<喘息のオペラ歌手たちから学ぶホリスティック健康医学 ③ >

 

前回はこちら

 

 

<入門編:その3>

 

先週のテーマは喘息患者の「歩行」でした。

そこでは、すでに喘息患者に特有の歩行パターンは一般的には認識されていない、という回答でした。

しかしながらも「歩行」の一般的な特徴として、以下の2点を指摘していました。


1.遅い歩行:

喘息発作中や症状が悪化した場合、呼吸が浅くなり、疲労が蓄積する可能性があり、それにより歩行が遅くなることが考えられます。


2.動作の制約:

喘息により呼吸が制約されると、動作が制限されたり、歩行の際に身体の動きが制約されることがあります。

 

ここで、すでに「動作」というキーワードが出現しています。そこで、今回は、喘息と「動作」についてムッシュGPTと対話を試みてみましょう。

 

 

喘息の患者に特有な動作があるでしょうか。もしあれば、その特徴と矯正法を教えてください。

 


ChatGPT

喘息患者には、喘息発作時や症状が悪化した際に、特有の動作が見られることがあります。これらの動作は、患者が呼吸を楽にするために自然に取る姿勢や行動です。以下に、特有の動作とその矯正法をいくつか挙げてみます:

 

特有の動作:


1. 深呼吸:

喘息患者は発作時に深呼吸をすることがあります。これは、気道の拡張を試みるための反応であり、呼吸が浅いと感じることが一般的です。


2. 手で胸や腹を押さえる:

発作時には、手で胸や腹を押さえて呼吸を助けようとすることがあります。これは、呼吸の補助筋を活用し、気道を拡張しようとする反応です。


3. 咳き込みやくしゃみ:

喘息患者は、気道の刺激により咳き込みやくしゃみを引き起こすことがあります。これは、気道の異物を排除しようとする自然な反応です。

 

 

矯正法:

1. 正しい呼吸法の学習:

喘息患者には、正しい呼吸法(腹式呼吸)を学習させ、深呼吸の代わりに正確な呼吸を心がけるよう指導することが重要です。


2. リラックス法の導入:

咳き込みやくしゃみが発作を引き起こすことがあるため、リラックス法や喉の刺激を抑えるテクニックを導入して、気道の過敏性を軽減することが役立ちます。


3. 呼吸筋の強化:

正しい姿勢と適切な呼吸法を組み合わせて、呼吸筋の強化に焦点を当てることが重要です。これにより、深呼吸や手で胸や腹を押さえる動作が減少し、正常な呼吸パターンが促進されます。


4. トリガーの回避:

喘息の発作を引き起こす可能性のあるトリガー(アレルゲンや刺激物)を避けることも、症状を軽減するために重要です。


これらのアプローチは、個別の患者の状態に応じて専門家によって評価され、適切に指導されるべきです。喘息患者が正しい呼吸法や適切な対応を学ぶことで、症状のコントロールが向上し、生活の質が向上する可能性があります。

 


ドクター飯嶋のコメント 
興味深いことに、ムッシュGPTは、総論部分で「動作」というキーワードを「呼吸」、「姿勢」および「行動」と結びつけて認識していることを示してくれました。

これは、なかなか深い洞察です。どれくらい深いかというと、平均的な医師や声楽家より深いというだけでなく、ひょっとしたら、医学や音楽のエキスパートよりも本質を捉えているのではないか、というくらい深いのではないかということです。

 

このシリーズのタイトルの中に「ホリスティック」という言葉を使っています。この言葉の深い意味は、今後、徐々にご紹介していくことになりますが、たいていの医師は「ホリスティック」なレベルに達していないことは確かです。

 

医師は医学のプロではありますが、芸術のプロではありません。とりわけ、声楽家は「声」のプロでありながら、「声」の問題が深刻な場合には耳鼻咽喉科専門医に相談することがほとんどのようです。

ただし、耳鼻咽喉科の専門医の中には自らが声楽活動を継続しているような方もごくまれにはいらっしゃいますが、その他のほとんどの方は日常生活での声の病気の専門家ではあっても、芸術表現としての声の専門家ではないことに気付いておく必要はあるのではないでしょうか?

 

さて、ムッシュGPTが紹介する喘息患者の「動作」についてですが、以下の3つを挙げていますが、少し奇妙な気がしませんか?

 

1.深呼吸、2.手で胸や腹を押さえる、3.咳込みやくしゃみ

 

 

1.「深呼吸」は、正確な呼吸や正しい呼吸法ではないのでしょうか?

 

2.手で胸や腹を押さえる動作で、なぜ、補助呼吸筋を活用きるのでしょうか?


3.咳込みやくしゃみが自然な反応であるとするならば、「動作」というよりも「反射」と表現すべきではないでしょうか?

 

以上のうち、1は「呼吸」を論じる際に改めて検討することにしましょう。

 

2.については、

❶ 手で胸や腹を押さえる動作で活性化できる補助呼吸筋にはどのような筋群があるのか?

 

❷ どの補助呼吸筋が気道の拡張に役立つのか?

 

❸ 補助呼吸筋が気道拡張をもたらすメカニズムは何か?
という3段階の問いに分割することができるでしょう。
これは、本シリーズに続く<研究編>で検討したいと思います。

 


3.については、
「咳込みやくしゃみ」は必ずしも自然な反応ばかりではなく、意識的に繰り返されることによって、習慣化されることがある、というのが臨床家としての私の見解です。
そこではじめて、単なる反応ではない喘息に伴う「動作」ということになるのだと思います。

 

また、ムッシュGPTは対処法について簡潔に回答しています。


これも、主に呼吸筋や呼吸法の関連とリラクゼーションについて言及しています。
呼吸も「動作」であり、動作は骨格筋運動により発動され、しかも、呼吸や呼吸に関連する動作はリラクゼーションと密接な関係があるため、当然の結末であるといえなくもありません。「動作」について、これまでよりも広い関連性の中で理解しておくことはとても意味のあることだと思います。