ムッシュGPTと学ぶOpenAIの世界 ⑥

 

前回はこちら

 


チャットGPTが翻訳ソフトを使用していないというメリットの一端
某高性能有料「翻訳ソフト」にみられる専門用語の誤訳の捏造性?
(その2)


ムッシュGPTにお仕事を引き受けていただくために、前回検証した、某高性能自動翻訳機の誤訳の部分に修正を加えて、以下の中文(中国語の文書)で質問してみました。

 

我不是医生,但我可以提供一些一般性的信息。首先,您的症状改善可能与医生为您开具的两种中药——"加味逍遥散"和"当帰芍薬散"——的配方和周期性服用有关。

 

1. 中药配方的综合作用: "加味逍遥散"和"当帰芍薬散"是中医中的经典方剂,通常被用于调理女性的月经

 

2. 调、经痛等问题。这两种方剂可能通过多种成分的协同作用,综合调理身体的平衡,从而带来症状的改善。

 

3. 根据月经周期的交替使用: 您提到医生根据您的月经周期让您交替使用这两种药物。这可能有助于更好地适应身体的生理周期,以更精准地应对周期性的变化和不适。

 

4. 个体差异: 每个人的身体状况和反应是独特的。有时候,特定的治疗在一些人身上可能表现得更为有效,而在另一些人身上效果较差。您的身体可能对这两种药物的组合产生了积极的反应。

 

5. 心理影响: 有时候,期望治疗会奏效可能会对治疗的效果产生一定的影响。心理因素对身体的影响并不容忽视。


然而,为了更准确地了解为什么您在这种情况下感觉良好,最好的做法是与您的医生直接沟通。医生能够根据您的具体病史、体检结果和症状变化为您提供更专业和个体化的建议。

 

 


高性能として知られている某有料翻訳ソフトによる日本語訳

 

私は医者ではありませんが、一般的な情報を提供することはできます。 まず、症状の改善には、主治医から処方された2つの漢方薬「滋陰益気散」と「当帰芍薬散」の処方と周期的な服用が関係している可能性があります。

 

1.漢方処方の相乗効果:

『滋陰降火散』と『当帰芍薬散』は漢方の古典的な処方で、通常、女性の月経不順や月経痛を調整するために用いられます。 この2つの処方は、様々な成分との相乗効果で身体のバランスを総合的に整え、症状の改善をもたらす可能性がある。

 

2.月経周期に合わせて交互に服用:

月経周期に合わせて2種類の薬を交互に服用するよう、医師から指示されているとのことですね。 そうすることで、周期的な変化や不快感により正確に対応するために、体の周期によりよく適応することができるかもしれません。

 

3.個人差:

体調や反応は人それぞれです。 特定の治療法が、ある人にはより効果的で、ある人にはあまり効果的でないこともあります。 2種類の薬を併用することで、身体が良い反応を示す場合もあります。

 

4.心理的な影響:

治療が効くという期待が、その効き目に影響を及ぼすことがあります。 心理的要因が身体に与える影響は無視できない。

 

しかし、このような状況でなぜ調子がいいのかをより正確に把握するためには、主治医と直接話すのが一番です。 主治医は、あなたの病歴、身体検査の結果、症状の変化などに基づいて、より専門的で個別のアドバイスを提供することができるでしょう。

 

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ドクター飯嶋のコメント:

最初の日本語の質問文を某高性能有料「翻訳ソフト」で中国語変換すると、
せっかくムッシュGPTが正しく反映してくれた<当帰芍薬散と加味逍遙散>に相当する部分を「翻訳ソフト」はわざわざ<汤吉牡丹散和上芍药散>という表記に変換してしまいました。これは、明らかに不適切な変換であり、「汤吉牡丹散」と「上芍药散」というふうに訳が捏造されたようなものです。

 

この翻訳中国語文の誤訳部分を修復して、<当帰芍薬散と加味逍遙散>に還元して再び日本語に変換すると今度は、「唐辛子麦門冬湯」と「香包散」というふうに、実際には存在していない処方名の訳が再び捏造されています。

 

たしかに「麦門冬湯」という漢方薬は実際に存在しますが、まさかそれに「唐辛子」を加えた「唐辛子麦門冬湯」なるものが存在する可能性は少ないと思います。


また「香包散」は聞いたことがありませんが「香蘇散」は良く知られていてとても紛らわしいです。

 

ちなみに、「麦門冬湯」と「香蘇散」は、わが国において、いずれも風邪の際に処方されることがありますが、タイプが合えば新型コロナウイルス感染症(Covid-19)にも処方することができます。

 

なぜ、このような、もっともらしい訳語が生成されるのかは不明ですが、余りにも、もっともらしい誤訳なので、もし私に漢方薬の専門知識が備わっていなければ、私自身も誤りを発見することができなかった可能性があります。

 

漢方薬についての質問に関して、英語による情報ベースでの対するチャットGPTは回答には限界があるのではないか、ということで質問文を中国語に翻訳して質問するということを試みました。

 

ムッシュGPTへの質問を中国語に変換するための翻訳に当たっては、某高性能有料「翻訳ソフト」をしました。その結果、この翻訳ソフトは有料であるからといって、必ずしも優良ではないことが確認されました。

 

それは、専門用語の誤訳というよりは、訳語の捏造に近いものでした。


捏造というのは「事実でない事を事実のようにこしらえて言うこと」(広辞苑)ですが、「翻訳ソフト」は、結果的に訳語を捏造したのと同様の結果をもたらす危険性があります。

 

その場合「事実でない事」というより「実際には存在しない用語」をシステムに内在するプログラムのメカニズムによって自動的に生成してしまうことがあるからです。

 

母国語以外のある外国語に翻訳する場合には、最低限でも、その言語の基礎的な単語や文法についての知識が必要だと思います。その理由は、誤訳と用語捏造が頻繁に行われているため、それを検出できるだけの能力を確保しておかなければならないからです。

 

大切な情報を収集するにあたって、安易にChatGPTや翻訳ソフトに頼ることに対して、私は自らを含め、警鐘を鳴らしておきたいと思います。