診察室から 9月5日

一開業医が頭痛専門医資格取得するまでのプロセス

 

 

高円寺南診療所は、三つの「み」(痛、痒、悩)の相談には経験豊富です。

 

痛みに関しては、リウマチ専門医でもあることから、関節リウマチ、骨粗しょう症、

 

変形性関節症、線維筋痛症に至るまで広範な領域について対応しています。

 

 

そうした痛みの患者さんの中には慢性的な頭痛に悩まされている方がいらっしゃいました。

 

ほとんどが脳神経外科などで行うCTスキャンやMRI、あるいは脳血管造影などの大掛かりな画像検査では異常が見つからない一次性頭痛です。

 

つまり、筋緊張性頭痛片頭痛などが多いのですが、頻度の多い日常的な慢性頭痛を問題視していないせいなのか、

 

市販の鎮痛剤でしのいでいるうちに薬物乱用頭痛に陥っている方が少なくありませんでした。

 

 

これらの頭痛に共通している原因はライフスタイルの乱れ、不良姿勢、心理社会的なストレッサー、慢性疲労などです。

 

こうしたタイプの患者さんを専門的にチーム医療で診療し、

 

実績を積み上げてきた高円寺南診療所が、慢性頭痛で悩む多くの皆様に対して適切なサポートをする場としての体制を築き上げることは

 

大いに意味のあることだという認識を持つに至った次第です。

 

 

そこで、専門的な頭痛外来を実施していくための準備を始めました。

 

さっそく日本頭痛学会へ入会しました。

 

すると、最近になって専門医制度が導入されるようになりました。

 

頭痛医療を専門とする優れた医師としての見識を深め、頭痛診療に関する客観的な質を表示することは、とても大切なことだと考えました。

 

それが頭痛専門医資格の取得です。

 

もちろん、この資格を持たずとも立派な診療を続けている医師は少なくありませんが、

 

日進月歩の頭痛医療をあらためてきちんと研鑽しておくことが望ましいのではないかと考えました。

 

 

 

<参考>一般社団法人日本頭痛学会専門医制度に関する規則

 

第 1 条【目的】 日本頭痛学会専門医制度(以下「専門医制度」という.)は,

 

頭痛医療を専門とする優れた医師を養成し,

 

頭痛医療の進歩発展とその水準の向上をはかり,

 

国民の健康, 福祉に貢献することを目的とする.

 

 

 

そこで、さっそく専門医資格を取得するための準備にとりかかったのですが、

 

これがなかなか容易ではないことを知りました。

 

専門医資格認定試験を受験するための資格がとても厳格だからです。

 

ただし、努力すれば決して不可能ではなく、それなりの道筋が与えられていることも知りました。

 

 

これまでに通過してきた道筋と、今後の進むべき道程を紹介させていただきます。

 

 

 

1.頭痛専門医受験資格取得までのプロセス

 

 

受験資格

 

1)日本頭痛学会正会員資格(取得済み)

 

2)基本領域における頭痛関連学会の専門医の資格(取得済み;内科学会認定医

 

3)頭痛関連学会の専門医認定研修期間中2年以上の頭痛診療の研修を受けている

 

4)<頭痛関連学会(基本診療領域などの学会専門医取得研修期間中に頭痛診療の研修を受けている場合は、2年相当の頭痛診療研修歴と認める>

 

(研修済み:国家公務員共済組合等連合会虎の門病院)

 

5)日本頭痛学会認定研修教育施設で3 年以上の研修歴(非該当)

 

⇒上記研修期間の合計が3 年に満たない場合は不足分を HMSJ と教育セミナーの受

 

講により教育施設等での研修歴に代替できる。 (準備中)

 

 

〇 HMSJ(Headach Master School Japan)と日本頭痛学術総会時の教育セミナー受講により

 

頭痛専門医の受験資格である教育認定病院での診療歴として下記のとおり認められます。

 

なおHMSJはプログラム全日程に出席するとともに、ポストテストに合格する必要があります。

 

〇認定教育施設による研修期間の合計が3年に満たない場合は不足分をHMSJと教育セミナーの受講により教育施設等での研修歴に代替できます。

 

ア) HMSJ受講+PostExam合格 1回 + 頭痛学会総会教育セミナー 1回 で研修歴1年と認める

 

イ) HMSJ受講+PostExam合格 2回 + 頭痛学会総会教育セミナー 1回以上 で研修歴2年と認める

 

ウ)HMSJ受講+PostExam合格 3回 (合格済)

 

かつ、頭痛学会総会教育セミナー 1回以上

 

 

第45回日本頭痛学会参加および教育セミナー受講予定(2017年11月10日・11日:大阪国際交流センター)で研修歴3年と認められます。

 

なお実際に頭痛診療を実践している旨を記載した頭痛学会代議員の推薦書を添付することが必要とされます。

 

 

幸いなことに、講習会受講後の3回に及ぶ筆記試験にはすべてストレートに合格できたので、

 

残りは、教育セミナーの受講を果たせば、ようやく頭痛専門医受験資格を得ることができるところまでこぎつけることができました。

 

残るのは次の2つのステップです。

 

 

2.日本頭痛学会専門医認定試験合格

 

第11回日本頭痛学会専門医試験2018年8月受験予定

 

 

3.頭痛専門医登録

 

高円寺南診療所はすでに頭痛外来で実績を挙げていることを自負していますが、

 

何とか最終ゴールまで到達して、診療の質を客観的にお示しすることができるよう努めて参りたいと思います。

 

HMSJ