診察室から:6月19日(火)

<電話での、困ったお問い合わせ>

 

最近では少なくなりましたが、電話窓口でのお問い合わせで、開口一番『オタクでは、どんな治療をしてくれるのですか?』という質問がかなりありました。

 

問い合わせの主は医学のしろうとなので、やむを得ないのではありますが、最初に治療法ありき、という発想は今でも皆無ではありません。

 

 

このような質問者の意図をくみ取ることは簡単ではありません。

 

なぜなら、相手の状況がまったく不明だからです。

 

受話器を通して聞こえてくる声から、おおまかに想定できる話者の情報の限界は、男女の性別、おおよその年齢、声の活力の有無(呼吸機能)、聴覚機能、滑舌の良し悪し、性格(のんびり屋さんか、せっかちか?)などでしょうか。

 

これでは、おおよその診断すら不可能です。医療においては診断というプロセスが欠かせない、ということにお気づきでない方々が少なくないのは、残念なことです。

 

 

問い合わせの電話を最初に受けるのは、医師ではなく受付窓口の担当職員です。

 

ベテランの職員なので何とか対応できています。

 

かつては、対応困難で医師である私に指示を求めることがしばしばありましたが、私でさえ短時間で適切な対応をとることは、とうてい不可能なケースです。

 

 

その理由の一つは、この<短時間で>というのがポイントになってきます。

 

私は診療中であって、診療中の私の時間は、実は目の前の患者さんの時間なので、『院長につないでほしい』という、見ず知らずの方からのご要望にはお答えできないことが多いです。

 

 

以前から、不動産関係、金融関係、保険関係をはじめ先物取引などの業者から、患者や知人になりすましての営業電話も少なくありません。

 

電話で営業攻勢をしてくる業者の方々はストレスフルな日常を過ごして、中には精神的に追い詰められて、病んでいる方も少なくないようです。

 

そのことを知るにつれて、できる限り丁寧に対応するよう心掛けていきたいものです。もっともその仕事は私ではなく、窓口担当の職員です。

 

最近は、この種の電話で煩わされることが全くなくなったため、念のために野口氏に確認したところ、窓口で巧みにブロックしているようです。

 

営業の方も必至なのでなるべくストレスを与えないように、丁寧にお断りするようにしているようです。

 

その対応能力という点では、私自身はまだ自信はありません。

 

 

また英語での問い合わせの場合は、窓口から直接私に繋げられるので、診療を中断せざるを得ませんでした。

 

電話での英語は、慣れないとなかなか容易ではありません。特に相手が不安や焦りなどで早口になっていたり、泣き声混じりになっていたりすると、言葉を聞き取ることができず、お手上げの場合もありました。

 

こうしたケースに対応できるようにするために、水曜日の昼前と、土曜日の朝に各15分ずつネーティブ・スピーカーと電話でディスカッションする契約を組み、すでに数年間続け、いざというときに対応できるように心がけています。

 

 

ホームページの効用は、外国人の方にも重宝しているようです。

 

日本語の他に、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語で紹介していますが、よりニーズの多い中国語やスペイン語は、ようやく着手し始めている段階なので、いまだ発展段階にあります。

 

それでも、ホームページからアクセスしてアポイントを希望される外国人の患者さんが確実に増えているので確かな手ごたえを感じています。

 

このシステムのお蔭で英語等による診療も比較的スムーズです。

 

 

いずれにしても最近では、総じて診療中の業務中断は減少してきました。

 

インターネットをはじめ種々の通信メディアの発達に負うことが少なくないかもしれません。

 

各医療機関も規模の大小を問わず、インターネット上でホームページを公開することも一般的になってきました。

 

 

『オタクでは、どんな治療をしてくれるのですか?』という質問をよこしがちな方も、ひょっとしたら電話での問い合わせの前に、予めインターネットを通して情報を収集してくださっているのかもしれません。

 

たしかに、ホームページ上であれば、診療科目ごとにどのようなケアを提供できるのかを、電話よりもはるかに解り易くお伝えすることは可能だと思います。

 

 

今後も、多忙で、お急ぎの皆様や、外国人の皆様のためにも、ホームページをより見やすく、よりわかりやすく、より役に立つ内容となるよう、工夫と努力を重ねていきたいと思います。