(鍼灸)<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(8) ー 番外編 氣ー脾ー肺ー腎2>

<東洋医学の話をしよう3ー臓腑(8) ー 番外編 氣ー脾ー肺ー腎2>

<はじめに>

前回ー「氣」「脾」「肺」「腎」の働きについて復習しました。

 

 

今回は氣がどのように循環していくか説明した後に、私の体験をふまえ健康のために大切なことをお話します。

 

 

<「氣」の旅ー「脾」「肺」「腎」との関係について>

 

 

身体を「氣」というエネルギーが循環することで健康を保つ事ができると東洋医学では考えています。

 

 

「氣」が巡らないと生命活動ができなくなるからです。

 

 

それでは「氣」が全身に巡っていく過程を説明していきましょう。

 

 

(1).「脾」で飲食物を消化し「水穀の精微」という「氣」のもと(栄養素に相当)を作ります。

 

 

(2).「水穀の精微」が「肺」に運ばれます。

 

 

(3).外気である「清氣(せいき)(酸素に相当)」と「水穀の精微」が混ざって「氣」が作られます。

 

 

(4).「肺」による呼吸で全身に「氣」が巡ります。

 

 

(5).夜間に睡眠を取ることにより「腎」に「氣」が貯蔵され身体の活動を支えていきま す。

 

 

つまり、飲食物を「脾」で消化して「氣」のもと(水穀の精微)を作り

 

 

「肺」による呼吸の力で「氣」を全身にめぐらせます。

 

 

そして「腎」は「氣」を貯蔵するというわけです。

 

 

 

<健康のために大切なこと>

 

 

「食べる」「寝る」「呼吸」、活動を支えていくためにどれも大切なものです。

 

 

その中で、どれが一番大切でしょうか?

 

 

私は、「呼吸」であると考えています。

 

 

「食べる」「寝る」は1週間程度できなくても死ぬことはありません。

 

 

しかし、「呼吸」は5分もできないと死んでしまうからです。

 

 

「呼吸」によって「氣」が巡らないと「臓腑」が働けません(推動作用の障害)。

 

 

それにより、生命活動のもとである「氣」が作られなくなります。

 

 

「氣」が作られなければ体調の悪化が避けられません。

 

 

数年前、私は体調を崩し「食欲不振」「睡眠障害」になりました。

 

 

何より困ったのは、「呼吸がままならない」ことでした。

 

 

体に力が入らず、深い呼吸ができないのです。

 

 

溜め息ばかりついていました。

 

 

体は温まらず(温煦作用の障害)、手が冷えてしまい患者様に冷たい手で触れることになり迷惑をかけることもありました。

 

 

「氣」が巡らない(推動作用の障害)ので臓腑の働きが低下してしまいます。

 

 

「脾」の働きがさらに低下し飲食物の消化がままならなくなり、「氣」が作られないこと により体力が低下していきました。

 

 

「氣」が作られなくなれば「腎」に貯蔵された「氣」を消費してしまいます。

 

 

これを「腎虚(じんきょ)」といいます

 

 

さらに眠れないので「腎」に「氣」が貯蔵されることもないわけですから、

 

 

さらなる体力の低下が待っていました。

 

 

歩くのが辛くなり、何もかもが億劫になりました。

 

 

正しい姿勢を維持するのが困難で背中が丸くなってしまいました。

 

 

そうなるとさらに「呼吸」がしずらくなりました。

 

 

そこから回復するきっかけになったのは何だったのだろうかと今考えると、「深呼吸」であったと思います。(水氣道では金澤さんの理氣航法で習得できます)

 

 

胸部をのばすストレッチをして丸まった胸を開き、できる範囲で深呼吸を試みました。

 

 

ほんの少しだけですが、気持ちと体が楽になった感覚がありました。

 

 

(水氣道では姿勢が改善し呼吸が改善することによって動作や意識が改善します)

 

 

毎日少しずつ繰り返していきました。

 

 

少しずつ深い呼吸ができるようになるにつれ、体調が回復していったように思います。

 

 

薬の服用だけで体調が回復することは困難だったでしょう。

 

 

呼吸によって「氣」が巡らないと「血液」も巡らない(推動作用の低下)ので薬がきちんと運ばれないわけですから。

 

 

今は、暇を見ては「深呼吸」をするようにしています。

 

 

「呼吸」が健康の第一歩なのだと実感しています。

 

 

「呼吸」できることの喜びを日々感じて生きていきたいと思っています。

 

 

 

<まとめ>

 

 

「呼吸」「睡眠」「食事」は生きていくために大切なものです。

 

 

その中でも「呼吸」がいちばん大切です。

 

 

深呼吸」で「氣」を巡らせ健康を維持していきたいものです。

 

 

「呼吸」ができる喜びを噛み締めて生きていきたいものですね。

 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭