その1)WHOが開発した骨折リスク評価(FRAX)

 

骨粗しょう症は、他の検査に比べ受診率が少ないため、骨折してはじめてその重大さに気付くことが多い病気です。

 

特に高齢者が骨粗しょう症が原因で骨折すると、そのまま寝たきりになることも多く、早期発見~治療がとても重要です。

また閉経後の女性、副腎皮質ステロイドを長期服用している方の他、婦人科疾患を有する方、また男女問わず、低体重や貧血などの栄養障害のある方、喫煙者、習慣性飲酒者、関節リウマチの方、甲状腺疾患の方、本人の骨折歴のある方、血族の方に大腿骨頸部骨折の経験者、血液透析を受けている方などに検査をお勧めしています。

 

 

日本骨粗鬆症学会の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」でもFRAXに関する指針が提示されています。またこのガイドラインの薬物治療開始基準の一部にもFRAXが使用されております。

 

FRAX(fracture risk assessment tool)とは、WHO(世界保健機関)が開発し、2008年 2月に発表した骨折リスク評価法です。

 

このFRAXは、将来10年以内の骨折リスクを予測計算するツールです。

 

日本人版もウェブ公開されており12の質問項目にチェック入力すれば手軽に骨折の将来リスクを評価できます。

 

この評価法は 40 歳以上の方が対象です。これにより今後10年内に予想される、骨折するリスクの確率が計算できます。こちらのWHOのサイトへアクセスし、以下 12 の質問に答えると自動算出されます。

 

Webサイト(https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.aspx?country=3

を開き、計算ツールに数値を入力してください。

 

 

ただし、12番目の質問は骨密度(BMD)に関するものですので、より精密な評価のためには、医療機関を受診してください。

 

インターネットを利用していない方、あるいはホームページにアクセスしてもやり方が難しくて分からない方、は当診療所にて計算いたします。

 

この質問表は▼こちらからダウンロードも可能なのでプリントしてご記入の上、電話もしくはインターネットにて予約の上、高円寺南診療所にご来院いただいてもかまいません。

 

その4:高円寺南診療所における究極の軽度認知障害(MCI)、早期発見プログラム

 

 

ステップ4)MCIスクリーニング・血液バイオマーカー検査

 

認知症リスクチェック(MCIスクリーニング検査)は、アルツハイマー病の段階であるMCIであるかどうかのリスクがわかる血液検査です。

 

MCIは、これまで認知症予備軍ともいわれてきましたが、最近の研究ではMCIの段階で適切な予防や治療を行えば、認知症の発症を防ぐことや遅らせることができます。

認知症リスクチェック(MCIスクリーニング検査)は、アルツハイマー病の前段階であるMCIのリスクがわかるバイオマーカーを測定する血液検査です。

 

 

MCI(軽度認知障害)とは、認知症の症状が出現する前の段階を指します。

 

認知症の中でも最も多いアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)は、主な原因物質であるアミロイドベータペプチドが脳内に溜まり始めることで神経細胞が壊され、その後認知機能が低下する疾患です。

 

MCIの段階では日常生活に支障はありませんが、そのまま放置すると約4年でおよそ40%の方が認知症に進行するといわれています。

 

 

早期発見で、認知症を防ぐ。

アルツハイマー病の主な原因物質であるアミロイドベータペプチドが少しずつ脳内に蓄積し、神経細胞を壊し始めるのは、認知症の発症から約20年さかのぼる前からだといわれています。

 

アルツハイマー病を発症するのは70~80代が多いため、アミロイドベータペプチドが脳内に蓄積し始めるのは50~60代と考えられます。

 

しかし、その年齢ではまだは物忘れもほとんどないか、あっても年のせいといわれる程度のもので、アルツハイマー病無症候期と呼ばれます。(無症候期:脳に病変はあるが全く症状がないか、年齢相応程度の物忘れがある時期)やがて物忘れが激しくなり、MCIの段階になります。

 

さらに進行するとアルツハイマー病による認知症の症状が出てきます。

 

認知症を発症すると、医師による診断に基づき投薬やリハビリテ―ションなどの治療が始まります。

 

現在、認知症の症状を若干改善し進行を一定期間遅らせる薬剤はあります。

 

しかし、進行を止め、病気を根本的に治す薬剤はありません。

 

そのため、認知症になる前のMCI(軽度認知障害)の段階で早くその兆候を発見し、そこから発症しないための生活習慣の改善や早期治療を徹底していくことが大切です。

 

 

高円寺南診療所では、軽度認知障害(MCI)のリスク・スクリーニングのための血液バイオマーカー(血中アミロイドペプチド)テストの実施に向けて準備中です。

<その3:高円寺南診療所における軽度認知障害(MCI)の早期発見プログラム>

 

軽度認知障害(MCI)の早期精密診断のための方法として、画像診断であるアミロイドPET画像法バイオマーカーによる血液検査による方法があることを、前回で紹介しました。

 

バイオマーカーによる方法は、画像検査と比較すれば格段に安価でお勧めの検査ですが、それでも2万円のコストがかかります。

 

そこで、受診者の皆様にとって負担の少ないスクリーニングテストについてご紹介します。

 

 

 

ステップ1)国立精研式認知スクリーニングテスト

認知症の早期発見のためのスクリーニング検査です。

      

高円寺南診療所では、50歳以上でご希望の方全員を対象とします。

      

費用:基本診療料でまかなわれる検査ですので、特別の追加負担はありません。

      

背景:国内外の多数の認知症スクリーニング検査の質問項目に独自の項目を加えたものの中から認知症初期での判別に寄与した項目を厳選していったため、他の認知症スクリーニング検査より難度の高い設問を含んでいるのが特徴です。

 

企画:問題数は16で,満点は20点。所要時間は5-10分程度です。

 

評価法:本スケールによる認知症の程度の区分は以下の通りです。  

 

正常:16点以上、境界:11-15、認知症:10以下

 

ただし、高円寺南診療所では、軽度認知障害の早期発見のため、高齢に至っていない65歳未満の方については、満点(20点)に至らなかった方には、ステップ2)MMSEによって、再度確認することをお勧めいたします。

 

「境界」は柄澤 (1989) の高齢者の知能低下の判定基準で<軽度の認知症>と判定される領域に対応します。本検査の得点と被検者の年齢・教育年数との相関は–0 .23と0 .12であり、 本検査の得点はこれらの変数の影響を受けないとされています。

 

 

課題:問題点は、動作性の課題を含んでいないこと、また検査用紙が古いため「認知症」でなく「痴呆」の語がタイトルに用いられていることなどです。

 

 

 

ステップ2)MMSE

      

認知障害の検出のために作成されたスケールです。

      

高円寺南診療所では、ステップ1)国立精研式認知スクリーニングテストの結果、必要とされた方、もしくは55歳以上で、必要と判断される方を対象とします。

      

操作が容易な認知機能検査のひとつです。

      

費用:1割負担の方では80円です。

 

沿革:日本では認知症診断の補助ツールとして有名であるが,元来は精神疾患一般を対象としたものであり,また神経疾患や一般内科疾患における認知障害の検出にも広く利用されています。

 

企画: MMSE の設問は11問であり,満点は 30点です。動作性の課題を含み、所要時間は10-15 分程度。

 

評価法:設問の内容は以下の通りです。  

 

第1問で時の見当識を,第2問で場所の見当識をそれぞれ調べます。

 

第3問は言語性聴覚性即時記憶と学習効果についてテストし,

 

第4問は版により異なるが,計算力,言語性聴覚性即時記憶, 注意集中力を評価します。

 

第5問では言語性聴覚性近時記憶をテストします。

 

第6問は呼称問題で言葉の理解の障害を検出します。

 

第7問と第9問 も即時記憶と言語理解に関する項目です。

 

第8問の3段階命令と第9問 の視覚的に提示された指示に従うという設問は動作性課題であるが言語理解を様々な面から検査する意図で採用されたものと考えられます。

 

第11 問も動作性の課題で,空間的構成力をみるものです。

 

 

アルツハイマー型認知症ではその初期から立体図形や立方体透視図の模写ができなくなることはよく知られています。これは空間的構成力の障害を示すものとされるが, 二次元的な立体図形の模写ができない場合でも,板を切って三次元的な立体を作ることは可能な場合もあります。立方体透視図模写時の眼球運動を記録した研究では, 健常高齢者では視線が刺激図形と描画中の図形の間を規則的に往復するが,アルツハイマー型認知症患者では,刺激図形と描画中の図形のどちらからも離れ,宙をさまようような眼球運動を示すことを明らかにしています。

 

 

カットオフポイントは姫路版,藍野病院版ともに23/24を採用しています。 この場合,姫路版の感度は0 .83で特異度は0 .93であり,アルツハイマー型認知症患者の95 .7%が正しく判別されました。認知症の重症度の判定水準は、

 

23-15点:軽度認知症,15-5点:中等度認知症, 5点以下:重度認知症としますが、厳密なものではありません。

 

高円寺南診療所では、軽度認知障害の早期発見のため、高齢に至っていない65歳未満の方については、26点未満の方には、ステップ3)WCSTウィスコンシン・カード分類検査によって、再度確認することをお勧めいたします。

 

課題:MMSE の得点は被検者の年齢と教育年数の影響を受けやすいことが繰り返し指摘されています。

 

 

 

ステップ3)WCSTウィスコンシン・カード分類検査

 

強化学習の状況の変化に直面した際の柔軟さを意味する"セットシフティング" (set-shifting) の能力を見るための神経心理学的課題です。

      

操作が複雑な認知子脳検査の一つです。

      

90歳未満の方(6歳半以上)であれば、幅広い年代層で用いることができます。

     

費用:1割負担の方では280円です。

 

沿革:1990年代初頭にコンピューター版の課題が作られ、最近ではマニュアル版では非常に複雑だった点数化を自動で行うことが可能です。

 

企画:この課題の所要時間は約 12 から 20 分ほどで、成功したカテゴリー、課題、正答、誤答、保続的 (すでにルールが変わっているにもかかわらず、以前のルールに基づいて何度も間違いを犯してしまう状態) な誤答の数、パーセント、パーセンタイルなどのいくつかの精神測定学的な点数を算出することが可能である。このテストは、「抽象的行動(“abstract behavior”)」と「セットの転換(“shift of set”)」に関する検査で、一般的には前頭葉機能検査法として知られています。これは、仮説生成と反応切り替え機能のためにしばしば使用される測定法です。

 

評価法:達成された分類カテゴリー数と、保続数保続性誤り数によって評価します。

 

保続とは、被験者が自分の考えた分類カテゴリーに固執し続けることをいいます。 保続性誤りは、分類カテゴリーが変わったにもかかわらず、前に達成された分類カテゴリーにとらわれ、誤反応する保続が一般的です(Milner型保続)。 また、直前に誤反応した分類カテゴリーにとらわれ、誤反応する保続もあります(Nelson型保続)。

 

 

臨床応用:この課題は神経心理学者や臨床心理学者、神経学者、精神医学者の間で、後天性脳損傷や神経変性疾患、統合失調症のような精神疾患の患者に対して広く用いられています。この課題は前頭葉機能障害に対して感受性をもつとされていることから、実行機能 (executive function) の計測法として有効であるとされています。それは例えば、戦略的な計画、系統的探索、環境からのフィードバックを利用した認知セットのシフト、目標の達成に向けた行動の方向付けや衝動的な応答の抑制のような"前頭葉"機能です。

 

この課題は 6 歳半から 89 歳までの幅広い年齢の患者に用いられています。

 

解説:この課題を正しく遂行するには注意やワーキングメモリ、視覚処理などの様々な認知機能が正常であることが要求されます。そして、この課題は漠然と"前頭葉"検査と呼ばれています。それは前頭葉に損傷のある患者の多くは課題の成績が不良であるためです。特に前頭葉背外側部に損傷のある患者は対照群に比べて保続的な誤答が多いことが知られています。最近のウィスコンシン・カード分類課題に関する因子分析により、このような保続的な誤答の数は損傷を評価する上で最も良い計測指標であることが分かっています。このような障害は、より正確には"実行機能障害" (executive dysfunction) と呼ばれます。

<正確な情報は大切:②クチコミ>

 

前回はクチコミサイトでした。

 

今回はクチコミについてです。

 

以前口コミサイトで良く出たのが「親切すぎる精神科」でした。

 

心療内科と精神科が混同されている例です。

 

この文言があるサイトに掲載された後、他でも同じクチコミが掲載されていました。

 

「当院は心療内科であって精神科ではありません、訂正をお願いします。」とメールを送りました。

 

ある所は会員登録をして訂正依頼をと返信あり、ある所は反応なし、酷い所はメールの送り先すらありませんでした。

 

会員登録できる所が訂正してくれると、時間はかかりましたが、他もいつの間にか訂正されていました。

 

 

ミクシイのフォーラムで「高円寺の心療内科ってどう?」というのもありました。

 

そこでは、必ず禁煙を勧める恐ろしいところ、との評判でした。

 

 

クチコミは投稿する側は気楽にできますが、受け取る側が正確な情報かどうかが分かりません。

 

匿名なので、悪意を持っての投稿かもしれません。

 

さらに投稿者の主観が入ります。

 

ですので「このクチコミってどうかな?」と疑問を持って読むことが大切だと思います。