<糖尿病性腎臓病(その2)>
先週に引き続き糖尿病性腎臓病についての話題です。
なぜ従来の糖尿病性腎症とは異なる糖尿性腎臓病が増えてきたのかの要因として考えられるのは、血糖コントロールの向上やレニン・アンギオテンシン系阻害薬の普及といった治療法の進歩です。
その他の要因としては、平均寿命の延長に伴って腎機能低下に動脈硬化性の腎硬化症の関与が相対的に強まったことも挙げられます。
つまり、糖尿病に関連した腎疾患に動脈硬化や加齢などの要因が加わることによって糖尿病性腎臓病が発生することが推定されます。
現場の医療機関としての懸念材料は、糖尿病性腎臓病という病名が独り歩きして、詳細な定義までは整備されていない点にあります。
腎機能低下の定義については、慢性腎臓病と同様に、推定糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m²となっています。
いずれにしても、従来の糖尿病腎症の概念で診療に当たっていると、尿蛋白が陽性になった段階では腎機能低下が高度に進行して手遅れになってしまう可能性があります。
糖尿病性腎臓病という概念を導入することによって、糖尿病患者では早期から、尿たんぱくのみならずeGFRによる腎機能のフォローが必要であるということは、今後さらに強調されていくのではないかと思われます。
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