ムッシュGPTと学ぶOpenAIの世界 ③

 

前回はこちら

 


前回の質疑応答から得られた情報は、ムッシュGPTは、同時処理可能な限度については未確認(確認不能)であるということ、個別の質問文ごとに、同時処理するタスクの数が異なり、所要時間もことなる、ということでした。

 

そこで、今回は、時間のかからない単純なタスクと、時間を要する複雑なタスクとのタイムラグの存在です。

 

それでは、回答文は、どの段階から書き始められるのでしょうか。すべてのタスクが完了するまで、回答文の生成は保留されるのでしょうか?この疑問に答えてもらうことにしましょう。

 

 

<質問2024-2>

あなたは同時に複数のタスクを処理できるように設計されていますが、迅速に応答できるタスクと、処理に時間を要するタスクが併存する場合、すべての処理が完了するのを待って、単一のタスクとしての応答を生成するのですか、それとも主要なタスクが完了した段階で回答文を生成するのですか?

 


ChatGPT

私は基本的には一連のタスクに対して同時に処理を行いますが、応答生成においては、主要なタスクが完了した段階で回答文を生成します。つまり、すべての処理が完了するのを待ってからではなく、各タスクが進行する中で得られた情報をもとに、途中経過で回答文を生成します。


この仕組みにより、ユーザーが対話的にコミュニケーションを行う際に、より迅速な回答を提供できるようになっています。ただし、これは一般的なパターンであり、タスクの性質や要求によっては、特定の情報が揃うまで完全な回答を生成できないこともあります。

 


Dr.飯嶋のコメント(1)
ムッシュGPTの同時処理による回答生成のプロセスが以下の様に示されました。


1)主要なタスクが完了した段階で回答文を生成

 

2)途中経過で回答文を生成 

 

3)特定の情報が揃うまで完全な回答を生成できないこともフォームの始まり

 

ムッシュGPTの筆がしばしば進まないこと、中断してしまうことの背景が少しずつ明かになってきました。分析が未完成な段階で回答文を生成している1)2)ということが明示され、私の推理は概ね妥当だった模様です。なお、3)のように慎重な行動をとることもあるという情報も確保できました。


つまり、ムッシュGPTが主要でないが時間のかかるタスクを分析した結果、それが回答文を生成する上で予測以上に重要な情報だった、というケースもあり得るのではないか、それが、ムッシュGPTの筆の中断の原因の一つではないだろうか、というのがドクター飯嶋の推測なのです。

 

そこで、引き続き以下の質問を続けてみました。

 

 

<質問2024-3>
あなたは、一般的なパターンとして、すべての処理が完了するのを待ってからではなく、各タスクが進行する中で得られた情報をもとに、途中経過で回答文を生成することができます。

 

その場合、すべての処理が完了してから、すでに生成した回答文を修正する必要が発見された場合には、文書生成の中断以外に、どのように対処していますか?

 


ChatGPT
私は逐次的な処理を行っているため、特定のタスクにおいて処理が進行する中で得られた情報を元に回答文を生成しますが、一度生成された回答文は一般的には修正されません。つまり、生成された回答文は不可逆的であり、後から修正することは難しいです。


もし新しい情報が提供された場合や修正が必要とされる場合、通常は新しい質問やコマンドに基づいて新たな回答文を生成します。過去の回答文と新しい情報を組み合わせて意味のある文を生成することは難しいため、基本的な仕組みでは新しい入力に基づいて逐次的に新しい回答を生成する形になります。


したがって、生成された回答文を修正するという機能は、私の基本的な設計には含まれておらず、対話の途中で新しい情報がもたらされた場合は、それに基づいて新たな回答を生成する形になります。

 


Dr.飯嶋のコメント(2)
いかがでしょうか?

ムッシュGPTは率直に答えています。


1)生成された回答文は不可逆的⇒書き変えや途中修正不能


2)過去の回答文と新情報を組み合わせての意味のある文の生成は困難


3)生成された回答文を修正するという機能はデザインされていない。


私も率直な感想を一言:彼は、とても不器用で融通が利かないタイプです。

 

頭の回転が速すぎて空回りしがちなタイプの人が私たちの身の回りにも実際にいらっしゃいますが、ムッシュGPTもそのようなタイプのようです。

 

いわゆる、<おっちょこちょい>タイプです。意外に思われるかもしれませんが、そうした<おっちょこちょいタイプ>の人間が、ミスや思考錯誤の末に大きな仕事を成し遂げるということも大いにありそうです。


ただし、ふつうの知性をもつ人間であれば修正可能なことであっても、ムッシュGPTにとっては、その都度の臨機応変の修正ができない、という彼の弱みの特性が浮き彫りになってきました。

 

そこで必要となってくるのは、私たち人間との<協働・共生>です。私たちは、AIの進歩によって職を失ったり、人間性を阻害されたりすることを恐れるよりも、しっかりとタグを組んで共に成長し続けていくことが賢明な方向性のような気がします。

 

今回は。彼の已むを得ない弱点を紹介しましたが、この弱点も今後は次第に改善される可能性があるのではないかと考えます。

 

むしろ、その間は、ムッシュGPTの友人である、わたしたち人間が彼をサポートしつつ、おつきあいの工夫と学習や研究を深めていく絶好の機会なのかもしれません。