金曜シリーズ < よくある問い合わせ ⑪ >

 

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糖尿病の罹患者数はなかなか減少しません。


糖尿病の診断は難しくないのですが、初期においては無症状であるためか、治療開始に至らない症例や治療を中断する症例が就労世代に多いことは大問題だと思います。

 

ですから、私は嘱託産業医としての重要な健康管理業務で職場健診が不可欠であり、未治療あるいは治療中断状態にある労働者を医療へとつなげていくための啓発に力を注いでいます。

 

 

以下は、私のクリニックの患者さん(米国人Aさん)からの質問ですが、休職中の職員(日本人Bさん)の職場復帰のための産業医面談でも同様の質問を受けたため、まずムッシュGPTに質問を投げかけてみました。

 

 

質問者:Bさん(日本人)

私は糖尿病の患者です。主治医から適切な治療を受けているので、セルフケアを怠らなければコントロール良好です。

 

将来、インスリンの自己注射を打つようにはなりたくないのですが、インスリン以外に糖尿病の注射薬があると聞き興味があります。その注射薬の概要について教えてください。

 

 

ChatGPT
糖尿病の治療には、インスリン以外にもさまざまな注射薬があります。これらの薬は、異なる働きを持ち、患者の状態によって処方されることがあります。

以下に、主な非インスリン注射薬の概要を示します:

 

1. GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA):

GLP-1受容体作動薬は、膵臓のインスリン分泌を促進し、同時に食欲を抑制します。これにより、血糖値の上昇を抑える効果があります。これらの薬は通常、食事前に皮下注射されます。一部のGLP-1 RAは週1回の投与が可能であり、患者の利便性を向上させています。


2. DPP-4阻害薬:

DPP-4阻害薬は、血中のGLP-1の分解を阻害し、インスリン分泌を増加させます。食後の血糖値の上昇を抑制する効果があります。これらの薬は通常、経口薬として利用されますが、一部は注射薬としても存在します。


3. SGLT2阻害薬:

SGLT2阻害薬は、腎臓での糖の再吸収を阻害し、尿中に糖を排泄させます。これにより、血糖値を下げる効果があります。これらの薬は通常、経口薬ですが、一部は注射薬としても利用されます。


これらの非インスリン注射薬は、糖尿病患者の血糖管理をサポートするために使われます。

 

ただし、具体的な治療方針は患者の状態や医師の判断により異なるため、最適な治療法は主治医との相談によって決定されるべきです。

 

 

ドクター飯嶋のコメント:
 質問者は非インスリン注射薬(インスリン以外の糖尿病治療用注射薬)について質問していますが、同一の成分でも、注射製剤ばかりでなく内服製剤が使用できる薬剤があることをムッシュGPTは親切に教えてくれています。


この方は、そもそも注射が大の苦手なので、内服も可能であれば、内服の製剤を選択することになるでしょう。


しかし、この方はまた、自分自身の旺盛な食欲とも戦っているため、食欲を抑制できるのであれば苦手な注射であっても選択肢に入れることでしょう。


糖尿病は、世界中の先進国において等しく問題になってるばかりでなく、食生活の欧米化(むしろ単に、米国化か?)に伴い発展途上国でも増加しています。とりわけ米国は糖尿病大国で、米国人が多大な関心を寄せている代表的な生活習慣病の一つです。


そこで、次回は米国人のAさんの質問に対する回答について検討していきたいと思います。


なお、今回のBさんの質問を英語に翻訳して、ムッシュGPTの回答が日本語と英語で違いがあるかどうかを確認してみることは興味深い視点だと思います。

 


Bさんの質問を題材としての、この話題については、2月26日(月)の記事でさらに掘り下げていきたいと思います。