今回は「番外編 その4」です。

 

いろいろな「助け合い」の在り方について、

 

今夏の北アルプス登山の経験を題材として今回も引き続きお話しいたします。

 

 

皆様もニュースなどでご存知かと思いますが、山の事故は、なかなか後を絶ちません。

 

経験の乏しい登山者ではなく、ベテランの中高年が事故に遭う、といったこともしばしば見受けられます。

 

防ぎようがなく、やむを得ない自然災害のほか、

 

一瞬の不注意・判断の誤りが事故につながらないとは限りません。

 

 

「慣れている」からといって、油断は大敵です。

 

 

もう15年近く前のことですが、私が北アルプスの難所、大キレットに行ったときのことです。

 

 

その時、少し足を滑らせて、ヒヤッとする経験をしたことを覚えています。

 

ちなみに、大キレットのキレットとは漢字で「切戸」と書きます。

 

長野県の南岳と北穂高岳の間にあるV字状に切れ込んだ岩稜帯です。

 

この縦走ルートは痩せた岩稜が連続し、

 

<長谷川ピーク>や<飛騨泣き>といった難所が点在しています。

 

毎年数名の死亡者と多数の負傷者が出ています。

 

国内の一般登山ルートとしては、今なお最高難度のルートの1つです。

 

(次回へ続く)

 

 

ストレス対処 MIYAJI 心理相談室(高円寺南診療所内)

 

主任 臨床心理士 宮仕 聖子

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

 

<ST上昇型急性冠症候群(STEMI)>

 

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)は、新規発症左脚ブロック、心筋トロポニンの正常値を超える一過性上昇・低下を来します。

 

トロポニンTは、急性心筋梗塞発症後3~4時間後に上昇し、正常化に2~3週を要します。

 

 

ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)に対する緊急経皮的冠動脈形成術(PCI<先週説明いたしました>は迅速に行うことによって致命率、成績が大きく異なるため、救急搬送されてから迅速にPCIが行える体制が整備されつつあります。

 

STEMIに対する治療は、抗血小板療法やPCIの進歩により成熟しつつあります。

 

出血合併症が急性冠症候群の予後に大きな影響を与えるため、橈骨動脈からのPCIが出血合併症を減少させ予後の改善につながることが明らかにされました。

 

 

しかし、いまだに心原性ショックを伴うSTEMIの救命率は十分ではありません。

 

大動脈バルーンポンプ(IABP)の効果は確立しておらず、左室補助ポンプの効果が期待されています。

 

 

急性心筋梗塞に対する新規抗血小板薬2剤併用血小板療法(DAPT)には2つの意義がります。

 

 

①不安定プラークを有するハイリスク患者に対する抗血小板療法の強化

 

不安定プラークとは、薄い繊維皮膜におおわれているコレステロールの結晶のことです。

 

この結晶が破れると血栓ができてしまうことで、不安定狭心症や急性心筋梗塞、脳梗塞などの病気を引き起こす場合があります。

 

不安定プラークの治療法は、血圧を下げる薬物療法があり、またストレスの大きい生活から入院に切り替え、

 

安静にして血圧が下がるまで入院すること、食事制限を徹底した治療をすること、が賢明な対策です。

 

 

②(基本的にはPCIで治療中)冠動脈ステントに対するステント血栓症予防

 

1年間はDAPTを継続することが原則であることは変わりません。

 

一方で薬剤溶出ステントの安全性が顕著に向上し、急性心筋梗塞に対する使用も推奨(クラスⅠ)されるようになりました。

 

ステントとは、ステンレスなどの金属でできた小さい網目模様の筒を乗せた構造をしています。

 

冠動脈の狭窄部位でステントを風船のようにふくらませます。

 

このように拡張することで動脈硬化部位を広げることができます。

 

ステントを使って広げると、ステントが支え棒のようになって固定され、しっかりと広げることができます。

 

ただし、植え込まれたステントは取り出すことはできません。

 

親水航法が従来のすり足・なんば・そぞろ歩きに二つの航法を加え五航法となりました。

 

今回は、親水五航法についてです。

 

 

深いプール(杉十・上井草)では従来どおり親水三航法で、

 

親水第一・第二・第五航法として継続します。

 

浅いプール(ハイジア・大宮前体育館)では新たな親水航法(親水五航法)を採用し、

 

親水第一から第五のすべての航法を行います。

 

 

 

<親水五航法の紹介>

 

〇親水第一航法:すり足歩き

 

手を前後(特に後ろを)に大きく伸ばし、水面で水をつまむようにします。

 

手と足は互い違いに動かします。

 

 

〇親水第二航法:なんば歩き

 

手を前後に大きく伸ばし、水面をつまみます。

 

手と足は同じ側を出します。

 

 

〇親水第三航法:前膝伸ばし歩き

 

前方大きく踏み出し、後ろ側の脚を伸ばした状態で沈みこみます。

 

後ろに残した足の、大腿前側が伸びように意識して動きます。

 

 

〇親水第四航法:後膝伸ばし歩き

 

前に踏み出した足を伸ばし、そのまま沈みこみます。

 

前屈した時のように、大腿の裏側が伸びるのを意識します。

 

 

〇親水第五航法:そぞろ歩き

 

全身の力を抜きます。特に肩・首・顎の力を抜いて歩きます。

 

首の力を抜くため頭は上を向き、顎はやや開いた状態で、

 

バランスをとりながら静かに漂うように歩きます。

 

 

文責:水氣道准3級特別訓練生 野口将成

呼吸器 / 感染症 / 免疫・アレルギー・膠原病

 

<発熱性好中球減少症>

 

高円寺南診療所では、概ね3か月に1回程度の血液検査を実施しています。

 

それによって、治療の経過を評価したり、副作用発現を早期に把握したりすることが容易になるからです。

 

一般に末梢血液中の好中球数が500/μℓ以下の状態を無顆粒球症といいます。

 

 

無顆粒球症の原因は、①感染症(ウイルス、チフスなどの細菌)、②薬剤性、③放射線、④反復性の輸血などですが、圧倒的に多いのは薬剤の副作用です。

 

 

それでは、どのような薬剤が原因となるのでしょうか。

 

 

高円寺南診療所で経験したのは、抗甲状腺薬です。

 

この薬は、バセドー病など甲状腺機能亢進症の治療のため日常診療でもしばしば使用せざるを得ない薬剤です。

 

その使用に関しては、副作用としての無顆粒球症の存在に常に注意しておく必要があります。

 

つまり、抗甲状腺薬使用にて、白血球が激減し、貧血や血小板減少がみられない場合には、

 

まず無顆粒球症の合併を考えなくてはならないということです。

 

 

その他、常に警戒すべきは、抗菌薬、抗てんかん薬(フェニトイン)、消炎鎮痛薬(アミノピリン、アスピリン)、抗癌薬ピルなどです。

 

 

高円寺南診療所では、抗菌薬の長期投与例はほぼ皆無であり、フェニトインを抗てんかん薬として用いることはないので、

 

問題はアスピリン投与者、担癌患者、避妊女性もしくは婦人科疾患患者群です。

 

アスピリンは消炎鎮痛剤としてよりも抗血小板薬として血栓形成の予防のため脳卒中や心筋梗塞再発防止のために使用していることが多いです。

 

また日本人の死因のトップが癌であることもあり、抗がん剤治療中の患者さんも多数来院しているほか、

 

抗リウマチ剤の基本薬物であるメトトレキサート(葉酸拮抗薬)も抗がん剤に分類されることがあります。

 

なお、現代女性のライフスタイルの変化もあってかピル服用中の方も増えております。

 

 

無顆粒球症の自覚症状としては、発熱(重症感染様)のみということもあります。咽頭・扁桃に白苔を伴う潰瘍形成を確認することもあります。

 

 

なお抗癌薬の副作用による死亡原因のなかで、発熱性好中球減少症によるものが第1位です。

 

経験的抗菌薬療法が確立する以前には、その死亡率は75%にも達していました。

 

発熱性好中球減少症の定義は、絶対好中球数が500/mm3未満、もしくは1,000/mm3未満で500/mm3未満になることが予測される状況下で、

 

38.3℃以上の発熱あるいは1時間以上継続する38℃以上の口腔内温が生じている状況です(「腋窩温」で37.5℃以上)。

 

 

抗癌薬化学療法中で発熱を認めた場合には、すべて発熱性好中球減少症を疑います。

 

一般的には、抗癌薬投与後10~14日で好中球は最小となります。

 

高齢者やステロイド投与中の患者では発熱が弱い、もしくはないこともあるので注意が必要です。

 

 

この病気は速やかな対応が求められる、内科的緊急の病態であり、発熱から治療開始まで60分とするよう推奨されています。

 

的確なリスク評価と治療開始の判断を、迅速に行う必要があります。

 

判断に迷う場合は腫瘍内科医もしくは感染症科医へのコンサルトを躊躇しないこととされます。

 

 

いずれにしても早期発見、原因薬剤の即時中止、感染症予防が最重要です。

 

 

薬剤性の無顆粒球症では、薬剤の即時中止と抗菌薬の投与を行います。

 

 

無顆粒球症では細菌、とりわけ緑膿菌よる敗血症を合併しやすく、その場合は致命的です。

 

好中球の早期回復を目的としてG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を投与することもあります。

 

なお無菌室に収容することが望ましいです。

消化器系の病気

 

原発性肝癌

 

わが国の癌のうちで、肝細胞癌は男性で4位、女性で6位なので頻度が高い方です。

 

意外な盲点であったかもしれません。

 

年間の死亡数は約3万人です。

 

肝細胞癌にも種類がありますが、95%が肝細胞癌です。つまり、原発性の肝がんです。

 

 

原発性というのは、発病原因が特定の臓器や器官の障害にあることが明確な病気のことです。

 

脳腫瘍や原発性肝がんの他に脳腫瘍などがあります。

 

これに対して、別の原因によって特定の臓器や器官などに障害が起こる病気のことを、続発性または二次性疾患と言います。

 

たとえば、腎機能や内分泌機能などの障害によって起こる二次性高血圧や、

 

腎機能異常に原因がある二次性副甲状腺機能亢進症などがこの例にあたります。

 

 

国民二人に一人は癌にかかるとされています。

 

それでは、盲点であったかもしれない肝がんにならないためには、どのようにしたらよいでしょうか。

 

そのような場合は肝がんの原因を考えてみることです。

 

それでは、列記してみます。

 

 

肝炎ウイルス、アルコール、かびの生えたピーナッツ(かびが産生するアフラトキシンが原因)、ホルモン剤(特に、経口避妊薬)など。

 

 

肝がんにならないためには、B型やC型の肝炎の予防もしくは治療を徹底しておくこと、

 

お酒を飲み過ぎないことの他に、ピルがあるのです。

 

このことも盲点かもしれません。

 

ピルには様々な副作用がありますが、ご使用になっている女性は、一応、頭の片隅に置いておくことをおすすめいたします。

 

 

また危険因子としては、肝硬変、慢性肝炎(C型、B型)、男性、高齢、アルコール摂取、喫煙、肥満、糖尿病などがあります。

 

 

なお、肝がんに限らず、喫煙と糖尿病は多くの癌の危険因子です。

 

喫煙の癌リスクは肺癌だけだと考えている方がまだたくさんいらっしゃるので気になるところです。

 

 

肝臓がんは、自覚症状に乏しいので、気づかれにくいです。

 

癌が進行して初めて腹水・黄疸が出現することが多いです。

 

全身倦怠感、腹部膨満、腹痛などが比較的初期の症状として現れることがあります。

 

 

早期発見のためには、超音波検査と腫瘍マーカー測定が重要です。

 

また、C型慢性肝疾患、B型慢性肝疾患、非ウイルス性肝硬変がある方は肝細胞癌のスクリーニングを定期的に行うべきであるとされています。

血液・造血器の病気

 

多発性骨髄腫

 

多発性骨髄腫(MM:Multiple Myeloma)は、

 

「骨髄腫細胞」が主に骨髄で増え続け、体にいろいろな症状があらわれる病気です。

 

 

40歳未満での発症は非常にまれで、年齢が進むにつれて発症数が増加し、性別では男性にやや多い傾向があります。

 

わが国では1年間に人口10万人あたり5人発症するといわれています。

 

多発性骨髄腫は無症状の場合もあり、血液検査、尿検査で異常を指摘されてはじめて発見されることも少なくありません。

 

最近では、健診や人間ドックの血液検査で異常が発見され、精密検査で多発性骨髄腫と診断されることが増えています。

 

 

血清アルブミン値と血清β₂マイクログロブリン値によって3つの病態水準を分類します。

 

さらに2015年には血清LD値が正常上限より高い場合や、

 

FISH検査で3つの染色体異常、del(17P),t(4;14),t(14;16)が認められる例では予後不良であることが示されました。

 

 

一般的には慢性の経過をたどりますが、まれに急激に進行する場合もあります。

 

また、症状についても個人差が大きく、個々の患者さんの病状に合った適切な治療を選択することがとても重要になります。

 

骨髄腫細胞には、さまざまな遺伝子や染色体の異常が生じていることが知られていますが、その原因ははっきりしていません。

 

 

この病気のしくみを理解するためには、血液に関する若干の予備知識が必要です。

 

まず、血液中には酸素を運搬する赤血球、出血を止める働きがある血小板、免疫をつかさどる白血球やリンパ球などの血液細胞があります。

 

これらはそれぞれ体を守るために大切な役割をもっており、

 

造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)と呼ばれる細胞から、

 

それぞれの形態・機能をもつ血液細胞に成熟していきます。この過程を分化といいます。

 

 

多発性骨髄腫は、これら血液細胞の1つである「形質細胞(けいしつさいぼう)」のがんです。

 

形質細胞は、骨髄(「血液の工場」)で造られる血液細胞のうち、白血球の一種であるB細胞から分かれてできる細胞です。

 

この細胞は、体内に侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守ってくれる「抗体」をつくる働きをもっています。

 

この形質細胞ががん化して骨髄腫細胞になり、多発性骨髄腫を発症します。

 

 

骨髄腫細胞は骨髄の中で増加し、異物を攻撃する能力がなく、

 

役に立たない抗体(これをMタンパクと呼びます)をつくり続けます。

 

これらの骨髄腫細胞やMタンパクが、さまざまな症状を引き起こします。

 

多発性骨髄腫では、骨髄の中で増殖した骨髄腫細胞によって、

 

正常な血液細胞をつくり出す過程(造血)が妨げられるために、

 

貧血による息切れ・だるさや、白血球減少に伴う感染症、血小板減少による出血傾向などが生じます。

 

 

また、骨髄腫細胞が正常な形質細胞の居場所を占拠してしまうために、

 

免疫機能の低下(正常な抗体産生の減少)を来します。

 

 

さらに骨髄腫細胞が無制限に産生するMタンパク(異常免疫グロブリン)による症状として、

 

腎障害や血液循環の障害(*1過粘稠度症候群:かねんちょうどしょうこうぐん)や(*2 アミロイドーシス)が起こります。

 

 

免疫機能が低下すれば肺炎や尿路感染症などの感染症が起こりやすくなります。

 

また、骨髄腫細胞によって刺激された破骨細胞(はこつさいぼう:骨を溶かす細胞)が骨の組織を破壊してしまい、

 

骨痛や病的な骨折(*3 圧迫骨折)、脊髄(せきずい)圧迫による麻痺(まひ)(*4 脊髄圧迫症状)などに加えて、

 

血液中にカルシウムが溶け出すことにより高カルシウム血症が起こることがあります。

 

さらに、各臓器の機能も低下するなど、さまざまな症状を引き起こします。

 

 

※1 過粘稠度症候群:血液中のMタンパクが大量に増加することにより、血液の粘性が高くなり、血液の循環が悪化する状態。

 

*2 アミロイドーシス:Mタンパクの一部がさまざまな組織に沈着して、臓器機能を低下させる状態。

 

*3 圧迫骨折:脊椎(せきつい)の強度が弱まり加重によって押しつぶされること。多発性骨髄腫で骨髄腫細胞の影響で骨が弱くなり、骨折しやすくなる(病的骨折)。

 

*4 脊髄圧迫症状:脊椎が変形して神経が圧迫されるために生じる疼痛(とうつう)・手足のしびれ・麻痺、排尿・排便の障害などの症状を指す。

テーマ:

線維筋痛症診療のお問い合わせ電話で受付担当者が困惑していること。

 

<御意見、ご感想をお待ちいたしております。>

 

 

パターン1:

(場面)当方の事務職員が、電話をお受けした途端

 

 

(状況)<線維筋痛症の件で>と切り出され、明確なご用件をお伝えくださらぬまま、

 

いきなり一方的にご自分の病状経過を怒涛のようにお話はじめ止まらなくなるケース。

 

時系列的に一気に早口で、しかもエネルギッシュ、相槌も打てない状態が延々と続きます。

 

【すべての経過を相手に聞かせてからでないと話を先に進めることができない】と思い込まれているかのようだそうです。

 

 

⇒ 御自分の苦痛や苦悩を、誰かにしっかり訴えたい、というお気持ちが強いことがうかがわれます。

 

おそらく、周囲の人々に、何度も同じように訴えてこられたのではないでしょうか。

 

専門家でない一般の方が、このような状態にある方の訴えを受け止めることは相当な困難を伴うことが想定されます。

 

もっとも、専門家であれば特別な責任が発生しますので、一般の方とは質的に違った困難に直面することになります。

 

 

 

パターン2:

(場面)根気を要する傾聴の後、ようやく相互の対話や質疑応答による情報交換の段階に入ったかという段階

 

 

(状況)すでに自覚症状について詳細をお話いただいたにもかかわらず、

 

必要なコミュニケーションの流れを何度も中断し、

 

<痛み>や<苦悩>のテーマに逆戻りしてしまうケース。

 

 

【医療機関として必要不可欠な段取りや手続きのご説明について十分にお伝えすることが困難を極めます。】

 

 

⇒ このパターンもパターン1との類似点がありそうです。

 

とにかく、<今、この瞬間、この場で、自分を受け止めてほしい、無条件で理解してほしい、あるいはそんな自分の存在を見捨てないで欲しい>

 

という魂の叫びを聴く思いがいたします。

 

しかし、このような面識のない方との電話でのやりとりのプロセスは、

 

医療、とりわけ保険医療の限界を超えたご要望であることを正しく冷静に受け止めていただかざるを得ません。

 

あるいは、社会全体で対策を講じ、支えていくべき性質の訴えが、そこには内在しているのではないでしょうか。

 

 

 

パターン3:

(場面)必要な手続きや規則などのシステムをご説明した後

 

(状況)準備手続きを省略し、原則を無視して、例外的に、その当日すぐに診察して欲しい、というケース。

 

 

⇒このパターンの方は、医療機関にとって不可欠な手続きが

 

患者であるご本人の利益の確保のために必要であることを

 

ご理解されていないのではないでしょうか。

 

 

ご自分に対して誠意をもって支援したいと願っている周囲の人々や医療機関が見つかっても、

 

そうした善意の人々の困惑させることが、御自分自身にとっても損失と無駄を生むことにお気づきではないようです。

 

医療機関を受診するための最低限のルールとマナーの意味について、

 

冷静な判断に辿り着くことができない状態にあるのではないでしょうか。

 

 

 

パターン4:

(場面)最初、やり取りの途中、受診決定のための最終過程、のいずれの段階でも遭遇する場面です。

 

 

(状況)<生活保護受給者で弱者なので、特別の配慮と支援があって当然である>

 

という含みでたたみかけてこられるケース。

 

 

⇒弱者は生活保護受給者ばかりではありません。また生活保護受給者がすべて弱者であるとも限りません。

 

このような方々の多くは、ご自分自身を社会的弱者だとお考えになっているようにお見受けします。

 

そのようなお考えの方々をも必死に支えている多くの善意の人々や医療機関も同じ弱者の仲間である、

 

という気づきを期待することは難しいことのようです。

 

 

ただし、両者の違いは、<希望を失った弱者と自らを見なしている存在>なのか、

 

<希望を持った弱者>なのか、というあたりにあるのではないか、と思います。

 

 

医療機関は、たとえ弱者であっても、希望を失ってしまっては世間様に対して何のお役に立つこともできません。

 

医療機関は希望を失わないでいる限り、癒しのわざを発揮できる可能性をもった組織なのだと思います。

 

 

高円寺南診療所は、希望を失わない、という前提で、より弱者の立場にありたいと願ってきました。

 

しかし、これを逆に申し上げれば、私共を<希望を失った弱者>に引きずり込もうとする他者に対しては、

 

たとえ相手がどなたであっても、徹底的に抗議する姿勢を貫く立場にあることも明言させていただきたい、と存じます。

 

 

 

パターン5:

<障碍者として認定して欲しい>というケース。

 

障碍者の認定基準に該当しないのに、障碍者として認定して欲しい、

 

という御要望にお応えすることは不可能です。

 

 

高円寺南診療所の弱者の定義でいえば、そうした一方的な自己主張をされる方は、弱者とはみていません。

 

 

私共のいう弱者とは、社会全体で対策を講じ、皆で支えていくべき性質の問題を抱えながら、

 

かつ、当然の権利を持ちながら誰からも支援を受けることのできない個人や組織を意味します。  

 

 

なぜ、高円寺南診療所が弱者なのか、という御質問に対しては、

 

疾病や病人の中には、社会全体で対策を講じ、皆で支えていくべきであるはずなのに、

 

そこから漏れてしまったような皆様、つまり、真の意味での弱者に相当する皆様を応援し続けているからです。

 

 

たとえば、わが国の医療制度、とりわけ保険医療制度の中できちんと救済すべき策を講じるべきであるのに、

 

制度の不備や視野の狭さのために救済されていない方々を、国家や社会全体に欠落した役割を補い、

 

何とかお支えしたい、希望を持ち続けていただきたい、そう願って誠実に実践すれば、

 

医療機関は、少なくとも経営的・経済的な弱者に陥ります。

 

 

国家や自治体、地域共同体に臨みたいことは、弱者を支えようとしている真の弱者こそを支えていただきたい、

 

少なくとも、その試みを妨げないでいただきたい、ということに尽きるのではないかと考えております。

 

 

“他者を助け、支える者たちへの配慮” これが無視され続けていくならば、

 

わが国の医療・介護・福祉は崩壊していかざるを得ないのではないでしょうか。

突然ですが、Nogucciお盆に消息が分からなかった母に会ってきました。

 

およそ30年ぶりでした。

 

いろいろありましたが、一区切りできました。

 

Nogucciは生まれ変わって、更に精進していきます。

 

 

という訳で、Nogucciの懺悔録は最終回です。

 

 

 

と思ったのですが…

 

まだまだ「やらかしてしまう」ことが多いので

 

 

続けさせていただきます。(ドクトル飯嶋には、まだ内緒です)

 

 

しっかりと日々の反省をして、次につなげるために懺悔していきます。

 

 

皆様、改めてよろしくお願いします。

 

総合内科

 

意識障害の対応②

 

日本では、意識障害の程度は、簡便なJapan Coma Scale(JCS)が広く用いられてきましたが、これとて毎日のように使用していないとすぐには使えません。

 

それにもかかわらず、ずっと複雑なグラスゴー昏睡尺度GCS(Glasgow Coma Scale)が世界標準の意識障害の尺度として重要になってきています。

 

特に、脳神経外科や救急医療でよく用いられます。災害の多い日本では、内科医もGCSの評価法に習熟しておく必要がありそうです。

 

GCSの評価法は、E(開眼機能:1~4点)、V(言語機能:1~5点)、

 

M(運動機能:1~6点)の3つの合計点(3~15点)で評価します。

 

記述は、「E 点、V 点、M 点、合計 点」と表現されます。

 

つまり、正常であれば15点満点ですが、深昏睡は3点。

 

点数は小さいほど重症です。

 

 

開眼機能(Eye opening)「E」

 

〇4点:自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼

 

〇3点:強く呼びかけると開眼

 

〇2点:痛み刺激で開眼

 

〇1点:痛み刺激でも開眼しない

 

 

言語機能(Verbal response)

 

〇5点:見当識が保たれている

 

〇4点:会話は成立するが見当識が混乱

 

〇3点:発語はみられるが会話は成立しない

 

〇2点:意味のない発声

 

〇1点:発語みられず

 

なお、挿管などで発声が出来ない場合は「T」と表記する。 扱いは1点と同等である。

 

 

運動機能(Motor response)「M」

 

〇6点:命令に従って四肢を動かす

 

〇5点:痛み刺激に対して手で払いのける

 

〇4点:指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める

 

〇3点:痛み刺激に対して緩徐な屈曲運動(除皮質姿勢)

 

〇2点:痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢)

 

〇1点:運動みられず

 

以上をまとめてみます。グラスゴー昏睡尺度によって定義できる意識水準健常とは

 

<自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼>し、<見当識が保たれている>人であり、

 

かつ<命令に従って四肢を動かす>ことができる水準、です。

 

 

これに対して、グラスゴー昏睡尺度によって定義できる昏睡とは

 

<痛み刺激でも開眼しない>人であり、<発語みられず(挿管などで発声が出来ない)場合を含む>かつ<運動みられず>という水準、ということになります。

》往く週《 9月13日:第24回聖楽院週例コンサート(90分特別プログラム)

 

担当ピアニスト 鈴木美穂(聖楽院協力ピアニスト)

 

<鈴木美穂は第一週の担当ですが、今月は変則的に第二週を担当します。>

 

 

鈴木美穂は、音海水曜コンサートの立ち上げの功労者であり、今年の10月で早くも3年目を迎えます。

 

今回はブラームスのピアノ曲にチャレンジしました。作曲家である夫君と共にブラームスに傾倒しているとのことです。

 

 

フルート富永綾香の演奏をすぐ隣で聴いていました。

 

すると、彼女の息さばき、ブレス処理の丁寧さ、純正さ、秘められた熱情などをダイレクトに感じ取ることができました。

 

演奏曲はビゼーの「アルルの女」より<メヌエット>、シュテックメストの「歌の翼」による幻想曲の2曲のみでしたが、その2曲には彼女の若々しい芸術性がしっかりと注ぎこまれて充実した音楽を形成していました。

 

彼女は、今年の7月初旬に東京オペラシティ、リサイタルホールにて各音楽大学より推薦された若手フルーティストとして見事デビュー・リサイタルを果たしました。

 

今後は、聖楽院においてもフルートを中心とした豪華なプログラムを検討したいと考えているところです。

 

 

特記事項としては、第3週先任の佐々木理之氏の他、作曲家でベーシストである澤田譲治氏が聴衆として応援に駆けつけてくれたことです。

 

また、印象深い対話として、「音楽は薬である」という話題の中での、澤田氏の「いや、音楽は毒にもなりうる」との言葉です。

 

芸術音楽の本質である天と地と人を繋ぐ精神性の基軸を見失ってしまうと、その音楽は品格が損なわれ、芸術の本質が崩壊してしまうことは確かであると思います。

 

聖楽院は、今後も芸術性、精神性そして品格を大切に育んでいけるように協力アーティストが一致入して精進して参りたいと思います。

 

 

 

 

来る週9月20日:第25回聖楽院週例コンサート(90分特別プログラム)

  

 

担当ピアニスト 佐々木理之(聖楽院ピアノ演奏科主幹)

 

 

聖楽院の90分プログラムは、今年いっぱいで終結します。

 

来年からは、従来の90分プログラムは75分プログラムに短縮し、終演は8:15pmとなります。

 

その代り、内容の密度はさらに濃いものとし、

 

しかもMusic Chargeは¥1,500から¥1,200に減額して、

 

聖楽院を支援してくださっている観客の皆様の御恩顧に応えたいと考えています。

 

 

今回は、定番のピアノ演奏、サックス演奏に加えて、クラリネットの演奏をお楽しみいただくことができます。

 

また、平成29年度第3回試演会もプログラムに盛り込まれ、フルート演奏をご提供いたします。

 

今回の試演会は、これまで以上に聖楽院らしい内容となることをお約束します。

 

それは試演会参加者の課題曲としてコンコーネ50番、トスティ50番を指定したことによるものです。

 

詳しくは第25回聖楽院週例コンサートをご参照くださいますように。多くの皆様の御来場をお待ちいたしております。

 

 

なお今後の予定ですが、

 

 

10月25日(水)第30回聖楽院週例コンサート

 

(音海水曜コンサート発足、通算100回目特別記念プログラム)

 

に特別出演のイタリア人アコーディオン奏者Ezio Ghibaudo氏のプログラムが決定しました。

 

聖楽院協力アーティストであるフルート西巻有希子とのアンサンブルもお楽しみいただけます。 

 

 

11月23日(勤労感謝の日)に開催予定の第1回聖楽院レッスン生内部発表会

 

のプログラムの骨格も出来上がりつつあります。

 

参加レッスン生は延べ11名(男性4名、女性7名)です。

 

指導はソプラノ小松奈津子、テノール藤原拓実、ピアノ伴奏は吉田奈津子です。

 

指導者による模範歌唱プログラム付で、フルート奏者による特別演奏も予定しています 。