ここで掲載する内容は、一般社団法人日本アレルギー学会のホームページ<一般の皆さま>から引用したものです。
最後に高円寺南診療所からのメッセージを加えています。
食物アレルギー②
Q
食物アレルギーの原因となる食品はどんなものが多いですか?
A
原因となりやすい食品の順位は、頻度が高い食品から卵、乳製品、小麦、甲殻類(エビ、カニ)、果物類、そば、魚類、ピーナッツ、魚卵(いくら)、大豆、木の実の順です(図2)。
また、年齢によって異なります。6歳までは鶏卵、乳製品、小麦が多く、その後は加齢とともにそば、甲殻類(エビ、カニ)、果物、魚介類などが増えます(表2)。欧米ではピーナッツが最も多い原因アレルゲンです。
日本でもピーナッツアレルギーの患者さんが増える傾向にあります。
しかし、原因食品は個人個人で異なります。自分の原因の食品を明らかにして対応してください。
『食物アレルギーの診療の手引き2017』(食物アレルギー研究会)によると、その他重要事項として以下の記載があります。
乳児・幼児早期の即時型食物アレルギーの主な原因である鶏卵、乳製品、小麦は、その後加齢とともに耐性を獲得する(3歳までに50%、学童まで80~90%)。
池松かおり他. アレルギー 2006; 55: 533-41. Ohtani K, et al. Allergol Int 2016; 65: 153-7. Koike Y, et al. Int Arch Allergy Immunol 2018 in press
学童から成人で新規発症する即時型の原因食物は甲殻類、小麦、果物、魚類、ソバ、ピーナッツが多く、耐性獲得の可能性は乳児発症に比べて低い。
Skolnick HS, et al. J Allergy Clin Immunol 2001; 107: 367-74.
魚類アレルギーと間違いやすいアレルゲンとしてアニサキス、小麦アレルギーと間違いやすい病態としてダニの経口摂取によるアナフィラキシー(oral mite anaphylaxis)などがあり注意を要する。
【高円寺南診療所からのメッセージ】
高円寺南診療所には、小児の受診は皆無ですので、20歳以上の方に限って、食物アレルギーの原因食物を改めてランキングしてみます。
1位:甲殻類(18%)、
2位:小麦(15%)、
3位:フルーツ類(13%)、
4位:魚類(11%)、
5位:そば(7%)
ただし、1位から5位までの総計でも64%であり、その他の原因食物が食物アレルギーの原因である割合は、大まかにいって3人に1人にのぼります。
他の原因食物と比べてフルーツ類は、見逃されやすいように思われます。その理由の一つは、フルーツが食物アレルギーの原因になるとは考えない方が多いからなのかもしれません。
食物アレルギーの特殊な型として最近注目されているものが口腔アレルギー症候群で、花粉・果物症候群とも呼ばれます。生の果物や野菜を食べた直後に口の中がイガイガしたり腫れたりするのが特徴で、アレルゲンが口の粘膜に触れて起こるアレルギー反応で軽症のケースが多いですが、ときに重症化してアナフィラキシーになることもあります。
花粉と似通った蛋白質を含む果物や野菜があるために、特定の花粉症の人では関連する特定の果物や野菜に反応(交差反応)することで起こります。
例えば、
・シラカバやハンノキの花粉
リンゴ、モモ、サクランボ、キウイ、マンゴー、イチゴ、大豆
・ヨモギやブタクサの花粉
メロン、スイカ、バナナ、セロリ
・スギの花粉
トマト等
なお、口腔アレルギーを起こす果物や野菜のアレルゲンは酵素や熱に弱いため、加熱調理すれば分解されて食べても大丈夫なこともあります。
またゴムの木由来の天然ゴムラテックスアレルギーの方は、よく似た構造の蛋白質を有するバナナ、アボガド、イチジク、キウイ、メロン、クリ等を食べると口腔アレルギーの様な症状を起こすことがあり、ラテックス・フルーツ症候群と呼ばれています。
但しクリのアレルゲンは加熱しても分解されないために注意が必要です。
問診や血液検査、皮膚テスト、食物除去試験、経口負荷試験などでアレルゲンを特定して避けることが大切です。
もし食物アレルギーが起これば医療機関の受診が必要です。
症状が軽度であれば抗ヒスタミン薬やステロイド薬などが使われますが、アナフィラキシーの状態になれば直ちに処置しないと命にかかわります。
アドレナリン自己注射薬のエピペンRが健康保険の適応になっていますので、アナフィラキシーの経験がある方は専門医やかかりつけ医を受診して携帯するようにしましょう。
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