻害薬という治療薬です。

 

「焦らず、あわてず、あきらめず」

 

 

スキージャンプ銅メダルの髙梨沙羅さんが、インタビューで肝に命じていた言葉とのことです。

 

気になって調べてみました。

 

 

松下幸之助の今日の言葉にも出てきます。内容は

 

「努力をしていてもなかなか成果が現れてこない。

いらいらがつのる。投げ出したくなってくる。

しかし、そんな時こそ心を乱さず、地に足をつけて努力を重ねたい。

焦らず、あわてず、あきらめず

仕事でも人生でも一歩一歩着実な歩みを心がけたい。」

 

【松下幸之助 今日の言葉】

 

 

一つ一つの積み重ねが大事で、焦ってすぐに結果を求めない。

 

すぐに結果が出なくても慌てない、諦めない。

 

 

すぐに結果を欲しくなってしまう自分。

 

また常日頃、焦って、慌てるNogucciにとって、日々の振る舞いでも必要な言葉だと思いました。

 

焦らず

あわてず

あきらめず

 

を自分も肝に命じていきます。

 

 

貧血と腰痛などの骨痛を訴える高齢者が増えてきました。

 

そうした方の血清にM蛋白を求める場合は多発性骨髄腫(MM)を強く疑います。

 

 

多発性骨髄腫(MM)は形質細胞の腫瘍性増殖と、その産物であるM蛋白および間質細胞との相互作用によって生産される各種サイトカインによって多彩な臓器障害を来す疾患です。

 

このように症状を伴う多発性骨髄腫(症候性多発性骨髄腫)では、貧血、腎不全を含む腎障害、病的骨折などの骨病変、高カルシウム血症などを来します。

 

IgG型骨髄腫が最も多いです。

 

M蛋白以外の正常な免疫グロブリンの産生が抑制されることも特徴の一つです。

 

 参考)くすぶり型多発性骨髄腫(SMM : Smoldring multiple myeloma, 無症候性骨髄腫)

 

 

骨髄腫に関連した臓器障害(CRAB)を伴わない骨髄腫です。

 

血清M蛋白量≧3g/ⅾLもしくは尿中M蛋白量≧500mg/24時間

 

または骨髄のクローナルな形質細胞の比率が10~60%で骨髄腫診断事象およびアミロイドーシスの合併がないことが特徴です。

 

また無症候性であり腫瘍性格が不明確なM蛋白血症であるMGUSとの鑑別は、骨髄中の形質細胞、M蛋白量が多いことなどが挙げられます。

 

たとえばDurie & Salmon(DS)分類で病期ⅠではM蛋白量は少ない、とされます。

 

 

多発性骨髄腫の治療

〇若年例では初回治療としてボルテゾミブ+デキサメサゾンを含む寛解導入療法に続いて自家移植併用大量メルファラン(L-PAM)療法を行います。さらに、レナリドミドによる維持療法を行うこともあります。

 

〇自家移植非適応例には、初回治療としてL-PAM+ボルテゾミブ+プレドニゾロンやレナリドミド+デキサメサゾンを行います。さらに、再発・再燃例や治療不耐性の場合には治療変更を行います。

 

 

殺細胞性抗悪性腫瘍薬

アルキル化薬:DNAをアルキル化してDNA複製を阻害し、細胞死をもたらすものです。

 

 

①マスタード類(シクロホスファミドなど)

シクロホスファミド(CPA)は、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などの血液腫瘍や様々な悪性腫瘍に用いられています。

 

 

②ニトロソウレア類(ラニムスチンなど):DNAへの作用とともに蛋白に対する作用があります。ラニムスチン(MCNU)は多発性骨髄腫や悪性リンパ腫に用いられるが、遅発性骨髄抑制があります。

 

 

 

③抗体製剤(分子標的治療薬)

抗SLAMF7抗体(エロツズマブ)

骨髄細胞及びNK細胞のSLAMF7に結合し、NK細胞による抗骨髄腫作用を増強します。

 

再発・難治性多発性骨髄腫の患者でレナリドミド・デキサメサゾンと併用します。

 

小分子化合物

プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ、イキサゾミブ)

 

プロテアソームを阻害することによって、癌細胞の複数の細胞内シグナル伝達系に作用して抗腫瘍効果を発揮します。主にNFκB経路の抑制作用が重要と考えられています。

 

ボルテゾミブは末梢神経障害や薬剤性肺炎に注意を要します。

 

カルフィルゾミブはボルテゾミブより末梢神経障害が少ないようです。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「膻中(だんちゅう)」です。

 

IMG_2427

 

場所は左右の乳頭を結んだ線の中央です。

 

 

「気管支喘息」「胸痛」「産後母乳不足」「乳腺炎」等に効果があります。

 

 

<参考文献>

 

 

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

下部消化管疾患では、炎症性腸疾患(IBDが増加し、過敏性腸症候群(IBSが注目されるようになってきました。

 

また、高齢化や抗血栓薬服用者の増加に伴い、憩室出血などの消化管出血が増加しています。

 

 

①クローン病

クローン病は、潰瘍性大腸炎とともに、近年、我が国で増加傾向の炎症性腸疾患です。

 

下痢、発熱、腹痛で発症することが多く、潰瘍性大腸炎に比べて血便の頻度は少ないです。難治性の痔瘻や裂肛を伴います。

 

また、潰瘍性大腸炎ほど特徴的ではないですが陰窩膿瘍がみられることがあります。

 

腸管壁全層の炎症により、小腸では狭窄によるイレウスを来しやすいです。

 

内視鏡では縦走潰瘍が特徴的で、アフタ潰瘍が見られます。

 

クローン病を疑った場合、食道、胃および十二指腸にも病変を起こし得るので、上部消化管内視鏡検査はまず行う前に行っておくことは重要です。

 

内視鏡で観察可能な小腸病変の大半はMRエンテログラフィでの経過観察が可能です。

 

 

クローン病は腹腔内膿瘍や瘻孔を併発することがあるため、腹部造影CTで評価しておくことは必要です。

 

また、消化管狭窄の有無もある程度判断可能であり、特に小腸カプセル内視鏡を行う前に行っておくことは重要です。

 

 

組織病理学的にはサルコイド様の非乾酪性肉芽腫性病変が見られます。

 

合併症として、強直性脊椎炎、結節性紅斑、虹彩炎などがみられます。

 

 

小腸カプセル内視鏡は、2012年より小腸疾患が疑われる場合に保険適応になりました。

 

しかし、消化管狭窄が明らかな場合は禁忌です。

 

そこで、小腸カプセル内視鏡検査を行う場合には腹部造影CTや小腸造影などを先行させる、パテンシーカプセルという模擬カプセルを先に内服して滞留の危険性があるかどうかを評価するなど、慎重な対応が必要になります。

 

 

小腸バルーン内視鏡は、オーバーチューブを用いながら軟性スコープを小腸に勧めていく検査で、経口的と経肛門的の2種類の検査法があります。

 

生検やポリペクトミーなど組織採取や治療が行えるのが利点です。本症例のように狭窄がある場合、その程度、長さによってはバルーンを用いて狭窄拡張も可能であるため、まず行うべき検査の一つと考えられます。

 

 

小腸造影は小腸カプセル内視鏡や小腸バルーン内視鏡の普及で、近年は施行される場面が減少していますが、狭窄の有無が分からないときや、瘻孔が疑われるときに、その部位や程度、多臓器との関係などを体外から確認できるため有用です。

 

経鼻的に挿入したチューブを通して造影剤を注入するため、やや苦痛を伴いますがクローン病を疑う場合には、まず行う検査の一つです。

 

吸収不良や炎症、出血により貧血を来し、また低栄養状態と蛋白漏出性胃腸症のため、低アルブミン血症を来し、そのためコリンエステラーゼ低下や低HDL-C血症を来します。

 

活動期には血小板増加などの炎症所見が見られます。

 

喫煙は発症リスクを高めます。

 

クローン病の初回治療としてメサラジン注腸治療の第一選択は成分栄養剤による経腸栄養により寛解導入をはかります。

 

小腸病変には5-ASA(メサラジン)注腸、大腸病変にはサラゾスルファピリジンを使用します。中等症から重症例ではインフリキシマブやアザチオプリンを用いることもあります。

 

また、抗TNF-α抗体製剤を使用することがありますが、HBV抗原陽性例や活動性結核を有する患者さんには使用できません。

 

2013年に腸管型ベーチェット病治療薬アダリズマブ、2015年に同じくインフリキシマブが保険適用されました。

 

2016年に新たな5-ASA製剤(リアルダ®)、生物学的製剤ゴリムマブ、ウステキヌマブが新たに保険適応となりました。

 

2017年に炎症性腸疾患治療薬ブデソニド(レクタブル®)が承認されました。

 

 

参照:炎症性腸疾患(IBD)診療ガイドライン(日本消化器病学会、2016

 

 

 

②潰瘍性大腸炎

重症度判定には、発熱(37.5℃以上)、頻回の下痢、粘血便、頻脈、貧血(Hb10g/dL以下)、赤沈(30mm/hr以上)が用いられます。

 

危険因子としては、1)慢性持続型(10年以上の炎症持続例)、2)若年発症型(10歳代発症例)、3)全大腸炎型・左側大腸炎型などがあります。

 

喫煙は発症リスクを下げるとされますが、喫煙は潰瘍性大腸炎の治療にはなりません。

 

 

治療は免疫抑制剤、ステロイド、抗TNF-α抗体製剤、5-アミノサリチル酸(5-ASA)、白血球成分除去療法を用います。

 

実際には臨床的重症度と罹患範囲に応じて選択されます。

 

軽症から中等症では5-アミノサリチル酸(5-ASA)は主体で、経口または経直腸的投与は再燃予防効果があります。

 

症状や炎症反応が強い場合には副腎皮質ステロイドを加えます。

 

全身障害を伴う中等症例や重症例では入院による全身管理が必要です。

 

重症例、劇症例および副腎皮質ステロイド抵抗例では専門医に相談することが望ましいです。

 

白血球成分除去療法としては2000年4月に顆粒球除去カラム(GCAP)、2001年10月に遠心分離による白血球アフェレーシス(LCAP)が保険適用になりました。

 

内科療法不応例のほか、コントロール不良の出血、穿孔、狭窄、中毒性巨大結腸症、大腸癌合併症などでは手術が行われます

症状は、息苦しさ、胸がゼーゼーする、咳・痰、呼吸数の増加、頻脈などがみられます。

 

 

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症原因で最も多いのは敗血症です。

 

その他、直接的な原因としてはウイルス性肺炎や粟粒結核、溺水など、間接的には急性膵炎、多発外傷、広範囲熱傷、大量輸液などによるショックがあります。

 

また薬物治療による重大な副作用(有害反応)の一つでもあります。

 

 

ARDSの発生のメカニズムは、免疫担当細胞(マクロファージや単球など)が活性化され、サイトカイン(TNF、IL-1、IL-8など)が分泌され、補体の活性化とともに顆粒球の活性化が生じることによります。

 

 

ARDSでは肺コンプライアンスが低下します。

 

 

日本呼吸器学会による診断基準:

 

①両側肺への急性浸潤影

 

②PaO₂/FIO₂≦200

 

③肺動脈楔入圧≦18mmHgまたは理学的に左房圧上昇の所見が無い

 

 

肺胞虚脱の防止のために十分なPEEPを確保します。

 

一方でVALI(人工呼吸器関連肺損傷)を予防するために低用量換気(6~8mL/kg)を行います。

 

人工呼吸開始後24~48時間以内の、可及的速やかな景観経腸栄養の開始が推奨されています。

 

 

参照:ARDS診療ガイドライン2016part1(日本呼吸器学会)

 4月4日(水)・5日(木)

 

午後6時30分開演(6時開場)

 

文京シビックセンター・小ホール

 

全席自由:4000円

 

 

ポワソン役で出演致します。



御都合がよろしければ、足を運んで頂けたらと思います。



よろしくお願い致します。

 

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2018年4月22日(日)

 

Comodo classic vol 2
歌とチェンバロのためのコンサート

 

 

近江楽堂(オペラシティ3F) 


14時半開演(14時開場)

チケット3500円

 


~中田善直、木下牧子、モンテヴェルディ、ヘンデル、バッハ、映画音楽など、ルネサンス、バロックから現代までの音楽を盛りだくさん集めました。チェンバロという古楽器を使って過去から現代の名曲を取り揃えて構成しました。途中お楽しみコーナーもあります♪~

11時半からは、赤ちゃんも参加できるファミリーコンサートもやっています♬


ご興味、お時間ありましたら、是非よろしくお願いいたします(*^^*)



 

 

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