月別: 2018年7月
<水中運動としての水氣道>
訓練生の皆様へ:なぜ水中で行うのか?
水を利用した運動は、アクアエクササイズやアクアフィットネスなどと呼ばれます。
運動の活動強度ではアクアセラピー(水療法)とアクアスポーツ(水中運動)の中間に位置します。
水氣道は水療法であると同時に水中運動でもあるので、幅広い運動強度の調整が可能です。
水中運動はまた水温、浮力、水圧、抵抗など水の特性を有効に活用することで陸上では得られない効果的な運動を行うことができます。
水中運動は健康の維持増進やダイエット、トレーニングのために行われることが多いです。
動き続けることで有酸素運動になる上に、水の抵抗があるため、負荷がかかり運動強度が高くなります。
水の抵抗に加え、手足に重りをつけると、さらに筋力向上を目的とする運動ができます。
またビート板その他の用具を用いることで、浮力を増したり、抵抗を強めたりすることもできます。
しかも水氣道は陸上での運動と同じように、目的に合わせて様々な行い方が可能です。
水中では浮力が働くため、膝や腰に過剰な負担をかけずに運動することができます。
また水の抵抗を利用することで筋に負荷をかけることもできます。身体が受ける水圧によって呼吸筋が強化されるとともに、下半身末端からの血液が心臓に戻りやすくなるため血液の循環を促進します。
通常、水温は30℃程度で体温よりも低いため、身体から熱が失われる作用に対し、体温を一定に保つように働きます。
この働きによって体内のエネルギー生産が活発になりエネルギー消費量が陸上にいるときよりも多くなります。
水中運動の強さは約4.0メッツで速歩と同じくらいです。膝や腰が痛くて速歩は無理という方でも水中運動なら安心して運動することができます。
水氣道の動作の基本である<前歩き>について
水の抵抗を身体前面で受け、浮力によって脚の着地に時間がかかるため、あまり速く歩くことはできません。
お腹を引き締め、背筋を伸ばし、足の裏でプールの床を踏みしめるようにして歩きます。
腕は、基本的には陸で歩くときと同じように動かします。
その際、少し水をかくことを意識すると、前に進む推進力が増し、比較的スムーズに移動することができます。
最初は水中でバランスをとるのが難しかったはずですが、体験生から訓練生になるころには慣れてくるはずです。
そうしたら体験生のときよりも膝を持ち上げて歩幅を広くしてみます。
腕は脚の動きに合わせてゆっくりと大きく動かしてみましょう。
ただし、水中での運動で意外と多いのが、脱水症状です。屋内プール内での湿度はほぼ100%に達していて、湿度が高いため喉の渇きを感じにくいといわれています。
しかし陸での運動以上に身体は発汗し、水分は失われますが気づきにくいです。
水氣道の稽古に参加する前後での水分の摂取はとても大切な注意事項です。
<医師による認知療法・認知行動療法の開始についてのお知らせ>
高円寺南診療所では、2018年8月から、医師(院長)による保険診療による認知療法・認知行動療法【予約制】の受付を開始します。
認知療法・認知行動療法とは、
認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法です。
《 保険適応となる対象疾患 》
1)うつ病等の気分障害
2)強迫性障害
3)社交不安障害
4)パニック障害
5)PTSD(心的外傷後ストレス障害)
6)神経性過食症
《 手続き 》
Step1:外来初診受付
Step2:査定・診断
Step3: 治療概要の紹介
Step4:治療契約の導入
Step5:一連の治療計画の策定
Step6:治療対象者に対する詳細説明
Step7: 治療契約の締結
Step8: 一連の計画的治療の実施(16回)
《 対象(高円寺南診療所での対応が可能な対象者)》
1)認知療法・認知行動療法の保険適応疾患に該当する方
2)一連の計画的治療が継続可能と見込める方
3)統合失調症、パーソナリティ障害、薬物その他の種々の依存症でない方
4)当診療所における一般的な通院精神療法もしくは標準型精神分析療法での治療効果が十分でない方
尚、当面の間ではありますが、治療効果の実績の確保と当方のキャパシティの都合上、心身医学的療法(自律訓練法、水氣道®、聖楽療法を含む)に意欲的かつ計画的に参加されてきた皆様を優先いたしますので、ご了承くださいますよう
<正確な情報は大切:③クチコミで苦労したこと>
前回クチコミでした。
今回は苦労したことを報告したいと思います。
クチコミの中で、明らかに誹謗中傷を目的としたものがあります。
そういったものを削除や訂正しようにも、「ポリシー」の壁に阻まれ、何もできずそのまま残っているものがあります。
グーグルのクチコミやミクシイのフォーラムがそれにあたります。
ミクシイは実質下火になっていきました。
グーグルが問題です。グーグルは下火になることは無いと思います…。
投稿が事実に反するものと削除依頼をしても「投稿者の自由」と却下され、残り続けました。
手詰まりでどうしようか…となっていた時、見かねた方が「評判の良い」投稿をしてくれました。続けて2人投稿してくれました。
おかげで、良い評価、悪い評価でバランスがとれました。
助けてくれた、ホワイトナイトの方、ありがとうございました。
クチコミを後から修正したり、簡単に削除できると良いものばかり残りクチコミそのものが信用できくなる点は問題です。
しかし悪意を持って投稿されたものを修正できない点は問題です。
結局クチコミは情報の1つ、しかも「個人の主観」という前提で参考にするしかありません。
投稿されているものを鵜呑みにせず、「どういった意図で書かれたものか」を考えながらクチコミは活用していきたいものです。
その3)骨折リスク評価(FRAX)法の限界と水氣道
骨折リスク評価法(FRAX)は、世界保健機関(WHO)が開発し、日本骨粗鬆症学会のガイドラインで推奨されているからといって、鵜呑みにしないのが、高円寺南診療所の立場です。
その理由は自体の計算ツールとしてのアルゴリズム自体に問題があります。
第一に、その最も根源的な課題は、集団調査による骨折リスク比率を,個別性の強い個人の骨折リスクに一律に当てはめようとするところにあります。
第二に,FRAXの検査は12の因子のみで構成されていますが、これらの因子だけ向後10年間の正確な骨折リスク判定が可能なのかという疑問も残ります。
第三に、12因子の解析方法の詳細については非公開であるいう不透明さも加わり,疑問が増幅されます。
以上の課題は「FRAXはその限界を見据えた上で利用していく必要がある1)」とされる所以です。
要するに、12因子がよって立つところのアルゴリズムが非開示であるため、FRAXでは取り上げられていない危険因子を考え合わせての解析ができないことが限界点です。
その他の欠点を列挙してみます。
続発性骨粗鬆症の若い人に適していない
すべての危険因子(転倒など)が含まれているわけではない
2型糖尿病患者では骨折確率が過小評価される
10年以内の骨折予測を示すが、期間、治療効果が評価できない
大腿骨骨密度を用いる場合とBMIを代入する場合ではリスク評価が異なる
FRAXは年齢の影響を受けやすいため、80歳以上はほぼ全例で治療開始の対象となってしまいます。
よって、80歳以上に対して治療開始カットオフ値を15%とすることには問題があるということで、FRAX使用は40歳以上75歳未満に限定されます。
高円寺南診療所の立場に最も近い細井博士の見解について紹介します。
公益財団法人骨粗鬆症財団理事の細井孝之氏は、FRAXに含まれていない解析因子としては、転倒・転落,骨代謝マーカーなどが代表的なところであり、さらに「あくまでも骨量の評価をした上で適用するものであり,スクリーニングの手段としてFRAXを用いるのではないことにも留意すべき2)」としています。
1)細井孝之:FRAXの臨床現場への応用.FRAXの限界.CLINICAL CALCIUM 2010年10月号,p119-121
2)細井孝之:FRAXのわが国での活用.CLINICAL CALCIUM 2012年6月号,p73-79.
高円寺南診療所では、国際的標準である骨折リスク評価法(FRAX)でも評価できない重要な予防因子を強化することを重視しています。
DIP法での骨密度計測、腰椎や大腿骨頸部のエックス線検査による評価の他に、血液や尿の検査で骨代謝マーカーを調べています。
見落されがちな骨折リスクとしては転倒・転落による骨折のリスクであり、糖尿病や続発性骨粗鬆症また、関節リウマチや線維筋痛症の骨折リスクです。
こうしたリスクのすべてを減少させるために具体的に実践しているのが水氣道なのです。
水氣道は、水中での立位での運動が主体ですから、高度な平衡機能(身体バランス、姿勢バランスの崩れからの復元調整力)が要求されます。
水氣道の稽古に計画的に参加することによって、こうした能力は確実に向上します。
逆に、転倒を恐れるあまり、適切な運動習慣を持てず、不自然で不健康な姿勢での歩行習慣(前傾歩行、杖歩行、つかまり歩行等)が定着してしまうと、かえって転倒のリスクを高めてしまします。
水中でも陸上でも、自然で健康的な姿勢で呼吸や歩行パターンを改善しつつ、全人的な健康確保に繋げていくことが水氣道の目的なのです。
(参加者15名、有効データ数13)
収縮期血圧
前)最高値146 最低値95 / 収縮期高血圧域該当者 2名(15.4%)
後)最高値157 最低値103 / 収縮期高血圧域該当者 1名(7.7%)
拡張期血圧
前)最高値92 最低値57 / 拡張期高血圧域該当者 1名(7.7%)
後)最高値96 最低値57 / 拡張期高血圧域該当者 3名(23.0%)
脈拍数
前)最高値109 最低値64
後)最高値105 最低値60
動脈血中酸素分圧濃度
前)最高値99 最低値97
後)最高値98 最低値95
体温
前)最高値36.8 最低値36.2
後)最高値36.8 最低値36.4
自覚的運動強度
前)最高値14 最低値11
中)最高値16 最低値10
後)最高値16 最低値9
今回のまとめ
今回の結果の特徴は、稽古参加者が15名と比較的少なかったです。
したがって、有効なデータ数は13にとどまりました。
ただし、データのバラツキは自然に近く、動脈血中酸素分圧濃度および自覚的運動強度以外の因子はすべて正規分布が示されました。
1)稽古前
参加者の平均血圧(収縮期 / 拡張期)は約116 /70mmHgであり、血圧管理成績は極めて良好でした。
収縮期血圧、拡張期血圧のいずれも高血圧領域の参加者がみられました。
収縮期高血圧域者は15.4%、拡張期高血圧域者は7.7%でした。
平均脈拍数は比較的高めでした。
2)稽古後
いずれの計測項目も、安全域でした。
参加者の平均血圧(収縮期 / 拡張期)は約123/75mmHgであり、収縮期高血圧域者は7.7%、拡張期高血圧域者は23%で、とても良好な成績でした。
3)稽古前後の変化
自覚的運動強度を除く他のすべての測定項目において統計学的な有意差は認められませんでした。
ただし、収縮期血圧領域該当者、拡張期高血圧領域該当者のいずれもが減少しました。
自覚的疲労強度は、稽古前から稽古中に増加し、稽古後に速やかに低下する変化がみられ、この変化は統計学的な有意性(P=0.0012;上側検定)が示されました。
今回の稽古は、高血圧傾向のある参加者にとっての降圧効果のメリットが観察されました。稽古中に一過性に自覚的運動度が増しても、稽古後速やかに回復することも示されました。
その2)高円寺南診療所での骨折リスク評価(FRAX)法
高円寺南診療所では、骨密度(BMD)の基礎データはDIP法を採用しています。
DIPは、現在最も普及しているRA法の一種で、手のX線フィルムを解析する方式です。
両手を標準物質(アルミスケール)とともに撮影し、第二中手骨の皮質骨の陰影度と標準物質の陰影度を比較して、骨密度を算出します。
DIP法による検査結果から診療所で独自にT スコアを計算して、骨折リスク評価法の第12番目の入力データとします。
T スコアとは若年齢(ただし、高円寺南診療所では25歳から29歳までのデータを採用しています)の平均BMD値(基準値)を0として、標準偏差を1SDとして指標を規定した値をいいます。
これは、単独でも骨粗鬆症診断基準に用いることができます。
診断基準
※ 標準偏差:SD(standard deviation)
以上の結果を参考に、当診療所では更に精密な検査を実施し、治療が必要かどうかを正確に判断しています。
FRAXで出た骨折リスクが高く心配な方は、一度、当診療所にて骨密度検査を行ってみてください。
算出された数値が股関節頸部骨折(Hip Fracture)確率の数値0.15(15%以上)の場合、骨粗しょう症の治療を開始したほうが良いといわれています。
<形(かた)稽古としての水氣道①>
体験生の皆様へ:なぜ形(かた)に基づいて行うのか?
水氣道は独自の形(かた、「航法」と呼ぶ)に基づく稽古です。
形稽古は、一般的には、自己の学んだ(流儀)技術の正確な所作・動作・趣旨を理解し確認することを目的とします。
実際に、形の修練を最も基本的な段階に据える流儀は多いです。
水氣道も例外ではありません。ただし、水氣道では、稽古者本人による理解や確認の目的と同様に指導者による確認と支援の手段としての目的のために最大限に活かされています。
一般に指導者技芸の上達の段階を表現するものとして、守・破・離という言葉があります。
守=まずは決められた通りの動き(形)を忠実に守り、破=守で学んだ基本に自分なりの応用を加え、 離=形に囚われない自由な境地(型)に至るというものです。
つまり、形をしっかりと意識的に身に付けることで、いずれは、無意識であっても高度な技術への応用や個人的な資質の発揮が可能になる型(習慣)が獲得できるということです。
形とは芸能や武道などで、規範となる動作・方式ですが、水氣道では形を「航法」や「体操」と呼びます。
水氣道の主な「航法」は、親水航法、基本五航法、各種の応用航法(「理氣航法」、「調血航法」、「活水航法」、「経絡航法」、「遊戯航法」など)、水氣道独自の体操とは準備体操「イキイキ体操」および整理体操「のびのび体操」が体系化されています。
水氣道の「航法」は、単独の形であると同時に、他の形と連係して流れるように進行していくことが特徴です。
水氣道の体験生の皆様の多くは、水中での動きに慣れていません。
水に慣れないうちは疲れが出やすくなります。
水中運動でも、原則として必ず運動前と後にウォーミングアップとストレッチを十分に行うようにすることが不可欠です。
その点、水氣道には水馴らしの形運動(親水航法)、ウォーミングアップ準備体操(イキイキ体操)そしてクーリングダウンストレッチ整理体操(のびのび体操)等が稽古プログラムに組み込まれています。
水氣道では、むしろ稽古前後での飲水(脱水防止)、稽古前の軽食摂取(低血糖防止)などに配慮する習慣を身に着けていただくことが大切です。
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