久しぶりの東京大学:認知行動療法研修

 

 

7月29日(日)は朝から夕方まで丸一日を掛けて認知行動療法研修を受けてきました。

 

講師は、国立精神・神経医療研究センターの中堅医師や東大心療内科の若手医師たちでした。

 

受講生は大多数の若手に混じって、末松弘行東大名誉教授、その他現役の医学部教授をはじめ心療内科学会の重鎮がこぞって熱心に受講していました。

 

つまり、孫弟子のレクチャーを師匠筋が受講する、という何とも珍しく、しかも新鮮な光景に触れてきました。

 

 

神経性過食症に対する認知行動療法が保険収載(平成30年4月1日)されたものの、実際に16回の治療で過食症を治すのは簡単ではありません。

 

それでも、この講習を受講しないと、実質的に認知行動療法の保険診療ができません。

 

そこで、旧世代の大御所の先生方も受講生として参加しなければならない仕組みです。

 

受講しただけではなく、そのあと関東信越厚生局に「特掲診療科の施設基準に係る届出書」を添えて資格申請をして、施設認定を受けなければなりません。

 

認定が受けられた暁には、HP上で改めてご報告いたします。

 

 

高円寺南診療所では、神経性食欲不振症(拒食症)の継続的診療実績は乏しいですが、神経性過食症の方の診療は合併する内科疾患とともに根気強く対応しています。

 

最近では、肥満者や糖尿病者対応も増え、病的肥満者や糖尿病患者にも認知行動療法が有効であることもわかってきました。

 

ただし、これらの疾患に関する認知行動療法は、たとえ有効な結果を導けるとしても保険収載されていないため、実質的に医療機関側の無料奉仕ということになります。

 

 

保険診療にも様々な縛りがあって、一般の受診者の皆様がイメージしているような自由な世界ではありません。

 

医療の根幹をなす部分にこそ正当な経済的評価を与えられるべきだと考えます。

 

2019年3月4・5日にオーストリア、ウィーンで開催される

 

« 線維筋痛症の争点に関する国際会議 »

 

への出席を決定いたしました。

 

 

The International Congress on Controversies in Fibromyalgia

 

4-5 March 2019/Vienna,Austria

 

 

会議の英文タイトルでControversiesとあるように、

 

線維筋痛症の病因・診断および治療については国際的にも議論の論争が続いています。

 

この国際会議に演題を提出して発表をするかは、

 

これから検討します。

 

<肺炎球菌ワクチン②>

 

ニューモバックスNP(PPV23)とプレベナー13(PVC13)

 

 

ニューモバックスは「PPV23」と表記されているように、23種類血清型に効果があります。詳しい説明は以下で。

 

肺炎球菌には 93 種類の血清型があり、平成26年10月からの定期接種で使用される「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、そのうちの23種類の血清型に効果があります。また、この23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めるという研究結果があります。


(病原微生物検出情報IASR 「<速報>2013年度の侵襲性肺炎球菌感染症の患者発生動向と成人患者由来の原因菌の血清型分布」を参照)

 

平成26年10月1日から、65歳以上の方を対象とした定期接種のワクチンに指定されています。公費の助成対象になっています。

 

 

プレベナー13は、13種類に対応しています。

 

プレベナー13の利点は肺炎球菌が常在している鼻や咽頭粘膜の免疫を誘導、活性化することです(ニューモバックスNPには粘膜の免疫を誘導する作用はありません)。

 

また免疫が得られる期間でいうと、ニューモバックスが5年間、プレベナーは生ワクチンであることから、終生免疫となっています。

 

プレベナーは定期接種のワクチンに指定されていません。

 

その理由は以下です。

平成26年6月20日付けで、65歳以上の者に対する肺炎球菌による感染症の予防の効能・効果が承認されました。今後、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果等に関するデータの収集を行い、科学的知見に基づいて専門家による検討を行うこととしています。

<厚生労働省ホームページ、肺炎球菌感染症(高齢者)より>

 

 

次回はブースター効果についてです

 

 

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「肝兪(かんゆ)」です。

 

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場所は左右の肩甲骨の下端を結び、背骨から指2本外側にあります。

 

 

「肝炎」「胆嚢炎」「胃炎」結膜炎」「肋間神経痛」「眼瞼下垂」等に効果があります。

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

<有酸素運動を基礎とする水氣道>

 

修錬生の皆様へ:なぜ有酸素運動を基礎とするのか?

 

 

水氣道は独自の形(かた、「航法」と呼ぶ)に基づく水中での有酸素運動(エアロビクス)を基礎とする稽古(エクササイズ)です。

 

 

生活習慣病予防には、定期的な有酸素運動が推奨されます。

 

有酸素運動を行うことで、体脂肪燃焼、循環器系の向上、筋持久力の向上、可動域の向上など様々な効果があり、水氣道はこの有酸素運動に該当します。

 

陸での運動と同様に、水氣道でも運動強度の設定が重要になります。

 

水氣道では心拍数や自覚的運動強度(ボルグ)などで運動強度を確認できるようにトレーニングしていきます。

 

 

水氣道は生活習慣病(肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病、痛風および動脈硬化症)、

 

アレルギー疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、鼻炎・結膜炎など)の体質改善、

 

運動器リウマチ性疾患(肩こり、腰痛、膝痛、変形性関節症、骨粗鬆症、関節リウマチ、線維筋痛症)など多くの病気の治癒や改善につなげています。

 

 

なお、糖尿病の予防など健康のために推奨される運動は、「週3~5日の運動を、合計150分/週以上」です。

 

しかし、週に1回の稽古しか参加できない場合であっても、定期的に水氣道に参加することは決して無駄にはならず、大きな意味があります。

 

水氣道はその他、心身症をはじめ自律神経失調症や更年期障害などに対する心身医学療法としての効能があります。 

 

 

水氣道の動作の<横歩き>と<後ろ歩き>の基本について

 

横歩き

水中を横向きに進みます。

 

つま先を少し外側に向け、膝を曲げながら進行方向にある脚を横に開きます。

 

もう一方の脚の大腿内側を引き寄せるようなイメージで脚を揃えます。

 

お腹を引き締め、背筋を伸ばして身体が大きく揺れないように心がけます。

 

腕の動きは、脚を横に開いたと同時に腕も横に開き、引き寄せたと同時に手も閉じます。

 

これを連続して行いながら進みます。左右同じ距離だけ行いましょう。

 

水氣道の横歩きの基本形には、バレエ航法、ヨガ航法、相撲航法の3種類がありますが、その他、<少林寺蹴り>と称する動きなどもあります。

 

 

後ろ歩き

肩まで水に浸かり、大股でうしろに進んでいきます。

 

腕は陸で歩くときと同じように前後に振っても、前に伸ばしておいても良いです。

 

転倒や前後のメンバーとの衝突や接触に注意して、足の裏でしっかりプールのそこを押さえるようにしながら進みます。

 

コーヒー摂取と死亡率の関連

‐カフェイン代謝関連遺伝子変異解析による‐

 

 コーヒーにはさまざまな健康効果(循環器系疾患や癌による死亡率の低下など)が報告されています。

 

ただし、コーヒー摂取者のカフェイン代謝関連遺伝子の変化や毎日5杯より多いコーヒー摂取者での検討はされていませんでした。

 

 

最近の研究では、コーヒーの摂取量が多い人は早期死亡リスクが低下し、この効果は1日8杯以上のコーヒーを飲む人でも認められることが分かりました。

 

また、こうしたコーヒー摂取による寿命の延長効果は、カフェイン含有の有無にかかわらず認められました。

 


この研究は、米国立癌研究所(NCI)のErikka Loftfield氏らによるものです。

 

対象は英国バイオバンク(the UK biobank)に参加した英国の成人49万8,134人(平均年齢57歳、女性54%)の地域住民です。

 

研究方法は、この対象を2006年から2016年まで追跡した大規模な前向きコホート研究です。

 

研究の目的は、遺伝子的カフェイン代謝スコアを用いてコーヒーの摂取量と死亡率との関連を調べることです。

 

 

事前背景:対象者の78%にはコーヒーを飲む習慣がありました。

 

調査結果:10年以上の追跡期間中に1万4,225人が死亡した。

 

 

カフェイン代謝関連遺伝子変異解析の結果:

 

①コーヒーの摂取量が多いと全死亡リスクは低下する

 

②コーヒーを全く飲まない人に比べて、1日8杯以上飲む人は、追跡期間中の死亡リスクが14%低く、1日6~7杯飲む人の死亡リスクが16%低かった。

 

③1日1杯以下の人では全死亡リスクの低下は6~8%にとどまった。

 

④コーヒーの摂取による寿命の延長効果は、レギュラーコーヒーやインスタン トコーヒーだけでなく、カフェインレスコーヒーでも同様に認められた。

 

⑤カフェインの代謝に関係する遺伝子多型の違い(カフェインの分解が遅いため多くは飲めない人、あるいは代謝が速く多く飲める人)で効果に差はみられなかった。

 

 

 

考察

 

Loftfield氏:米国立がん研究所(NCI)

 

①「コーヒーにはカリウムや葉酸をはじめ、身体に影響を及ぼす化学物質が1,000種類以上含まれている。今回示されたコーヒー摂取による早期死亡の抑制効果は、カフェイン以外の成分によるものである可能性が高い。

 

②この結果はコーヒー好きには朗報だが、コーヒーを飲まない人が寿命が延びることを期待して、わざわざ飲み始める必要はない。

 

 

Samantha Heller氏:ニューヨーク大学ランゴン医療センター栄養士

 

(ア)「多くの植物性食品と同様に、コーヒー豆にはポリフェノールが豊富に含まれている。ポリフェノールには抗酸化作用や抗 炎症作用、抗がん作用があるほか、血圧や血糖値を下げることが知られている」

 

(イ)「野菜や果物、豆類などが豊富な食事を取る人は、がんや肥満、糖尿病、認知症、心疾患、うつ病などの慢性疾患になるリスクが低いことが分かっている」

 

(ウ)「コーヒーの摂取は健康に良い習慣の一つになり得る」

 

(エ)「コーヒーを飲めば、不健康な食習慣や喫煙などによる健康への悪影響を打ち消せるものではない」

 

(オ)「人によっては、コーヒー中のカフェインは身体に良くないこともある」

 

 

 

コメント(飯嶋正広:高円寺南診療所、医学博士)

 

コーヒー愛好者の一人として、コーヒーが健康に及ぼす影響には、個人的にも以前から大きな関心がありました。

 

開業医の業務の傍らで、東京大学の大学院(保健学修士課程および医学博士課程)を無事終了し、50歳にしてようやく2つの学位を取得できたのもコーヒーの御蔭であったように思えます。

 

また、特定の医局に所属せずに、東洋医学(漢方)、アレルギー、リウマチ、心療内科などの専門医試験に合格できたのもコーヒーの助けが大きかったと思われます。

 

ただし、カフェイン中毒にならないで済んだのは、水氣道や声楽家としての活動を続けていたことが大きかったのだと確信しています。

 

 

ヘラー女史(ニューヨーク大学栄養士)もコメントしているように、コーヒー豆にはポリフェノールが豊富に含まれているので、抗酸化作用や抗炎症作用、抗がん作用があるほか、血圧や血糖値を下げることが期待できます。

 

抗酸化物質としてのポリフェノールはカレー粉や赤ワインにも豊富に含まれています。

 

また漢方生薬は「抗酸化物質の宝庫」といわれますが、植物由来であるから当然のことです。

 

生薬に含まれる抗酸化物質として、カロチノイドやビタミンC・Eなどの天然抗酸化剤のほか、フラボノイドやタンニンなどのポリフェノール・カフェー酸誘導体・リグナン類・サポニン類などが知られています。

 

 

高円寺南診療所での処方方針は、ミネラル⇒ビタミン⇒漢方薬⇒現代薬としていますが、これは病気の表面的な症状を抑えることにとどまらず、できる限り病気の根本を治して、健康長寿につなげようとする診療哲学に基づくものだからです。

 

コーヒー摂取に関して大切なことは、コーヒーの健康効果はカフェインによるものではないということです。

 

そしてコーヒーは適量摂取では栄養あるいは嗜好品ですが、大量に摂取すると薬物さらには毒物になりかねない二面性を持つということです。

 

この点は、徹底的に毒物であるタバコとの大きな相違点です。

 

 

カフェインは栄養ドリンクなどにも含まれていますが、キサンチン誘導体であり、栄養素ではなく薬物です。

 

眠気、倦怠感、血管拡張性・脳圧亢進性頭痛(片頭痛、高血圧性頭痛、カフェイン禁断性頭痛など)に用いられることがありましたが、最近ではあまり処方されません。

 

 

カフェインの主たる副作用は、心身両面に及びます。

 

主として振戦(ふるえ)、めまい/ふらつき、動悸/不整脈、不眠、不安/緊張などを挙げることができます。

 

 

高円寺南診療所には不眠や不安の相談で受診される方は多いですが、中には喫煙者であるうえに、夜間にコーヒーをたくさん摂取している方が少なくありません。

 

他院で安定剤(抗不安薬)を複数処方されているにもかかわらずパニック発作に苦しんでいる方のなかにも、同様の生活習慣の方が見られます。

 

特に注意していただきたいのは、動悸/不整脈ふるえ/めまいをはじめ意識障害のある方です。そのような方は、早めに相談してください。

<肺炎球菌ワクチン①>

 

肺炎球菌ワクチンは「肺炎球菌感染症」を予防するために接種するものです。

 

平成26年10月1日から、高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンが定期接種となりました。

 

 

肺炎球菌感染症とは:

肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。

この菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。日本人の約3~5%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとされます。これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。(厚生労働HPより)

 

 

定期予防接種で使用するワクチン:

「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を1回接種します。

 

新たに高齢者に使用することが承認された「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」は、現時点では定期接種として使用できません。

 

 

予防接種での効果:

肺炎球菌には 93 種類の血清型があり、平成26年10月からの定期接種で使用される「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、そのうちの23種類の血清型に効果があります。

 

また、この23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の約7割を占めるという研究結果があります。
(病原微生物検出情報IASR 「<速報>2013年度の侵襲性肺炎球菌感染症の患者発生動向と成人患者由来の原因菌の血清型分布」を参照)

 

 

 

高齢者を対象とした肺炎球菌ワクチンの定期接種の対象者は:

 

平成27年度から平成30年度までは、該当する年度に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となる方。

(今年度は平成31年3月31日で上記の年齢になっている方です。)


  但し、すでに「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を接種したことがある方は、対象とはなりません。


また、現時点では、定期の予防接種を受ける機会は、平成30年度までの該当する年齢となる年度のみとなります。

 

過去に「プレベナー13(沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン)」を接種したことがある場合でも、「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を定期接種として受けることができます。

 

 

 

杉並区では、定期接種の際、対象の年齢の方にお知らせが郵送され、補助が出ます。

 

杉並区以外でも補助が出ると思いますので、市役所や区役所に問い合わせてみて下さい。

 

 

平成31年3月末で65歳以上になる方は、今年度が最後の機会です。

 

予防接種をまだ受けていない方はぜひご検討下さい。

 

「手続きがよくわからない」「迷ってる」という方は、気軽に声をかけて下さい。

 

 

次回は「ニューモバックス」と「プレベナー」についてです。

 

 

かぜの診断、とくに『夏かぜ』について

 

一般に、かぜ(寒邪、風邪、感冒)は感染によって生じる上気道を中心とした急性炎症を指します。そして、症状の主体が上気道の急性炎症によるものであれば、急性上気道炎と診断されることが多いです。

 

急性上気道炎(風邪)の80%以上がウイルス性であり、基本的には自然軽快します。

 

ウイルスは多領域に分布し症状を引き起こす、という特徴があります。

 

そこで気管、鼻腔、咽頭の3領域のうち、少なくとも2つが同時に同程度、急性に存在する場合に、「ウイルス性上気道炎(風邪)」と診断することができます。

 

ただし、ウイルスはその他の領域にも分布することがあり、他の症状(発熱、関節痛、痰、眼脂、嘔吐、下痢など)も起こり得ます。

 

多くある症状のうちで、上気道炎の症状として診断に有用なのが、咳嗽(気管領域)鼻汁(鼻腔領域)咽頭痛(咽頭領域)です。

 

鼻汁症状が強い場合は副鼻腔炎などが疑われるが、疼痛が強い場合などを除いて多くはウイルス性です。

 

これらの症状が揃わない急性上気道炎も、感染初期などには存在し得ます。

 

また急性上気道炎の診断に「発熱」は必須ではありません。

 

 

さて今はやりの夏かぜについてですが、夏かぜの病原体は、主としてウイルスです。

 

代表的な御三家がアデノウイルス、コクサッキーウイルス、エコーウイルスです。

 

夏かぜの症状の特徴は咽喉頭症状です。

 

咽頭痛、嗄声(声がれ)、咳、喀痰、喘鳴(ゼイゼイ)などの症状は、アデノウイルスやコクサッキーウイルスなどによるケースが多いです。

 

 

いずれにせよウイルス感染の咽頭痛はのど飴などが効き、むしろ飲み込むと喉はすっとすることも多いです。

 

トローチを処方することがありますが、その場合は、噛みくださずにゆっくりと唾液に溶かして服用します。

 

抗菌薬はウイルス感染には不要であり、また細菌感染症の合併予防の効果もありません。

 

本人の症状に合わせて、解熱鎮痛薬、鎮咳薬等での対症療法を行います。

 

 

「風邪」を正しく診断することで、重篤化し得る疾患を除外し、不要な抗菌薬治療による菌交代現象や副作用、耐性菌の出現を抑えることができます。

 

しかし、その場合でも安易にウイルス感染と診断せず、きちんと細菌感染を除外するようにすることが望ましいです。

 

細菌はウイルスとは異なり、1つの臓器(領域)のみを好む傾向があります。嚥下できないほど咽頭痛が強ければ、細菌性咽頭炎扁桃周囲膿瘍急性喉頭蓋炎が鑑別に上がります。

 

咳嗽のみが強ければ肺炎気管支炎を疑います。

 

発熱のみであれば、他の随伴症状の有無や診察所見から、必要に応じて尿路感染胆嚢炎蜂窩織炎なども検索します。

 

上気道炎は基本比較的元気であり、たとえ風邪の症状であっても、ぐったりしている場合は、心筋炎髄膜炎川崎病なども考慮しないといけません。

 

『風邪は万病の元』といわれる所以です。風邪を軽視してはいけない理由がここにあります。

治る認知症

 

 

慢性硬膜下血腫

 

認知症の中には、すっかり治せるタイプがあります。

 

その代表的な病気として注目されているのが「慢性硬膜下血腫(まんせいこうまくかけっしゅ)」です。

 

これは、脳を覆っている硬い膜と脳の間に血液が溜まってしまう病気で、転倒などで頭を打った後、23か月後に起こります。

 

血腫によって脳が圧迫されて物忘れや歩行障害、トイレの失敗(尿失禁)など、認知症とよく似た症状が現れるのが特徴です。

 

認知症の症状がある8090歳代にも慢性硬膜下血腫が多く見られるといわれています。

 

高齢だから認知症とすぐに決めつけず、転倒やなにかに頭をぶつけたことがあったら放置せず診察を受けてみましょう。

 

慢性硬膜下血腫であれば、脳に溜まった血腫を除去すれば脳は正常な状態に戻ります。

 

 

 

漢方で治る「慢性硬膜下血腫」がある

 

慢性硬膜下血腫の治療法は、手術が一般的で2つの方法があります。

 

1つは頭蓋骨に親指ほどの穴をあけ、血腫に細い管を挿入して血腫を除去する「ドレナージ術」。

 

命にかかわる緊急時は、頭蓋骨を大きく開いて血腫を摘出する「開頭術」が選択されます。

 

ただし、血腫の量が少なく、緊急性がない場合は、手術をしないで経過観察ということもあります。

脳神経外科では、最近、このようなケースに漢方薬が用いられています。

 

 

 

バランスを崩した水の流れを整える「五苓散」

 

では、脳の中に溜まった血腫(血液)が、どうして消失したのでしょうか。五苓散が効く仕組みも明らかになっています。

 

体内の水は細胞の内と外を出たり入ったりしていますが、細胞の浸透圧が乱れると水の流れが変化し、一方的に流れるルートができます。

 

これが脳で起きると脳浮腫になります。細胞の内外の水の透過性は、アクアポリン(AQP)というたんぱく質が調整しています。

 

AQP13種類あり、臓器によってその種類の分布が異なり、脳のケガや病気になるとアクアポリン4(AQP4)が増えることが動物実験からわかっています。

 

 

 

脳浮腫の三大病に共通する「水の異常」

 

漢方では浮腫を水の異常と診ます。脳に生じる浮腫を脳浮腫とよびます。

 

たとえば、慢性硬膜下血腫は、頭蓋骨に余分な血液が溜まってしまいます。

 

脳梗塞では血管が詰まって血液が流れなくなるため、周囲の脳がダメージを受けて脳浮腫を起こします。また脳腫瘍は、腫瘍が正常な脳を圧迫することで脳浮腫が起きます。

 

 

 

水氣道の導入にも有用な漢方薬

 

水氣道をやりましょうといっても気力が出ない。

 

そんな患者さんのおなかを触ってみると、お通じが溜まっています。

 

一般に、リハビリの前に宿便を取り除く大切さも理解されはじめています。

 

宿便の解消には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、通導散(つうどうさん)が非常に効きます。

 

おなかがすっきりすると食事がおいしく食べられ、元気になって水氣道に取り組めます。

 

水氣道の手ほどきを始めたり、継続して参加する習慣を形成したりするためにも、漢方薬は役に立っています。