日々の臨床9月18日月曜日<意識障害の対応②>

総合内科

 

意識障害の対応②

 

日本では、意識障害の程度は、簡便なJapan Coma Scale(JCS)が広く用いられてきましたが、これとて毎日のように使用していないとすぐには使えません。

 

それにもかかわらず、ずっと複雑なグラスゴー昏睡尺度GCS(Glasgow Coma Scale)が世界標準の意識障害の尺度として重要になってきています。

 

特に、脳神経外科や救急医療でよく用いられます。災害の多い日本では、内科医もGCSの評価法に習熟しておく必要がありそうです。

 

GCSの評価法は、E(開眼機能:1~4点)、V(言語機能:1~5点)、

 

M(運動機能:1~6点)の3つの合計点(3~15点)で評価します。

 

記述は、「E 点、V 点、M 点、合計 点」と表現されます。

 

つまり、正常であれば15点満点ですが、深昏睡は3点。

 

点数は小さいほど重症です。

 

 

開眼機能(Eye opening)「E」

 

〇4点:自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼

 

〇3点:強く呼びかけると開眼

 

〇2点:痛み刺激で開眼

 

〇1点:痛み刺激でも開眼しない

 

 

言語機能(Verbal response)

 

〇5点:見当識が保たれている

 

〇4点:会話は成立するが見当識が混乱

 

〇3点:発語はみられるが会話は成立しない

 

〇2点:意味のない発声

 

〇1点:発語みられず

 

なお、挿管などで発声が出来ない場合は「T」と表記する。 扱いは1点と同等である。

 

 

運動機能(Motor response)「M」

 

〇6点:命令に従って四肢を動かす

 

〇5点:痛み刺激に対して手で払いのける

 

〇4点:指への痛み刺激に対して四肢を引っ込める

 

〇3点:痛み刺激に対して緩徐な屈曲運動(除皮質姿勢)

 

〇2点:痛み刺激に対して緩徐な伸展運動(除脳姿勢)

 

〇1点:運動みられず

 

以上をまとめてみます。グラスゴー昏睡尺度によって定義できる意識水準健常とは

 

<自発的に、またはふつうの呼びかけで開眼>し、<見当識が保たれている>人であり、

 

かつ<命令に従って四肢を動かす>ことができる水準、です。

 

 

これに対して、グラスゴー昏睡尺度によって定義できる昏睡とは

 

<痛み刺激でも開眼しない>人であり、<発語みられず(挿管などで発声が出来ない)場合を含む>かつ<運動みられず>という水準、ということになります。