最新の臨床医学 2月26日(火)内科Ⅱ(循環器・腎臓・老年医学)

日本腎臓病学会のHPには、有益情報が満載されています。

 

そこで今回から、テーマは腎臓内科の慢性腎臓病(CKD)です。

 

「エビデンスに基づくCKD 診療ガイドライン2018」を紹介します。

 

最後に、杉並国際クリニックからのコメントを加えました。

 

 

慢性腎臓病(CKD)とは、何らかの腎障害が3ヶ月以上持続する場合と定義されています。症状が出現することはほとんどないため、永らく見落とされてきた新たな国民病であり、多くの皆様に関わってくる病気です。蛋白尿や腎機能異常(eGFRの測定)により診断されます。

 

慢性腎臓病は、腎臓という単一臓器の疾患ではなく、生活習慣病としての側面をもつ多臓器疾患、すなわち全身病へと発展するリスクのある疾患であることを理解してください。

 

 

第2章    生活習慣

 

Q 1 

CKD患者に禁煙は推奨されるか?

 

A1

 CKD進行やCVD発症および死亡リスクを抑制するためにCKD患者に禁煙は推奨されます。

 

Q 2 

CKD患者の適度な飲酒量はどの程度か?

 

A2

CKD患者を対象とした観察研究が少なく,適度な飲酒量についての推奨は困難です。

 

 

Q 3 

CKD患者の睡眠時無呼吸症候群に対する治療は推奨されるか?

 

A3 

CKD患者の睡眠時無呼吸症候群に対して治療を行うよう提案します。

 

Q 4 

CKD患者にワクチン接種(肺炎球菌ワクチン・インフルエンザワクチン)は推奨されるか?

 

A4

CKD患者における肺炎球菌ワクチンおよびインフルエンザワクチン接種の感染予防効果は明らかではないが,ワクチン接種後の抗体価の上昇が認められており,接種するよう提案します。

 

 

杉並国際クリニックからのコメント

禁煙は、患者指導の基礎の基礎であり、教養ある社会人として、東京のような人口密度の高い大都市で生活するのであれば、なおさら最低限度のマナーの一つであると考えます。そして、ワクチン接種(肺炎球菌ワクチン・インフルエンザワクチン)は必ず接種してください。

 

喘息や慢性気管支炎あるいは狭心症や心筋梗塞の既往があるにもかかわらず、禁煙する意思のないかたも少なくありません。中には肺癌で手術を受けて片肺になって酸素療法をしているのにタバコを吸い続ける強者までいらっしゃいます。

 

喫煙者は喫煙継続のためには実にしたたかな言い訳をして、ときには禁煙指導者を敵視することさえあります。そうした喫煙者の口からしばしばこぼれ出てくる言葉が「医師はサービス業ではないのか?」とか、「患者中心の医療の時代だろ?」などの表現です。こうした言葉を頻繁に使っている患者さんの中には、言葉の意味を弁えていない人が少なくありません。  

 

まさか<無料で物や労務の提供をする業務をする人である>とまで思い込んでいるひとは居なくなりましたが、<お客様相手の商売人で、お金さえ払えばわがままをきいてくれて当然の仕事をする人>と考えている方は、残念ながら未だに後を絶ちません。このような方たちは、無責任で無教養なカタカナ日本語のニュアンスで感覚的に受け止めている人たちであって、彼らの理解のレベルといえば、ひどいものです。試みに、サービス業に関する彼らの認識のレベルを分類してみます。

 

レベルⅠ:商売で、値引きしたり、おまけをつけたりすること。

 

レベルⅡ:商売で、客をもてなすこと。

 

少なくとも、そうした彼らには、以下のレベルでの理解を期待することは経験上極めて困難です。言語である英語のServiceには以上のような意味はありません。

 

「医師はサービス業ではないのか?」とか、「患者中心の医療の時代だろ?」と発言する人は、せめてレベルⅢもしくはレベルⅣの意味を前提として発言していただきたいものです。

 

 

レベルⅢ:人のために力を尽くすこと。

 

レベルⅣ:質的財貨を生産する過程以外で機能する労働。用役。役務。

 

これに対して杉並国際クリニックが目指す医療は、次のレベルⅤの意味を前提とするものです。

 

 

レベルⅤ:プロフェッションとして人のために尽くすこと。プロフェッションとは,西欧で,宗教家・医師・法律家の3つを指し,「人のために尽くすよう天地神明に誓うことが求められる専門職」という意味の言葉です。

少し脱線してしまいましたが、この記事をお読みになっている皆様には必要のないコメントであったかもしれません。