ここで掲載する内容は、アステラス製薬提供の患者さん・ご家族の皆さまなるほど病気ガイドから引用したものです。関節リウマチについてわかりやすい解説をしています。
関節リウマチは、免疫の異常により関節の腫れや痛みを生じ、それが続くと関節の変形をきたす病気です。
関節リウマチを治療することで、炎症や痛みを最小限に抑え、毎日の生活を快適にすることができます。
現在と将来の生活の質を保っていくためにも、病院・診療所を受診し、きちんと治療を受けましょう。
監修医:
東邦大学医学部医学科 内科学講座膠原病学分野 川合 眞一 先生
解り易い解説であること、日本リウマチ学会では一般患者向けQ&Aが掲載されていないため、これを採り上げました。
ただし、記述内容が古いままで改訂されていないため、それぞれのQ&Aのあとに【高円寺南診療所からのコメント】を加えました。
関節リウマチの症状・検査値について③
Q
指の腫れが気になって病院にいったところ、X線検査と血液検査だけで関節リウマチと診断されました。検査はそれだけで十分なのですか?
A
検査は、X線検査と血液検査が主ですが、医師はほかに症状などの診察の結果もあわせて、総合的に診断しています。
関節リウマチを診断するための検査は、関節の状態をみるX線検査と炎症の状態をみる血液検査でほぼ十分です。
医師はこれらに加えて関節の腫れ、痛み、こわばりの程度や症状が現れた時期などの診察の結果を考え合わせて、総合的に関節リウマチの診断をしています。
【高円寺南診療所からのコメント】
エックス線検査で関節の変形など関節病変の有無を調べます。
血液検査で調べるのは、急性期反応物質と血清学的因子です。
急性期反応物質とは、CRP(C反応性タンパク)やESR(赤血球沈降速度)で一般的な炎症反応物質をしらべるものであって、関節リウマチに特有の炎症反応ではありません。
これに対して血清学的因子とはリウマトイド因子や抗CPP抗体で、関節リウマチ特有の炎症をより検出し易い検査項目です。
その他に参考となるのは滑膜炎の期間が6週以上続いているかどうかということです。
以上の検査のみで関節リウマチの確定診断が可能になります。
関節リウマチの症状・検査値について④
Q
関節リウマチの症状は、年齢によって変わっていくのですか?
高齢になると痛みがひどくなったり、逆に軽くなったりすることはあるのでしょうか?
A
高齢になると関節リウマチの病歴も長くなるので、身体障害は進みます。
また、高齢になって発病した関節リウマチでは、他の病気ときちんと区別することが大切になってきます。
一般的には、炎症や痛みなどの関節リウマチの症状には年齢による差はありませんが、高齢になるほど若干軽くなる傾向があります。
しかし、これには個人差があり、病歴が長い患者さんでは、関節に変形が起きたり身体障害が起こったりして、生活に支障が出ている方も少なくありません。
また、お年寄りになってから関節リウマチを発病した場合では、病気の進行は遅いものの、炎症の検査値は悪いことが多いようです。
そのほかに、お年寄りでは「リウマチ性多発性筋痛症」など、関節リウマチと間違えやすい病気を発病することもあり、しっかりと検査を受けて正しい診断ができるようにしましょう。
【高円寺南診療所からのコメント】
リウマチ性多発筋痛症は、高齢者に発症する肩甲帯、骨盤帯の疼痛と朝のこわばりを主徴とする炎症性疾患です。
高齢発症といわれていますが、60歳頃から発症がみられます。
男女比は1:2で女性に多いです。わが国での詳細な発症頻度は不明であり、病気の原因も不明です。
ただし、診断と治療方法はあります。朝のこわばりが1時間を超え、症状の持続が2か月を超える場合は、関節リウマチと鑑別しながら診断を進めていきます。
また高円寺南診療所では、線維筋痛症も多数経験していますが、関節リウマチを伴う線維筋痛症の他、リウマチ性多発筋痛症を見落されているケースもあるので注意深く診療しています。
関節リウマチの症状・検査値について⑤
Q
関節の腫れや痛みがありますが、関節の変形はなく、鎮痛剤だけ服用しています。
関節リウマチの治療は、発病初期に始めた方がいいと聞いたのですが、初期とはどれくらいの期間までなのでしょうか?
A
アメリカリウマチ学会では、発症6ヵ月未満を早期関節リウマチとしていますが(2012年発表)、治療はより早く開始することがすすめられています。
その観点からは、「初期」とは診断された時点ということです。
最近の治療の考え方では、関節リウマチの初期から抗リウマチ薬を使うことが勧められていますが、患者さんの状態によっては鎮痛剤だけということもあります。
不安があれば、医師に相談してみましょう。
【高円寺南診療所からのコメント】
関節リウマチの治療目標の達成には、早期診断と早期治療、短期的目標である臨床的寛解に到達するための疾患活動性の評価とそれによる治療の適正化が重要です。
早期診断と早期治療が必要である根拠は、関節リウマチでは関節破壊や身体機能障害が不可逆的に進行してしまうからです。
持続性・破壊性の関節炎が生じてから関節リウマチと診断してからの治療開始だと確実に病態が進展してしまいます。
そこで、現在では持続性・破壊性のリスクが高い関節炎を生じた時点で関節リウマチの治療を開始します。
治療方法は禁忌が無い限り抗リウマチ薬のなかでもメトトレキサートを中心とした治療を開始することが推奨されています。
鎮痛剤だけでは、関節の持続性・破壊性のリスクを軽減させることはできないからです。
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