ダニアレルギーの減感作療法(アレルゲン舌下免疫療法)受付を開始いたします。

 

2017年9月5日より

 

 

アレルゲン免疫療法は、アレルゲン暴露環境下で引き起こされる関連症状を緩和する治療法です。

 

方法は、アレルギー疾患の原因となるアレルゲン(病因アレルゲン)を舌下投与することで治療します。

 

これまでの対症療法とは異なります。

 

つまり、アレルギー疾患の自然経過を改善し、長期寛解と治癒が期待できる治療法です。

 

 

これまでにも皮下投与によるアレルゲン免疫療法はすでに約100年の歴史があり、欧米では定着していましたが、

 

高円寺南診療所ではアレルギー専門医でありながら、採用していませんでした。

 

その理由は、アナフィラキシーショック等の重大な副作用の発現、

 

注射による疼痛、長期間の定期的な通院等、患者の皆様への負担が少なくないと判断したからです。

 

 

舌下投与によるアレルゲン免疫療法は、有効性、安全性、利便性等の点ですぐれているため、慎重な検討を経て導入を決定いたしました。

一開業医が頭痛専門医資格取得するまでのプロセス

 

 

高円寺南診療所は、三つの「み」(痛、痒、悩)の相談には経験豊富です。

 

痛みに関しては、リウマチ専門医でもあることから、関節リウマチ、骨粗しょう症、

 

変形性関節症、線維筋痛症に至るまで広範な領域について対応しています。

 

 

そうした痛みの患者さんの中には慢性的な頭痛に悩まされている方がいらっしゃいました。

 

ほとんどが脳神経外科などで行うCTスキャンやMRI、あるいは脳血管造影などの大掛かりな画像検査では異常が見つからない一次性頭痛です。

 

つまり、筋緊張性頭痛片頭痛などが多いのですが、頻度の多い日常的な慢性頭痛を問題視していないせいなのか、

 

市販の鎮痛剤でしのいでいるうちに薬物乱用頭痛に陥っている方が少なくありませんでした。

 

 

これらの頭痛に共通している原因はライフスタイルの乱れ、不良姿勢、心理社会的なストレッサー、慢性疲労などです。

 

こうしたタイプの患者さんを専門的にチーム医療で診療し、

 

実績を積み上げてきた高円寺南診療所が、慢性頭痛で悩む多くの皆様に対して適切なサポートをする場としての体制を築き上げることは

 

大いに意味のあることだという認識を持つに至った次第です。

 

 

そこで、専門的な頭痛外来を実施していくための準備を始めました。

 

さっそく日本頭痛学会へ入会しました。

 

すると、最近になって専門医制度が導入されるようになりました。

 

頭痛医療を専門とする優れた医師としての見識を深め、頭痛診療に関する客観的な質を表示することは、とても大切なことだと考えました。

 

それが頭痛専門医資格の取得です。

 

もちろん、この資格を持たずとも立派な診療を続けている医師は少なくありませんが、

 

日進月歩の頭痛医療をあらためてきちんと研鑽しておくことが望ましいのではないかと考えました。

 

 

 

<参考>一般社団法人日本頭痛学会専門医制度に関する規則

 

第 1 条【目的】 日本頭痛学会専門医制度(以下「専門医制度」という.)は,

 

頭痛医療を専門とする優れた医師を養成し,

 

頭痛医療の進歩発展とその水準の向上をはかり,

 

国民の健康, 福祉に貢献することを目的とする.

 

 

 

そこで、さっそく専門医資格を取得するための準備にとりかかったのですが、

 

これがなかなか容易ではないことを知りました。

 

専門医資格認定試験を受験するための資格がとても厳格だからです。

 

ただし、努力すれば決して不可能ではなく、それなりの道筋が与えられていることも知りました。

 

 

これまでに通過してきた道筋と、今後の進むべき道程を紹介させていただきます。

 

 

 

1.頭痛専門医受験資格取得までのプロセス

 

 

受験資格

 

1)日本頭痛学会正会員資格(取得済み)

 

2)基本領域における頭痛関連学会の専門医の資格(取得済み;内科学会認定医

 

3)頭痛関連学会の専門医認定研修期間中2年以上の頭痛診療の研修を受けている

 

4)<頭痛関連学会(基本診療領域などの学会専門医取得研修期間中に頭痛診療の研修を受けている場合は、2年相当の頭痛診療研修歴と認める>

 

(研修済み:国家公務員共済組合等連合会虎の門病院)

 

5)日本頭痛学会認定研修教育施設で3 年以上の研修歴(非該当)

 

⇒上記研修期間の合計が3 年に満たない場合は不足分を HMSJ と教育セミナーの受

 

講により教育施設等での研修歴に代替できる。 (準備中)

 

 

〇 HMSJ(Headach Master School Japan)と日本頭痛学術総会時の教育セミナー受講により

 

頭痛専門医の受験資格である教育認定病院での診療歴として下記のとおり認められます。

 

なおHMSJはプログラム全日程に出席するとともに、ポストテストに合格する必要があります。

 

〇認定教育施設による研修期間の合計が3年に満たない場合は不足分をHMSJと教育セミナーの受講により教育施設等での研修歴に代替できます。

 

ア) HMSJ受講+PostExam合格 1回 + 頭痛学会総会教育セミナー 1回 で研修歴1年と認める

 

イ) HMSJ受講+PostExam合格 2回 + 頭痛学会総会教育セミナー 1回以上 で研修歴2年と認める

 

ウ)HMSJ受講+PostExam合格 3回 (合格済)

 

かつ、頭痛学会総会教育セミナー 1回以上

 

 

第45回日本頭痛学会参加および教育セミナー受講予定(2017年11月10日・11日:大阪国際交流センター)で研修歴3年と認められます。

 

なお実際に頭痛診療を実践している旨を記載した頭痛学会代議員の推薦書を添付することが必要とされます。

 

 

幸いなことに、講習会受講後の3回に及ぶ筆記試験にはすべてストレートに合格できたので、

 

残りは、教育セミナーの受講を果たせば、ようやく頭痛専門医受験資格を得ることができるところまでこぎつけることができました。

 

残るのは次の2つのステップです。

 

 

2.日本頭痛学会専門医認定試験合格

 

第11回日本頭痛学会専門医試験2018年8月受験予定

 

 

3.頭痛専門医登録

 

高円寺南診療所はすでに頭痛外来で実績を挙げていることを自負していますが、

 

何とか最終ゴールまで到達して、診療の質を客観的にお示しすることができるよう努めて参りたいと思います。

 

HMSJ

血液・造血器の病気

 

<播種性血管内凝固(DIC)>

 

本日のテーマは、率直に申し上げて、説明が容易ではありません。

 

インフォームド・コンセントという言葉が広まりましたが、

 

生命にかかわる様な重要な疾患や病態であるにもかかわらず素人にわかりやすく説明することが難しい疾患はたくさんあります。

 

それをどれだけ上手に効果的にせつめいできるか、ということも医師の技量に関わる問題であると思われますが、まだまだ、というのが正直なところです。

 

医師は生涯学習・障害研修を通して少しでも前進していくしかないのではないか、と考えている次第です。

 

 

播種性血管内凝固(DIC)とは、何らかの基礎疾患により凝固系が活性化され、

 

微小血栓の多発により循環障害に起因する臓器機能障害を呈するとともに、

 

消費性凝固障害および線溶活性化のために出血傾向をきたします。

 

 

 

DICの症状:出血時間の延長

 

DICではトロンビン感受性のⅠ、Ⅴ、Ⅷ、ⅩⅢを中心に、あらゆる凝固因子が消費されます。

 

播種性血管内凝固(DIC)の基礎疾患として最も多いのは敗血症です。

 

しかし、脱水症も原因となります。血管内脱水が生じると血管内の凝固が起きやすくなります。

 

 

 

DICの診断基準:

①血小板数減少、②FDP(フィブリン分解産物)増加(血栓溶解の結果)、③フィブリノーゲン減少、④PT延長

 

 

DICの検査所見:

血小板数減少(凝固亢進、微小血栓形成による血小板の消費のため)、

 

血小板粘着能が亢進し血栓形成に働く、赤沈値遅延(微小血栓形成によるフィブリノゲン消費のため)、

 

感染症によるDICではトロンビンの凝固活性を中和するアンチトロンビンⅢ(ATⅢ)低下、

 

凝固系亢進の指標であるトロンビン-アンチトロンビンⅢ複合体(TAT)上昇、

 

線溶活性化の指標であるプラスミン-α2⁻プラスミンインヒビター(PIC)上昇、

 

補体低下(補体の消費による)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)延長

 

 

 

DICの治療:

DICの基礎疾患の治療が基本であり最優先されます。

 

並行して他に抗凝固療法(ヘパリン注射、ATⅢ製剤、合成抗トロンビン薬メシル酸ガベキサート、

 

遺伝子組換えトロンボモデュリン製剤)、補充療法(血小板輸血、新鮮凍結血漿)も行います。

 

リコモヂュリン®(遺伝子組換えトロンボモデュリン製剤)は腎排泄性であるため、腎機能を考慮して投与量を調節します。

 

なおヘパリンは血中のATⅢと複合体を作ることで抗凝固作用を発揮するため、ATⅢ活性が70%以上ないと単独では作用しません。

 

DICではATⅢ活性が低下するため、ATⅢの補充が必要です。

 

抗線溶薬投与は原則禁忌ですが、線溶亢進型DICに対しては必要に応じてトラネキサム酸を投与することがあります。

総合内科

 

<高齢者の多剤薬剤投与>

 

多数の薬剤を処方することの問題性をポリファーマシーといいます。

 

より正確に説明しますと、使用薬剤数が多いことに加えて、

 

潜在的に不適切な処方が含まれていること、同じ効き目の薬が重複していること、

 

本来使用されるべき疾患に対して必要な薬剤が処方されていないこと、と定義されています。

 

このポリファーマシーは日本の医療において社会問題になっています。

 

この問題は、高円寺南診療所も無関係ではありません。

 

 

ポリファーマシーが生じる要因として、高齢化による複数の疾患・症候の合併とそれに伴う複数診療科・医療機関の併診や、

 

薬剤の副作用に対する薬剤の追加、老年症候群に対する処方の問題があります。

 

特に高齢者は生理機能の低下から薬物有害反応が若年者と比べてより発生しやすいです。

 

高円寺南診療所で直面するポリファーマシーは、他に複数の医療機関を受診され、

 

主治医を決めていない高齢者の場合に直面することがほとんどです。

 

 

この問題は、薬物有害反応の増大、薬物‐薬物間や薬物‐疾患間の相互作用の増大、

 

服薬アドヒアランスの低下、医療費の増大、死亡率の上昇が挙げられます。

 

 

ポリファーマシーという英語が採用されているわけは、この問題が世界的な規模での問題になっているからに他なりません 。

 

 

ポリファーマシーに関して、不適切さの国際的基準が提唱されています。

 

その代表がSTOPP criteria (Screening Tool of Older person’s Potentially inappropriate Prescriptions)およびBeers criteriaです。

 

最近ではSTOPP criteriaがより広く用いられてきている傾向があるそうです。

 

STOPP criteriaという基準は、これを直訳すると<高齢者に対する潜在的に不適切な処方をスクリーニングするツール>、

 

つまり、個々の高齢者の処方がポリファーマシーに該当するかどうかの判定をするためのチェックリスト、といった意味です。

 

 

高齢者の皆様は、身体の一部の診療ではなく、心身両面にわたって相談できる真の意味での主治医を持つこと、

 

それがますます大きな意味を持ってくるのではないでしょうか。

 

Nogucciはとっても「ものぐさ」です。

 

「ものぐさ」を調べると、めんどうがること。また、その性質・人や、そのさま。無精。

 

とあります。

 

胸を張って自分は「ものぐさ太郎」だと言えます。

 

 

それで何が問題かと言うと、

 

「ものぐさ」なため、仕事を始めるのに時間がかかります。

 

 

何故時間がかかるのか?を考えてみました。

 

 

あれこれ考えて取り掛かるのが遅れる。

「あれこれ考えて」を具体的に考えると。

一回で完璧にしたい=手直し等が面倒だ

手直ししたくないため、始める前に考えるが、構想がまとまらない。

面倒になって、やる気が萎えてくる。

やる気が出てくるまで、保留しよう!

ずるずると、スタートが遅れる。

 

 

という流れになっていることに気づきました。

 

 

さてこの流れをどう断ち切りましょう?

 

次回に続きます。

 

 

》往く週《 8月30日:第22回聖楽院週例コンサート(60分ショートプログラム)

 

水氣道会員ピアニスト金澤克彦(聖楽院協力ピアニスト)

 

演奏メニューはすべてジャズ、聖楽院では初の試みでした。

 

金澤克彦氏は聖楽院では異色のピアニストで、ジャズの分野で活躍中です。

 

普段は聖楽院週例コンサートに続くジャズセッションで大いに活躍し、

 

ベーシストの奥川茂樹氏とのコンビでの演奏で相互の信頼関係を築いています。

 

金澤克彦氏は、水氣道の有段者(現、少初段上)であり、

 

次代の水氣道®を担う幹部候補生の一人、水氣道の一技法である<理氣航法>直伝者です。

 

 

また外部招聘ゲストとして迎えたジャズ・ピアニストの宮地潤氏は、

 

初参加ながら華麗な演奏を披露し、奥川氏とのアンサンブルも初顔合わせとは思えぬほど息が合った色彩豊かな演奏でした。

 

宮地氏にとっては30分の演奏では物足りなかったらしく、ジャズセッションにも参加され、華麗な演奏を披露してくれました。

 

今後のご活躍が楽しみです。

 

 

なお、漏れ伝え聞くところでは、ジャズベーシストの奥川氏は、最近、クラシックの勉強を始められたとか、

 

クラシックとジャズを繋ぐ聖楽院の試みが活かされつつある一例であるように思われました。

 

 

感謝記念プログラムとして、ワンコイン・コンサートとして企画いたしました。

 

先週に引き続き、大入り満員でした。ご来場の皆様ありがとうございました。

 

今後の新企画にもどうぞご期待くださいますように。

 

 

 

来る週9月6日:第23回聖楽院週例コンサート(90分特別プログラム)

 

 

担当ピアニスト 荻原由実(聖楽院協力ピアニスト)

 

<第一週は通例では鈴木美穂の担当ですが、今月は臨時で第二週の担当です。>

 

荻原由実は、今後の聖楽院の演奏家として期待すべきジャンルで活躍中です。

 

今月の24日(日)に青山学院大学のチャペルで開催される

 

バロック・アンサンブル<アジア・コレギウム・ムジクム>に出演されます。

 

クラシック音楽というよりもむしろ古楽のジャンルになります。

 

荻原由実の本格的な古楽演奏が楽しめそうです。

 

 

第23回聖楽院週例コンサートについて、9月に入って急に秋めいてきた夕べに相応しいノクターンを奏でる荻原由実のピアノもお聴き逃しないように。

 

ソプラノ小松奈津子、テノール藤原拓実が独唱によりそれぞれの個性を発揮し、芸術性を表現してくれることでしょう。

 

そして、最後は英国人ソプラノ、サラ・ブライトマン、イタリア人テノール、アンドレア・ボチェリのアンサンブル曲として世界的に有名な

 

タイム・トゥー・セイ・グッドバイ、これを小松奈津子、藤原拓実のコンビで演奏いたしますので、乞うご期待!

 

 

 

なお11月23日(勤労感謝の日)に開催予定の第1回聖楽院レッスン生内部発表会のプログラムの骨格も出来上がりつつあります。

 

参加レッスン生は延べ11名(男性4名、女性7名)です。

 

指導はソプラノ小松奈津子、テノール藤原拓実、ピアノ伴奏は吉田奈津

神経・精神・運動器の病気

 

<免疫アレルギーと脳神経疾患>

 

最近の脳神経疾患の研究の進歩は目覚ましいものがあります。

 

皆様は、アレルギー専門医・リウマチ専門医というと

 

脳神経疾患とは全く無縁であるような印象をお持ちかも知れませんが、

 

そうではない、というお話をいたしましょう。

 

 

ここで、話題の脳神経疾患をいくつか列記してみます。

 

ギラン・バレ症候群、重症筋無力症、視神経脊髄炎、辺縁系脳炎、

 

これらのうち最初の2疾患は、高円寺南診療所でも経験症例があります。

 

しかも、アレルギー・リウマチに詳しい専門医であったことが早期発見・早期治療に繋げることができました。

 

 

最初のギラン・バレ症候群は抗ガングリオシドが関与します。

 

急性・多発性の根神経炎の一つで、主に筋肉を動かす運動神経が障害され、四肢に力が入らなくなる病気です。

 

重症の場合、中枢神経障害性の呼吸不全を来し、一時的に気管切開や人工呼吸器を要し、

 

厚生労働省の治療研究(難治性疾患克服研究事業)の対象となっています。

 

しかし、予後はそれほど悪くないためか医療給付(難病医療費助成制度)の対象ではありません。

 

 

次の重症筋無力症は抗アセチルコリン抗体が関与します。

 

アセチルコリンによる神経・筋伝達を阻害するために筋肉の易疲労性や脱力が起こる自己免疫疾患で、

 

日本厚生労働省により特定疾患に指定されている難病です。

 

 

3番目の視神経脊髄炎(NMO)は抗アクアポリン4<AQP4>抗体が関与します。

 

重度の視神経炎と横断性脊髄炎を特徴とする疾患です。

 

Devic病とも呼ばれています。

 

多発性硬化症(MS)、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)との異同が長らく議論されてきました。

 

2004年にメイヨークリニックと東北大学からNMOに特異的な自己抗体NMO-IgGが発表された。

 

2005年にその標的抗原が中枢神経の主要な水チャネルであり

 

脳神経の星細胞(アストロサイト)に密に発現しているアクアポリン(AQP)4であることが判明しました。

 

約9割は女性であり、発症年齢は30歳代後半とMSよりも高く、

 

再発は平均年に1回と多く、1/3の症例で片眼が失明しており3椎体以上の長い脊髄病変は9割の症例にみられるなど

 

NMOの臨床的な特徴が明らかとなりました。

 

2006年度に新たなNMOの診断基準が完成し、

 

診断基準では全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など

 

膠原病や膠原病類縁疾患の徴候があった場合はその病変はNMOではなく、

 

膠原病や膠原病類縁疾患の中枢神経症状と考えます。

 

NMOをMSのような炎症性脱髄疾患に分類することが不適切と考えられるようになりました。

 

 

最後の辺縁系脳炎は抗NMDA受容体抗体が関与します。

 

辺縁系脳炎とは帯状回,海馬,扁桃体などの障害により精神症状,意識障害,けいれんなどの症状を呈し、原因は多岐にわたっています。

 

神経細胞の細胞膜抗原である,N-methyl-D-aspartate(NMDA)受容体に対する新規自己抗体が卵巣奇形腫に随伴する傍腫瘍性脳炎に特異的に存在することが報告されました。

 

抗NMDA受容体脳炎は重篤かつ特徴的な臨床経過をとり,

 

適切な免疫療法により回復可能な辺縁系脳炎であり,

 

神経内科領域はもとより,精神科,婦人科領域でも認知されるようになりました。

 

 

このように近年,自己免疫性の辺縁系脳炎に注目が集まっており,

 

新規抗原分子がいくつか同定され,その疾患概念は拡大しています。

 

自己抗体介在性辺縁系脳炎には特定の腫瘍が合併することがあり,

 

傍腫瘍性神経症候群としての側面も有しています。

 

このように、脳神経領域の病気を診療するにあたっては免疫・アレルギー学の知識が不可欠になっているのと同時に、

 

アレルギー専門医・リウマチ専門医は脳神経領域の病気に対してもますます無関心ではいられない状況になりつつある、

 

最先端の専門領域であることがご理解いただけるのではないか、と存じます。

もう少しツボの世界を見ていきましょう。

 

 

今回は「委中(いちゅう)」です。

IMG_1881

場所は膝を曲げるとできる膝裏の横紋の中央です。

 

 

 

「腰背痛」「坐骨神経痛」「膝痛」「腓腹筋の痙攣」「急性胃腸炎」「腹痛」「排尿障害」等に効果があります。

 

 

ぎっくり腰によく使われます。

 

 

 

<参考文献>

このツボが効く 先人に学ぶ75名穴       谷田伸治 

 

 

経穴マップ イラストで学ぶ十四経穴・奇穴・耳穴・頭鍼      監修  森 和

 

                                      著者  王 暁明・金原正幸・中澤寛元 

 

高円寺南診療所 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

内分泌・代謝・栄養の病気

 

<偽性アルドステロン症>

 

漢方薬にも副作用はあります!

 

 

高円寺南診療所では、当たり前のように漢方薬を処方しています。

 

当たり前のように、というのは、特に患者さんからのリクエストがなくても、積極的にミネラル・ビタミン類と同様に漢方処方をお勧めしているからです。

 

しかし、中には、「西洋薬・現代薬は毒物なので内服したくない、副作用のない漢方のみでお願いします」とおっしゃる方もお見えになります。

 

実は、そうした患者さんの中で、すでに漢方薬を処方されて内服中の薬によって病気を悪化させていた症例を経験しました。

 

高円寺南診療所が処方した漢方薬による副作用も極めて少数例ながら経験し、貴重な反省例として記憶にとどめています。

 

 

症例:40代の女性。

 

3か月前に職場の人間ドックで高血圧、糖尿病を指摘された、ということで健診データを持参されました。

 

なお、彼女は、数年前の当初は漢方専門医から漢方薬の処方を受けていましたが、

 

保険が利かないため、経済的な理由から、市販の漢方薬を購入していたとのことでした。

 

彼女はもともと低血圧傾向でしたが、近年に至って徐々に血圧が上昇してきたとのことでした。

 

1週間前から脱力と筋肉痛がひどくなってきたので、自己診断でリウマチを疑い高円寺南診療所を受診した、とのことです。

 

 

さっそく拝見すると、血圧は198 / 114mmHg。

 

四肢の筋力が低下していたため、頸部の病変を疑い、頸椎のレントゲン検査を試みましたが、

 

膝を少し曲げた状態で立位を保持することができなかったため、検査をあきらめました。

 

そのかわり、診察室のベッドで深部腱反射を調べたところ、

 

膝蓋腱(膝)、アキレス腱(かかと)のいずれも反射が減弱していました。

 

 

ただし、病的反射はみられず、脳梗塞やパーキンソン病などの病気ではなさそうでした。

 

 

彼女が継続して内服していた漢方薬は『甘草湯(かんぞうとう)』でした。

 

夜になるとこむら返りがひどいため、自由診療の漢方専門医から処方された『芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)』を指示通り、就眠前のみ内服したところ、

 

その日の夜からこむらがえりの発作はピタリと止まり、熟睡もできるようになって大助かりだったそうです。

 

 

実は彼女は、タバコを1日2箱吸い、ガラガラ声でした。

 

医療費の節約のため、薬局で『芍薬甘草湯』を求めようとしたところ、

 

あいにく品切れのため、待ちきれない性格の彼女は、代わりに名称の良く似た『甘草湯』を購入したそうです。

 

この『甘草湯』が彼女にとって、大当たりで、長年気になっていた咳とのどの痛みが軽くなり、

 

名前の通り甘くて飲みやすいことから、お茶代わりに一日3回内服し始めたとのことでした。

 

 

直ちに禁煙と甘草湯服用を中止するようにアドヴァイスしましたが、御不服のようでした。

 

血液検査は受けてくださったので、再診時に結果を報告しました。

 

 

血液生化学所見:

Na(ナトリウム)144mEq/L、K(カリウム)2.1mEq/L、Cl91mEq/L、HbA1c8.8%

 

低K血症、低Cl血症、耐糖能異常(糖尿病)

 

 

医学的判断のプロセス:

脱力、筋肉痛、筋力低下、深部反射減弱といった症状は低K血症にともなう症状です。

 

また低K血症はインスリン分泌を障害し、その結果、血糖値を上昇させます。

 

低K血症を伴う高血圧症は、漢方薬『甘草湯』の主成分である生薬<甘草>に含まれるグリチルリチンによるものです。

 

グリチルリチンは、アルドステロンと同様に、鉱質コルチコイド様作用をもち、

 

高血圧と低K血症をもたらし、血漿レニン活性は抑制されます。

 

ただし、グリチルリチン自体は、血漿のアルドステロンを抑制します。

 

低Cl血症は低Cl性代謝性アルカローシスをもたらします。

 

 

診断:偽性アルドステロン症

(偽性というのは、実際にはアルドステロン上昇が原因でないにもかかわらず、アルドステロン症に似た病態が出現することから命名されたのではないかと思われます。)

 

 

まとめ:

漢方薬投与中に高血圧や低K血症がみられたら、まず漢方薬のなかに甘草が含まれているかどうか、

 

含まれているとすればどの程度か、指示を守ってきちんと内服していたか、を再確認しています。

 

甘草の成分であるグリチルリチンを過剰に摂取し続けると、誰でも偽性アルドステロン症による高血圧がもたらされることになります。

 

 

後日譚:

彼女は、ようやく『甘草湯』内服を中止、半年後に禁煙成功。血圧も理想血圧に戻り、血中K、Clも正常、血糖値も正常化しました。

心臓・脈管 / 腎・泌尿器の病気

 

<感染性心内膜炎>

 

高円寺南診療所は内科なのに、目や鼻や皮膚や関節や筋肉まで診るので変わっている、とお感じの皆様、

 

そんな皆様のために、内科医の仕事とはどのような範囲に及ぶのか、またそれがなぜ必要なのかについての例を挙げてみたいと思います。

 

 

<熱が出て、脈拍数が増え、動悸がして、体の節々が痛む>という症状を経験したことがある方は、ひどい風邪の症状の辛さを実感できることでしょう。

 

こうした一連の症状はウィルス性感染症、とりわけインフルエンザの症状を思わせます。

 

風邪は万病の元といいますが、しかし、このような場合、心得のある医師は、患者さんの指を診ます。

 

高円寺南診療所では、動脈血酸素飽和度を指で測定する際に観察する習慣があります。

 

指頭部に紫色の皮下結節を認め痛みを伴うようであれば、有痛性皮下結節(オスラー結節)です。

 

その場合、手のひらも観察し、小さな5mm以下の紅い斑を見つけ、

 

痛みを伴わないものであれば手掌無痛性小赤色斑(ジェインウェイ病変)です。

 

その場合は目の診察をします。眼瞼結膜にも点状出血を認めたら、

 

感染性心内膜炎を強く疑います。最近、感染性心内膜炎は院内発生例が増加しています。

 

 

そこで患者さんの心音を丁寧に聴くことになります。

 

発熱に加えて新規に心臓の雑音を聴いたら、感染性心内膜炎を見落としてはならないからです。

 

特に僧房弁逆流に合併した場合、心尖部に収縮期雑音を聴取することがあります。

 

 

感染性心内膜炎は、こうした弁膜症に合併しやすいので病歴の再確認が必要です。

 

心室中隔欠損症、大動脈化依存症、ファロー四徴症、大動脈閉鎖不全、僧房弁逆流、肺動脈狭窄、肥厚性閉塞性心筋症などで

 

軽症な弁膜症ほど、欠損孔が小さいので心臓内で勢いの激しいジェット血流を生じやすいです。

 

ジェット血流によって心内膜が障害されると、その部位に血栓が形成されやすくなります。

 

細菌感染により菌血症が起こると、この血栓に細菌が付着し疣贅(ゆうぜい)が生じます。

 

これに対して二次口型の心房中隔欠損症では、欠損孔が比較的大きく勢いが弱いので

 

ジェット血流は生じにくいので感染性心内膜炎は来しにくいことが知られています。

 

 

片麻痺(脳塞栓)、胸部痛(急性心筋梗塞)、血尿・蛋白尿(腎梗塞)、左上腹部痛(脾腫)など、確認すべき症状は全身に及びます。

 

このように感染性心内膜炎は塞栓症が生じ脳、心臓、腎、脾の梗塞を引き起こすことがあります。

 

末梢塞栓症状として、上記の指先のオスラー結節、手掌のジェーンウェイ病変の他に、爪下線状出血、眼底の出血性梗塞(ロス斑)などがあります。

 

 

確定診断にはDuke診断基準が用いられています。

 

もっとも、心臓超音波検査で疣贅が証明されれば診断は確定しますが、

 

血液培養によって原因菌を検出することが重要です。

 

 

血液検査では、白血球数増加、赤沈亢進、CRP陽性など典型的な炎症所見の他、リウマチ因子陽性、血清補体価の一過性低下が観察されます。

 

頭部MRI検査で感染性脳動脈瘤の有無をチェックすることも大切です。

 

 

適切な治療を行わないと、致命的になります。

 

原因菌で最も多いのは緑色連鎖球菌であり、その場合、アミノグリコシド系抗菌薬を1日に複数回投与します。

 

なお感染性心内膜炎のリスクのある患者に抜歯を行う場合は、適切な抗菌薬を処置30分前に投与する必要があります。

 

 

手術適応:①頻発塞栓②心不全悪化③人工弁に伴う心内膜炎④膿瘍形成⑤真菌性心内膜炎などには、急性期の手術適応があり、人工弁置換術を行います。

 

可動性のある10mm以上の疣腫が増大傾向の場合は、感染性塞栓症のリスクが高いため、外科手術の相対的適応(classⅡa)となります。

 

 

死因としては、心不全によるものが多いです。