心療内科についてのQ&A
心療内科についてのQ&Aをご紹介いたします。
日本心療内科学会のHPで、心療内科Q&Aのコラムを読むことができます。
Q&Aは、想定した事例です。Q&Aや疾患についてのご質問、病院の紹介等は、受け付けておりませんのでご了承下さい。
※「質問」をクリックするとが表示されます。
と書かれています。
高円寺南診療所に通院中の皆様が、一般論であるこのQ&Aを読んでいただくためには、実際に即した具体的な解説が必要だと考えました。
そこで、「質問」「答え」の後に、
<高円寺南診療所の見解>でコメントを加えることにしました。
「質問1」
新しい上司は、前の上司と違って業績重視型で、職場の雰囲気が180度変わりました。
2ヶ月程経った頃から、37度4分ぐらいの熱が続いています。
平熱は36度2分です。
仕事を休む程ではないのですが、倦怠感が続いていて仕事にも支障が出そうで心配です。
どうしたらいいでしょうか?
「答え」
微熱と倦怠感が続き仕事にも支障が出そうな状況のようですので医療機関にかかることが必要だと思います。
年齢、性別などの情報がありませんので、何科に受診するのが最適か判断困難ですが、まずはかかりつけの内科でよろしいかと思います。
そこで、症状を起こしうる感染症などの病気がないかの診断を受けましょう。
微熱、倦怠感を引き起こす体の病気は少なくありませんが、診察(問診・身体診察)と必要に応じて最小限の血液検査(炎症反応、白血球数など)やレントゲン検査などで多くは診断がつきます。
例えば、結核、甲状腺の病気、関節リウマチなどが見つかれば、適切な治療が必要となるでしょう。
ご質問では、職場の雰囲気が全く変わって2カ月程度で体調不良を感じるようになったので、その環境の変化が症状に関係しているのではないかと心配されているようにも読めます。
もちろん、職場での環境変化という社会的要因が微熱、倦怠感を引き起こすことは考えられます。
一般的な診察・検査で体の異常がなく問題なしと判断された場合、あるいは解熱剤での対処のみの治療が続き改善がみられない場合などは、一度、心療内科を受診して下さい。
職場でのストレスと体の反応(発熱)について関係が深いかどうかの判断や、自律神経のバランス不全による症状が考えられるかの診断をつけることができるのが心療内科です。
また、うつ病・うつ状態による症状と考えられる場合も適切な治療法を提案できるのも心療内科の強みだと思います。
このように、症状に対して心身両面からの診断と治療をするのが心療内科の特徴とも言えます。
(金子 宏)
<高円寺南診療所の見解>
職場不適応と身体化障害【心因性発熱の疑い】
この症例のようなケースは高円寺南診療所でもしばしば経験しています。
さて回答者の金子宏先生の最近のプロフィールは、2006年4月 藤田保健衛生大学医学部内科学(心療内科)教授、2011年7月 星ヶ丘マタニティ病院副院長・内科部長です。
金子先生は、心療内科でしばしば遭遇する事例をもとに、医療機関の選び方について具体的に説明しています。
ここで、金子先生は、①まずはかかりつけの内科、そこで身体的な検査で異常が無ければ②心療内科の受診を勧めています。
これには少々説明が必要です。身体症状の種類と程度にもよりますが、この症例のようなケースであれば、最初から心療内科専門医を受診することができます。
心療内科専門医は、資格のある内科医なので、かかりつけの内科医として十分にその役割を果たすことができるからです。
しかし、実際には、心療内科専門医の数は全国的に診てもきわめて少数(2017年10月1日現在で118名)であり、しかも、地域差もあって、心療内科専門医が一人もいない県もあります。
たとえば関東地方では、心療内科医は東京都、神奈川県、千葉県に集中し、他の県(茨城、栃木、群馬、埼玉)にはいません。
学会のホームページは全国版であるため、上記のように説明せざるをえないのではないかと思います。
また、金子先生は、かかりつけの内科受診の後、必要な場合は心療内科の受診をすすめていますが、心療内科専門医が近所にいない地域で心療内科を受診するとなると、実際上は心療内科を標榜する精神科医を受診する確率が極めて高くなることが推定されます。
心療内科専門医数が最低10倍以上増えない限り、心療内科のQ&Aの回答も歯切れの良いものにはなりにくいのではないかと心配です。
高円寺南診療所を受診される皆様は、従来通り、かかりつけの内科医として受診していただくのが良いと思いますので、どうぞご安心ください。
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