2020年2月27日(木)

時間帯:9:30~10:30

レッスン場所:東高円寺<音海>会場

進行:聖楽院主宰 飯嶋正広

ピアノ伴奏:吉田奈津子

参加者:全6名(レッスン生4名)

 

 

レッスン内容

1) 受講準備:聖楽院体操
レッスン生4名が輪番で体操のステップごとのリーダーを務めた。
中でも丹田からの始動し、肺の鍛錬を目的にしたパートについては、
特に詳細に指導を受けた。

 

2) 発声練習:聖楽院方式ハミング&実声スケール(移動共鳴焦点法)
子音Mの重要性について、マ音による発声練習から始まり、
後はハミングによる発声練習を中心に行った。

 

3)歌唱練習:体操20分後指導者からレッスン希望曲の提示を求められ、
同じ曲を選択した2名ずつのレッスン生が以下の2曲を選択した。
いずれも日本歌曲を希望した。

 

2人組の合唱に対して、歌唱者自身、パートナー同士および2人の聴衆役のレッスン生の感想、ピアニストと指導者の感想とコメントを受ける、という全員参加方式で行われた。

 

 

❶ 「鐘が鳴ります」北原白秋作詞/山田耕筰作曲

ハミング、母音唱法と歌詞で歌う

最初にレッスン生がペアで試唱、ついで各人が全曲をハミングで演奏。
主としてブレスの重要ポイントの注意とフレーズの作り方について指導。

 

❷ 「くちなし」高野喜久雄作詞/高田三郎作曲
歌詞を読み歌詞に対する理解を深め、母音唱法と歌詞で歌う
最初にレッスン生がペアで試唱した後に、「くちなし」に於ける歌詞の重要性を解説、次いで、レッスン生が歌詞の朗読を繰り返し行う。その後、歌詞のもつ意味を十分にくみ取って歌う様に指導。また、歌詞の意味を伝えるために十分なブレスの重要性についても具体的に指導の後、ハミングによる発声で合唱と個人唱を反復練習した。

 

 


レッスン生の報告
●「ハミングの方が発声するよりも共鳴している」という他の方の意見を聞き、それまで自分自身では気付けていなかったが、そこで初めて気付けた。(H.U記)

 

● ハミングで歌うと音程は取りやすいが、慣れていないからかリズムが上手く取れないこともあった。(H.U記)

 

● ブレスをすることで後ろの歌詞を強調できる、
ブレスをたくさん吸うことで高音が維持しやすい、
ブレスの次が高音の場合ブレスの前に高音にしておくことで、
ブレスの次の高音が出しやすい等、
ブレス1つを取っても様々な意味や技術があると理解を深められた。
(H.U記)

 

● 歌詞の区切り、「直接話法」と「間接話法」を意識することで、
歌詞に対する理解を深められた。
  (H.U記)

 

● 私は「鐘がなります」を選択しました。
初期は、滑らかな声が出せなかったが、練習を重ねていくうちに高音にも伸びを感じ無理なく音を拾えた。

(ハミング、母音での稽古を重ねて行った)まだ曲の情景の理解が不十分でで、音程の不安定もあったが自分なりの成果を得たことが何よりも幸せであった。
(A. H記)

 

● 私は「くちなし」を選択しました。
私個人の思い込みによる歌唱が、リズムやメロディーを不安定なものにさせていたが、指導者の指摘と一緒に合唱してくれるパートナーのUさんの冷静な歌唱を隣で聞くことが出来て、大変参考になった。
(K.M記)

 

● 聖楽院での稽古が歌唱力の向上は勿論であるが、同時に歌う仲間としての連帯感をもつことが出たのを実感できた。
(K.M記)

 

● 聖楽院体操のポイントの一つは、後屈の際に肺の後背部を充分に活動させることにより、肺活量を増やせることを体験的に学ぶことができた。
(K.M記)

 

● 発声練習で子音Mを使ったレッスンを受けたが、これは発生時の音が顔面の各部位に振動として伝わる感覚を実感するのに役立った。
(K.M記)

 

● 「鐘が鳴ります」を母音唱法でおこなうことにより、音程がとりやすく、
高音も声を出しやすくなった。
(H.K記)

 

● 担当外の「くちなし」の稽古中、邪魔にならない程度にハミングで稽古していた。
この工夫が功を奏し、力まず楽に高音が出るようになった。
また声に響きをもたらすことができた。
ハミングの大切さを再確認できた。
(H.K記)

 

● 最後に「鐘が鳴ります」を正規の歌詞で歌った。が、上記で勉強したことに加え、この曲は『響きを大切に』『力みすぎない』との指導を受けました。指導のポイントを踏まえて気を付けて歌ったところ、音程もまずまずとれるようになったうえに、リズムの整った歌い方ができたと思います。
(H.K記)

 

● 自分のペア合唱や独唱のときだけでなく、他のレッスン生の稽古中も一緒に勉強しながら聞かせていただくことによって、心に余裕ができました。そのためもあってか、一緒に歌っている人の声もよく聞こえ、合わせることができました。
(H.K記)

 

 

 

主宰者からのコメント:
B組のレッスン生4名の仲間意識が育まれてきていることをうれしく感じました。

 

希望レッスン曲は各自で決定していただいて良いのですが、同じ曲目を選択したレッスン生が、ちょうど2人ずつになりました。

この偶然の結果をそのまま生かすことによって、想定以上に興味深い稽古の展開となり、全員の声や意識の向上がみられ、大きな収穫が得られました。

 

充実した独唱ができるようになるためには、いくつかのよく吟味されたステップを踏まえていくことと、様々な音楽要素間の相互作用の効能を理解して楽しく味わうことが助けになります。

それは、歌唱するということが、心と体、意識と無意識、主観と客観、歌詞と曲、声とピアノ、自分とパートナー、聴き手と歌い手といった要素間のバランスやハーモニーの感性の上に成立するものだからです。

 

聖楽院メソッドでは、伴奏や仲間の声を聴くことと、自ら演奏すること、合唱すること、互いに学び合い、感じ合い、感想をいただいたり、またさしあげたりといったレッスンのプロセスを大切にしていることに繋がります。

 

聖楽院メソッドとは何かということを主宰者が抽象的に説明するより、個々のレッスン生が体験して獲得できた「生のままの気づき」を記録していただくことがより大切だと思います。

 

この報告は、B組全員にとってばかりでなく、他の組に所属するレッスン生のためにも貴重な財産になるものと思われます。

2020年2月27日(木)

時間帯:9:30~10:30

レッスン場所:東高円寺<音海>会場

進行:聖楽院主宰 飯嶋正広

ピアノ伴奏:吉田奈津子

参加者:全6名(レッスン生4名)

 

レッスン内容

1) 受講準備:聖楽院体操

レッスン生4名が輪番で体操のステップごとのリーダーを務めた。

中でも丹田からの始動し、肺の鍛錬を目的にしたパートについては、
特に詳細に指導を受けた。

 

2) 発声練習:聖楽院方式ハミング&実声スケール(移動共鳴焦点法)

子音Mの重要性について、マ音による発声練習から始まり、後はハミングによる発声練習を中心に行った。

 

3)歌唱練習:体操20分後指導者からレッスン希望曲の提示を求められ、

同じ曲を選択した2名ずつのレッスン生が以下の2曲を選択した。

いずれも日本歌曲を希望した。

2人組の合唱に対して、歌唱者自身、パートナー同士および2人の聴衆薬のレッスン生の感想、ピアニストと指導者の感想とコメントを受ける、という全員参加方式で行われた。

 

 

❶ 「鐘が鳴ります」北原白秋作詞/山田耕筰作曲

ハミング、母音唱法と歌詞で歌う

最初にレッスン生がペアで試唱、ついで各人が全曲をハミングで演奏。

主としてブレスの重要ポイントの注意とフレーズの作り方について指導。

 

❷ 「くちなし」高野喜久雄作詞/高田三郎作曲

歌詞を読み歌詞に対する理解を深め、母音唱法と歌詞で歌う

最初にレッスン生がペアで試唱した後に、「くちなし」に於ける歌詞の重要性を解説、次いで、レッスン生が歌詞の朗読を繰り返し行う。その後、歌詞のもつ意味を十分にくみ取って歌う様に指導。また、歌詞の意味を伝えるために十分なブレスの重要性についても具体的に指導の後、ハミングによる発声で合唱と個人唱を反復練習した。

 

 

レッスン生の報告

 

●「ハミングの方が発声するよりも共鳴している」という他の方の意見を聞き、それまで自分自身では気付けていなかったが、そこで初めて気付けた。(H.U記)

 

● ハミングで歌うと音程は取りやすいが、慣れていないからかリズムが上手く取れないこともあった。(H.U記)

 

● ブレスをすることで後ろの歌詞を強調できる、ブレスをたくさん吸うことで高音が維持しやすい、ブレスの次が高音の場合ブレスの前に高音にしておくことで、
ブレスの次の高音が出しやすい等、ブレス1つを取っても様々な意味や技術があると理解を深められた。(H.U記)


● 歌詞の区切り、「直接話法」と「間接話法」を意識することで、
歌詞に対する理解を深められた。(H.U記)


● 私は「鐘がなります」を選択しました。

初期は、滑らかな声が出せなかったが、練習を重ねていくうちに高音にも伸びを感じ無理なく音を拾えた。

(ハミング、母音での稽古を重ねて行った)まだ曲の情景の理解が不十分でで、音程の不安定もあったが自分なりの成果を得たことが何よりも幸せであった。
(A. H記)

 

● 私は「くちなし」を選択しました。

私個人の思い込みによる歌唱が、リズムやメロディーを不安定なものにさせていたが、指導者の指摘と一緒に合唱してくれるパートナーのUさんの冷静な歌唱を隣で聞くことが出来て、大変参考になった。
(K.M記)

 

● 聖楽院での稽古が歌唱力の向上は勿論であるが、同時に歌う仲間としての連帯を
もつことが出たのを実感できた。
(K.M記)

 

● 聖楽院体操のポイントの一つは、後屈の際に肺の後背部を充分に活動させることにより、肺活量を増やせることを体験的に学ぶことができた。
(K.M記)

 

● 発声練習で子音Mを使ったレッスンを受けたが、これは発生時の音が顔面の各部位に振動として伝わる感覚を実感するのに役立った。
(K.M記)

            

2020年2月27日(木)


時間帯:9:30~10:30

レッスン場所:東高円寺<音海>会場

進行:聖楽院主宰 飯嶋正広

ピアノ伴奏:吉田奈津子

参加者:全6名(レッスン生4名)

 

 

レッスン内容


1) 聖楽院体操

 

2) 発声練習:聖楽院方式ハミング&実声スケール(移動共鳴焦点法)

 

3)歌唱練習:体操20分後指導者からレッスン希望曲の提示を求められ、同じ曲を選択した2名ずつのレッスン生が以下の2曲を選択した。

いずれも日本歌曲を希望した。

 

❶ 「鐘が鳴ります」北原白秋作詞/山田耕筰作曲

ハミング、母音唱法と歌詞で歌う

 

❷ 「くちなし」高野喜久雄作詞/高田三郎作曲

歌詞を読み歌詞に対する理解を深め、母音唱法と歌詞で歌う

 

 

レッスン生の報告

●「ハミングの方が発声するよりも共鳴している」という他の方の意見を聞き、それまで自 分自身では気付けていなかったが、そこで初めて気付けた。(H.U記)

 

● ハミングで歌うと音程は取りやすいが、慣れていないからかリズムが上手く取れないこともあった。(H.U記)


● ブレスをすることで後ろの歌詞を強調できる、

ブレスをたくさん吸うことで高音が維持しやすい、

ブレスの次が高音の場合ブレスの前に高音にしておくことで、ブレスの次の高音が出しやすい等、ブレス1つを取っても様々な意味や技術があると理解を深められた。
(H.U記)

 

● 歌詞の区切り、「直接話法」と「間接話法」を意識することで、
歌詞に対する理解を深められた。

(H.U記)

 

● 私は「鐘がなります」を選択しました。

初期は、滑らかな声が出せなかったが、練習を重ねていくうちに高音にも伸びを感じ無理なく音を拾えた。

(ハミング、母音での稽古を重ねて行った)まだ曲の情景の理解が不十分でで、音程の不安定もあったが自分なりの成果を得たことが何よりも幸せであった。

(A.H記)

時間帯:14:00~15:00

レッスン場所:東高円寺音海会場

進行:聖楽院主宰 飯嶋正広

ピアノ伴奏:黒木洋平

参加者:全7名(レッスン生5名)

 

 

レッスン内容

1) 聖楽院体操

 

2) 発声練習:聖楽院方式ハミング&実声スケール(移動共鳴焦点法)

 

3)声出し:童謡(英語)I BOUGHT ME A CAT  編曲:Aaron Copland

 

4)シューマンのチクルスをハミング、母音唱法と新訳詞で歌う

「女の愛と生涯」から

第1曲 Seid ich ihn gesehen(一目で好きになりました)

 

第4曲 Du Ring an meinem Finger(私の指輪さん)

 

 

解説:

❶ 聖楽院体操:水氣道準備体操(イキイキ体操前編)を全員で行いました。

 

❷ 聖楽院式発声練習:スケールエクササイズ(ハミング+実声)

音高上昇に伴い段階的に共鳴焦点を移動させる聖楽院式共鳴増強法:
共鳴の焦点を<迎香穴>からはじめ、スケールの上昇に伴い<四白穴>、<陽白穴>、<百会穴>と移動させた。<天柱穴>に振動を感得できた複数のレッスン生を確認。

 

❸ 声出しに用いた曲は、文化庁の派遣でニューヨーク留学から帰還したばかりのソプラノ隠岐彩夏さんの帰朝コンサートで披露されました。2月16日(日)のC組のレッスンでも行いました。

 

❹ 「女の愛と生涯」のうちの2曲を発表経験済みの2名をファシリテータとして、新訳詞による独唱披露のあと、母音唱法で、それぞれ他のレッスン生とペアで母音唱法による音取り稽古を行ないました。

また、1曲の前半、後半を2組で歌い分けたり、ペアを交替するなどの変化に富んだ組み合わせで歌唱した。

 

 

予定:
 

次回は、「童謡(英語)I BOUGHT ME A CAT」の8種の動物を分担して歌う稽古にチャレンジします。また「女の愛と生涯」から第2曲と第3曲を採りあげます。

時間帯:13:00~14:00

レッスン場所:東高円寺音海会場

ピアノ伴奏:黒木洋平

 

#1.童謡(英語)I BOUGHT ME A CAT  編曲:Aaron Copland  合わせ

 

#2.歌曲:シューマン「女の愛と生涯」(全8曲)中声用
   カウンターテナー唱法での全8曲通し稽古

 

#3.歌曲:シューベルト「冬の旅」(高声用)から
   第16曲Letzte Hoffnung(最後の希望)
   テノールでの音取り

時間帯:10:30~11:30

 

レッスン場所:高円寺ボンジュール会場

 

進行:聖楽院主宰 飯嶋正広

 

ピアノ伴奏:吉田奈津子

 

参加者:全9名(レッスン生5名の他同伴家族2名を含む)

 

 

レッスン内容

1)声出し:

童謡(英語)I BOUGHT ME A CAT  

編曲:Aaron Copland

 

 

2)聖楽院体操

 

 

3)シューマンのチクルスを新訳詞と原詩で歌う

「女の愛と生涯」から

第1曲 Seid ich ihn gesehen(一目で好きになりました)

 

「詩人の恋」から

第1曲 In wunderschön Monat Mai(麗しの五月)
  

第5曲 Ich will meine Seele tauchen (百合の台の中に)
  

第7曲 Ich grolle nicht (嘆くまい)

 

 

解説:
❶ 声出しに用いた曲は、文化庁の派遣でニューヨーク留学から帰還したばかりのソプラノ隠岐彩夏さんの帰朝コンサートで披露されました。

 

隠岐さんの声は聖楽院が企画・制作した「藝術歌曲集小倉百人一首No2.トスティ50番(高声)で歌う」のCDに収録されています。

 

譜面上の指示がEasy goingなので、誰でも気楽に歌ってよい子供向けの曲です。

 

登場するのは8種の牝の動物(もっとも、その1種は妻)とそれぞれの個性あふれる鳴声?

 

英語での擬音語の感覚は、日本語のそれとは大きく異なりますが、そこがまた面白いです。

 

動物の種・・・鳴声

My cat・・・fiddle eye fee

My duck・・・Quaa, quaa

My goose・・・Quaw, quaw

My hen・・・Shimmy shack, shimmy shack

My pig・・・Griffey, griffey

My cow・・・Moo, moo

My horse・・・Neigh, neigh

My wife・・・Honey, honey

 

 

❷ 聖楽院体操とは、お馴染み水氣道準備体操(イキイキ体操)の前編です。
  

水氣道の進歩は、そのまま聖楽院の進歩に直結しています。

 

 

❸ 2月の下旬以降は、本格的にシューマンのチクルスの稽古に入ります。
  

聖楽院方式のレッスンで、楽しく稽古が展開していくことになるでしょう。

第1章 理論の性質

 

新しい心身医学療法の理論は実践から導き出されるという観点は、聖楽療法においては特に真実です。その理由は、聖楽療法には固有の理論と方法があり、既存の理論にのみにその基礎を置いていないからです。

 

心身医学療法とは、そもそも1990年(平成2年)4月の健康保険点数改正に際して、厚生省(当時)によって作られた言葉です。

 

心身症の患者について、一定の治療計画に基づいて、身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにするとともに、心身症の患者に対して心理的影響を与えることにより、症状の改善または傷病からの回復を図る治療方法を総称するものです。

 

ここで指摘しておきたいことは、「身体的傷病と心理・社会的要因との関連を明らかにする」手続きは診断の過程で始められるということです。ただし、実臨床においては、治療が進んでいく過程で徐々に明らかになっていくことが多いです。

 

そして、心身医学療法の治療アプローチとしては心身症の患者に対して「心理的影響を与えること」によるとされます。

これは単なる心理療法ではなく、治療原理や方法において心理的影響を与えることを不可欠の要素としている治療法です。

 

そして心理療法と心身医学療法の違いは、前者が心理的側面での治療効果を挙げることが目的であるのに対して、後者は身体疾患としての心身症を治療することまでを最終目的とするところにあります。

 

しかし、こうした理論や医療制度の骨格の基礎が定まったにもかかわらず、日常診療において心身医学療法が十分に普及し、実践において有効に機能しているとはいえないのが現状です。

 

その理由は、心身医学やその理論にもとづく心身医学療法という立場は、ややともすれば実際の現場での経験を集積し、整理して、理論の妥当性や有効性を検証していくだけの視点となってしまうからです。

 

実臨床のためには、そのような視点だけでは不十分です。臨床実践の現場を広くとらえ、医療機関内だけでなくコミュニティでの経験の場を形成し、その場で経験できた成果をもとに新しい治療法を創造・開拓して治療手技の改良を図っていくことがどうしても必要になってきます。

 

つまり、新しい心身医学と新しい心身医学療法を求め治療者自らもレッスンに参加して、常に生き生きとした発展性のある治療体系を生み出すことが不可欠であると考えます。

 

新しい心身医学の開拓者は合理的に実践に取り組みながら、その治療法が患者の生活をどのように高めるかを発見し、実践をさらに発展させてきました。

 

実践が十分に卓越して成功を収めると、なぜその実践が効果的なのかを論理的に説明するための理論が構築されるようになります。

 

心身医学療法のパイオニアたちが行った直観的な実践の後により多くの療法士たちが続くようになってはじめて実践の基礎として使える一般的な指針(ガイドライン)を作ろうとする人の関心を引くことになります。

 

理論とは、現実の社会を生きている人間が作り上げた実用的機能を備えた構成概念であるべきものです。

なぜなら理論は実践に結びついてはじめて生きた理論となるからです。

 

そして、今もこれからも生き続けていく理論は人間の精神の産物であるだけでも、理論が単に現象を説明することにとどまるだけでなく、社会的に有効に用い続けられていくべきものだからです。

聖楽院のワークショップはセラピーを目的としています。

しかし、その方法は音楽芸術を磨くための優れた方法を採っています。

ですから、レッスン生の皆様は治療を受けている患者としての意識でなく、カルチャーセンターのレッスン生としての感覚で楽しんでいただくだけでよいことになります。

 

今回は、第3回合同稽古に参加されたレッスン生の体験レポートを紹介します。

 

 

テーマ <臨床聖楽法における「意識」の持ち方>

 

報告:聖楽院基礎科B組レッスン生 植田栄喜

 

監修:聖楽院主宰 飯嶋正広

 

 

以下は、植田さんのレポートをもとに編集したまとめです。

 

1)姿勢:

楽譜を高く持つように意識する

  

視線が下がると喉がしまってしまうので目線を上げて遠くへ声を飛ばすようにすると全体的に声が大きくなっていた。

 

2)呼吸:

ブレスの場所を意識する

  

ブレスの準備が出来ていると心理的な余裕も出来たからか柔らかく歌えていた。

 

3)読譜:

音符の付点を意識する

  

音符の長さを確認しながら、その後に来る歌詞をしっかり発音すると音が綺麗に聞こえた。

 

4)発音:

母音を意識する

  

高音を延ばすのに歌詞の後に母音を入れて歌ったり、歌詞の前に「ん」を入れて歌ったりするだけで、とてもスムーズに音が出て楽に歌えた。

 

5)発声:

顎の根元から耳の裏にかけてのラインを意識して声を出す

  

口を大きく開けることで声を遠くに飛ばせていた。

 

6)発語と歌唱:

歌詞毎に区切りを意識して歌う

  

フレーズの区切りを意識することで、聞いている人に日本語としてはっきりわかりやすく伝えることができた。歌っていても歌詞の意味をしっかりと理解しながら歌えた。

 

 

如何でしたでしょうか。とても優れたレポートです。

 

聖楽院で実際に行っている「臨床聖楽法」の基本を、実体験を通して体系的にまとめた、わかりやすいリポートであると思います。

 

他の参加者の皆様のレポートも大いに歓迎いたします。

2020年2月9日(日)

 

時間帯:10:00~13:00

レッスン場所:セシオン杉並第二音楽室

 

進行:聖楽院主宰 飯嶋正広

 

声楽指導:聖楽院協力アーティスト ソプラノ野上由美(11:00~13:00)

 

ピアノ伴奏:聖楽院協力アーティスト、B組主任ピアニスト吉田奈津子

 

 

レッスンプログラム概要

Part1(10:00~10:55):担当/飯嶋正広

準備と復習・・・体慣らし、発声練習、日本歌曲(各組)

体慣らしのための聖楽院準備体操(水氣道イキイキ体操前編)は
植田栄喜さんがファシリテーターを務めた。

 

各組の歌唱:

C組「ゆりかご」平井康三郎(詞・曲)

復習のポイント:ブレスの準備

⇒皆の息が合うと気持ちに余裕が生じ、無理のない呼吸による伸びやかなフレーズが生まれる。
    

B組「砂山」北原白秋/山田耕筰

復習のポイント:姿勢・楽譜を掲げる位置

⇒視線の方向も姿勢や呼吸に大きな影響を及ぼす。

 

A組「希望」北原白秋/團伊玖磨

復習のポイント:他のレッスン生の指導内容を聴く

⇒他のレッスン生に対する注意は、即、自分たちの番に生かすことができる。

 

 

<小休憩>

Part2A(11:00~11:30):担当/飯嶋正広

 

日本歌曲(各班)の音取り

 

A-1班「お菓子と娘」

 

A-2班「野薔薇」

 

B-1班「鐘が鳴ります」

 

B-2班「くちなし」

 

C-1班「平城山」←臨床聖楽法・カウンターテナー唱法でのサポート

 

C-2班「九十九里浜」←臨床聖楽法・バス唱法でのサポート

 

<小休憩>

 

Part2B(11:35~12:20):担当/野上由美

日本歌曲(各班)の最重要ポイントレッスン(聖楽院方式・野上マジック)

ワンポイント修正のみで歌唱効果が見事に改善しました!

 

A-1班「お菓子と娘」

ポイント:歌詞のリズム・シラブルを生かした歌唱法

 

A-2班「野薔薇」

ポイント:長く伸びる母音の中での息と響きの共鳴を保持するためのテクニック

 

B-1班「鐘が鳴ります」

ポイント:顎関節を開く発声法により喉を解放させるテクニック

 

B-2班「くちなし」

ポイント:

① 中低音(明るく開いたキアーロな母音)
⇒高音(深みのあるスクーロな母音)

②歌唱表現のコントラスト(外の世界へ、内なる世界へ)

 

C-1班「平城山」

ポイント:しっかりしたブレスを準備して、息を遠くへ飛ばす

 

C-2班「九十九里浜」

ポイント:複合的なテクニック

 

<小休憩>

 

Part3(12:25~13:55):担当/野上由美

希望者のみ(計5名)・・・ソロ歌唱稽古(各班の日本歌曲課題)

残りの参加者全員が熱心に聴講しました。

 

A-2班「野薔薇」A組トリオレッスン

 

B-1班「鐘が鳴ります」B-1代表者ソロレスン

 

B-2班「くちなし」B-2代表者ソロレッスン