第4回 『結』の巻【水氣道を導いている不思議な存在】

 

水氣道による人格完成に向けてのメカニズム
 

水氣道は平成28年(2016)2月24日に登録商標を出願し、同年9月9日商標登録しました。登録した商標は、以下の4件です。

 

・水気道®(登録第5979758号)

・水氣道®(登録第5979759号)

・suikido®(登録第5979760号)

・Mindfulness Group Aquabics®(登録第5979761号)

 

  
水氣道の稽古のすべての原点は基本五航法と称する一連の形(かた)の中でも、第一航法としての素歩きに始まりました。

その後、基本五航法が一応完成すると、準備体操(イキイキ体操)、整理体操(のびのび体操)、各種航法が開発され、最近に至って、親水航法が整いました。このようにして、実際に、水氣道の稽古の流れが、親水航法、準備体操(イキイキ体操)、基本五航法、各種航法および整理体操(のびのび体操)の五つの段階に区分、整理されてきたのは最近のことなのです。

 

 

水氣道は、儒教の影響を受けた我が国の律令制を模した組織の骨組みのうえに仏教とキリスト教という互いに相異なる伝統宗教の双方に通じる「かたち」と「はたらき」が知らず知らずのうちに加わり、導かれるように成長してきたもののように感じられております。

 

そもそも水氣道ははじめから既存の特定の単一の伝統宗教を下敷きにして構築したものではありません。それにもかかわらず創始の後20年におよぶ実践の結果として得られた組織機構と機能とにおいて哲学性・倫理性・宗教性が育まれてきたことは否めません。

 

そして、親水航法、準備体操(イキイキ体操)、基本五航法、各種航法および整理体操(のびのび体操)の五つの段階に区分、整理されてはじめて得られたインスピレーションは、この五段階の流れがカトリックのミサの典礼曲の構成と対応しているということでした。

 

 

水氣道とミサ典礼曲を構成する5つの内容の対応関係を説明するために、新たに特別の名称を付すことによって、水氣道の本質に迫ってみようと思います。

 

ミサ曲の基本的な構成要素は、一般的に、通常文と呼ばれる『キリエ』(求憐誦)、『グローリア』(栄光頌、天には神に栄光)、『クレド』(信経、信仰宣言)、『サンクトゥス』(三聖頌、感謝の賛歌)、『アニュス・デイ』(神羔頌、神の小羊)の5曲です。

 

そして、ミサではどのような場合にも必ず同じ典礼文を用います。これら5曲をすべて備えたものを通作ミサ曲と呼びます。これに対し、『クレド』(信経、信仰宣言)を含まないものをミサ・ブレヴィス(小ミサ)と呼びます。

 

水氣道では五航法に相当しますが、これを全く省略することはないにしても、必要に応じて簡略版で稽古することがあります。

ルーテル派では『キリエ』と『グローリア』のみで構成されるものがミサ・ブレヴィスですが、水氣道から派生した聖楽院のレッスンでも『グローリア』に相当する準備体操(イキイキ体操)の短縮版を導入してレッスン効果を挙げています。

 

 

1. 親水航法・・・求憐誦(キリエKyrie)
水氣道では、あらため<求憐踏:きゅうりんとう>

 

2. 準備体操(イキイキ体操)・・・栄光誦(グロリアGloria)
水氣道では、あらため<栄光躍:えいこうやく>

 

3. 基本五航法・・・信経(クレドCredo)
水氣道では、あらため<信経行:しんきょうぎょう>

 

4. 各種航法・・・三聖頌 (サンクトゥスSanctus)
水氣道では、あらため<三聖舞:さんせいぶ>

 

5. 整理体操(のびのび体操)・・・神羔誦(アニュス・デイAgnus Dei)
水氣道でも、そのまま<神羔頌:しんようしょう>

 

 

 

1) 親水航法<求憐踏:きゅうりんとう> 

 

・求憐(きゅうりん)とは、「憐れみ」を求めることです。
   

・憐みとは「慈悲」です。これは仏教由来の言葉であり、「慈」とは、与楽といって人々に楽を与えること、「悲」とは、抜苦といって苦を除くことです。
   

・また踏(とう)とは、踏むこと、踏みつけること、足の裏で地を押し付けることから、歩くことや、舞など足で調子をつけること、さらには舞うこと、お参りすること、履行・実践・実演すること、経験すること、その過程を通ること、その地まで到達すること、跡をついでその地位に身をおくこと、にも意味の拡がりがあります。
   
   

<求憐踏>は、こうした「求憐」を得るための「踏」であり、「沈黙」の中での身体運動を伴う「祈り」であるともいえます。これは霊的な「呼気」に相当します。

 

 

2) 準備体操(いきいき体操)<栄光躍:えいこうやく> 
  

・栄光(えいこう)とは、幸いを約束する光を意味します。幸いとは名誉であり、輝かしい誉れです。
  

・また躍(やく)とは、踊躍(ゆやく)の躍であり、おどりあがること、勢いよく活動すること、を意味します。

 

<栄光躍>は、すべてが幸いに満たされ「栄光」に輝くための「躍」です。準備体操(いきいき体操)は、おどりあがることや勢いよく活動することも可能なコンディシ ョンとする準備をする運動であり、この段階では決して無理をしてはいけません。

 

 

3)基本五航法 <信経行:しんきょうぎょう>

・信経(しんきょう)とは、キリスト教では、教会がその教理・教義を神と人に示す成文箇条で信条とも訳され、信仰宣言のことです。水氣道の組織としては、その理論と実践の効能に基づき会員が一致して獲得した信条を、言葉で表明するのではなく、団体の稽古を通して習慣的に反復確認し、世界に発信していくための原点ともいうべき存在です。

 

・行(ぎょう)とは、行くこと、進むこと、行いや振舞い、行儀、修行、文字などの縦のならびを意味します。哲学的には、人間的な働きとしての実践行為で「知」と対比される概念ですが、仏教における能動的意味では、われわれの存在を成立させる潜在的形成力や様々な心的活動力、また受動的意味では、生滅変化する一切の現象世界の存在を意味します。

 

<信経行>は、水氣道の組織としての原点を、団体として文字通り縦に整列して順次進行していく実践行為であり、生滅変化する一切の現象世界の中にありながら、私たちの存在の基礎となる潜在的形成力や様々な心的活動力を育む修行です。

 

 

4)各種航法<三聖舞:さんせいぶ> 

・「三聖」とは、一般的には釈迦・孔子・キリストを指しますが、キリスト教では「父なる神・子なるキリスト・聖霊」を表します。水氣道では、「水・氣・道(血)」を意味します。また、「身・息・心」にも対応しています。この概念は、漢方医学や鍼灸理論と水氣道の接点となるばかりでなく、身体医学と精神医学を統合する心身医学と水氣道との接点ともなって実際的に機能しています。
  

・「舞」とは、舞いおどることで、励ますことの意味を含みます。

 

<三聖舞>は、心身の「三聖」の調和を得るための「舞」です。これは調身(体操)・調息(情操)・調心(霊操)という三調操によって、「水・氣・道(血)」を整え、心身の再統合を図り、全人的な健康増進に繋げることを目的とするものです。それを自分のためばかりでなく、他者のためにも鼓舞するための「名宣り」稽古が最近導入され展開中です。

 

 

5)整理体操(のびのび体操)<神羔頌:しんようしょう> 

・「神羔」とは「神の子羊」を意味します。この「子羊」とは直接的には子供の羊(羊の子)ですが、力ないもののたとえにも用いられます。「神の子羊」はこの世の憂いを取り除く力をもった神の子のような存在です。

 

・「頌」とは、ほめたたえることであり、ほめうた、を意味します。

 

<神羔頌>はそうした「神羔」をほめたたえる行為です。
武道の良さには「礼で始まり、礼で終わる」ことがあります。これは武道の精神・あり方に則り、試合においては作法を守り、また相手への敬意を示すことが、何よりも重んじられるべきである、ということです。これは礼儀・礼節をもって試合に臨むことは勝敗よりも重要であるという考え方を伴うものです。
これに対して水氣道には、そもそも試合がなく、勝敗を決する必要もありません。そのかわり、水氣道の作法である「礼」とは「祈りにはじまり、賛美で終わる」ことを旨としています。ここで「祈り」とは、水氣道に対する大きな信頼、成長に向けての願い、相互の祈互いに祈り合うことなどを含んでおります。「賛美」とは、与えられている恩寵に対して感謝し、ほめたたえることです。これは霊的な「吸気」に相当します。そうして<神羔頌:しんようしょう>としての整理体操(のびのび体操)は、水氣道の一連の稽古を締めくくる体操をすることが賛美そのものの「礼」と一体になることを目指していきます。

ロシアのベクター研究所で、またもや不審な事故発生!

 

丁度先週、ロシアの生物学兵器研究所ともうわさされる「ベクター研究所」について紹介しました。

この研究所で発生した過去の不可解な事故についての情報は決して真新しいものではないのですが、内外から相当な反響がありました。

「危険だからこれ以上深入りしないでください」と涙目で訴えてくださる心優しい患者様まで現れました。ちょうどその日に、米国のCNNニュースが以下のニュースを発表しました。

 

とりもなおさず、ロシアのベクター研究所(ロシア連邦国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センターが過去に引き起こした新たな重大事故についてです。

 

(CNN) ロシア東部シベリアの中心都市ノボシビルスク近郊にある研究施設の建物で 16日に爆発と火災が起きた。この施設には天然痘ウイルスの試料などが保管されているが、地元当局によると近隣住民に危険が及ぶ恐れはないという。

 

現場は国立ウイルス学・バイオテクノロジー研究センター。発表によると、衛生検査室の改修工事中に爆発が起きた。国営タス通信は、作業員1人がやけどを負って集中治療室に収容されたと報じている。

 

同通信によると、6階建てビルの5階でガスボンベが爆発した。

窓ガラスが割れたものの建物の構造に損傷はなかったという。

同センターによれば、この部屋に病原体などの危険物質は保管されていなかった。

 

タス通信は市長の話として、生物学的脅威などの危険はないと伝えた。

同センターは1974年に設立され、冷戦中は生物兵器の開発拠点として知られた。現在は感染症のワクチンや診断法、治療法を開発する世界有数の研究施設となっている。

 

世界で天然痘ウイルスが保管されているのは、ここと米疾病対策センターのみ。今年2月にはエボラ出血熱ワクチンの臨床試験を完了していた。

 

ロシア北部では先月、ミサイル実験の失敗とみられる爆発があり、原子力企業の専門家少なくとも5人が死亡した。放射線レベルの上昇が伝えられるなかで当局の説明は二転三転し、隠ぺい工作の懸念が指摘された

 

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わかりやすい報道のようですが、これだけではどうにもなりません。

このような場合には、英文情報はあまり役に立ちません。まずロシア人向けのロシア語の公式サイトを検索することだと思います。

とくに、国土面積が広大な国家の弱点は、意思疎通です。インターネットを活用するしかないのです。

そこで、さっそく、«Вектор»と16.04.2020のみを検索情報として、当事者のベクター研究所の公式サイトにアクセスしてみました。

 

すると、ロシア連邦の科学・教育部局(日本の文科省相当か?)の首脳の大規模な人事異動のリストが行われたようです。理事会が11名、評議委員会が40名、理事会11名の氏名は、すべて評議委員会の名簿に見出すことができました。

この大統領令が発令されたのが4月14日、そして2日後の16日に大事故が発生しています。これはいったい何を意味しているのでしょうか。

事故についての情報は全く掲載されていません。今後1~2週間のうちに何らかの発表がないとしたら、とても不吉で不気味な企てがなされている可能性があるように推測されます。プーチン大統領が直接的に深く関与していることが伺われます。

 

 

Генеральный директор ГНЦ ВБ «Вектор Роспотребнадзора Максютов Р.А. вошел в состав Совета при Президенте Российской Федерации по науке и образованию

ロスポトレフナツドルの≪ベクター≫研究所総長
R.A. マクシュタフ,ロシア科学・教育連盟委員会国家委員長は、
ロシア科学・教育連盟総長の委員会を併合した

 

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16.04.2020

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16.04.2020

 

 

Президент РФ Владимир Путин утвердил новый состав Совета при главе государства по науке и образованию и стал его председателем.

ロシア大統領ウラジミール・プーチンは科学・教育の国家首脳の下での委員会を再構成し、その議長となることを承認した。

 

Соответствующий указ опубликован на официальном интернет-портале правовой информации.

関連法規は法令情報の公式インターネットポータルにて公表した

 

указ

政令

 

Президента Российской федерации

ロシア連邦大統領

 

Об утверждении состава Совета при Президенте РФ по науке и образованию и состава президиума этого Совета.

科学・教育に関するロシア連邦大統領直属委員会の構成と委員会議長の構成についての承認について

 

1. утвердить прилагагаемые:

1. 付帯的承認:

 

a) Состава Совета при президенте Российской федерации по науке
И образованию.

a) ロシア連邦大統領の科学・教育委員会の構成(40名)

 

b) состава президиума Совета при президенте Российской федерации по науке и образованию.

b) ロシア連邦大統領の科学・教育委員会の下での委員会議長の構成(11名)

 

2. Признать утративщими силу:

2. 権限を失った者の確認

 

3.Hacтоящий указ вcтупает в cилу cо дня его подпиcания. 

3.ナスターツィ令は記載日に発効する

 

 

Президент Российской федерации B. Путин

ロシア連邦大統領プーチン

 

Mockва,Kpeмль

モスクワ、クレムリン

 

14 aпpеля 2020 года

保険診療の検査実施上の落とし穴(その2)

 

昨日に、引き続き、医療機関の診療報酬の削減政策の具体例についてご報告します。

 

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1月分減増点連絡書(社会保険診療報酬支払基金東京支部)より

 

減点事由A:

療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上適応とならないもの

 

減点事由B:

療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上過剰・重複となるもの

 

減点事由C:

療養担当規則等に照らし、A・B以外で医学的に保険診療上適切でないもの

 

減点事由D:

告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの

 

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減点対象<請求内容>IRIとCRP(2件)

 

審査結果の理由等:

『同日にIRIとCRPが算定されています。(審査情報提供事例031、032)により、IRIとCRPの併施は、インスリン異常症等の場合を除き原則として算定できません。』

 

当クリニックの原因分析:

糖尿病IRI(インスリン)とC反応性タンパクを同日に算定した背景は、糖尿病と関節リウマチを主病とする複数の疾患をもつ患者さんの検査を実施したためです。当局(社会保険診療報酬支払基金東京支部)の審査担当者は、糖尿病、関節リウマチ、いずれの病名の記載があるにもかかわらず、規則を機械的に適応したものと思われます。

 

当クリニックの問題分析:

糖尿病IRI(インスリン)とC反応性タンパクを同日に算定する
ことは、保険診療上の適応があり、過剰・重複でもないにもかかわらず、医学的に保険診療上適切でない、という当局の決定は理解不能です。

 

『医学的に保険診療上適切でない』という指摘には問題があります。

なぜならば、「保険診療上の適応があり、過剰・重複でもない」のであるとしたら、医学的に適切な検査であるはずです。

その場合には、『医学的に保険診療上適切でない』のではなく、単に『保険診療上適切ではない』とすべきです。

 

この意味不明な制限の趣旨は、明らかに糖尿病単科の専門診療を前提としています。

ここでは関節リウマチの診療のための最も基本的なCRP検査の重要性は完全に無視あるいは見落とされています。

もっとも、当局はそのような事情はお構いなしであって、単に、『IRIとCRPの併施は、インスリン異常症等の場合を除き原則として算定できません。』の一点張りのようです。これでは糖尿病と関節リウマチを併せもつ患者さんの血液検査は、同月内では、どちらか一方のための検査しか実施できないということになります。

このケースは治療反応成績が良く糖尿病も関節リウマチも安定期に入ったため、3カ月に1回の血液検査で済む状態であるため、1回の血液検査で両方の検査を済ませてしまうことは本来合理的な判断であったはずです。

それぞれの病気のための検査を別の月に検査しなければならないとしたら、3カ月のうちに2回検査しなくてはならなくなります。

 

患者さんの自己負担の軽減のみならず国の医療費の削減に大きく貢献しているはずです。すでに医療機関としての報酬を犠牲にして奉仕しているにもかかわらず、更なる減点によって追い打ちを掛けようとするのは極めて不合理な決定ではないでしょうか。

 

当クリニックでの対策:制度が姑息的であるため、当方も以下のように対処をします。

 

高円寺南診療所の30年間、診療所は敢えて負担をして参りましたが、医療制度の改革のためには、そのシステムの不備について、多くの皆様と共有すべきことを怠ってきたことを反省したいと思います。

具体的には、糖尿病と関節リウマチの診療を同時に行っている場合、糖尿病専用の検査と関節リウマチ専用の検査に区分し、別の月に検査を実施します。さらに、糖尿病専用の検査項目からはCRPを削除しました。これで、再発防止は可能ということになります。

 

当クリニックの提言:今回は、糖尿病と関節リウマチが合併するケースですが、これはほんの氷山の一角に過ぎません。

 

私が研修医であった30年以上も前から、プライマリケアといって総合診療や総合医の必要性が厚生省(当時)からも推奨されてきました。私も及ばずながら、国策に従って努めてきました。

しかし、実際のところ、多くの誠実な保険医は、次々と国家の裏切りに見舞われ、総合診療や救急医療は大きな自己犠牲を強いられています。今回の診療報酬の改定で、救急医療は幾分再評価されたようですが、総合診療の実践はますます困難な現実に直面することになるでしょう。

 

超高齢社会を迎え、複数の疾患をもつ患者さんは、これまで以上に増えていきます。

その結果、当然の如く保険医療の手続きは加速度的に煩雑になり、しかも些末な規則に雁字搦めという状況に陥りやすくならざるを得ません。

 

このような状況下において、最もリスクが少ないと考えられるのは単科の、しかも専門性の高くない軽症者専用クリニックですが、その対極として、総合的で、しかも専門性の高い医療を提供しようと継続的で発展的な努力を惜しまないクリニックほど、保険診療においては様々なリスクを抱えているといえるでしょう。

 

百年河清を俟つ (ひゃくねんかせいをまつ)という言葉があります。出典は『春秋左氏伝』襄公八年です。黄土で濁っている黄河の濁流が、いつの日にか清流となるのを待っていようとすることから、どんなに待っても無駄なことのたとえです。私は平成元年に高円寺南診療所を開設して30年間は、あえて「河清を俟つ」ことにしました。しかし、世の中の濁流はひどくなるばかりで目も当てられません。そこで、令和元年から「杉並国際クリニック」として再スタートすることにしました。

 

自らが働きかけ、有益な情報を発信し、新しい時代に必要な医療のモデルを構築していきたいと考えています。

 

<保険診療の検査実施上の落とし穴・完>

<硬直化した国の医療制度と柔軟性が求められる非常時の医療現場の板挟みの中で>

 

最近、急激に増えてきたのが、以下のような患者さんの声の例です。

 

声1「新型コロナウイルス対策として、予防に役立つ薬を処方してほしい」

 

声2「念のため、症状のない病気のチェックもしてほしい」

 

これらのご要望はもっともです。少なくとも、30年以上実際の医療現場で経験を積んできた私にとっては良く理解できます。

しかし、これらのご希望にはお受けできません。保険診療では、予防医療は認められていないからです。

「予防が大切だ」とは国も社会も国民も等しく認識していますが、現実は真逆です。

 

水氣道®は保険給付の対象とされないのはなぜでしょうか。

インフルエンザの予防接種が公費から外されたのはなぜでしょうか。

周囲の大切な人々に対する受動喫煙による悪影響に対して全く配慮が欠けている人が少なくないのはなぜでしょうか。

 

さて、皆さんがお持ちの保険証には「健康保険証」と書かれています。

そもそも、これが誤解の種なのです。

国家による詐欺といっても言い過ぎではないように思われます。実際にはせいぜい「疾病保険証」に過ぎない代物です。

 

過日ある若きパリジェンヌからのメールでの問い合わせがありました。

日本語に訳してみます。

「私は丸の内にある日本の会社に就職しました。すでに健康保険証も届いていて、試用期間が終わる前に、健康診断を受けるように指示されました。社会保険で健康診断を受けたいのですが、自己負担分額はどの位かかるでしょうか?」

彼女の言い分は尤もですが、残念ながら健康保険は使えないのです。

 

近年、患者の皆様にとって当然の求めに応じ、医師として可能な限り妥当適切な診療を心がけていても、減点(診療報酬削減)という大きな直接的不利益を被るという経営リスクが増大しています。

平時においては、ある程度の範囲で已むを得ない現実であると受け止めておりましたが、非常時においては経営リスクがさらに増大し、大きな危機感を感じております。

 

リスクを負って診療して得られる報酬より、減点されることによって相殺される金額の方が上回ることさえ生じ得るなどという、およそ常識では考えられない事態が現に起こっています。つまり、コロナのパンデミック以前に、すでに医療崩壊が始まっていたのです。

 

患者をはじめ調剤薬局、検査センター等を含めて、医療機関以外の立場にある皆様は不利益を被ることがない、つまり、痛みを感じる経験がないため、関心も薄く、そのため実情をご存じない方が圧倒的多数を占めていることは、社会的に見てとても不健全だと思います。

このような状況では、この非常事態を乗り越えていくことは難しくなります。

 

そこで私たちは、何をするべきでしょうか。その第一は、現実を正しく知ることです。

台湾の近代医学の発展過程と台湾の中医学No1

 

台湾の医学の発展が、日中戦争(台湾では、中日戦争)の影響を大きく受けていたことを示す論文を見つけました。現代の台湾での伝統的中医学理論も、日中戦争後の急激な西洋化政策の後に、処方中の一つ一つの生薬について植物化学的な分析と検証がなされることによって、西洋医学の発展のみならず、伝統的な中医薬の有効性を科学的に実証してきたことが報告されています。

 

 

「國藥」或「代用西藥」? 戰時國產藥物的製造與研究
皮國立 1, *1 中原大學通識教育中心,桃園,臺灣

 

「台湾国産の医薬」それとも「西洋医学の代用薬」か?
戦時国産の薬物の製造と研究
皮国立1、 *1中原大学通識教育センター、桃園、台湾

 

 

中醫與中日戰爭的歷史有何關係?

中医学(漢方医学)と中日戦争の歴史は何らかの関係があるだろうか?

 

 

本文先透過中日戰爭時期製藥業的鳥瞰,再談到整個國產製藥、代用西藥和國藥等幾個概念的複雜性。

 

本論は先に中日戦争の時期の製薬業を俯瞰し、また改めて国産製薬について、代用西洋薬と国産薬等の若干の概念の複雑性について言及する。

 

 

總體而言,戰爭促成了國藥種植與研究的開展。

 

総じて、戦争は国産薬の栽培と研究発展を促進した。

 

 

戰爭壓力使得傳統中藥一躍而登上科學製藥的舞台,而究其歷程,其研究不是立基於傳統中醫理論,而是開創一種植物學、化學研究中藥的研發。

 

戦争圧力は伝統的中薬を一気に飛躍させて科学的製薬の舞台に登らせ、その過程を究め、その研究は伝統的中医学(漢方医学)理論に基づくものではなく、一種の植物学、化学研究を創始することによって研究開発がすすんだ。

 

 

對極需用藥的軍醫單位而言,所謂研發替代的國產藥物仍是「西藥」,而非中醫的中藥,背後中醫醫理並沒有在此時被重視,仍是一種經過西化後的製藥概念,而且偏重單味中藥的研究與分析。

 

薬品の需要が極めて高い軍医部門では、いわゆる国産薬物の研究開発、すなわち国産薬物の代替となる、いわゆる「西洋薬」を研究開発し、背景理論として中医学理論は重視せず、すなわち、一種の過渡期的西洋化後の製薬の概念によって、単味の中医薬の研究と分析を偏重した。

 

 

整個努力需要國家級單位或經費的挹注, 而反觀軍醫系統內的藥科與藥學研究卻在 1945 年時被短暫終止,令人扼腕。

 

幾つかの部門は国家組織の経費の不足分を余剰分で補う努力が必要で、反対に軍医系統内での薬科と薬学研究は1945年に短期間停止させられたことは残念なことであった。

 

 

但整 個研究方法已持續開展,並對於現代中醫的發展有所啟發,大量中藥開始透過植物學的再檢視,化學實驗室的分析,進而被種植、提煉,乃至創造成各種成藥, 即便它僅是「代用」,卻也證實了中藥的「有效性」,無疑是項突破與創新。

 

しかし個々の研究方法はすでに持続的に展開し、そして現代中医学(漢方医学)の発展をも啓発し、大量の中医薬を植物学的に再検証することから開始して、化学実験室的分析、さらに栽培、抽出あるいは創薬して各種の売薬をもたらし、それはもはや単なる「代用」だけにとどまらず、中医薬としての「有効性」の実証を突破し革新したことは疑いのないところである。

 

 

關鍵字:中日戰爭、中醫、中草藥、藥品、軍醫

 

キー・ワード:中日戦争、漢方医、薬草、薬品、軍医

 

 

* 通訊作者:皮國立,中原大學通識教育中心,地址:桃園市中壢區中北路 200 號,

電話:0936099508,E-mail:pipi. jordan@msa.hinet.net 107 年 9 月 3 日受理,107 年 12 月 18 日接受刊載

 

*著者の連絡先:皮国立、中原大学通識教育センター、住所:桃園市中区中北路200号、

電話:0936099508,E-mail:pipi. jordan@msa.hinet.net 107年9月3日受理、107年12月18日掲載

保険診療の検査実施上の落とし穴(その1)

 

落とし穴といっても患者さんにとっての落とし穴ではなく、医療機関の経営にとっての落とし穴のお話ですのでご安心ください。

 

ただし、医療機関の経営基盤が不安定なものになると、最終的には患者の皆様にとっても不利益が及ぶことになりますので、決して無関係ではないと考えます。

 

患者さんの多くは、保険医療の実務や実態を御存じないため、保険証があれば、あらゆる検査や治療が保険で賄えるとお考えのようです。

また、そこまでではなくとも、患者さんの要望であり、かつ、医学的に適応のある医療サービスでありさえすれば、すべて保険医療でカバーできるとお考えであっても不思議はありません。しかし、現実は違うのです。

 

保険医療は患者さんと医療機関との契約以前に、医療機関と国との詳細な取り決めがあるからです。

保険医療サービスを受ける権利者である患者の皆様たちが、保険医療のシステムの基本を全くご存じないという現実は、ややともすれば患者-医師間の信頼関係を損ねやすくなる主要な原因である誤解に基づく不信を生むものと思われます。その一例を具体的に挙げてみることにします。

 

以下は、杉並国際クリニックの今年の1月の診療報酬減増点連絡書の一部です。

 

減増点とはまったくの偽善的美称であり、ほぼすべてが減点審査です。この30年間に増点された経験は一度もありません。だから、増減点でなく減増点と呼ぶのかもしれません。なるほど「減点を増やすための連絡書」と読めば実態通りとなります。

 

ただし、中には、次の例に示すように、基金の判断が妥当であり、当方が反省し、再発防止をすべきケースもあります。

 

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1月分減増点連絡書(社会保険診療報酬支払基金東京支部)より

 

減点事由A:

療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上適応とならないもの

減点事由B: 療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上過剰・重複となるもの

(1件)

 

減点事由C: 療養担当規則等に照らし、A・B以外で医学的に保険診療上適切でないもの

(1件)

 

減点事由D: 告示・通知の算定要件に合致していないと認められるもの

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

減点事由B: 療養担当規則等に照らし、医学的に保険診療上過剰・重複となるもの(1件)のケースについてご報告します。

 

減点対象<請求内容>HbA1c 
  

審査結果の理由等:

『1型糖尿病及び妊娠を含む病名(確定)がなく、同月にHbA1c、1.5AG又はグリコアルブミンが併せて2回以上算定されています。』


 ⇒「(厚生労働省通知)により、月1回に限り主たるもののみ算定する」
  

 

 

当クリニック調査結果と原因分析:

第1回目1月10日実施(糖尿病関連定期血液検査にてHbA1c検査実施)

第2回目1月28日実施(75Gブドウ糖負荷試験にてHbA1c検査実施)
  

原因:

医学的に保険診療報適応となる検査ではありますが、2月に予約していた検査を患者様のご都合と強い御要望により、若干前倒しして実施したところ、ギリギリ同月に実施することになってしまったため減点を受けてしまいました。


対策:

保険医療のシステムについて、患者様により詳しくご説明させていただき、検査の実施計画についてご理解をいただき再発を防いでいきたいと考えます。

 

 

さて糖尿病の日常診療は、診断においても治療上での血糖コントロール目標に到達しているかどうかの評価においても、糖尿病の臨床では血液検査は不可欠です。特に血糖値およびHbA1cのデータは最も基本になるものです。糖尿病に限らず、わが国の保険診療は、詳細なルールの取り決めがあります。医療従事者以外の方はご存じないと思われるのが「療養担当規則」というのがそれです。

 

たとえば、医学的に保険診療上適応がある検査を行ったからといって、必ずしも医療機関への保険診療報酬が支払われるとは限りません。医療機関としては、自らの専門的労務の提供に加え、外注する臨床検査機関への支払いという支出が発生していても、それに見合った報酬が確保されなければ、赤字となり医療経営は成り立たないことになります。

 

杉並国際クリニックでは、血液検査の実施は概ね3カ月を原則としているため、通常であれば上記のような過剰・重複を指摘されることはありません。

しかし、単発的な検査を実施する場合には、検査のために必要なタイミングや個々の患者さんのご都合等のための調整を余儀なくされるためなど様々な条件が絡むことによって、医療機関が思わぬ経済的損失を被ることがあり、これが累積すればたちまち経営困難に陥ることさえ起こりえます。
ですから、患者の皆様のご理解とご協力を仰がない限り、健全な医療経営は困難となっているのです。

 

つまり、現場の臨床医は、保険医療による医療を安定的に持続させるためには、医学的な常識や知見だけでは不十分であるということです。日進月歩の医学の進歩に見合うだけの自己研鑽だけでも大きな負担である上に、「療養担当規則」という事務的なルールブックに習熟し、その詳細に完璧に準拠していなければ医療経営は破綻することになります。

 

我が国の現場医療での不思議な現象の例として、大学病院等での臨床的能力は超一流であった優秀な専門医が、開業して経営破綻し閉院してしまうケースがあります。その大きな理由は、過剰な設備投資、人件費、それから「療養担当規則」といった医療実践の縛りによる思わぬ報酬削減などが大いに関係していると考えられます。優秀なスタッフを確保するためには、それに見合うだけの待遇が必要なのですが、多くの医療機関では厳しい現実の困難に直面しています。

 

<明日に続く>

ブラジル大統領ボウソナーウの研究No2.

 

「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボウソナ⁻ゥ大統領は、コロナウイルスを「ちょっとした風邪」「あらゆる病気の最大の治療法は仕事だ」と言いきり、経済活動を重視しています。この点で、「第一に人々の生命、次に経済」という考えの保健省の大臣や各州の州知事と相反し、分裂劇が発生しています。

 

ブラジルのような新興国では、低所得者の比率が高いです。これは、たとえ、新型コロナ防疫に成功しても経済活動が停止したとたんに食べられなくなる人が続出し死亡者が急増することを意味します。そこで、コロナウイルスの防疫と経済活動はどちらも同じように重要です。欧米諸国のような多額の援助を国民にすることは不可能です。それだけに、政府の舵取りは非常に難しいことがわかります。

 

ボゥソナーゥ大統領はたびたびテレビで国民に呼びかけていますが、なかなか決定されない対策案に、国民の多くは苛立っているようです。それでも、ブラジル有数の調査会社ダッタ・フォーリャによると大統領の支持率は依然として高く58%に上っています。国民の半分以上はコロナウイルスも怖いが、餓死することをも恐れているからなのかもしれません。

 

国や州、市とは別に対策をとっている地域としてファベーラと呼ばれる貧困街があります。サンパウロやリオ・デ・ジャネイロなど都会には、出稼ぎに訪れている人も暮らすこうした街が複数あり、多くは麻薬組織が仕切っています。そこが犯罪の温床になっているとされる一方、強固なコミュニティがあることでも知られており、ブラジルの二面性を垣間見た感じがします。

 

さて、先週に引き続きポルトガル語のジャーナルを引用します。政治・経済・文化の背景を知らずに、私たちのイメージだけで判断してしまうと、なぜこのような事態が生じているのかがわからなくなっていたことでしょう。

 

 

Isolamento do presidente

 

大統領の孤立

 

 

A iniciativa de Bolsonaro de concentrar o anúncio de medidas sobre a covid-19 no Palácio do Planalto se deu em meio a um processo de esgarçamento do seu apoio em diversos setores, avalia a cientista política Marcia Ribeiro Dias, professora da Universidade Federal do Estado do Rio de Janeiro (Unirio).

 

大統領府でCOVID-19対策の報道を集約しようとするボウソナーウの指導力は、数多くの部門が(コロナ)対策支援を容易にしようとする過程で行われた、とリオデジャネイロ連邦大学教授の政治学者のマルシア・リベイゥ・ディアスは言う。

 

 

Além da divisão dentro do governo – ministros importantes, como Luiz Henrique Mandetta (Saúde), Sergio Moro (Justiça) e Paulo Guedes (Economia), manifestaram apoio ao isolamento social ou compreensão com a importância da medida –, Dias identifica desgaste do presidente entre a população, o setor militar e empresários, o que o acabou deixando "muito isolado".

 

政府内部の部門に加えて、ルイス・エリンケ・マンデッタ(保健相)、セルヒオ・モル(法務相)、パウル・ゲデス(経済相)などの重要閣僚は、隔離支援すなわち対策の重要性を理解すべきことを表明したーディアス教授は、国民、軍部、産業界の間で、こうした分裂がもとで大統領が自分自身を「究極の孤立」に導く結果を招くことになるとの不快感を表明している。

 

 

"Tivemos, nos últimos 12 dias, panelaços nas principais capitais, não se viu algo assim nem no auge da impopularidade da [ex-presidente] Dilma [Rousseff]. Entre os militares, há sinais demonstrando contrariedade com o discurso do presidente. E, mesmo nos segmentos empresariais mais bolsonaristas, a maioria entendeu que não dá para andar na contramão do mundo", afirma.

 

「直近の12日間で、主要都市において不人気の絶頂期であった前大統領ジルマ・ルセフですらそのようなことはなかった。軍部内では、大統領演説に反する姿勢を示している。もっとも零細企業部門においてさえ、世界に逆らってはやっていけない」ことを肯定した。

 

 

Para a cientista política Rachel Meneguello, da Unicamp, Bolsonaro vinha perdendo controle sobre a narrativa do seu próprio governo. "A centralização da comunicação é apenas um recurso do presidente para procurar retomar voz nacional, mas não creio que, à essa altura, em que a gravidade da situação mundial e nacional está já compreendida por boa parte da população, essa estratégia tenha sucesso", diz.

 

ウニカンプ大学の政治学者のラケル・メネヘヨに対して、ボルソナウは自分自身の政治についての説明の制御不能に陥っていた。「報道の集権化は国民の声を取り戻すことを模索する大統領にとって唯一の資源だが、私は今回についてはそれを信じることはない。世界と国家の状況が非常事態にあることは、国民の大多数によってすでに周知のものとなっているので、この闘争は成功することだろう」という。

聖楽療法の体系構成

 

第一部では、聖楽療法の理論の背景としての心身医学について概説し、そのうえで新しい心身医学の考え方を明確にしました。

 

今月は、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」について展開中です。

 

第二部は、聖楽療法の拠点としての聖楽院とは何かについて、その起源を述べ、いくつかの心身医学的アプローチをどのように応用して発展してきたかを省察します。

 

それでは、「第二部 聖楽療法 理論と実践の性質」のアジェンダを示します。

 

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

第4章 臨床聖楽法における芸術音楽の価値

 

第5章 臨床聖楽法の理論的根拠、実践、意味

 

第6章 音楽療法モデルにおける臨床聖楽法の考え

 

第7章 現代の音楽療法の枠組みにおける臨床音楽法の考え

 

 

それでは本題に入ります。

 

第3章 臨床聖楽法の起源と基礎

 

音楽療法はどのように発展してきたのか?

そして臨床聖楽法は音楽療法の中でどのような立場と役割をもつのか?

音楽中心の考え方と臨床的音楽体験をめぐって

 

 

音楽中心の考え方とは、音楽体験そのものが自己充足的な療法体験となる力となることを正当な理由とし、療法の主要な焦点であるという立場です。その要点は臨床聖楽法も同様であり、矛盾はありません。

ブルシアは「音楽のプロセスは、クライエントの個人的プロセスそのもの」であり、「プロセスと結果は切り離せない」と考えます。それゆえに音楽中心心理療法において、「音楽経験は療法的に変容するものであり、それ自体で完結する」と主張します。

そして「体験的な変化を目的とした音楽心理療法の形態」である変容的療法と、「言語を介して生じる気づきを目的とする」洞察的療法を区別しています。さらに、「心理療法としての音楽」が最も音楽を占有的に使うプロセスであるのに対し、「音楽中心心理療法」では音楽体験と共に言語的介入がなされ得るとしています。そして、「音楽的なプロセスが実際にはクライエントの個人的なプロセスである」とする変容的療法は音楽中心音楽療法の主要な概念でもあります。

確かに、このように主張することは可能ですが臨床聖楽法の立場であれば、変容的療法と洞察的療法を統合的に駆使しているため、通常は両者を明確に区別する必要は生じないし、より実践的でもあると考えます。

 

 

創造的音楽療法についての議論の中で、アンスデルは音楽療法について「音楽の作用そのものと同じように働く」と述べました。

ケネス・エイゲンはこの考え方を発展させて、「音楽中心療法においては、音楽の持つ力、音楽体験、プロセス、構造の中で、音楽療法プロセスのメカニズムが発生する」と主張しています。

そして、クライエントの意欲は非音楽的な目標を達成することよりも、主に音楽を作り出すことに向けられているとの考えで音楽療法体験の価値を説明しようとします。

そのために音楽中心アプローチはクライエントの体験や意欲を反映し尊重するのです。

このようにして、音楽中心アプローチは、非臨床的音楽体験と、臨床的な音楽体験との間に連続性をもたせるとしています。

 

 

このような回りくどい理論展開をせざるをえないのは、エイゲンが音楽中心音楽療法をもって、いかに固有理論を示すべきかという課題をもっているからであるようです。

エイゲンに限らず、心身二分論の先入観に支配されている大多数の人にとっての臨床的音楽体験は、心身一如の人間観および音楽理解を前提にする臨床聖楽法の考え方からすれば、すこぶる狭義のものです。

臨床聖楽法を前提とする理解に立てば、エイゲンが定義する非臨床的な音楽体験をも含めて、すべてが臨床的音楽体験であるということになります。

<はじめに>

 

 

前回は「腹部の膨満感」に効果のあるツボを紹介しました。

 

 

「大腸兪(だいちょうゆ)」は左右の腸骨稜を結んだ線が腰椎と交わるところから指2本分外側にあるというお話でした。

 

 

今回は「胸焼け」に効果のあるツボを紹介しましょう。

 

 

 

<胸焼けに効果のあるツボ>

2020-02-18 16-51

2020-02-19 16-20

 

 

 

「中脘」は お臍から指4本分上にあります。

 

 

「足三里」は膝のお皿の下の外側にあるくぼみから指4本下にあります。

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭