「腸内細菌と疾患」その3・・・腸内細菌叢「腸内フローラ」と係り続けてきた高円寺南診療所!

 

 

 

腸内細菌叢「腸内フローラ」の異常は、代謝・内分泌、免疫アレルギー、精神神経疾患、悪性腫瘍などの病気の発生母地となります。

アレルギー・リウマチ科、心療内科などを専門とする高円寺南診療所にとって

「腸内フローラ」のテーマは無関心ではいられません。

 

 

肥満を例に挙げると、肥満者の腸内細菌叢は大きく偏っていて、肥満者の肥満状態を助長し、

減量を困難にしています。

肥満者の腸内細菌叢は消化管内容物からのエネルギー回収効率に優れ、また末梢脂肪組織での

脂肪蓄積を促進するからです。

 

 

腸内細菌が腸管免疫や代謝を介して、炎症・免疫反応をもたらし、腸管のみならず

血管の慢性炎症性疾患の病態に係ることが注目されています。

つまり、炎症性腸疾患や動脈硬化症は腸内細菌叢の偏りの影響を受けるということです。

 

 

高円寺南診療所では、腸内細菌叢「腸内フローラ」のバランス維持に直結する医療サービスとして、

直接的には管理栄養士による「外来栄養食事指導」を実施しています。

 

 

高円寺南診療所では、院長や管理栄養士(中田美砂恵)の他、二名の健康管理士一般指導員

(林亮博、野口将成)が生活指導をはじめ栄養指導をチームで担当しております。 

 

 

 

写真のピンク本が「わかりやすい臨床栄養学(第4版)」(三共出、版)2,900円+税

 

2007年初版で、順調に版を重ねてきました。昭和学院短期大学ヘルスケア栄養学科の授業で教科書として使用してきました。タイトルは「わかりやすい」とありますがこれは栄養士・管理栄養士をめざす学生にとって「わかりやすい」ことを心掛けたものです。

 

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写真のオレンジ本が「<第二版>臨床栄養学」(学文社)3,000円+税

 

2013年初版で、今年はじめての改訂です。この本は、実際に外来栄養指導を実践している

飯嶋正広(院長)が編著者である他、中田美砂恵(非常勤管理栄養士)も分担執筆

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外来栄養指導を受けていらっしゃる方はもちろんのこと、ほとんどの皆様にとって有益なテキストになっています。

一般書店でお求めになることもできますが、診療所窓口で購入していただくことも可能です。

 

読者の特典として、テキストの内容について随時質問を受け付けます。

このホームページの<お問い合わせ>からご質問をいただくことも可能です。

 

総説論文『私の水治療体系-水氣道20年の歩み-』が専門誌

 

ComprehensiveMedicine 全人的医療(2015 Vol.14 No.1)に掲載されました。

 

 

査読のある専門雑誌で英文抄録付きですので、

水氣道に関する学術論文として世界に発信することになります。

 

内容は、日々の稽古をより深く理解していただき、

今後の水氣道の発展に向けて取り組もうという方にとっては有益な資料だと思います。

 

 

別刷は1冊300円ですが、水氣道会員には先着20名まで

無料で配布いたしますので、お問い合わせください。

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Yさんは、高血圧と骨粗しょう症で通院中、一見ごく普通の高齢者です。

 

最近彼女の姿勢や呼吸パタンが改善し顔色も良好で老化が進行していません。

 

そこで、Yさんと少しだけ昔話をしました。

 

彼女は元来、虚弱体質で冷え性、万年カゼ状態でした。

 

 

 

Yさんは3つの大きな危機をすべて乗り越えてきました。それらは

 

#1 結腸癌、

 

#2 気管支喘息をこじらせた肺炎、

 

#3 腰椎の圧迫骨折による体動困難です。

 

結腸癌は便潜血検査により発見し、虎の門病院の株消化器外科に紹介、

進行がんでしたが手術は成功し、それから水氣道を始めました。

 

幸い結腸癌の再発は10年以上ありません。

 

 

かつてのYさんご自身が予想できなかったことは、

彼女は水氣道の寒稽古(12月から2月にかけての稽古)にも定期的に参加し、

虚弱体質や冷え性も克服し、カゼもほとんどひかなくなったことでしょうか。

 

 

 

Yさんは本当に不死身なのでしょうか。それでも油断大敵。

彼女はそれを経験してきました。

 

現在は土曜日の半稽古に参加されていますが、暑くなったら月曜日の本稽古に復帰したい、とのことです。

 

皆様に、是非よろしく、とのことですので、紹介させていただきました。

「腸内細菌と疾患」その2・・・私たちは腸内細菌に寄生して生きている❓

 

 

 

腸内細菌は古くて新しいテーマです。常識的な発想では、

私たちが自分たちの腸管に腸内細菌を寄生させている、と考えがちです。

 

ところが、私たちの体を構成する細胞数が60~100兆個(1.0× )であるのに対して、

腸内細菌数は1000兆個(1.0× )以上でざっと10ないし100倍です。

 

腸内細菌叢の菌種は数100種類に及び、私たちが持っている遺伝子の数は2万3000に対して

腸内細菌全体が有する遺伝子の数は2,000万です。

 

私たち自身の1000倍もの腸内細菌の遺伝子に依存することになるので、腸内細菌叢は宿主であるヒトと超生命体を形成しているということになります。

腸内細菌は人類の健康を保持するための司令塔であり、100万個以上の遺伝情報を

ヒトへ提供する「腸内フローラ」は新臓器とまでいわれるようになっています。

 

前回、腸管内腔は腸内細菌を中心として腸管内代謝産物と腸管細胞で構成される

体外の代謝臓器であると考えられるようになったことを紹介しました。

このことを踏まえると、腸内細菌は膨大な遺伝情報をヒトへ提供する「腸内フローラ」として

体外の新臓器であるということができます。

体外であるということは、とりもなおさず環境の一部であるということですから、

腸内細菌は私たちにとってもっとも密接な環境であるともいえます。

 

私たちの健康は、「腸内フローラ」の環境いかんによって大きく影響を受けるので、

「腸内フローラ」を整えることが、わたしたちの健康管理のうえでどれだけ大切なのかは理解できると思います。

学会2日目のシンポジウムのテーマは「腸内細菌と疾患」でした。

 

 

 

 

胃腸というと、私たちは体の中心に位置する、まぎれもなく体の中心にある体内の臓器であると

考えがちです。

しかし、ここで、ちょっと待ってください。

 

たとえばミミズにも口‐消化管‐肛門があります。

そこで、私たちの胃腸は消化管といって口から肛門に至る管状の構造をしているストローの内側であるとイメージしてみましょう。

消化管の内側の壁を消化管内腔と呼びますが、これは外部の皮膚と連続しています。

さらにいえば、私たちの体を穴あきドーナツと見立てれば、ドーナツの穴の部分は境界なく

外部の皮に連続していることに気づくことでしょう。

 

そうすると腸管内腔が体外の臓器であると理解することが可能になります。

この腸管内腔は腸内細菌を中心として腸管内代謝産物と腸管細胞で構成されています。

 

 

腸内細菌は、腸管腔内で摂取した食物から短鎖脂肪酸の産生し、腸管内に分泌された胆汁酸を代謝し、腸管粘液層のムチン(粘性糖タンパク)を分解するなどをします。

それらの働きを通して、宿主である私たちのエネルギーの獲得・分配・消費を変化させ、

エネルギーの安定供給のために大きな影響を与えています。

また腸内細菌が腸管免疫系のバランスを維持するうえで必要であることは良く知られています。

 

腸管内腔は腸内細菌を中心として腸管内代謝産物と腸管細胞で構成される

体外の代謝臓器だということが、現代医学の新しい視点である、ということができるでしょう。

 

 

 

 

シンポジウム『睡眠関連障害と全身性疾患をめぐって』のダイジェストの最終回です。

 

 

 

ひとの睡眠パタンを決定するのは生物時計睡眠ゲート時刻】と睡眠恒常性【必要睡眠量】ですが、

いずれも遺伝的素因が関連します。そのため、睡眠に関する個人差は大きくなります。

 

 

時間栄養学的研究から、夜型生活者の社会的ジェットラグ(睡眠習慣と社会時刻のミスマッチ)に多い

遅い食事時刻や栄養素の日内分布の偏りが肥満リスクを増大させます。

 

またこれは短時間睡眠に直結し平日の睡眠負債を週末の寝だめで解消するパタンに陥りがちです。

しかし、この週末の寝だめでは結局、睡眠負債は解消できずに蓄積してしまいます。

 

初期には“眠気”や仕事のミスの増加、中長期的にはうつ病やイライラなどの気分障害や癌を含む

生活習慣病のリスクを増大させます。

 

 

 

高円寺南診療所では、初診時に【生活リズムに関する健康調査票】をお渡しして記入していただいたり、

また通院中に【生活習慣改善に向けての行動療法】の記録票を活用して役立てていただいたりして

心身調律のノウハウを蓄積してきました。

 

 

 

人体には生体時計というメトロノームが内在しています。

 

ひとは楽器です。

 

毎日、心身をみずから正しく調律し、自分自身を健康的に演奏し、社会参加できるようになるための

知識・技術を身に着け、健康的な習慣を形成していくことが必要です。

 

 

 

診療所内での医療をはじめ、水氣道、聖楽などを楽しみながら、

皆で養生法と鍛錬法を勉強しつつ、みずからの心身の調律を実践していきましょう!

<痛みと苦悩の間で  その1>

身体の「痛み」さえ無くなれば、全て解決するとお考えの皆様へ

 

私は高円寺南診療所で多くの経験をするまで患者の皆様の身体の「痛み」を取り除けば、全ての問題が解決し、皆が救われるものと固く信じていました。

 

しかし、「痛み」が軽くなっても救われない方が多数いらっしゃることに気付かされました。

 

例えば、「痛み」が軽くなっていくのもかかわらず、眉間のシワがむしろ深くなっていくことを数多く観察したのです。

 

なぜこのようなこと不可解はことが起こるのでしょうか?

次回(4月23日)に続きます。

昨日に引き続きシンポジウム『睡眠関連障害と全身性疾患をめぐって』のダイジェストです。

 

 

睡眠時には内分泌(ホルモン)や免疫のシステムの変動が激しくなります。

睡眠深度が深くなると脳の活動性亢進がみられるノンレム睡眠(総睡眠時間の85%)と

身体に休息をもたらすレム睡眠(総睡眠時間の15%)という2種類の睡眠がみられます。

 

 

ノンレム睡眠中は、交感神経活性が低下し、副交感神経活性が亢進することで、代謝、血圧、心拍数などが低下し、心血管系において重要な休息時間となります。

この睡眠が量的・質的に障害を受けると高血圧、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)などを引き起こしやすくなります。

 

これに対してレム睡眠時には自律神経活動の変動が激しく不安定になることに伴い、

呼吸、循環、中枢神経、内分泌代謝機能がよりダイナミックに変化します。

 

 

 

問題となる睡眠不足は量的不足(生体リズムの乱れによる)と

質的不足(睡眠分断と深睡眠の欠落とによる)によっておこります。

 

睡眠の量的不足は免疫機能の変調により炎症をひきおこします。

 

また睡眠の質的不足の代表例が睡眠時無呼吸症候群です。

 

これらは生活習慣病すなわち高血圧、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、糖尿病のほか癌、

不安抑うつなどの気分変調などとの関連性までもが注目されています。

有楽町の東京国際フォーラムでの3日間のシンポジウムのテーマについて、

最初に私の印象をご報告しましょう。

 

今年の日本内科学会は総合内科や心療内科の方向へのシフトを感じました。

 

 

初日のテーマは『睡眠関連障害と全身性疾患をめぐって』

これは高円寺南診療所開設以来の臨床実践課題にピッタリと重なっています。

 

 

睡眠は生命維持には不可欠で、能動的に引き起こされることがわかってきました。

(昼夜の環境変化など受動的な刺激で睡眠のリズムは影響を受けますが、睡眠現象自体は能動的)

 

そのメカニズムは、恒常性維持【必要睡眠量】や体内時計の機構で説明されています。

しかし、「眠気(ねむけ)」という自覚症状の本体はいぜんとして謎に包まれています。

ただし、眠気は生体防御のために重要な現象であると認識されています。

 

 

不安や緊張が強いストレスフルな状況や躁的興奮状態では

「ねむけ」や「疲労」を感ないまま覚醒し活動し続けます。

 

その異常に気付かないままでいると、睡眠不足が慢性化し、睡眠負債が蓄積し、

慢性疲労や慢性疼痛を引き起こされたと思われる症例は高円寺南診療所では多数経験しています。

 

鍼灸治療・心理療法・薬物療法など治療の種類を問わず、

「ねむけ」や「だるさ」や「疲労」の自覚は心身の緊張緩和(リラックス反応)です。

 

この症状を否定的にとらえてしまうと自然治癒の妨げとなりますが、

肯定的に受け止めて受け入れることが望ましい養生の姿勢であり、治療効果が促進されます。

ペンネーム 「さっちゃん 」さんより、

「日常腰痛が時に起きるので、専門的なアドバイスをいただき、今後の習慣にしようと思う。

今後も是非アドバイスをお願い致します。」

 

分からないことがありましたら、ぜひ質問をお寄せ下さい。

理解して習慣にしてもらえれば、腰痛が楽になることでしょう。

 

最後に、ペンネーム「ブンブン」さんより、

「なるほどと思う事が色々あって楽しかったです。」

 

僅か30分の時間でしたが、楽しんでもらえて嬉しいです。

私も楽しかったです。

今後ともよろしくお願いします。

ありがとうございました。

 

また、

2016年4月16日(土曜日) 午後1時

2016年4月20日(水曜日) 午後5時30分

2016年4月23日(土曜日) 午後1時  

にストレッチ教室を開催します。

 

詳しくは

http://www.suikido.jp/?p=192  

まで、よろしくお願いします。