第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にします。
第二部は、聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。
第三部は、心身医学の理論に根ざした聖楽院の哲学的な基礎概念を示し、心身医学療法の領域において水氣道の考えが心身医学療法の一般的な理論となりうるかを論じます。
第四部では、聖楽療法理論の一般的理論としての側面について、その概略を述べます。
本稿全体の焦点は、現在の臨床実践の概念的枠組みおよび聖楽療法の理論を考えていくために、新しい心身医学療法の一般的な理論的枠組みを提供することです。
そのため聖楽療法の実践例を十分に示しながら、聖楽療法とはどのようなものかを描写します。
新しい心身医学療法の理論的概念の骨組みを通して、統合的視野を持って参加者のニーズを満たすような実践を行う姿勢を示すことで、聖楽療法実践者にとって常に望ましい臨床的姿勢とは何か、ということについての説明を試みます。
聖楽院への参加やレッスンプログラムの作成や指導活動から得られる喜びのすべてが、聖楽療法のプロセスの本質です。
この本質は、多様な臨床場面に応用でき、効果的な療法の基礎を形成するものです。レッスン生が意味のある体験を創造するために、こうした観点が重要な役割を果たしてきました。
できるだけ多くの心身医学療法の実践領域に伝えていくことを目的としたいと思います。
本書は、聖楽院の考えを心身医学療法理論の基礎と考える、という議論を通してその目的を果たそうとするものです。