今月のテーマ<内分泌の特定内科診療>
高浸透圧高血糖症候群を合併した「糖尿病性ケトアシドーシス」 Vol.3
教訓:Ⅰ型糖尿病の患者さんはインスリンの継続的な補充が不可欠です。
注射を自己判断で中断することによって、急性の糖代謝障害が生じます。
1)著しい高血糖(細胞内に糖が吸収されなくなります)
2)脱水(高血糖により利尿が促進されます)
3)意識障害(脳神経細胞が糖を活用できなくなります)
4)高ケトン血症によるケトアシドーシス
(インスリン欠乏により、糖が利用できなくなると、
エネルギー源として脂肪酸が利用され、
その結果、有機酸であるケトン体が生じ、血液が酸性に傾くため、
呼吸数を増やして二酸化炭素を排出して平衡状態を保とうとし、呼吸困難が生じます。)
医療サイドとしては、インスリンの再投与開始により、急激な血糖低下を来たすと、
浸透圧も急速に低下するため脳浮腫や低カリウム血症が
起きやすいことに十分注意しなくてはなりません。
ただし、今回のケースでは、非常に高い血糖値のために糖尿病性昏睡を来していたことから、
その調節の兼ね合いの決定は困難を伴ったであろうことが推察されます。