高円寺南診療所の受診者は、東京という土地柄のせいか、地方出身者が大半をしめています。
そして、どういうわけか九州や沖縄地方の御出身の中年以降の方が少なくありません。
こうした背景の方が、発熱、倦怠感を訴えてこられた場合に、念頭においておかなければならない病気の一つが、成人T細胞白血病(ATL)です。
この病気は、RNAレトロウイルスのHTL-1感染により起こります。
CD4陽性、CD25陽性の成熟T細胞腫瘍であって、T細胞受容体の再構成を認め白血病や悪性リンパ腫として中年以降に発症します。
主に母乳により子に感染し、子はキャリアになります。
高円寺南診療所はアレルギー科を専門標榜している関係で、皮膚病の相談も受けています。
皮膚に、結節、丘疹、紅斑、紅皮症などを発見した場合には、この病気の皮膚浸潤を疑う必要があります。
その場合には、リンパ節腫大や、肝脾腫といって肝臓や脾臓が腫大していないかの診察は欠かせません。
血液検査では一般的な末梢血の白血球が増加し、核が花弁状を示すT細胞を認め、血清カルシウムの増加(高カルシウム血症)、LDHの増加などが見られます。
やや特殊な追加検査として、可溶性IL-2受容体、血清抗HTLV-1抗体の検出の他、細胞性免疫低下所見(ツベルクリン反応陰性)なども参考にします。
確定診断のためには、サザンブロット法によりHTLV-1プロウイルスDNAのモノクローナルな組み込みを証明することとされます。
治療は、臨床型別に対応します。
①急性型・リンパ腫型:多剤併用化学療法(LSG15療法)
②慢性型・くすぶり型:無症状例では経過観察、若年者には造血幹細胞移植
③高カルシウム血症:ビスホスホネート製剤、生理的食塩水輸液+ループ利尿薬
ただし、化学療法に対する反応は不良
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