水氣道の稽古は弥撒(みさ)形式で発展し、進行している。

 

 

水氣道は、どうやら弥撒(みさ)形式で発展し、進行しているようです。

 

そのことに気づいたのは、親水航法を始めた頃でした。

 

 

つまり、私が水氣道を弥撒(みさ)形式に整えたのではなく、水氣道参加者全体が、知らず知らずのうちに、弥撒(みさ)形式に導かれ始めた、

 

あるいは、水氣道創始のインスピレーションは、弥撒(みさ)形式に導かれてきたといってもよいのかもしれません。

 

 

水氣道の恐ろしさの源泉は、ここに由来するのかもしれません。

 

 

また水氣道の稽古の前に、私に指示されることもなく、自律訓練法(註)を試みている会員は、私からではなく、導き手によって、すでに選ばれて、直接導かれている姿を示しています。

 

水氣道が水中自律訓練法と呼ぶべきものであろうことは、水氣道という名称が定まる以前から、私が体感していたことでした。

 

(註)

自律訓練法の原点は、ドイツの大脳生理学者オスカー・フォクトの臨床的催眠研究です。フォクトの研究に刺激されたシュルツは、練習によって自分自身で心身の弛緩を体系的に進めるとその結果催眠と似た状態が自然発生的に作り出せると考えました。

 

この方法の実験的、および臨床的研究結果をまとめ、臨床的にも有用なことを明らかにしました。

 

1932年シュルツは著書『自律訓練法(Das Autogene Training)』を公にしました。

 

日本で自律訓練法が初めて紹介されたのは1950年代に入ってからのことで、現在では、心身医学療法の最も基本となる3本柱の第一に位置付けられています。

 

我が国では厚生労働省によって認められた限られた数の『広告可能な専門医』の中でも、とりわけ数の少ない心療内科専門医として、さらに、その指導医としての私の使命の一つが、この自律訓練法の普及と発展にあることは、自覚をあらたにしなければならないと考えています。

 

なお、自律訓練法の提唱者シュルツ医師の父は牧師であったことを知ったことが契機となり、自律訓練法の公式と「主の祈り」の関連性に着目するようになり、2011年に、飯嶋はカトリック月刊誌『福音宣教』4月号に発表しました。

 

ご希望の方には複写した見開き二頁の印刷物を差し上げます。

 

 

 

さて、日々の水氣道(本稽古)の流れは、以下の通りです。

 

稽古会場へ入る際の一礼、退出する際の一礼は、励行したいものです。

 

水中訓練は、親水航法からはじまり、イキイキ体操、基本五航法応用航法(発展航法)のびのび体操の五段階です。

 

 

これらは、また東洋哲学の「五行説」(木・火・土・金・水)にも対応していることにも気づかされます。

 

水氣道の動作は、「陰陽説」に対応して、陰と陽、虚と実が、相互に交替しながら進行していることと合わせて、「陰陽五行説」に親和性が高いことにも気が付かされました。

 

つまり、水氣道の稽古の仕組みは、方略的には五行説、方術的には陰陽説に則っていると考えると、理解の助けになるのではないか、と思います。

 

これらのことは、空論で終わらせるべきではないので、皆様の稽古が十分進んだ段階で、いずれかの機会に恵まれれば、実践を通して紹介させていただきたいと思います。

 

 

親水航法(キリエ)木

求憐誦(憐みの賛歌)(神に憐みを求める祈り)

私が心密かに唱えている言葉《主よ、憐み給え…》

自律訓練法(標準訓練)の背景公式から第六公式「額涼感公式」までを実践しています。

 

 

イキイキ体操(グロリア)火

栄光頌(栄光の賛歌)

私が心密かに唱えている言葉《天には神に栄光、地には善意の人に平和あれ…》

 

 

基本五航法(クレド)土

信経(信仰宣言)

私は自律訓練法(標準訓練)の第一から第五公式を五航法の流に沿って実践しています。

・第一航法(素歩き)自律訓練法(標準訓練)第一公式「重感公式」

 私が心密かに唱えている言葉《私たちの日毎の糧を…》

 

・第二航法(棒歩き)自律訓練法(標準訓練)第二公式「温感公式」

 私が心密かに唱えている言葉《今日もお与えください。》

 

・第三航法(前蹴り歩き)自律訓練法(標準訓練)第三公式「心拍公式」

 私が心密かに唱えている言葉《私たちの罪をお赦しください。》

 

・第四航法(つま先浮かし歩き)自律訓練法(標準訓練)第四公式「呼吸公式」

 私が心密かに唱えている言葉《私たちも人を赦します。》

 

・第五航法(前後蹴り歩き)自律訓練法(標準訓練)第五公式「丹田公式」

 私が心密かに唱えている言葉《私たちを誘惑に陥らせないでください。》

 

 

応用航法(サンクトス

三聖頌(感謝の賛歌)

私が心密かに唱えている言葉《聖なるかな、…》

なお、発展航法(ベネディクトス)が加わることがあります。

私が心で唱えている言葉《誉むべきかな、…》

 

 

のびのび体操(アニュス・デイ)水

神羔頌(平和の賛歌)

私が心密かに唱えている言葉《神の子羊、世の罪を除きたもう主よ…》

 

 

最後に、「私が心密かに唱えている言葉」と書きましたが、実は内緒で歌っています。

 

そんなところから、<聖楽療法>が生まれ、現在、聖楽院という組織が出来上がりました。

 

杉並令和音楽祭(11月14日)は、水氣道と聖楽院と杉並国際クリニックが三位一体となった祭典として花開きます。皆様のご協力、ご関心、ご興味に感謝いたします。

 

 

水氣道 創始者 飯嶋正広

 

3)家庭血圧測定に関する患者指導

 

初診時の家庭血圧について問診しても、多くの場合は、家庭での血圧測定の習慣はおろか、そもそも家庭に血圧計が備わっていないケースがほとんどです。それにもかかわらず、問診には意味がありそうです。患者指導の切っ掛けとして役立つことも少なくありません。家庭血圧測定の意義を説明して理解していただいたうえで、適切な血圧計を準備していただき、家庭血圧のデータを記録する習慣を身に着けていただくと、それはそのままで、血圧管理の上では、とても効果的な行動療法になることが多いです。

 

家庭血圧は治療開始後も降圧目標の指標として有用です。ですから、測定方法についてしっかりと学習していただくことになります。

 

診察室血圧と診察室外血圧の基準が異なった場合、診断や治療においては診察室外血圧を優先します。この場合、立位で1~3分での起立時血圧の測定をスクリーニング項目に追加します。起立性低血圧は、動脈硬化進展や糖尿病等による自律神経機能低下と関係していることが多く、生命予後にもかかわってきます。特に高齢者では重要です。また、同様の現象として、食後の血圧低下があります。そのため、高血圧の診断のためには、血圧測定時間と食事時間との関係にも注意することが大切です。

 

 <明日に続く>

1) 3つの血圧測定法と高血圧基準

 

正確な血圧値を診断することは、高血圧診断の前提となります。それでは、測定した血圧値が信頼に足るデータである場合に、それらを、どのようにして高血圧の診断に結びつけるのでしょうか。高血圧と診断する基準がありますが、これは血圧測定法によって異なります。

 

高血圧基準は、診察室血圧140/90㎜Hg以上、家庭血圧135/85㎜Hg以上、24時間自由行動下血圧の24時間平均130/80㎜Hg以上、昼間平均135/85㎜Hg以上、夜間平均120/70㎜Hg以上です。

 

ふつうは、診察室血圧と家庭血圧の2つの方法で十分ですが、24時間自由行動下血圧は、家庭血圧が測定できない場合や家庭血圧の変動が大きい場合等に行います。

 

「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)では、診察室血圧140/90㎜Hg未満においても、120/80㎜Hgを超えれば脳心血管病のリスクが増大することを強調しています。そして、特に130~139/80~89㎜Hgレベルを「高値血圧」と新しく命名しました。この「高値血圧」では、積極的に生活習慣修正が図られるべきであることに留意します。つまり、高血圧の診断に至る前の未病の段階からの指導が大切であることを意味しています。

 

<明日に続く>

1) 正確な血圧値の診断とは?

 

血圧管理の基本は正確な血圧値の診断です。正確な血圧値の診断のために必要な情報は、まず問診による家庭血圧の聴取です。ただし、そのためには、患者さん自身が家庭で血圧を測定する習慣があることが前提となります。とくに、身体所見としての診察室血圧が正常値以上である場合は、可能な限り早期に家庭血圧測定を勧めることが大切です。

 

血圧の測定は、家庭血圧と診察室血圧が基本ですが、起立時血圧の測定も推奨されます。また、追加評価項目として24時間自由行動下血圧があります。

 

このように血圧測定にはいろいろな条件で測定することが必要ですが、正確な血圧値とはいったい何なのでしょうか。

 

そのためには、仮面高血圧をきちんと診断し、白衣高血圧を除外することから始まります。「高血圧治療ガイドライン2019」(JSH2019)でも、診察室高血圧に加え、家庭血圧を用いた診断を推奨しています。その理由は、診察室血圧と家庭血圧の両方ともに高血圧である場合だけではないからです。たとえば、診察室血圧が正常域でも家庭血圧が高い高血圧のタイプがあります。これは仮面高血圧と呼ばれ、脳心血管病のリスクが高いため治療の対象になります。
       

逆に、家庭血圧が正常域であれば、診察室血圧が高血圧であれば、白衣高血圧と診断します。このタイプでは原則として経過観察でよいのですが、それでも高血圧合併症は見落とさないようにしておかなければなりません。

 

 <明日に続く>

CD藝術歌曲集「小倉百人一首」№1.コンコーネ50番(中声)で歌う  

 

 医師でありテナー歌手でもある飯嶋氏の歌声を聴き、アドヴァイスをするようになってかれこれ10年の月日が経ちました。これまでイタリア、フランス、ドイツ、そしてロシアに至る歌曲やオペラアリアを勉強してきました。声楽の教師としては前回やったことを確実なものにしてきてくださるだけで十分なのですが、研究熱心な飯嶋氏は、今でも毎回新たに研究したことを実行し、レッスンに持っていらっしゃいます。

 

ある時、突然にコンコーネ50番の1番から50番までフルに歌い通したいという申し出を受けて、アドヴァイスすることがありました。その後、いつしか特別なひらめきがあったのでしょう。コンコーネ50番全てに「小倉百人一首」の和歌の言葉を乗せたという報告を聞きました。そこで試みに「小倉百人一首」の和歌の言葉を旋律に乗せたコンコーネ50番の最初の数曲を歌われるのを聴いてみました。すると飯嶋氏の独特の感性によって選び組み合わされた言葉とメロディーはなんの違和感もなく私の耳に入ってきました。そこで、その後のレッスンで、残りのすべての曲も同様に聴いてみることにしました。それらについてもやはり飯嶋氏の「小倉百人一首」の深い知識と音楽への感性がしっかりと結びついていました。このような基礎的確認の段階を経た上で、さらにメロディーへの言葉の乗せ方、子音の扱い方、原曲のフレーズやブレスなど、様々な点に関してレッスンを通して一緒に推敲を重ねようということになり、このたび、ようやく今回の歌曲集が出来上がりました。

 

 コンコーネ50番は日本では声楽の定番の練習曲です。母音を美しくなめらかに、そして正確に歌うという声楽の基本を学ぶために使われます。今回の歌曲集では単独の母音だけで歌うのではなく、それぞれの言葉の使われている母音、子音を美しく歌い響かせる練習曲として最適なものになったのではないでしょうか。さらにはコンコーネ50番をはるか昔に終えられた歌い手、愛好家の皆さんにも、新たな魅力ある歌たちに生まれ変わった【藝術歌曲集「小倉百人一首」№1.コンコーネ50番(中声)で歌う】を歌い楽しんでいただけましたら幸いです。

 

声楽家、二期会会員、

上野学園大学教授 

吉田伸昭

 

<線維筋痛症 JFIQの経過報告>

 (図1)

スクリーンショット 2019-10-03 時刻 9.52.19

 

 

JFIQは線維筋痛症の経過観察に欠かせない指標です。

 

 

最高点が100点で、20点未満が正常値になります。

 

 

 (図1)は左側が初期時の点数、右側が現在の点数でその2点を結んだものです。

 

 

 

 図2)

スクリーンショット 2019-10-02 時刻 23.40.55

 

(図2)は線維筋痛症の治療効果の割合を表したものです。

 

 

 50以上点数が下がると「著効」です。

 

 

 20以上50未満点数が下がると「改善」です。

 

 

 20未満の点数の低下は「無効」の判定となります。

 

 

<今回の考察>

 

 

正規性の検定で初期値、現在値共に正規性がありました。

 

 

その後、関連2群の検定と推定を行いました。

 

 

1)統計的にみて、JFIQスコアが有意に改善したことが証明されました。P(危険率)=0.001%でした(図1)

 

 

pが0.05以下であれば統計学的優位である。

 

 

pが0.01以下であれば統計学的に極めて優位である。

 

 

 

2)JFIQスコアの判定基準として、20点以上改善されると治療が有効、50点以上改善されると著効となります。

 

 

  今回、 16名の平均で    36.2点改善していたため、全体として鍼治療は   有効であったと言えます。

 

 

個別でみると、著効4名(25%)、有効8名(50%)、無効4名(25%)でした。(図2)

 

 

 

杉並国際クリニック 統合医療部 漢方鍼灸医学科 鍼灸師 坂本光昭

4)杉並国際クリニックが推奨する究極の肺炎予防法

 

一般の外来クリニックの初診として最もしばしば遭遇する肺炎は市中肺炎(CAP)です。

 

この種の肺炎は,医療施設または医療環境との接触が限られているか皆無の場合に発症する肺炎です。

 

同定される頻度が最も高い病原体は,インフルエンザ菌,インフルエンザ菌,非定型細菌(すなわち,肺炎クラミジア,肺炎マイコプラズマ,レジオネラ),およびウイルスです。

 

診断は,臨床像および胸部X線に基づいて行います。症候は,発熱,咳嗽,喀痰産生,胸膜性胸痛,呼吸困難,頻呼吸,および頻脈です。

 

 

ただし、治療は,経験的に選択した抗菌薬によらなければなりません。

すなわち、めくら撃ちをすることになるので、的から外れて効かないこともあるのは止むを得ないことです。

 

予後は比較的若いまたは健康な患者では極めて良好です。

 

ただし、より高齢でより状態の悪い患者において,特に肺炎球菌,レジオネラ,黄色ブドウ球菌またはインフルエンザウイルスによって引き起こされる肺炎の多くは重篤または致死的です。

 

 

初診の受付を予約制にすることによって、このタイプの肺炎を診ることはほとんど無くなってきました。

 

そこで、肺炎のなかで杉並国際クリニックが現在最も重視しているのが、医療・介護関連肺炎(NHCAP)です。

 

このタイプの肺炎は、長期療養型病床群もしくは介護施設に入所、90日以内に病院を退院した介護を必要とする高齢者・身体障碍者の他に、通院で継続的に血管内治療(透析、抗菌薬、化学療法、免疫抑制薬など)を受けている人も該当します。

 

 

当クリニックでは透析は行っていませんが、糖尿病による腎不全のため透析クリニックにも通院中の方がいます。

 

非定型抗酸菌症で抗菌薬を持続的に内服しなくてはならない方、がんの手術後の化学療法を受けている方、関節リウマチなどの膠原病で免疫抑制剤を使用している方などは、すべて上記の血管内治療を受けている人に相当します。

 

 

通院で継続的に血管内治療している方を肺炎から守るために大切なことは、まず市中肺炎の可能性の高い新患を同じ待合室に入れないことだと思います。

 

初診を予約制にした理由の一つがこの目的の達成のためでもあります。

 

それから、肺炎やインフルエンザのワクチンを接種していただくこと。そして禁煙そのたの生活習慣の改善です。

 

 

杉並国際クリニックでは、その他に、水氣道®による水中有酸素運動や聖楽院によるヴォイストレーニングによって肺炎に罹りにくい体づくりの継続的サポートをしております。

 

水氣道では、水中の全身加圧トレーニング効果により心肺機能が向上し、スタミナ(持久力)が向上し、免疫力(ウイルスや細菌に対する抵抗力)が増強します。

 

 

他方、声が小さい、滑舌が良くない、息が続かず声に声が出しにくい、こんな方は誤嚥性肺炎が心配です。

 

誤嚥性肺炎の主たる原因は嚥下反射や呼吸筋の衰えなので、正しい姿勢と呼吸法で歌えば、心肺機能も向上し、認知症予防にも通院繋がります。

 

適切な楽曲をアレンジして楽しく続けることが肝心です。ピアニストの生伴奏付きで楽しく歌って、心と体の健康を増進することができます。

 

 

<現代の肺炎について(完)>

3)まずは誤嚥性肺炎対策を!

 

医療・介護関連肺炎(NHCAP)は高齢者肺炎がほとんどを占めます。

とりわけ誤嚥性肺炎は非誤嚥性肺炎に比して生命予後が不良です。

しかも高齢者肺炎においては、適切であると推奨される抗菌薬療法を行なっても予後を改善できない群もあります。

 

いったん肺炎に罹ると、その後の日常生活活動が急激に低下し、経口から経管の栄養補給となることで、嚥下機能が低下し、更なる肺炎を起こしやすくなるのです。

 

したがって、高齢者においては、肺炎を予防する戦略がますます重要になってきています。

 

特に口腔ケアやワクチン接種による予防により、健康寿命を伸ばすことが大切です。

 

現在、65歳以上の高齢者では、23価多糖体肺炎球菌ワクチンと13価結合型肺炎球菌ワクチンの接種が可能です。

 

日本内科学会の「成人予防接種のガイダンス2016年改訂版」でも、両ワクチンの連続摂取により強力な予防効果を期待でき、可能な範囲で検討すべきであると述べられています。

 

 

さらに、高齢者の肺炎予防には、肺炎球菌ワクチン及びインフルエンザワクチンの併用接種が重要です。

 

特にインフルエンザワクチンは、毎年継続して接種することが重要です。

 

継続して接種しない群と比較すると、流行シーズンやインフルエンザの型に関係なく、重症化、ICU管理ならびに30日死亡を抑制することが明らかになっています。

 

また、インフルエンザ関連肺炎の予防に関しては、2日以内の早期に抗インフルエンザ薬を投与することが重要です。

 

 

いったん罹患してしまうと死亡のリスクが高い肺炎に対する予防法は、予防接種が強調されていますが、それ以外の方法はないのでしょうか?

 

 

<明日に続く>

水氣道(Suikido:Mindfulness Group Aquabics)とは、水環境下で独自の定式の形(かた)に基づき団体で行う全人的エクササイズです。

 

生涯を通しての継続的・計画的な心身の鍛錬と精神の修養とを通して自他に有為な器となることを目的としています。

 

 

さて、健康問題といえば、大正時代に始まる健康保険制度は、敗戦後の昭和にも受け継がれたまま、高齢社会の進行とともに矛盾が露呈しました。

 

平成時代に介護保険制度を導入するも、抜本的な対策ではないため、矛盾はさらに大きくなり留まることを知りません。

水氣道は、そうした社会の健康上の問題点を、恐ろしいまでに如実に示し続けています。

 

 

私が医師になった昭和という時代を生きていた多くの人々の健康観を今日の視点から振り返ってみると、健康とは五体満足で差し迫った体調不良がなく、何とか働けているということのようでした。

 

つまり、働くに困らなければ健康であると考えている人々が多かったように思われます。

 

そして、体調不良で働けなければ病院に行くが、働ければ健康を取り戻したと自己判断して受診を中断する方も少なくなかったのではないかと思われます。

 

極論すれば、昭和の医療は<定年まで働ければ事足れり>の医療水準でした。

すると、当然のことながら、そのツケは定年後に回ってくることになり、高齢者医療費の増大は、当然の帰結でした。

 

 

 

多くの国民にこうした健康観を与え続けてきたのが、実は、健康保険制度ではないかと思います。

 

日本において最初の公的医療保険は、1922年(大正11年)に施行された健康保険法です。

 

「健康保険制度」に基づく医療は、会社(事業主)と従業員(被保険者)が保険料を出し合い、被保険者やその家族(被扶養者)が病気やケガをしたときに、一定の負担で医療を受けられる仕組みです。

 

つまり、この制度に基づいて発行される「健康保険証」は、病気やケガをしたときのみに経済的効力を発揮するという性質をもっています。

 

そのため、<病気やケガをしたという認識がない限り、健康である>という決定的な誤解を国民に与え続けることになりました。

 

その結果、健康の維持・増進や病気の予防のための対策が後手に回り、当然の帰結として老人医療費と家族の介護負担の増大をもたらしました。

 

 

私が開業医となり高円寺南診療所を開設し、水氣道を創始した2000年は、ちょうど介護保険が施行された年でした。これは、従来の健康観が決定的な誤りであったことを示すものです。

 

しかし、政府は当面の医療費対策に追われ、また多くの国民も根本的な解決をはかる工夫や努力を怠ったため、なく健康保険制度のみならず、介護保険制度の矛盾にも悩まされることとなって平成の30年間は幕を閉じました。

 

この間、民間では主に営利を目的とする多くのエクササイズジムが流行しだしました。

 

これに対し、水氣道の健康観は、自分自身という個人の身体的な健康の維持・増進のみを求めようとする人々を対象とする多くのエクササイズやジムの路線とは明らかな一線を画しているので、とても恐ろしいです。

 

 

昭和や平成時代の医療の矛盾である老人医療費や介護の問題の根本的な解決策は、健康の維持増進、介護予防、認知症対策、健康コミュニティや自助グループの育成や支援にこそありました。

 

しかし、国も自治体も国民の多くもこれに気づかないまま、平成の30年間でのチャンスは失われて空白の、あるいは後退の時代となってしまいました。

 

 

水氣道は、恐ろしいまでに、この現実を糾弾し、抜本的な解決への道を示し続けています。

 

何よりもまず水氣道は、その他に、心理的・社会的にも望ましい状態、つまり心身医学な健康を目指すものだからです。

 

水氣道が与えてくれるのは、それだけに留まりません。水氣道は霊的に望ましい状態に導いてくれる、つまり全人的な健康へと導きます。

 

この考え方は、世界保健機関(WHO)の健康の定義に何ら矛盾するものではなく、むしろその先を指し示すものであることも恐ろしいことです。

 

そこで、令和の医療は、<人生100年時代を見据えることができる>医療水準を目指さざるを得ません。

 

その目的は、健康保険制度、介護保険制度、従来型の民間のエクササイズジムでは到底達成することはできません。

 

 

水氣道は、その目的を達成することができる恐ろしい仕組みを持っています。

 

水氣道は求める人を拒みません。

 

しかし、未だ草創期の水氣道は、勤勉で誠実な人柄で、かつ一定程度の正義感と公共心とともに洞察力をもつ人材のみを引き付けてきたことが徐々に明らかになってきました。

 

つまり、神様に特別に愛されるような人々のみが全人的な健康を回復しつつあるのです。

 

創始者である私自身が、日々その恐ろしさを実感しながら、有難く精進を続けさせていただいている次第です。だから、水氣道は本当に恐ろしいのです。

 

水氣道創始者所感

2)「成人肺炎診療ガイドライン2017」とは?

       
そもそも、このガイドラインが誕生した背景には、それまでの肺炎ガイドラインが現状に適合しなくなってきたことがあります。

 

以前は市中肺炎(CAP)、医療・介護関連肺炎(NHCAP)ならびに院内肺炎(HAP)に分類され、それぞれごとの診療ガイドラインが作成され、抗菌薬療法が推奨されてきました。

 

しかし、これらの3種の診療ガイドラインの推奨に則った抗菌薬療法が必ずしも予後の改善に寄与しないことが判明したのでした。

 

 

新ガイドラインでは、わが国の診療実態に合わせた高齢者肺炎対策を重視して、上記の3つのガイドラインを統合する形で整理されたものです。

 

 

まず肺炎を市中肺炎(CAP)か否かで大別します。

市中肺炎でない肺炎は院内肺炎(HAP)および医療・介護関連肺炎(NHCAP)であり、その場合には、患者背景のアセスメントを行ないます。

 

具体的には誤嚥性肺炎のリスクの判断や疾患終末期や老衰状態の判断を行ないます。

これらに該当しない場合には、HAPではI-ROADシステム、NHCAPではA-DROPシステムで重症度判定を行い』最終的には治療薬を決定するか、もしくは個人の意志やQOLを考慮した治療・ケアを行うように推奨されています。

 

 

つまり、本ガイドラインは、NHCAP/HAP群において高齢者の易反復性(発症を繰り返しやすい)肺炎自体も老衰の過程で生じる人生の終末期における肺炎であると認識していることになります。

 

しかし、誤嚥性肺炎の定義自体が不明確であるばかりでなく、疾患終末期や老衰状態であるかどうかの判断はとても困難です。

 

 

いったい、このような診療ガイドラインがどれほど役に立つのでしょうか?

 

<明日に続く>