緊急対策:新型コロナウイルス感染予防戦略No1

<硬直化した国の医療制度と柔軟性が求められる非常時の医療現場の板挟みの中で>

 

最近、急激に増えてきたのが、以下のような患者さんの声の例です。

 

声1「新型コロナウイルス対策として、予防に役立つ薬を処方してほしい」

 

声2「念のため、症状のない病気のチェックもしてほしい」

 

これらのご要望はもっともです。少なくとも、30年以上実際の医療現場で経験を積んできた私にとっては良く理解できます。

しかし、これらのご希望にはお受けできません。保険診療では、予防医療は認められていないからです。

「予防が大切だ」とは国も社会も国民も等しく認識していますが、現実は真逆です。

 

水氣道®は保険給付の対象とされないのはなぜでしょうか。

インフルエンザの予防接種が公費から外されたのはなぜでしょうか。

周囲の大切な人々に対する受動喫煙による悪影響に対して全く配慮が欠けている人が少なくないのはなぜでしょうか。

 

さて、皆さんがお持ちの保険証には「健康保険証」と書かれています。

そもそも、これが誤解の種なのです。

国家による詐欺といっても言い過ぎではないように思われます。実際にはせいぜい「疾病保険証」に過ぎない代物です。

 

過日ある若きパリジェンヌからのメールでの問い合わせがありました。

日本語に訳してみます。

「私は丸の内にある日本の会社に就職しました。すでに健康保険証も届いていて、試用期間が終わる前に、健康診断を受けるように指示されました。社会保険で健康診断を受けたいのですが、自己負担分額はどの位かかるでしょうか?」

彼女の言い分は尤もですが、残念ながら健康保険は使えないのです。

 

近年、患者の皆様にとって当然の求めに応じ、医師として可能な限り妥当適切な診療を心がけていても、減点(診療報酬削減)という大きな直接的不利益を被るという経営リスクが増大しています。

平時においては、ある程度の範囲で已むを得ない現実であると受け止めておりましたが、非常時においては経営リスクがさらに増大し、大きな危機感を感じております。

 

リスクを負って診療して得られる報酬より、減点されることによって相殺される金額の方が上回ることさえ生じ得るなどという、およそ常識では考えられない事態が現に起こっています。つまり、コロナのパンデミック以前に、すでに医療崩壊が始まっていたのです。

 

患者をはじめ調剤薬局、検査センター等を含めて、医療機関以外の立場にある皆様は不利益を被ることがない、つまり、痛みを感じる経験がないため、関心も薄く、そのため実情をご存じない方が圧倒的多数を占めていることは、社会的に見てとても不健全だと思います。

このような状況では、この非常事態を乗り越えていくことは難しくなります。

 

そこで私たちは、何をするべきでしょうか。その第一は、現実を正しく知ることです。