特集:シリーズ『新型コロナウイルス罹患者の体験から学ぼう』:親子で感染 死の恐怖とSNSの中傷 ①

6月29日(月)

取材報道<NHK特設サイト 新型コロナウイルス>から学ぶ14症例の研究


新型コロナウイルスに感染したとき、どんな事態に直面するのか。感染した人や家族の話を通して、その一端を知るため、NHKが行ったインタビューの内容をできるかぎり詳細にお伝えします。


以下は、取材記事を下敷きとし、加筆や編集部分は赤もしくは緑文字として区別しました。


親子で感染 死の恐怖とSNSの中傷

 

4月21日取材 さいたま放送局 古市駿

 

仙台市に住む50代の男性は4月9日に新型コロナウイルスへの感染が確認され、22日、退院しました。しかし不安は拭えません。同様に陽性となった息子をめぐるSNS上の中傷があったからだと言います。


症例13(その1)

第1節:まずは長男 診断は“かぜ” 

 

男性は大学生の20代の長男とふたり暮らし。先に症状が出たのは長男だった。東京で5日間の就職活動をして戻ってきた3月27日の夜、熱が出た

 


夜に私が帰ってからですかね、横になっていたので「どうした?」って。熱測ってみたら38度台の熱(註1:突然の発熱の場合は、常備漢方薬の『地竜』もしくは『柴葛解肌湯』が役立ちます)がありまして、たまに熱出す子(註2:ふだんから『玉弊風散』を服用しておくとよいでしょう)だったので通常の市販のかぜ薬(註3:常備薬の見直しが必要かもしれません)を飲んで次の朝まで様子を見て(註4:家族が発熱した段階で、可能であればそれ以前から、『玉弊風散』を服用しておくとよいでしょう)


朝なかなか起きてこなかったんで土曜日で私もいましたから、様子を見に行ったところ、熱があるようなことを言うんで、もう1回測らせたら39度2分(註5:『柴葛解肌湯』を試みてください)かな? 熱出していて。東京から帰って来たっていうことがやっぱ頭にあったもんですから。

いちばん感染者多かったですから。どこかで誰かと接触してうつる怖さがあったので、もしかしたらということが少し頭をかすめた(註6:この段階では、家族内感染、濃厚接触者であるという警戒感や注意が欠如しやすいのが家族・親子の一般的傾向のように思われます)んですよ。


とりあえず医者に連れて行かなきゃいけないなということで、近くのかかりつけ医に電話して、「東京から帰って来て」って言ったところ、やっぱり東京っていうのがネックになったみたいで。その病院にはCT設備とかそういう撮影とかできないので「ちょっと受診はお断りしたい」(註7:CTスキャンは、他の諸検査よりもCovid-19肺炎の早期診断に役立つということを認識している医師であったということがわかります)ということで。


そこのかかりつけ医しか行ったことなかったので、どこに行ったらいいのか分かんなくて、東京帰りということでコロナの宮城県のコールセンターに電話しました。


帰国者・接触者相談センターから専用の外来を紹介された


そこでは血液検査と胸のレントゲンとインフルエンザの検査(註8:これらの検査はCovid-19の診断のためには何の役にも立ちません。油断をさせてしまうという意味ではかえって有害かもしれません。)をしたんですが、いずれも異常ないということで、普通の解熱剤とかぜ薬を処方しますと。

「これを飲んで熱が下がれば、ただのかぜでしょう」という診断(註9:今後の医療ではこのような説明は厳禁になると思います)でした。
 

肺もきれいですねって、素人が見てもわからないんですけど、なにも影みたいなことがなくて、肺炎の兆候もないようだということで、コロナではないのかなと。ただのかぜなんだなとしか感じとらなかったですね。

 

<明日へ続く>